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[海外注目企業の継続支援編]2016年5月24日号
          ≫≫≫Author:脇本和洋
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「海外注目企業の継続支援編」を執筆している脇本和洋です。
 
今回注目するのは、Rock Healthというヘルスケア専門のインキュベーターが支援している「Hi.Q, Inc」というベンチャー企業。同社は「Health I.Q」という健康知識サービスを提供しています。
 
健康知識の提供サービスは日本にも数多くありますが、「本当に人が動くための知識」はまだ少ないと感じます。みなさんはいかが思われますか。
 
今回は、
 
●意識が大きく変わるように工夫する
 
●継続できない理由を予想し対応策を考えさせる
 
という2つのメソドロジー(方法論)で知識提供する注目事例です。
 
 
※参考>
Rock Healthは投資先のベンチャー企業をポートフォリオとしてサイトで紹介。現在59社ありますが「Hi.Q, Inc」はその中の1社です。
 
・Rock Healthのポートフォリオ
 
 
■□■□■□■ I N D E X ■□■□■□■
 
【1】特集:海外注目企業の継続支援編
---ヘルスリテラシーに着目する「Health I.Q」の継続支援
 
【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
---「伝えるから分かり合えるへ」
 
【3】今週の注目デジクリップ!
---国内 食育白書、海外 アプリ動向など、10本
 
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【1】特集:海外注目企業の継続支援編
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テーマ:ヘルスリテラシーに着目する「Health I.Q」の継続支援
 
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「Health I.Q」とは
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■企業名:Hi.Q, Inc.
 
■設立:2013年
 
■設立の背景(思い)
同社は6人の共同創設者がおり、各自様々な健康問題を経験することで、人が健康であるための第一歩はウェアラブル機器などで活動量を測定することではなく、“ヘルスリテラシー”にあると確信し、Health I.Qを作るきっかけになりました。
 
※ヘルスリテラシー(health literacy):健康面での適切な意思決定に必要な、基本的健康情報やサービスを調べ、取得し、理解し、効果的に利用する個人的能力の程度を意味する(Wikipediaより)
 
■ターゲット
・健康の知識を生かせず不健康な行動を続けている人
・健康によい行動の継続ができていない人
 
■同社のサービス
ユーザーの健康に対する知識を高めるクイズ形式のサービス。(パソコンでもスマホアプリでも可能)
 
■クイズのカテゴリー
栄養、運動、メディカル、全般という4つがある
 
■クイズ編集の専門家
・Dr. James Colbert(ハーバード大学医学大学院、医学博士):内科医学の専門家。クイズでは感染症やアレルギーなどのカテゴリーを制作している
・Dr. Jeffrey Popma(ハーバード大学医学大学院教授、べス・イスラエル・メディカルセンターの元センター長):心血管インターベンションの専門家。心臓疾患関連のクイズを担当している。
 
■同社の評価記事
・The Wall Street Journal(電子版)で、健康リテラシーの普及をコンセプトとしたスタートアップ企業として紹介される
・最新テクノロジーなどを扱う米国のオンライン・メディア「ベンチャー・ビート」でCEOのShah氏とHealth I.Qが取り上げられる
 
■収益源
・公開されていない。ただ、同サイトには保険会社との提携が記載されており、今後なんらかの収益を目指していると想定される。
 
 
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クイズの流れ
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1)クイズタイトルを選ぶ
クイズタイトルは、分類と個別テーマが記載されている。
例)
・サイクリング(自転車旅行のコツ)
・女性の健康(中年期の食事)
・健康リスク(抗生剤とスーパー耐性菌)
・スキンケア(日焼け止めクリームの正しい選び方)
 
2)クイズに回答する
タイトルをクリックし、クイズに具体的に答える。クイズは1タイトルにつき、10問から20問で構成される。1問につき4つの選択肢が提示され、その中から回答する。正解率の高かった質問(簡単な質問)から始まり、だんだん難易度が上がっていく。
 
3)回答後に、「Health IQ」と「累積ポイント」が提示される
Health IQ(満点200点)はクイズタイトルごとに計算される。「累積ポイント」は、過去に答えたクイズすべての合算として計算される。各計算法は、正解率・難易度・ユーザー情報などに基づいて独自のアルゴリズムで計算される。そして、ある一定の「Health IQ」と「累積ポイント」に到達するとエリートバッジがもらえる。
 
