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[海外注目企業の継続支援編]2017年1月24日号
          ≫≫≫Author:脇本和洋
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こんにちは。脇本です。
 
「海外注目企業の継続支援編」の2017年第1回目は「認知症の予防」をテーマに海外事例を10個紹介します。
 
 
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【1】特集:海外注目企業の継続支援編
---「米国で注目されているMCI(軽度認知障害)向けサービス」
 
【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
---「成功の再定義」
 
【3】今週の注目デジクリップ!
---国内 モチベーション支援ツール、海外 超小型フィットネス・トラッカーなど、8本
 
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【1】特集:海外注目企業の継続支援編
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テーマ:米国で注目されているMCI(軽度認知障害)向けサービス
 
 
日本の認知症人口は、約450万人(2012年)。
2025年には700万人とされ、65歳以上の高齢者のうち5人に1人が認知症になるとのこと。
 
また、2013年に国がMCI(注:軽度認知障害)の人口を400万人と推計。認知症患者と合わせて約850万人が認知機能に課題のある人と設定されました。
 
今後改めて、「予防サービス」が必要になるのは言うまでもありません。
特にMCIかどうか、自分の「うっかり」は気にすべきかどうか、つまり「チェック」が簡易にできるかが、この市場を拡大させる最初のトリガーになります。それがクリアできれば、次はソリューションでどれぐらいのものが出てくるかということです。
 
つまり、この市場の拡大には「チェック&ソリューション」という考え方が必要です。
 
そこで今回は、「認知症の予防」をテーマに
 
・チェック系
・ソリューション系
 
に分けて、海外事例を紹介します。
 
※注:MCI(Mild Cognitive Impairment)
 
軽度認知障害のこと。1995年に米国メイヨークリニックグループが定義。日本でも、2013年に国がその数400万人と推計して以来、『認知症予備軍』として、メディアなどで取り上げられはじめている。MCIの時期に適切な予防をすれば、4割程度が5年後に正常に回復するといった研究もある。
 
 
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1.チェック系(自宅でのチェック)
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認知症の予防のためには、病院に行って診断を受けることがまず第一です。しかし、「病院にいく」というハードルは高く、「自宅で簡易にチェックできる」ことが必要です。その観点で、あくまでチェックが主体のサービスを紹介します。
 
 
●Food for the Brain、MCI診断テスト
 
脳によい食事を研究する非営利団体。「MCI」に特化したオンラインでできる簡易無料テストです。図形や文字の認識がうまくできるかを判断します。
 
 
 
●NeuroTrack
 
RockHealth(健康・医療系のインキュベーター)が支援するベンチャー企業。ウェブカメラを使って眼球の動きをチェック、図形の読み取りなどを使って5分でチェックできるというもの。
 
 
 
●CogniSense
 
米国の大手診断企業である「QuestDiagnostics」が提供する認知機能のアセスメント。スマホアプリで無料。MCIの診断にも対応しています。
 
 
 
 
【コメント】
 
日本では、自宅で簡易(できれば無料で)にチェックできるサービスがまだあまり多くありません。米国では様々な取り組みがあります。今後、測定技術の開発が進み、信頼性もあがり、日本でも自宅で簡易にチェックできるものがでてくると予想します。
 
 
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2.ソリューション系
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チェックが自宅で簡易にできるようになると、その後は「ソリューション」が大切になります。
 
ソリューションの基本は食事、運動、脳トレとなります。あくまでソリューションが主体のサービスを紹介します。
 
 
●NeuroGrow(ブレインフィットネスセンター)
 
本格的なチェックと、認知機能予防のプログラムを提供する施設型サービスです。基本は、Dr.Fotuhi博士が考えた記憶力トレーニングとストレス緩和、健康全般の改善により、記憶力・認知力の向上を目指すというもの。チェックとともに「ブレインコーチングなどのプログラム」を受けると5万-10万円程度がかります。MCIにも対応。
 
 
 
●vayacog(食品)
 
