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【海外ユニーク事例編】 iTrimに学ぶ「ダイエットの本当の成果」
 
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こんにちは。スポルツの脇本和洋です。
 
本メルマガ「海外ユニーク事例編」は、
日本の健康ビジネスモデルを強く魅力的にする、ヒント(学ぶ点)
を海外事例を使って考えています。
 
 
今回、考えてみたいのは、
 
 
・「ダイエット(健康サービス)の本当の成果とは何か?」
 
 
ということ。
 
 
米国には、ダイエットセンターという業態があることは本メルマガで
とりあげてきました。
 
競争の激しいこの業界で、この「ダイエットの本当の成果」
にこだわり、北欧スウェーデンから、米国に進出した企業があります。
 
それが、
 
iTrim(アイトリム)
 
という会社です。
 
 
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企業概要
 
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■企業名:iTrim US LLC(アメリカ)
 
※2003年設立のiTrim(スウェーデン)社は、スウェーデン国内で31のフラン
 チャイズ店舗を展開(2011年)。2012年にアメリカとドイツに展開。
 
■ミッション:世界で最も大きな課題の一つである肥満に対して、
       世界で最高のソリューションを提供する
(itrim is on a mission to become the world's best solution to one of 
 the world's greatest challenges.)
 
■ターゲット:ダイエットでリバウンドを何度も繰り返している人
       体重としては、15キロから20キロ標準体重より太っている人
       短期間で痩せても、すぐにリバウンドしやすいことに気づいて
       いる人(同社のサクセスストーリー参考)
 
■収益源:ウェイトロス・プログラム入会費、代替食品の販売
 
■会費:1,300ドル/年(出所:ロイター通信)
    月に換算すると約108ドル/月で日本円では約8,640円/月
 
 
※動画によるiTrim紹介(施設の様子がわかります)
 
 
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ダイエットプログラムの特徴
 
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ダイエットプログラムの特徴は、以下の3点です。
 
 
●期間:2年でじっくりと体重が安定するまでを目指す
 
●メソッド:食事指導+ダイエットセンターの中での「運動」
 
●サービス:カウンセリングとグループディスカッションを両方行う
 
 
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プログラムの実際
 
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(1)減量期:1-12週(3か月)
 
・減量プランは、「代替食品(ミールリプレイスメント)だけ食べる」、
 「通常の食事+代替食」、「通常の食事を食べる」の3種類
 (プランにより減量ペースは変わる)
 
・ライフスタイルコーチとの対面指導(月1回)により減量プランや食事プラン
 を立てる。グループセッションへの参加(隔週で開催される)
 
・運動:週2-3回、30分間のエクササイズをダイエットセンターで行う
 
 
(2)改善期:13週目-最初の一年
 
・このステージで目指すことは「適切な食習慣の確立」、「運動量の増加」
 
・具体的にはローファットダイエット、毎日の体重測定、朝食をとること、
 食事の時間の固定化、毎日一時間の運動など
 
・全10回のグループミーティングを行い、さらにライフスタイルコーチによる
 対面指導(月1回)により生活習慣の改善をフォローアップする
 
 
(3)安定期:2年目
 
・全10回のグループミーティングと個人へのカウンセリングによる指導。
 指導の狙いは、以前の生活パターンに逆戻りしないようにすることや、
 食事/運動習慣を継続するよう励ますこと
 
 
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ビジネスモデルの学び点(1):「本当のダイエットの成果とは?」
 
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同社のターゲットは、様々なダイエットを繰り返し、
何度もリバウンドを繰り返しうまくいっていない人です。
 
別の言い方をすれば、
短期間で痩せても、すぐにリバウンドしやすいことに「気づいている」人です。
 
その人たちに、下記2点の「ダイエットの本当の成果」を提供しています。
 
 
■減量だけでなく体重維持まで含める
 
同社は、ダイエットの本当の成果を、「減量だけでなくその先の体重維持まで
を含める」ものにしています。
 
そのために、
・通常食事指導だけだったダイエットセンターに運動を取り込む
・2年プログラムにする
・最初は代替食品を利用し、初期成果を感じやすくする一方、中期的には代替
 食品なしでも続けられるライフスタイルを教える
 
という流れを用意しました。
 
 
■ダイエットを通じて、自分に自信をもたせる
 
同社のもう一つのダイエットの考え方が、「Self-confidence(自己肯定感)」
を高めることにあります。
 
そのために、同社のカウンセリングではあえて、その人の「弱点」を
明確に伝えます。そして、その弱点をクリアしてきたとき、大きくほめ
ます。つまり、ダイエットを通じてその人に「自信をもたせる」
ことをダイエットの成果にしているわけです。
 
 
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ビジネスモデルの学び点(2):自社コンセプトに合う展開国を選ぶ
 
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これから、健康サービスでもグローバル化はますます進みます。
日本発の健康サービスで世界に通じるものが求められています。
 
iTrimは、人口約900万人の小さな国スウェーデンの会社です。
自国のマーケットには当然限界があり、米国に進出しました。
 
iTrimには、明確なコンセプト(ターゲットと提供価値)があります。
 
それは、
 
●ターゲット
 
・様々なダイエットを試すも、なんどもリバウンドしている人
・短期間で痩せても、すぐにリバウンドしやすいことに「気づいている」人
 
 
●提供価値
 
・2年間で体重安定のコツがわかる
・自分に自信がつく
 
 
このコンセプトが受け入れられる国は、
 
・ダイエットの歴史が長く様々なダイエット方法がある
・リバウンドを繰り返し、短期間ダイエットに疑問をもっている人が多い
 
といった国が最適です。
 
逆に言えば、ダイエットビジネスの歴史が浅い国には不適です。
 
 
そこで、同社は米国に標準を定め、展開を開始したものと思います。
 
あくまで、自社のコンセプト(ターゲットと提供価値)
が認められる国を選んでいくこと。
 
ビジネスモデルを企画する際の基本に沿っています。
 
 
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<編集人:脇本 和洋(わきもと かずひろ)>
 
・株式会社スポルツ ディレクター
・メールマガジン「海外ユニーク事例編」の編集を14年行う
・健康業界の事業企画部門の方を中心にビジネスモデルイノベーション
 を起こす手伝いをする
 
 
※今回特集した「ダイエットセンター」、その世界最大企業が
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