2010年の健康ビジネストレンド予測(中間ウォッチ編)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2010年の健康ビジネストレンド予測(中間ウォッチ編)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
今回は、2009年12月に特集した、
「2010年の健康ビジネストレンド予測」内の各キーワードが、
その後どのような動きを見せているかをまとめた「中間ウォッチ編」です。
[1]健康食品
[2]フィットネス
[3]健康サービス
[4]健康機器
[5]メディカル
[6]健康食生活
の各分野ごとにトレンドキーワードのその後と、新たなトレンドキーワードを
スポルツの専門家パートナーへ取材を行いまとめています。
以下それぞれを紹介します。
※この特別レポートはPDFダウンロードサービス中です
http://www.sportz.co.jp/project_note/contents/71.html
───────────────────────────────────
[1]健康食品分野の2010年トレンド(中間ウォッチ)
───────────────────────────────────
健康食品業界のトレンドは、株式会社グローバルニュートリショングループ
代表取締役 武田 猛氏にお聞きした。
【トレンドキーワードのその後】
■生活習慣病
生活習慣病は、「血糖値」「血圧」など具体的な健康改善と、「肥満」「体脂
肪」などの痩身、美容、食事・運動などライフスタイル改善がテーマとなる。
商品のトレンドとしては、ゼロ訴求商品(カロリー、糖類、脂肪、コレステ
ロールフリー飲料)、トクホ製品、天然素材を使用した食品、エクササイズに
付随して摂取するスポーツドリンクなどが展開されている。ターゲットニーズ
は、多忙な生活の中いろいろな健康行動ができず、その代わりに食べることで
(楽に)健康不安を解消したいということがある。
■見た目
見た目は、美肌、体型の維持、痩身がテーマとなる。商品のトレンドとして
は、コラーゲンドリンク、サプリメント+化粧品(カラダの内から、外から)
が展開されている。ターゲットニーズは、実年齢より若く見え、自信を持って
生きていきたいということがある。
■エイジング
エイジングは、主にリタイアドシニア(65歳以上)の人の体力の衰え、脳の
健康、目の健康、関節の健康がテーマとなる。商品のトレンドとしては、DHA、
アラキドン酸(脳)、ビルベリー、ルテイン(目)、グルコサミン(関節)
など具体的な健康改善のための商品が展開されている。ターゲットニーズは、
加齢にともないこれらのエイジングテーマを自覚し、健康に対する切実な思い
がつのることにある。
■ストレス
ストレスは、疲労回復(栄養補給)、ストレス解消、睡眠改善、眼精疲労が
テーマとなる。商品のトレンドとしては、抗疲労ドリンク(エナジードリンク
など)、栄養補給ドリンク、睡眠サポートサプリメント、リラックス茶などが
展開されている。ターゲットニーズは、社会環境(不況、職場・家庭での人間
関係などのストレス)に起因する肉体的・精神的な疲れを感じる生活者の数は
年代を問わず多いことにある。
■トクホ制度の行方
消費者庁では2010年4月に、食品表示に関する一時的な法体系を検討する
ワーキンググループを設置するなど、健康食品のわかり易い表示の検討が開始
され、その動向が注目される。
【新たなトレンドキーワード】
■情緒的価値による差別化
数多くの企業から健康食品が出され、商品の機能・価格以外の差別化が求めら
れている。情緒的価値は、商品の背景にある自社のストーリーを語り共感を得
てもらうことだけでなく、生活者に新しい気づきを与える形で商品の必要性を
語ること。そのためには自社の情報資産のたな卸しと、自社の強みを浮き彫り
にする情報開発技術が必要になる。
■ビジネスモデルによる差別化
ドラッグストアとコンビニの提携やドラッグストア業界での相次ぐ合併など
により、小売業が力をもち、最近では積極的に健康食品のPB開発を進めて
いる。このような環境の中、メーカーとして今までの流通形態にとらわれない
新しいビジネスモデルが求められる。オフィスへの販売、牛乳店(宅配ルー