4)エリートバッジを集めて、楽しむ
エリートバッジを集めると、バッジの数により、リワード(報酬)を受け取れる。また、現在の自分の順位を確認したりオンラインコミュニティで披露できる。
 
 
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同社が目指す「人が本当に動くためのメソドロジー(方法論)」
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同サイトは、本当に人が動くための「健康知識」の提供を目指しています。そのための方法論をメソドロジーと呼んでおり、メソドロジーを紹介する以下ページには2つのことを述べています。(以下スポルツの解釈含む)
 
参考>メソドロジーの紹介ページ
 
 
●意識が大きく変わるように工夫する
 
例えば、「ごはんの食べ過ぎ」を意識させるためには以下のようなスタイルで質問を創作していると述べています。
 
質問:スーパーで良く販売されている“小さな巻きずしセット”には、何カップ分のお米が入っていると思いますか?
 
選択肢:
1.1/4カップ
2.1/2カップ
3.1カップ
4.2カップ
 
正解はおそらく4でしょうが、ここで彼らが強調したかったは、小さなセットでも意外に多くのごはんを使っているという「意外性、驚き」を提示し、「不健康な行動に対する意識」を大きく変えるということです。
 
 
●「継続できない理由」を予想して知識を提供する
 
例えば、「自転車を楽しんでいる人」には以下のようなスタイルで質問を創作していると述べています。
 
質問:自転車でお尻が擦れることを防ぐにはどうしたらいいと思いますか?
 
選択肢:
1.自転車各部の体へのフィット感を改善する
2.綿製品の服を着る
3.サドルを水で濡らしてみる
4.幅の広いサドルに交換する
 
正解はおそらく1でしょうが、ここで彼らが強調したかったのは自転車を続けるときによくある「継続できない理由」に着目しているということです。健康行動は継続してこそ意味があるからです。
 
このように同サイトでは、知識提供といっても、本当に人が動くために、
 
・「意識が大きく変わるように工夫する」
・「継続できない理由を予想して知識を提供する」
 
という2つのメソドロジー(方法論)がある点が最大の特徴です。
 
 
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「Health I.Q」にみる継続支援のポイント
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「Health I.Q」は、確かに優れた知識提供をしていますが、クイズ自体を続けてもらうには工夫が必要です。
 
スポルツが国内・海外の事例研究から整理した10個の「継続ドライバ」(顧客の健康行動の継続支援技術)的にみると、同サイトは「パーソナライズ」と「インセンティブ」を用いて継続支援を行っています。
 
参考>継続ドライバ
 
 
●パーソナライズと絡める
 
同サイトに登録すると最初にアンケートがあります。それに答えることでその人にあったクイズがでてきます。
 
<アンケート項目>
・ダイエット(どんなダイエット法をしているか)
・運動(どんな運動をしているか)
・家の環境(結婚、介護者の有無、子供の年齢)
・働く環境(座りっぱなしか、通勤1時間以上か)
・メディカルコンディション(血圧、コレステロールなど)
・メンタル状況
 
実際には、パーソナライズされたクイズが2日に一度程度、登録したメールアドレスに送られてきます。
 
 
●インセンティブと絡める
 
一定のレベル以上の「Health IQ」、「累積ポイント」を獲得すると、「エリート」バッジがもらえます。エリートバッジを集めると様々な特典があります。
 
たとえば、
・エリートバッジ5個:エリート専用フェイスブック会員になれる
・エリートバッジ20個:自分が選んだ慈善団体に、同社が募金してくれる
・エリートバッジ30個:自分が考えたクイズがIQクイズに採用される
・エリートバッジ50個:飛行機の優先搭乗(priority boarding)の追加料金を払ってくれる
・エリートバッジ100個:ニューヨークタイムズ紙に名前が掲載される
・エリートバッジ2500個:テニスのUSオープンのチケット+旅費がプレゼントされる
・エリートバッジ3000個:自転車のツール・ド・フランスのチケット+旅費がプレゼントされる
 
 
今回は、本当に人が動くための「健康知識」を2つの「メソドロジー」を基本として提供し、継続支援にも力を入れる事例として「Health I.Q」を紹介しました。いかがでしたか。
 
我々が健康事業の企画支援をする際には、コンセプトの一つの要素として継続支援サービスを企画します。その際、今回の事例であった、「継続できない理由を事前に予想する」ということは特に重視しています。
 
知識提供を目指す際には、ぜひ本事例を参考にしてください!
 
