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【今回の注目事例】: 米国自治体の「健康キャンペーン」

     ~ スポンサー制度、ユニークイベントの活用 ~
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【一歩進んだサービスを提供する米国自治体】

日本の自治体が提供している健康サービスとしては、市主催の健康診断、医
療機関の連絡先などの情報提供、健康講座やイベントなどがありますが、そ
の広がりやユニークさにおいてはまだ未発達の感は否めないのが現状でしょ
う。

一方米国では、自治体が独自の健康キャンペーンを実施。サイトを使って豊
富な健康情報を提供するだけでなく、スポンサー制度をとったり、ユニーク
なイベントを実施したりしています。

今回は、ヒューストン市とフィラデルフィア市の2つの健康キャンペーンを
紹介。日本の自治体に求められる健康増進サポートのあり方を探ります。


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【事例1:ヒューストン市、「Get Lean Houston」】:スポンサー制度活用
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「Get Lean Houston」とは、正しい健康知識の提供、生活習慣病の予防など
を目的としたヒューストン市が掲げる健康キャンペーン。きっかけは、ヒュ
ーストン市が健康雑誌「Men's Health」の調査で「2年連続米国で最も肥満
者の多い都市(nation's fattest city)」に選ばれたことと言われていま
す。

■キャンペーン概要

・キャンペーン名:Get Lean Houston
http://www.getleanhouston.com/index.htm
・キャンペーン期間:2002年6月から20か月
・運営:ヒューストン市(人口約1,900万人・テキサス州)


■健康キャンペーンの特長

同キャンペーンの特長は、サイトを使って様々な健康情報を提供するだけで
なく、「スポンサー制度」により企業と連携して市民の健康増進をサポート
するしくみを作っている点です。最近では、2003年9月にマクドナルド社と
スポンサー契約を結んでいます。

マクドナルド社はヒューストン市の店舗において、このキャンペーンに合わ
せた特別のサラダ及び他のメニューを用意、店内で簡単なフィットネスの方
法も紹介、健康なライフスタイルについての教育情報も提供しています。

・スポンサー一覧
http://www.getleanhouston.com/aboutus/our_sponsors.htm
・マクドナルド社スポンサー参加のプレスリリース
http://www.getleanhouston.com/press/press_9_2_03.htm

参加するスポンサー企業としては、企業の健康イメージを上げることができ
るだけでなく、自治体との連携による収益アップの可能性を探れるというメ
リットもあると言えるでしょう。


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【事例2:フィラデルフィア市、「Fun, Fit & Free!」】 イベントの活用
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「Fun, Fit & Free!」も2000年度の肥満都市に選ばれたことがきっかけで市
長がフィットネス専門家を招いてはじめた健康キャンペーンです。健康イベ
ントには、過去26,000名が参加して、ひとり平均5.3 poundsの減量に成功し
た実績があります。

■キャンペーン概要

・キャンペーン名:Fun, Fit & Free!
http://www.phila.gov/fitandfun/
・キャンペーン開始:2000年2月
・運営:フィラデルフィア市(ペンシルバニア州)

■健康キャンペーンの特長:小旅行感覚でめぐるユニークな健康イベント

「Fun, Fit & Free! Health Trip 2003」は、30代~70代までの幅広い層が
参加する健康イベント。市民は登録後、まず地域での講習会(45分)に参加
。その後、教材と参加パスポートが交付されます。「参加者=旅行者」に例
えて、フィットネスクラスや健康セミナーなど、76日間の全講座をめぐり、
目的地までの旅行を達成するように促すしくみです。

具体的には、地元の民間フィットネスクラブで開催されるウォーキングやエ
クササイズ講座や、自然食品店での料理教室や、糖尿病管理や生活習慣病改
善のセミナーなどがあります。(参加費:10週間パスポートひとり25ドル)

・Fun, Fit & Free! Health Trip 2003の詳細スケジュール
http://www.phila.gov/fitandfun/calendar/index.html

市民は、豊富なセミナーの中から好きなもの、好きな場所を選んでいつでも
オンラインでエントリーすることができます。


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【HBMの視点】 地域の民間サービスの活用がポイントに
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■今回は、米国自治体の健康サービスの取り組みの一つとして「健康キャン
ペーン」を紹介しました。

■日本では宮城県仙台市が、「健康づくりサポート店」「市内ウォーキング
マップ」「温泉活用法」などの情報を積極的にサイトを使って紹介しており
、新しい形で市民の健康増進に取り組む姿勢がうかがわれます。
・仙台市の「杜の都のいきいき健康ネット」
http://www.city.sendai.jp/kenkou/kenkouzoushin/ikiiki/index.html

■今後の自治体の健康サービスのあり方としては、
・米国事例のような期間や目標を明確に設定した「健康キャンペーン」
・地域に根ざした健康サービス情報の提供(医療機関など公的サービスに関
する情報だけでなく、例えば、民間フィットネスクラブの紹介や健康食レス
トランガイドなど)
・地域にある健康関連企業のコンテンツを利用した「健康増進サイト」
などが考えられます。いずれにせよ、「地域性」と「民間サービスの活用」
が重要なポイントになりそうです。

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