ト)販売、健康食品専門の自動販売機の設置など新しい流通スタイルの開発が
必要になる。
※株式会社グローバルニュートリショングループ
http://global-nutrition.co.jp/
───────────────────────────────────
[2]フィットネス分野の2010年トレンド(中間ウォッチ)
───────────────────────────────────
フィットネス業界のトレンドは、業界誌「フィットネスビジネス」を発刊し、
海外情報にも詳しい株式会社クラブビジネスジャパン代表取締役 編集発行人
古屋 武範氏にお聞きした。
【トレンドキーワードのその後】
■低価格の新業態「キークラブ」に注目
キークラブは小型施設で会員がキーを持ち、セルフで利用する新業態。
セキュリティへの配慮がなされ、月20-40ドルで気軽に使える
(「Anytimefitness」がその代表で世界展開が2010年に入り急速に進む)。
日本での展開に際しては、セルフ機能だけでなくトレーナーを配置して、
モチベーションを上げ成果を提供するなど、価値を高める必要があろう。
■既存店のリノベーション・移転新設
既存会員に対して常に価値を提供し継続利用してもらうためには、定期的に
リノベーションすることがポイントになる。時代と環境に適応したビジネス
モデルを見据えて、サービスアイテム(子供向けダンス教室、女性向けホット
ヨガなど)の拡充、効率化の推進(エコシステムの導入)、美観の向上、
キャパシティの適正化を図ることなどが必要である。
■購買行動・ライフスタイルに応じた新会員種別・利用システムの投入
従来型の料金システムから離れて、生活者のライフスタイルをよく理解して
再発想することがまず重要。ある特定のアイテムだけ利用できるアイテム限定
会員(ホットヨガ会員)、頻度限定会員(月4回利用できる)、時間限定会員
(1日1回90分間だけ利用できる)などが導入されてきている。今後は健康意識
は高いが、フィットネスを行うまでには気持ちが至っていないユーザー層に
向けた新会員種別・利用システムを検討すべき。
■会員紹介システムの確立
既存顧客からの紹介率を高めるしくみづくりを確立すべき。紹介してもらう
タイミングとして、満足度が高い時期が有効であるため、入会初期が重要に
なる。紹介システムの確立により、会員獲得コストを削減することもできる。
■初期定着システム
入会後、数ヶ月間の集中的な初期定着プログラムを実施すれば、退会率を
下げることに大きく貢献することがわかってきた。ビギナー向けのカウンセ
リング、個別プログラムの提示がポイント。(カウンセリングでは体組成の
測定だけでなく、動きやバランスの質がわかるファンクショナル・ムーブメン
ト・スクリーンといった方法も採用され始めている)
■スポーツのフィットネス化
「運動のための運動」から「人生を楽しむ手段としての運動」に変えていく
工夫が必要に。さらに、クラブ以外の手段(家での過ごし方など)も含めた
ライフスタイル提案が重要になる。また、公共施設と民間のフィットネスクラ
ブの棲み分けや連携も重要になる。
■パーソナルトレーニング
少人数(2-3名)で参加するスモールグループトレーニングの充実。顧客は参加
料がリーズナブルに。スタッフにとっては、単なるサービス提供だけでなく、
顧客をよく知るきっかけにもなる。
【新たなトレンドキーワード】
■IT、エコ
ITを活用した施策として、ネット入会の促進、会員同士のSNS、ツイッ
ターやFacebookの活用が盛んになる。その際は、体験者の感想をよりオープン
にうまく活用することがポイントになる。また、節電型のトレッドミルを使用
したり、プールの大きさを縮小するなど、エコ(環境配慮)に取り組む企業が
増える。
※株式会社クラブビジネスジャパン
http://www.fitnessclub.jp/business/index.html
───────────────────────────────────
[3]健康サービス分野の2010年トレンド(中間ウォッチ)
───────────────────────────────────
健康サービストレンドは、株式会社スポルツ ヘルスビズウォッチ編集部が
まとめた。
【トレンドキーワードのその後】
■ダイエットビジネスの変化