 
 
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スポルツサービスのご案内
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●健康分野の新規事業の企画支援
コンセプト・売り方を共同で検討するものです。我々が蓄積してきた海外・国内の成功事例のエッセンスを最大限使っていくスピードに特長があります。以下よりお問合せください。
 
●セミナー:継続ドライバの理解と「使い方」を学びたい方
継続支援の技術を10個に体系化した「継続ドライバ」を紹介するオープンセミナー。その「使い方」も紹介。6月23日開催です。
 
 
 
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【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
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≫≫≫「伝えるから分かり合えるへ」
 
お客様、同僚、ともにコミュニケーションの基本を情報伝達から共有する気持ちでの分かり合うへシフトするとリスペクトの気持ちが育つ。
 
 
 
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【3】今週の注目デジクリップ! <10クリップ>
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[1]メドピア、遠隔医療事業への進出および事業拡大に向けて経営体制を強化
オンライン医療相談プラットフォーム「first call」を運営するMediplat社の株式を取得し完全子会社化。同時に元DeNA会長の春田真氏、元オプト社長の海老根智仁氏、元楽天副社長の島田亨氏の3名を経営顧問に迎える。(2016/05/13)
 
[2]ニッセイ基礎研究所、老いるのは下から?上から?ー注目される「オーラル・フレイル」という新概念
オーラル・フレイルは、直訳すると「歯・口の機能の虚弱」。新しい概念として2015年から広がりを見せている。提唱者は東京大学高齢社会総合研究機構の飯島准教授他。(2016/05/13)
 
[3]ヴェルペンファルマ、マクドナルドで認知症カフェを開催する初の試みをスタート
マクドナルド299バイパス飯能店にて認知症カフェ「ひだまりカフェ」の定期開催を開始。認知症になっても本人や家族が住み慣れた地域で安心して生活できる町づくりの推進を目指し、月に2回定期的に開催していく。(2016/05/16)
 
[4]キユーピー、「キユーピー アマニ油マヨネーズ」新発売
血圧が高めの人向けの機能性表示食品。アマニ油を製品中に30%配合した卵黄タイプのマヨネーズ。1日の摂取目安量15gあたりα-リノレン酸を2.6g摂取できる設計。(2016/05/17)
 
[5]農林水産省、「平成27年度 食育白書」公表
平成27年度食育推進施策を公表。「第1部 食育推進施策の現状と課題」「第2部 食育推進施策の具体的取組」「資料編」。(2016/05/17)
 
[6]調査:米国世帯の20%がヘルスケアウェアラブルを所有
今や米国世帯の約20%がヘルスケアウェアラブルをひとつは所有しており、この割合は昨年このようなデバイスを所有していた世帯から倍増。さらに15%の世帯が来年のうちにヘルスケアウェアラブルを購入する予定だという。(2016/05/11)
 
[7]Beam、歯ブラシデバイスから歯科保険まで業務を拡張
Beam Technologies社は、自社の歯科保険プラン「SmartPremiums」をカリフォルニアで立ち上げた。Beamは、加入者が自分の保険の掛け金を節約するため予防治療を重視してもらうことを目指している。(2016/05/12)
 
[8]Apple『CareKit』、対応アプリ第1弾がリリース
今回リリースされた4つの無料アプリの中には、糖尿病患者が自分の病状を管理するためのInformed Data Systemsの「OneDrop」と、抗うつ薬を服用する患者が投薬の効果を把握するためのIodineの「Start」がある。(2016/05/13)
 
[9]Royal Philips Company、照明事業を売却しヘルステック計画に注力
ドイツのエレクトロニクス企業Royal Philips Companyは医療技術事業への投資を強化する計画。さらに2つの事業を分離し、成長しつつある医療技術事業を支える資金を調達するため照明部門を公開市場で売却すると発表。(2016/05/13)
 
[10]『mHealth Watch』注目ニュース:認知症の研究を支援するモバイルゲーム
Deutsche Telekom社が発売した「Sea Hero Quest」」というモバイルゲームの狙いは、研究グループの空間ナビゲーションに関する理解向上に役立てること。空間ナビゲーションの喪失は、認知症の初期症状のひとつ。(2016/05/16)
 
 
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