健康サイトにおける個人記録データの活用法
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【先進事例分析】
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健康サイトにおける個人記録データの活用法
ー 体験者情報の価値化を探る ー
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現在、数多くの健康をテーマとするサービスウェブサイトが存在します。
そのほとんどにマイページや記録機能が実装されており、
個人の記録データは、サイト登録者増加と記録継続によって増加し続けます。
これらのデータをいかに価値化していくかは、PHR(パーソナルヘルス
レコード)実現に向けて重要な意味をもちます。
今回は価値化の方法として「個人記録データの分析」を行い、
具体的な解決のヒントを提示することを行っている、海外と国内の事例
を紹介します。
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海外の動向
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【事例1:体験者のデータから対策のヒントをつかむ】
■サイト名:Patientslikeme
http://www.patientslikeme.com/
■企業名:PatientsLikeMe,Inc.
■サービス開始:2004年
■概要:
ALS(筋萎縮性側索硬化症)、パーキンソン病、うつ病など13の病気
(難病中心)の人の体験情報共有型ネットコミュニティ
■登録体験者数:42000名
■特長
・その1:自分の現状と照らし合わせながら対策を検討できる
同サイトは、体験情報を時系列的に把握できるようにし、
自分の現在の状況と照らし合わせながら、対策を考えることができます。
例)下記サイトをクリックしてみてください。
http://www.patientslikeme.com/patients/view/615?page=1
ALSの人の体験者情報では、
「症状(condition)+対策(treatment)+周辺症状(Symptoms)」
が時系列でわかります。
・その2:対策について定量化情報として得られる
実際に取り組んだ「対策」については、同じ病状の人がその対策を
どれぐらい取り組んでいるか、どう評価しているかが定量データ
としてわかります。
例)ALSの人の対策の定量データ
http://www.patientslikeme.com/als/treatments/show/6-vitamin-c
例としてALSの人の中で、対策(treatment)として、サプリメント
(ビタミンC)を摂っている人の理由、摂取量、摂取期間などがわかります。
様々な対策の中から、自分なりに納得した対策を選ぶ際に役立ちます。
※参考>バックナンバー(2008年10月号)
http://www.healthbizwatch.com/mailmagazine/unique/230.html
【事例2:支持の高い治療法がデータとしてわかる】
■サイト名:DailyStrength(健康医療SNS)
http://www.dailystrength.org
■概要:減量からがん闘病まで幅広いテーマの健康医療コミュニティ
■提供企業名:ネットコンテンツ企業HSW International, Inc.
(NASDAQ上場企業。2008年に買収)
■サービス開始:2006年
■特長:
同サイトのコミュニティ内には、「Treatment」というコーナーがあり、
治療法、商品、サービスなどに対して「効果があった」と評価する割合を
数値表示し、支持の高い方法がわかるようになっています。
ダイエットの例)ダイエットコミュニティ内でのTreatment評価
http://www.dailystrength.org/treatments/support-groups/Diets-Weight-Maintenance
ダイエットの各種方法をダイエット体験者が評価。評価の高い(支持の高い)
ダイエット法がわかります。例えば、代表的なダイエットセンターである
「ウェイトウォッチャーズ」は、2320名の評価者のうち効いたと答えた人
が85%となっています。(2009年9月14日時点)
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国内の事例
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国内でも、体験者の情報を収集分析して提供するウェブサービスが
見られます。
■LifePalette
http://lifepalette.jp/
・運営企業:株式会社メディエイド
・サービス開始:2008年
・概要:脳腫瘍、胃がんなどの体験記(闘病記)がある体験記サイト
・特長:自分の病気のステージに合わせて具体的な解決策を探せるよう
表記に工夫がある。
例)大腸がんの病気体験記
http://lifepalette.jp/ill/8
診断前、診断後、治療・入院時、退院後などで分類
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スポルツの視点
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■上記で紹介した事例含め日米の10事例を調査したところ、
提供価値は下記にまとめることができます。
1)性別、ライフスタイルなどで、自分に似た人
(体験者、成功者)の「具体的対策」までがわかり、自分自身の
対策を考える上で参考になる
2)体験者の実行内容を定量分析してあり、克服確率
の高い方法、組み合わせがわかる
3)実行内容を時系列的に整理し、体験者が今の自分と
同じ状況のときに何をしたかわかる
4)蓄積された体験者の記録ストーリーが、自分の
ソリューションシナリオになる
5)同じ患者同志で、積極的に励ましあえる
6)人の役に立っていると感じやすい
(自分の入力したデータが基礎研究に生かされるなど、工夫あり)
特に、2)4)6)の価値は米国が進んでおり、
日本でも今後注目したいものです。
■また、健康課題としては、難病、がん、うつ病、不眠症、アレルギー、
認知症、ダイエットなど幅広いものとなっています。
■今回は、体験者情報の価値化を進める事例をいくつか紹介しました。
今までにない新しい価値を提案しており、今後も引き続き注目していきます。
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