・ダイエットからボディーデザインへ
単なるウェイトロスのプロセスを提供するだけのビジネスから、コンディショ
ニングを含む自分のカラダをポジティブに管理していく一歩進んだボディー
デザインサービスが成立し始める。
・特定保健指導技術の向上
国のメタボ健診・保健指導において、効果を出せるプログラムが育ってきて
いる。プログラム後のフォローに特長があったり、目標行動の選択時に工夫を
行うなどしている。また、継続ドライバ(P8)を有効に活用している場合が
多い。
・チェック&ソリューション
ダイエット知識系のコンテンツは無料のものを含めネット上に数多くみら
れる。情報だけでなく、今後は自身の状態をカラダ、ココロ含めてチェック
し、その後のアクションに結びつくより実践的なコンテンツが求められる。
【新たなトレンドキーワード】
■健康メディアイノベーションチャンス到来
・ターゲットへの新たな切り口ソリューション
健康のために行動するのではなく、生活における「必然」に着目したサービス
として、ケータイを活用した女性向けサービスサイト(ルナルナなど)が急成
長してきた。日常のちょっとしたテーマがサービスに生まれ変わるケースで
ある。
・コンテンツパワーを活かせるメディアの登場
国内でも電子書籍の環境が整備されてきた。インタラクティブなコンテンツ
作りができるので、運動をしたり調理をする際、文字情報だけでなく動画を
見たり記録をつけたりでき、知識として読むだけから、体感型コンテンツの
可能性が広がる。
■サークルビジネス
・スポーツアクティビティサークルビジネス
かつて大学ではテニスサークルが大流行した時代があった。同好の仲間を
集め、練習場所を調達し、みんなで工夫しながらスポーツを楽しんでいた活動
体だ。最近サークルスタイルの活動がアウトドアを中心に盛り上がっている。
自然がフィールドになるアウトドアフィットネス、自由にルート設定できる
ランニングが目玉となりビジネスとしても成立している。参加満足感の高い
活動ノウハウを持ったサークルは成長する。
※株式会社スポルツ
http://www.sportz.co.jp/
───────────────────────────────────
[4]健康機器分野の2010年トレンド(中間ウォッチ)
───────────────────────────────────
健康機器のトレンドは、株式会社スポルツ ヘルスビズウォッチ編集部が
まとめた。
【トレンドキーワードのその後】
■ケータイのヘルスケアライフウェア化の進化
ケータイ端末を使ったモバイルヘルスケアの市場が本格化。ケータイキャリア
ではauの「Smart Sports」が先行してサービス提供をしていたが、NTTドコモ
が「ibodymo」サービスをリリースしケータイの端末機能と連動したサービス
が本格化してきた。また見逃せないのがスマートフォンの拡大だ。スマート
フォンではケータイとは異なった「使い方」「世界観」が存在している。
ヘルスケアライフウェアの進化では、ケータイとスマートフォンそれぞれの
アプローチを十分に考慮した展開が必要になると思われる。
【新たなトレンドキーワード】
■睡眠計の登場
これまで「運動」と「食事」に関してはモニタリング(計測)が行われてきた
が、ようやく「休養」の中でも「睡眠」に着目した計測機器やスマートフォン
のアプリを活用したサービスが登場してきている。自身では把握できない
「睡眠」の状態を客観的にモニタリングして欲しいニーズは存在する。
しかし、計測した後の改善・提案が今後のカギになると思われる。
■新しい競争軸にフィットするイノベーション
健康機器をグローバルでみると、低価格の機器が数多く出回りはじめている。
日本メーカーは、価格競争でなく新しい価値を創造し、世界市場で戦うべきで
ある。価格、機能(測定項目の多さ)を競争軸としない、新しいイノベーショ
ンが期待されている。
※株式会社スポルツ
http://www.sportz.co.jp/
───────────────────────────────────
[5]メディカル分野の2010年トレンド(中間ウォッチ)
───────────────────────────────────
メディカル業界のトレンドは、会津大学教授 医師 医学博士
