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  今回の注目事例:シニアの健康を考える時にチェックしたい
           「ジェロントロジーという研究領域」
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【ジェロントロジー(gerontology)とは】

シニア向け健康ビジネスを考える上で、「老いていくこと」に対する基本と
なる考え方を理解することは大切なはず。それが「ジェロントロジー」とい
う研究領域にあります。

ジェロントロジーは「老年学」と訳されることが多く、加齢にかかわる諸問
題を医学、社会学、心理学、経済学など幅広い分野から研究する学問をさし
ます。アメリカではこの「ジェロントロジー」を学んだ人が「シニアの健康
ビジネス」分野で活躍しています。

今回は、日米の「ジェロントロジー」研究の内容がわかるサイトを紹介しま
す。


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【米国でのジェロントロジーサイト】
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■事例1:International Association of Gerontology(国際老年学協会)
http://www.sfu.ca/iag/

・概要
1950年設立と歴史を持つ世界的な老年学研究機関。これまで、国連WHOとの
共同研究やカンファレンスなども数多く主催。定期的に世界の主要都市で開
催される国際会議では「ジェロントロジー」に関わる各分野の専門家が多数
参加する。

2005年6月リオデジャネイロで開かれる国際会議では、「ジェロントロジー
」を健康・生物学・経済学・社会調査・行動学・環境の6つの観点から分析
。健康関連セミナーでは、主に下記のテーマを扱っています。

1)シニアと運動
2)疾病予防と治療
3)リハビリテーション
4)クオリティ・オブ・ライフ(生きがい)
5)人間関係(家族・介護者など)
6)その他


■事例2:Gerontological Society of America(アメリカ老年学会)
http://www.geron.org/

・概要
エイジングの研究者・教育関係者・医師など約5000名を会員にもつ学会。
機関誌「Journals of Gerontology」「The Gerontologist」などの発行や各
種セミナーを開催。

・「Journals of Gerontology 」オンライン版(全文は有料)
http://www.gerontologyjournals.org/


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【日本でのジェロントロジーという考え方】
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■シニアルネサンス財団
http://www.sla.or.jp/index.html

・概要
「シニアライフアドバイザー」の養成及び資格付与、生活相談業務、高齢者
の社会参加を促進するイベントの開催、さらにシニア向け商品サービスの開
発及び調査・研究をしている。

同サイトでは、ジェロントロジーという切り口を、ハワイ大学で学ぶ「ジェ
ロントロジー」という中で紹介しています。
http://www.sla.or.jp/seminar/hawai0312.html

大きくは、下記の5つの分野が関わることとしています。

1)運動との関係で運動学
2)健康と食べ物の関係で栄養学
3)健康と休養の関係での音楽や芸術、旅行
4)健康とライフスタイルの関係での自然環境、住宅、家族、趣味
5)健康であり続けるための予防医学


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【HBMチームの視点】 「シニアビジネスに参考となる考え方」
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■「ジェロントロジー」という研究領域。一言でいってしまえば「シニアの
幸せな年齢の重ね方」を研究する学問といってもよいでしょう。

■「シニアの幸せ」は多種多様でしょうが、「その年齢なりの健康(栄養・
運動・休養)」「生きがい」「経済面での安心」という3つがベースにある
ことは間違いないはずです。

■「健康と生きがい」はすでに「ウエルネス」という言葉で言い表されてき
ましたが、そこに「経済」という観点が入ってきた点が、「ジェロントロジ
ー」の新しさといってもよいでしょう。

■また、「ジェロントロジー」という研究領域で述べられていることをまと
めると、「シニアの幸せはシニアになる前でほぼ決まっている」とも言えま
す。

■確かに「健康」はそれまでの生活習慣が大きく影響を及ぼします。また、
「生きがい」もそれまでにどのような家庭環境を作ってきたか、社会との結
びつきをもっていたかに影響されます。「経済」もそれまでにどれだけの貯
蓄(運用)をしてきたかということになります。

■シニアビジネスの多くは現在シニアの人を対象とするものですが、本当の
シニアの幸せを考えるなら、シニアになる前の人へのビジネス訴求の可能性
もあり得るのではないでしょうか。

■シニアになる前の人は、危機感(動機)がないためビジネスとして成り立
つか難しい面もあるでしょう。ただ将来のことを考えた時「介護の期間が短
く一生を終えること(よく言われるピンピンコロリ)」を望む人は多いはず
。「ジェロントロジー」では、どういう生活習慣をすれば、「介護の期間が
短く一生を終えることができるか」の研究も期待したいところです。

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