VAYA Pharmaが提供。ドクターの指導の下使う食品でオメガ3脂肪酸を使ったもの。MCIにも対応し、認知機能が落ちはじめた初期段階の人をターゲットとしています。
 
 
 
●cognifit(アプリ、ウエブ)
 
100万人以上が使っているチェックとトレーニング。充実した「トレーニング」では、空間認知、計画力、記憶といったトレーニングができます。アプリ、ウエブを使い無料・有料での提供。
 
 
 
●COGMED(ウエブ)
 
全世界で展開されている脳機能を上げるプログラム。ワーキングメモリ(記憶力)をトレーニングすることによって、集中力を高めるというものです。
 
 
 
【コメント】
 
NeuroGrowは、ターゲット(=高収入の人)を明確にして、個別性を重視したプログラムを提供しています。実際のブレインコーチングの内容まではつかめていませんが、顧客に寄り添い、継続しやすい環境を作っていると予想します。
 
 
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「MCI(軽度認知障害)」向けサービスに注目
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チェック系、ソリューション系ともに、MCI(軽度認知障害)対応のものが多くありました。
 
近年日本でも話題になりつつあるMCI(軽度認知障害)に向けたサービスは他にも以下があります。
 
 
●15th ANNUAL MILD COGNITIVE IMPAIRMENT SYMPOSIUM
 
MCI(軽度認知障害)を専門にしたシンポジウム。医師が参加するも企業ブースもある。15年もMCI(軽度認知障害)を研究しており、米国での注目度がわかります。
 
 
 
●Mayo Clinic
 
MCIそのものを定義した「Mayo Clinic」のコンテンツ。兆候と原因、診断と治療、セルフマネジメントなどの基本コンテンツが充実しています。
 
 
 
●Baycrest
 
Baycrestは、地域の住人に対して認知症予防のプログラムを提供するカナダの団体。MCIの人を専門にした対面プログラムを提供している。6週間のワークショップと、フォローアップが3か月つきます。
 
 
 
【コメント】
 
Baycrestは、ワークショップ形式で、患者が学び、実行し、「定着させる」ところまでをプログラムとして提供しています。特に、ワークショップができる人材の育成にも力を入れており、対面型で広げていくサービスとして注目です。
 
 
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今後の課題は「継続支援」
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日本でも、認知症の予防をテーマに様々な商品サービスが出始めています。
 
特にMCIという概念ができ、認知症の「予備軍」が定義されました。予備軍が明確になったことで、今後市場が拡大していく可能性があります。
 
チェック系は今後技術革新で、様々な簡易なものがでてくるはずです。
最大の課題は、ソリューション系の「継続支援」ではないでしょうか。
 
ソリューションはどうしてもまじめなものになります。
 
また他のテーマ(例えばダイエット)と違い、認知機能は「体感ですぐに変わる」ということもありません。
 
それだけに、「継続支援」が成功・失敗のカギを握るとみています。
 
【脇本和洋】
 
 
【お知らせ:MCI(軽度認知障害)のビジネス動向の社内研修】
 
認知症の予防が社会課題になっています。今後市場化が予想される「MCI」に着目し、先の一手を考えてみてはいかがでしょうか。
 
今回紹介したMCI(軽度認知障害)に関して、
 
・MCIビジネスの環境変化予想
・代表プレイヤーの特長
・特長ある海外事例
・今後の課題
 
といった内容の最新動向がわかる有料の社内研修(説明+レポート)を行っています。
ご興味のある方はお問い合わせください。
 
 
 
 
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「継続ドライバ」に関するワークショップ
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今回紹介した「認知症の予防マーケット」では、特に継続支援が重要になります。
スポルツ独自の考え方である「継続ドライバ」を理解いただき、実際にケースに当てはめ「使えるようになる」ことを目標にしたワークショップのご紹介です。
 
 
●健康業界での成功のカギ「継続支援」を磨くための「継続ドライバ」活用ワークショップ【2月少人数制】
2017年2月22日(水)15:00-18:30
 
 
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「健康ビジネスの成功パターンを活用した企画サポート」企画立案支援
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どうすれば
 
・成功確率の高い企画を
・チーム関係者を巻き込みながら、
・短期間で
 
考えることができるか?
 