株式会社レーグル代表取締役 奥 真也氏にお聞きした。
【トレンドキーワードのその後】
■反メタボ
小太りの方がかえって寿命が長いという医学論文もあり、過剰な痩せよりも
適度な体型のゆとりは、好ましい面も多い。反メタボトレンドは予想通り
始まっている。医学系の学会などで少しずつ反証ののろしがあがっている。
もちろん、脱メタボの重要性が減少する訳ではなく、メタボ健診のスタート
以来のデータ蓄積効果が出始めた、と捉えておくことは重要だろう。鮮やかな
反メタボグッズの出現に期待感が高まる。
■脳科学ふたたび
脳科学という括りでいうと、認知症はもちろんとして、高齢化社会に必要な
技術の具体化が進んでいる。発話や書字が困難な重度の運動障害者でも脳活動
により意思を伝達できる「ブレイン-マシン インターフェース(BMI)」(産
業総合研究所)はその一例。現在は研究ベースなので普及には多少の時間が
かかるが、ニーズの強さと合わせ、意外にそのスピードは速い。BMIはメタボ
だけでなく、脳科学でも注目の的だ。
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2010/pr20100329/pr20100329.html
■メンタルヘルス
「メタボ健診からメンタル健診へ」は十分予想された道筋でもあるが、具体的
に動いてくると安心感がある。五月末には厚生労働省で「第1回職場における
メンタルヘルス対策検討会」も開催された。ただ重要な分、重厚ではあるもの
の、メンタルヘルスという言葉はどうもコピーセンスが乏しく、新しい感性の
新ネーミングで普及に拍車がかかることが望まれる。
【新たなトレンドキーワード】
■地域医療再生基金
都道府県ごとの医療課題の解決のために用意された注目の基金。当初100億円×
10地域、25億円×84地域とするとされたが、仕切り直しがあり25億円×94地域
に再編成された。各県2地域ずつの勘定で、平成25年度までの5ヶ年にわたり
行われる。厚生労働省のサイトには47の計画が並んでいて、居住地の医療を
じっくり考えるのもよし、ビジネス視点で眺めてみるのもよしと思われる。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryou/saiseikikin/index.html
■捨てる技術
情報技術満載、情報も満載の世の中である。ツイッターの幾憶のつぶやきも、
健康診断のデータも、個人の携帯に潜むデータもあり、データだらけがゆえ
に、真の情報の有無がわからなくなってきている。そこで捨てる技術、拾う
ワザが大事になる。データマイニングという言葉は市民権を得つつあるが、
まだその方向性は見えていない。下記、foodlogに注目するのも、その技術や
ビジネスの趨勢に有用な視点を与えてくれると思うからである。
http://www.foodlog.jp/
※株式会社レーグル
http://www.regle.co.jp/
───────────────────────────────────
[6]健康食生活分野の2010年トレンド(中間ウォッチ)
───────────────────────────────────
健康食生活のトレンドは、有限会社クオリティライフサービス
代表取締役 今川 博喜氏にお聞きした。
【トレンドキーワードのその後】
■食事力
「健康的な食生活」 「からだにいい食品」などの情報は氾濫しているが、
個人のライフスタイルは様々であり、からだの状態も様々である。したがって
今後は、自分自身のライフスタイルや健康状態に合わせて食べる力が必要と
なる。食事力の向上につながるアプローチが、健康食生活につながる。
食事力は、「時間力×選択力×調整力」で構成される。
・時間力=ライフスタイルに合わせた食事計画、食事時間を考慮した食べ方
・選択力=コンディション、時間、購入シーンに合わせた食品選択
・調整力=コンディション、シーンに合わせた短期、長期の調整力
■食体感
食事でからだが変ることを体感することで、食生活改善の意識、意欲を高める
ことができる。特に食事に無関心な人に有効なサービス(行動変容ステージを
上げる)となる。食体感を感じやすいプログラム、商品、情報、サービスの
提供に可能性がある。(特定保健指導、動機付け・積極的支援の開始前、又は
