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  食品メーカー発の「食育サービス」
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【「食育への取り組み」の現状】

食育とは、「国民一人一人が、生涯を通じた健全な食生活の実現、食文化の
継承、健康の確保等が図れるよう、自らの食について考える習慣や食に関す
る様々な知識と食を選択する判断力を楽しく身に付けるための学習」を指し
ます。

2005年7月に「食育基本法」が成立し、企業にも子供(親子)向けや地
域(学校)向けなどさまざまな食育への取り組みが期待されています。

今回は、規模・内容とも充実した食育への取り組みを展開している大手飲料
・食品企業「Pepsico社」のキャンペーン内容を紹介し、食育サービスにつ
いて考えます。


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【事例紹介】Pepsico社
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■企業概要
・運営企業名:Pepsico社
・URL: http://www.pepsico.com/
・設立:1965年
・概要:
世界最大級の食品・飲料会社のひとつ。トロピカーナ(ジュース)、クェー
カー(シリアル)など主要16ブランドをもつ。

■注目キャンペーン

同社の食育キャンペーンでは、下記の3つに注目することができます。

1)「スマート・スポット(SMART SPOT)」キャンペーン

店頭で健康によい食品をひと目でわかるように商品100点以上に健康ロゴ
マーク「SMART」を表示。オンラインでは、子供向けゲームや親子で学べる
特集記事など正しい食生活をサポートするコンテンツを用意しています。
(2004年9月)

※スマート・スポット(SMART SPOT)
http://www.smartspot.com/home/home.php


2)「バランス・ファースト(Balance Fast)」キャンペーン

子供たちに「摂取エネルギーと消費エネルギーのバランス」の大切さをアピ
ールするキャンペーン。中学校向けにCD-ROMの無料配布(教育ソフト制作
Discovery Education社と共同制作)、小学校向けに遊びながら学べるワー
クブックや指導マニュアルを無料配布(運動促進団体America on the Move
と連携)。(2005年4月)

※Discovery Education社:CD-ROM教材制作
http://education.discovery.com/
※America on the Move:運動コンテンツで協力
http://aom.americaonthemove.org/


3)子供の「遊び場」建設をサポート
子供たちが健全かつ安全に遊ぶことのできる施設づくりに取り組む米国の
NPO組織「KaBOOM!」の協賛スポンサーとなる。今年度中に、主要12都市に
遊び場(公園)を建設予定です。(2006年2月)

※KaBOOM!
http://www.kaboom.org/


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【スポルツの視点】
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■今回紹介したPepsico社の3つの食育キャンペーンの目的は、子供向けに
1)健康な商品選びをサポート 2)栄養のしくみの理解を促進 3)運動
を取り入れる生活を提案という点です。

資金力のある大企業のメリットをいかし、食生活はもちろん、他団体での連
携で子供の健康全般を幅広くサポートしている例と言えます。

■このような大がかりな食育キャンペーンではなくとも、食品メーカーには
、自社商品をきっかけにしたさまざまな食育への取り組みが可能です。
その際には「自社の商品(食品)を通じて子供・親に何を伝えるのか?」と
いう点を明確にする必要があります。

■例えば、日本での食育の目的についてわかりやすく示したものに、下記の
日本食生活協会による食育の目標5つがあります。

1)料理する力:料理を作ることは子どもの創造力、集中力、計画性を育む
2)食べ物を選ぶ力:バランスよく食べるための知識と知恵を身につける
3)命を感じる力:野菜、肉、魚といった食材の命に感謝する心を育む
4)味がわかる力:食材そのものが本来の味がわかる味覚を育てる
5)健康がわかる力:元気な状態(健康)をコントロールする力を身につけ
 る

※日本食生活協会
http://www.shokuseikatsu.or.jp/activities/act_01.html

■上記1)~4)の食育への取り組みとして「学校での出張授業」「親子で
の料理教室」「生産地訪問イベント」などがすでに数多くあります。

・カゴメ
http://www.kagome.co.jp/shokuiku/index.html
・カルビー
http://www.calbee.co.jp/snack-school/

今後は、5)健康がわかる力を養うための食育コンテンツ開発やキャンペー
ンがより増えてきてもよいはずです。

■身近な小学生の子供を見ていると、「健康=元気なこと、病気でないこと
」という理解をしていますが、それ以上のイメージは持っていないように見
えます。

■具体的に「正しい食生活を続けると生き生きした大人になれる」「体が健
康であれば将来好きな仕事ができる」など「健康は手段であり、生活上なぜ
重要であるか」をしっかりと伝えることができれば、食育の効果もあがるの
ではないでしょうか。


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