これは私たちスポルツが長年追及しているテーマです。
私たちの企画の特長は「成功事例をヒントに進める」ということです。
 
1999年から本メルマガで紹介してきた事例は300を超えます。その中から成功事例を選び、共通要因を分析、コンセプトづくりのフレームワークを作成。企画の勝ちパターンとして「プログラム化」し、数多くの企業様に採用いただいています。
 
その概要をまとめていますので、是非ご覧ください。
 
 
 
 
 
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【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
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≫≫≫「成功の再定義」
 
IoT時代に入りデジタル技術によって顧客とのタッチポイントの頻度・質がこれまでとは大きく進化することになり、提供していくサービス価値及び成功の再定義が必要になる。
 
 
 
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【3】今週の注目デジクリップ! <8クリップ>
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[1]花王と早稲田大学スポーツ科学未来研究所、睡眠時間の短縮が肥満リスクを増加させるメカニズムを解明
本研究では睡眠時間の短縮がエネルギーバランスに影響していることを48時間にわたる代謝測定から明らかにした。これまでに議論されていた睡眠時間の短縮がなぜ肥満リスクを増加させるのかという問いに対して、本研究はエネルギー代謝の面からの生理学的メカニズムの一つを提供したものと考えられる。(2017/01/11)
 
[2]パイオニア、医療用電子聴診器「U10シリーズ」の出荷を開始
2013年より、医療現場で広く行われている聴診における課題を解決するための共同研究を広島大学大学院救急集中治療医学と行っており、このたびその研究成果の一部を活かした医療用の電子聴診器を開発した。(2017/01/11)
 
[3]厚生労働省、第1回データヘルス改革推進本部 資料
厚生労働省は、同省内に「データヘルス改革推進本部」を設置し、2017年1月12日に第1回会合を開催。超高齢社会の問題解決に向けて、健康・医療・介護の分野を有機的に連結したICTインフラを2020年度から本格稼働させる計画。(2017/01/12)
 
[4]JTBベネフィットとBe&Do、エンゲージメントツール「Habi*do」の共同サービス提供を開始
「Habi*do」は、PCやスマホで利用できるクラウドアプリケーションで、これまでの管理ツールや社内SNS等では実現が難しかった「具体的な行動や成果」につなげるためのモチベーション支援が可能なwebツール。ユーザーの目的に応じて、従業員の離職対策や人材育成、健康増進など様々な分野で活用できるのが特長。(2017/01/17)
 
[5]CES2017:空気の汚染がリアルタイムでわかる携帯デバイス『Flow』
フランスのスタートアップPlume Labsは、アプリと同期して空気の汚染度合いを示す、高機能の携帯型空気品質追跡装置を発表。装置内に取り込まれた空気は、環境センサーによって、粒子状物質、二酸化窒素、オゾン、揮発性有機化合物、温度、相対湿度が検査される。(2017/01/12)
 
[6]Motiv Ring、指輪タイプの超小型フィットネス・トラッカー
Motivのチームはサイズ極小のウェアラブル・デバイスを開発したと主張している。歩数、移動距離、消費カロリーといった運動情報に加えて睡眠も測定する。また光学式心拍計も内蔵されているという。(2017/01/13)
 
[7]『Googleカレンダー』、ゴール機能とフィットネスアプリの連携が可能に
Googleは、「Google Fit」やAppleの「ヘルスケア」を『Googleカレンダー』のフィットネス目標と連携させる機能を追加したことを発表。(2017/01/17)
 
[8]mHealthWatch注目ニュース、『Proof』は血中アルコール濃度をリストバンドで追跡する
「Proof」は、肌から出る汗をもとに血中アルコール濃度を測定し、アプリと連携。血中アルコール濃度がある一定以上になるとアラームを鳴らすなど、飲み方の判断に活かせるリストバンド。(2017/01/23)
 
 
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