並行して行うことで、プログラムの継続率や効果上昇が期待できる)
食体感力を上げるためには、食事をどう変えたら体のどこがどう変わるのかを
示し、その効果指標(例:体重・便通・肌の調子)を示すことが有効である。
この場面で健康モニタリング機器を連動し、数値変化が見えるようにすると
更に食体感力が向上しやすい。
■「時間生理学」に基づいた食事計画
カロリーコントロールだけの減量から一歩先を行く必要がある。なぜなら、
同じものを食べても何時に食べたかで、体温の上がり方、血糖の上がり方、
体脂肪への変換度合いが異なるから。まずは、人間の体内時計に合わせた食べ
方の修正が必要。それだけで減量や血糖のコントロール、その他の体調が改善
する場合が多い。
【新たなトレンドキーワード】
■買い物力
食事力は、買い物力とも言える。自給自足の生活をしていない限り、殆どの人
は食べものを購入している。一般的な栄養指導は食べるシーンへアプローチ
するが、素材を買うシーンからアプローチすれば、より簡単なアドバイスで
済む。買い物の時点である程度バランスがとれていれば、その先に難しいアド
バイスは必要なく、調理段階での注意点は、調理油の使い方程度で済む。特に
家族の健康管理という観点から、主婦層へのアプローチが有効。
■人間栄養
何のために食生活を整えるのか?ただ漠然と「健康のため」というのでは、
健康に近づけないかもしれない。健康になるための食事(いわゆるバランスの
よい食事)は、人によって違うからである。何となく「からだによさそう」と
いう食品選択はやめて、自分の体調に合わせて食事をコントロールする必要が
ある。体調が、どの栄養素が過不足しているかを示す。例えば便秘気味だから
食物繊維の多いものを選ぶ、というように自分の体調から過不足の栄養素を
考え、そこを調整する食事を心がけるとよい。
※有限会社クオリティライフサービス
http://www.qls.co.jp/
───────────────────────────────────
スポルツの視点
───────────────────────────────────
■以上6分野におけるトレンドキーワード、いかがでしたでしょうか。
商品・サービスの企画発想時のトリガー(刺激)素材として、是非活用して
ください。
■スポルツではこれらのキーワードを軸に、本メールマガジンでもその後の
動向を追っていきます。
※本号の内容が一覧でみることができるPDF版を用意しています。
貴社内で共有していただき、ご活用ください。
http://www.sportz.co.jp/project_note/contents/71.html
───────────────────────────────────
本号と関連するバックナンバー
───────────────────────────────────
・2010年健康業界トレンド予測(2009年12月18日号)
http://www.healthbizwatch.com/hbw/global/contents/255.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2010年の健康ビジネストレンド予測(中間ウォッチ編)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
今回は、2009年12月に特集した、
「2010年の健康ビジネストレンド予測」内の各キーワードが、
その後どのような動きを見せているかをまとめた「中間ウォッチ編」です。
[1]健康食品
[2]フィットネス
[3]健康サービス
[4]健康機器
[5]メディカル
[6]健康食生活
の各分野ごとにトレンドキーワードのその後と、新たなトレンドキーワードを
スポルツの専門家パートナーへ取材を行いまとめています。
以下それぞれを紹介します。
※この特別レポートはPDFダウンロードサービス中です
http://www.sportz.co.jp/project_note/contents/71.html
───────────────────────────────────
[1]健康食品分野の2010年トレンド(中間ウォッチ)
───────────────────────────────────
