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【先進事例分析】
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        ゲームを使った健康ビジネスの動向

       ー Games for Health より事例紹介 ー

 子供を通して大人のダイエット支援も狙う「エクサゲーミング施設」
           『XRtainment Zone』

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任天堂のWiiFit、脳を鍛えるDSトレーニングなど、健康づくりにゲームから
アプローチしたビジネスモデルが注目を浴びています。

世界の市場規模は約7000億円(iConecto推定)とされ、内訳は
下記のようになっています。

●エクサゲーミング(6400円億)
※WiiFitのようにゲームを使い体を動かすもの

●ブレインフィットネス(267億円)
※脳トレのようなもの

●ヘルスゲーム(250億以上)
※パソコン上でいくつかのゲームに回答しながら健康知識を学ぶもの

米国では、健康づくりにゲームからアプローチする「Games for Health」
という展示会(カンファレンス)があり、今年で5年目を迎えます。

今回はこの展示会の概略を解説し、出展企業の中からエクサゲーミングの
専門施設である「XRtainment Zone」を紹介します。


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健康づくりにゲームからアプローチする展示会「Games for Health」
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■展示会名:Games for Health
http://www.gamesforhealth.org/index3.html

■概要:
2004年から毎年開催されている、
「健康づくりにゲームからアプローチする」展示会・会議。
最新研究発表、商品紹介がなされ、ヘルスゲーム開発者、医療関係者、
健康企業などが参加する。(2009年は6月11日、12日に開催予定)

■2008年の内容
・約40のセッション(発表会)で2日間にわたり発表がなされた。
例)
ーエクサゲーミングの歴史
ーRe-Mission(中高生向け、ガン闘病シューティングゲーム)の詳細
ーエイズに対する意識向上のためのゲーム
ー携帯電話でのゲームのあり方
など

※詳細
http://www.gamesforhealth.org/archives/000250.html#more
上記サイト中の「See last year's schedule of events here.」をクリック
するとPDFでダウンロードできます。

■運営企業: Serious Game Initiative
ヘルス分野に限らず、シリアスゲーム(非エンターテイメント用途のゲーム)
の利用・開発・普及を推進している団体


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エクサゲーミングの専門施設 「XRtainment Zone」
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今年で5年目を迎える同展示会(カンファレンス)ですが、その中で今までに
幾度か紹介されてきた注目施設が、エクサゲーミングの専門施設
「XRtainment Zone(エクサテイメントゾーン)」。

その企業概要は下記のとおりです。

■企業名:XRtainment Zone LLC
http://www.xrtainmentzone.com/

■設立:2006年
■売上:非公開
■所在地:Redlands(ロサンゼルスから車で2時間ほど)

■ミッション:
子供と大人が楽びながら運動できるフィットネス環境を提供する
(The mission of XRtainment Zone is to provide families and kids of
all ages a fitness club of their own "where working out is all play")

■経営陣

CEO:Ernie Medina博士
予防医学の専門家であり、医療機関で13年間勤務し多くの生活習慣病患者
とかかわる。研究者として教鞭をとるカリフォルニア州立大学と共同で予防
観点からエクサテイメントの可能性を研究するため同施設を立ち上げた。

COO:JOEL D. PETERSON, J.D.氏 
19年間の弁護士経験をもつリスクマネジメントの専門家。Medina博士と
出会いビジネスをサポート。


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施設概要:「トータルな健康づくり」を支援
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施設を構成するのは下記の4つのゾーンで、単にゲームがあるだけでなく、
プラン、チェック、食事、地域コミュニティでの触れ合いも含めた
「トータルな健康づくり」を支援しています。

●BreakoutZone
シュミレーションビデオ画面を見ながらジャンプしたり走ったり、
ボクシング、自転車をこぐなどの各種マシン、他にもエアロバイクと
レーシングカーゲームが連動した機器などがある。

●HealthCheckZone
健康チェック、リスク評価、カウンセリングなどを行うスペース。
地元医師との連携も可能で、詳細カウンセリングは別料金。

●CoolZone
栄養バランスの整ったスムージー他健康食の提案コーナー。フィットネス
ウエア、本、自宅で使えるエクサゲーム機器、その他商品を販売するショップ
あり。

●MpowerZone
地域コミュニティのためのフリースペース。施設利用を通じて地域コミュニ
ティが活性化することを願う。日曜日の午後は無料開放される。


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XRtainment Zoneの注目点:子供を通して大人のダイエットを支援
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同施設のビジネスモデルで注目したい点は下記の2点です。
子供を通して大人のダイエット支援も狙う点には特に注目です。


■注目点1:新しい顧客へのアプローチ

同施設は、今まであまりフォーカスされてこなかった、動機づけが弱い子供・
大人をターゲットにしています。

例えば、自宅でTVゲームをすることが多い運動嫌いな子供、まじめな運動を
続けるのが嫌いな子供、ダイエットの動機が弱く継続ができない親、子供に
運動を薦めるが自分は運動が嫌いな親などです。

子供に対しては、エクサゲーミングの楽しさを積極的に伝えるとともに、
大人に対しては、「Family FitZone」という家族全員で参加するプログラムを
用意。子供と共に基本を学び、親として手本となることで動機をアップさせる
プログラムを提案しています。

また大人が動機づけられ、その後の実践行動に進みたい場合、同施設では
ショップでフィットネスグッズを販売したり、大人専用のダイエット
プログラム「Weight Management & Cleanse Program」を提案しています。


※「Family FitZone」
親子で健康全般や栄養をテーマにしたグループ講義を受け、講義で学んだこと
を実践する調理実習や親子対話型運動プログラム。
http://www.xrtainmentzone.com/weight-management_family.htm

※「Weight Management & Cleanse Program」
身体測定、体脂肪チェックなどを含み、サプリメントと運動を組み合わせた
9日間プログラム。


■注目点2:継続的にゲームコンテンツをアップデイトするしくみ

ゲームは飽きやすいのが一番の難点でしょう。同社は米国最大のエクサゲーム
機器卸Exergamefitness社と業務提携(2008年10月)を行い、最新のエクサ
ゲーム機器が入るしくみを作っています。

Exergamefitness社は機器を提供するかわりに、機器を使ったプログラムの作成
やプログラムの有効性を知る科学データの提供を受けるているようです。


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スポルツの視点
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■健康づくりに対するゲームからのアプローチ、日本でも大きな可能性ある
分野として注目です。エクサゲーミングは運動関連のビジネスですが、
ヘルスゲームはゲームを通じて知識を学ぶものであり、健康業界全体に関わり
があるはずです。

■特にエクサゲーミングのアプローチは、運動嫌いで今まで運動をしようと
思っていなかった大人に対し、考えを改めさせ「きっかけ」をつかむには有効
ではないでしょうか。ただし、きっかけをつかんだ後の実践行動へのつながり
が重要になることは言うまでもありません。

■エクサゲーミングの内容としては、同展示会で紹介されていた他の事例でも
そうすが、その場限りで終わるゲームではなく、自分の行った健康行動が
ゲームに記憶されるとそれに反応し新たな展開に変わるなど、行動内容により
ゲームが変化することも多用されるでしょう。

■またヘルスゲームは参加者同士でその知識を競争するものでもあり、
コミュニティの一つの形としての可能性を感じます。

■本年は6月に開催される同展示会。ヘルスビズウォッチでは夏ぐらいに
新しい動きを紹介したいと考えています。


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