健康食品業界のトレンドは、株式会社グローバルニュートリショングループ
代表取締役 武田 猛氏にお聞きした。
【トレンドキーワードのその後】
■生活習慣病
生活習慣病は、「血糖値」「血圧」など具体的な健康改善と、「肥満」「体脂
肪」などの痩身、美容、食事・運動などライフスタイル改善がテーマとなる。
商品のトレンドとしては、ゼロ訴求商品(カロリー、糖類、脂肪、コレステ
ロールフリー飲料)、トクホ製品、天然素材を使用した食品、エクササイズに
付随して摂取するスポーツドリンクなどが展開されている。ターゲットニーズ
は、多忙な生活の中いろいろな健康行動ができず、その代わりに食べることで
(楽に)健康不安を解消したいということがある。
■見た目
見た目は、美肌、体型の維持、痩身がテーマとなる。商品のトレンドとして
は、コラーゲンドリンク、サプリメント+化粧品(カラダの内から、外から)
が展開されている。ターゲットニーズは、実年齢より若く見え、自信を持って
生きていきたいということがある。
■エイジング
エイジングは、主にリタイアドシニア(65歳以上)の人の体力の衰え、脳の
健康、目の健康、関節の健康がテーマとなる。商品のトレンドとしては、DHA、
アラキドン酸(脳)、ビルベリー、ルテイン(目)、グルコサミン(関節)
など具体的な健康改善のための商品が展開されている。ターゲットニーズは、
加齢にともないこれらのエイジングテーマを自覚し、健康に対する切実な思い
がつのることにある。
■ストレス
ストレスは、疲労回復(栄養補給)、ストレス解消、睡眠改善、眼精疲労が
テーマとなる。商品のトレンドとしては、抗疲労ドリンク(エナジードリンク
など)、栄養補給ドリンク、睡眠サポートサプリメント、リラックス茶などが
展開されている。ターゲットニーズは、社会環境(不況、職場・家庭での人間
関係などのストレス)に起因する肉体的・精神的な疲れを感じる生活者の数は
年代を問わず多いことにある。
■トクホ制度の行方
消費者庁では2010年4月に、食品表示に関する一時的な法体系を検討する
ワーキンググループを設置するなど、健康食品のわかり易い表示の検討が開始
され、その動向が注目される。
【新たなトレンドキーワード】
■情緒的価値による差別化
数多くの企業から健康食品が出され、商品の機能・価格以外の差別化が求めら
れている。情緒的価値は、商品の背景にある自社のストーリーを語り共感を得
てもらうことだけでなく、生活者に新しい気づきを与える形で商品の必要性を
語ること。そのためには自社の情報資産のたな卸しと、自社の強みを浮き彫り
にする情報開発技術が必要になる。
■ビジネスモデルによる差別化
ドラッグストアとコンビニの提携やドラッグストア業界での相次ぐ合併など
により、小売業が力をもち、最近では積極的に健康食品のPB開発を進めて
いる。このような環境の中、メーカーとして今までの流通形態にとらわれない
新しいビジネスモデルが求められる。オフィスへの販売、牛乳店(宅配ルー
ト)販売、健康食品専門の自動販売機の設置など新しい流通スタイルの開発が
必要になる。
※株式会社グローバルニュートリショングループ
http://global-nutrition.co.jp/
───────────────────────────────────
[2]フィットネス分野の2010年トレンド(中間ウォッチ)
───────────────────────────────────
フィットネス業界のトレンドは、業界誌「フィットネスビジネス」を発刊し、
海外情報にも詳しい株式会社クラブビジネスジャパン代表取締役 編集発行人
古屋 武範氏にお聞きした。
【トレンドキーワードのその後】
■低価格の新業態「キークラブ」に注目
キークラブは小型施設で会員がキーを持ち、セルフで利用する新業態。
セキュリティへの配慮がなされ、月20-40ドルで気軽に使える
(「Anytimefitness」がその代表で世界展開が2010年に入り急速に進む)。
日本での展開に際しては、セルフ機能だけでなくトレーナーを配置して、
モチベーションを上げ成果を提供するなど、価値を高める必要があろう。
■既存店のリノベーション・移転新設
既存会員に対して常に価値を提供し継続利用してもらうためには、定期的に
リノベーションすることがポイントになる。時代と環境に適応したビジネス
モデルを見据えて、サービスアイテム(子供向けダンス教室、女性向けホット
ヨガなど)の拡充、効率化の推進(エコシステムの導入)、美観の向上、
キャパシティの適正化を図ることなどが必要である。
■購買行動・ライフスタイルに応じた新会員種別・利用システムの投入
従来型の料金システムから離れて、生活者のライフスタイルをよく理解して
再発想することがまず重要。ある特定のアイテムだけ利用できるアイテム限定
会員(ホットヨガ会員)、頻度限定会員(月4回利用できる)、時間限定会員
(1日1回90分間だけ利用できる)などが導入されてきている。今後は健康意識
は高いが、フィットネスを行うまでには気持ちが至っていないユーザー層に
向けた新会員種別・利用システムを検討すべき。
■会員紹介システムの確立
既存顧客からの紹介率を高めるしくみづくりを確立すべき。紹介してもらう
タイミングとして、満足度が高い時期が有効であるため、入会初期が重要に
なる。紹介システムの確立により、会員獲得コストを削減することもできる。
■初期定着システム
入会後、数ヶ月間の集中的な初期定着プログラムを実施すれば、退会率を
下げることに大きく貢献することがわかってきた。ビギナー向けのカウンセ
リング、個別プログラムの提示がポイント。(カウンセリングでは体組成の
測定だけでなく、動きやバランスの質がわかるファンクショナル・ムーブメン
ト・スクリーンといった方法も採用され始めている)
■スポーツのフィットネス化
「運動のための運動」から「人生を楽しむ手段としての運動」に変えていく
工夫が必要に。さらに、クラブ以外の手段(家での過ごし方など)も含めた
ライフスタイル提案が重要になる。また、公共施設と民間のフィットネスクラ
ブの棲み分けや連携も重要になる。
■パーソナルトレーニング
少人数(2-3名)で参加するスモールグループトレーニングの充実。顧客は参加
料がリーズナブルに。スタッフにとっては、単なるサービス提供だけでなく、
顧客をよく知るきっかけにもなる。
【新たなトレンドキーワード】
■IT、エコ
ITを活用した施策として、ネット入会の促進、会員同士のSNS、ツイッ
ターやFacebookの活用が盛んになる。その際は、体験者の感想をよりオープン
にうまく活用することがポイントになる。また、節電型のトレッドミルを使用
したり、プールの大きさを縮小するなど、エコ(環境配慮)に取り組む企業が
増える。
※株式会社クラブビジネスジャパン
http://www.fitnessclub.jp/business/index.html
───────────────────────────────────
[3]健康サービス分野の2010年トレンド(中間ウォッチ)
───────────────────────────────────
健康サービストレンドは、株式会社スポルツ ヘルスビズウォッチ編集部が
まとめた。
【トレンドキーワードのその後】
■ダイエットビジネスの変化
・ダイエットからボディーデザインへ
単なるウェイトロスのプロセスを提供するだけのビジネスから、コンディショ
ニングを含む自分のカラダをポジティブに管理していく一歩進んだボディー
デザインサービスが成立し始める。
・特定保健指導技術の向上
国のメタボ健診・保健指導において、効果を出せるプログラムが育ってきて
いる。プログラム後のフォローに特長があったり、目標行動の選択時に工夫を
行うなどしている。また、継続ドライバ(P8)を有効に活用している場合が
多い。
・チェック&ソリューション
ダイエット知識系のコンテンツは無料のものを含めネット上に数多くみら
れる。情報だけでなく、今後は自身の状態をカラダ、ココロ含めてチェック
し、その後のアクションに結びつくより実践的なコンテンツが求められる。
【新たなトレンドキーワード】
■健康メディアイノベーションチャンス到来
・ターゲットへの新たな切り口ソリューション
健康のために行動するのではなく、生活における「必然」に着目したサービス
として、ケータイを活用した女性向けサービスサイト(ルナルナなど)が急成
長してきた。日常のちょっとしたテーマがサービスに生まれ変わるケースで
ある。
・コンテンツパワーを活かせるメディアの登場
国内でも電子書籍の環境が整備されてきた。インタラクティブなコンテンツ
作りができるので、運動をしたり調理をする際、文字情報だけでなく動画を
見たり記録をつけたりでき、知識として読むだけから、体感型コンテンツの
可能性が広がる。
■サークルビジネス
・スポーツアクティビティサークルビジネス
かつて大学ではテニスサークルが大流行した時代があった。同好の仲間を
集め、練習場所を調達し、みんなで工夫しながらスポーツを楽しんでいた活動
体だ。最近サークルスタイルの活動がアウトドアを中心に盛り上がっている。
自然がフィールドになるアウトドアフィットネス、自由にルート設定できる
ランニングが目玉となりビジネスとしても成立している。参加満足感の高い
活動ノウハウを持ったサークルは成長する。
※株式会社スポルツ
http://www.sportz.co.jp/
───────────────────────────────────
[4]健康機器分野の2010年トレンド(中間ウォッチ)
───────────────────────────────────
健康機器のトレンドは、株式会社スポルツ ヘルスビズウォッチ編集部が
まとめた。
【トレンドキーワードのその後】
■ケータイのヘルスケアライフウェア化の進化
ケータイ端末を使ったモバイルヘルスケアの市場が本格化。ケータイキャリア
ではauの「Smart Sports」が先行してサービス提供をしていたが、NTTドコモ
が「ibodymo」サービスをリリースしケータイの端末機能と連動したサービス
が本格化してきた。また見逃せないのがスマートフォンの拡大だ。スマート
フォンではケータイとは異なった「使い方」「世界観」が存在している。
ヘルスケアライフウェアの進化では、ケータイとスマートフォンそれぞれの
アプローチを十分に考慮した展開が必要になると思われる。
【新たなトレンドキーワード】
■睡眠計の登場
これまで「運動」と「食事」に関してはモニタリング(計測)が行われてきた
が、ようやく「休養」の中でも「睡眠」に着目した計測機器やスマートフォン
のアプリを活用したサービスが登場してきている。自身では把握できない
「睡眠」の状態を客観的にモニタリングして欲しいニーズは存在する。
しかし、計測した後の改善・提案が今後のカギになると思われる。
■新しい競争軸にフィットするイノベーション
健康機器をグローバルでみると、低価格の機器が数多く出回りはじめている。
日本メーカーは、価格競争でなく新しい価値を創造し、世界市場で戦うべきで
ある。価格、機能(測定項目の多さ)を競争軸としない、新しいイノベーショ
ンが期待されている。
※株式会社スポルツ
http://www.sportz.co.jp/
───────────────────────────────────
[5]メディカル分野の2010年トレンド(中間ウォッチ)
───────────────────────────────────
メディカル業界のトレンドは、会津大学教授 医師 医学博士
株式会社レーグル代表取締役 奥 真也氏にお聞きした。
【トレンドキーワードのその後】
■反メタボ
小太りの方がかえって寿命が長いという医学論文もあり、過剰な痩せよりも
適度な体型のゆとりは、好ましい面も多い。反メタボトレンドは予想通り
始まっている。医学系の学会などで少しずつ反証ののろしがあがっている。
もちろん、脱メタボの重要性が減少する訳ではなく、メタボ健診のスタート
以来のデータ蓄積効果が出始めた、と捉えておくことは重要だろう。鮮やかな
反メタボグッズの出現に期待感が高まる。
■脳科学ふたたび
脳科学という括りでいうと、認知症はもちろんとして、高齢化社会に必要な
技術の具体化が進んでいる。発話や書字が困難な重度の運動障害者でも脳活動
により意思を伝達できる「ブレイン-マシン インターフェース(BMI)」(産
業総合研究所)はその一例。現在は研究ベースなので普及には多少の時間が
かかるが、ニーズの強さと合わせ、意外にそのスピードは速い。BMIはメタボ
だけでなく、脳科学でも注目の的だ。
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2010/pr20100329/pr20100329.html
■メンタルヘルス
「メタボ健診からメンタル健診へ」は十分予想された道筋でもあるが、具体的
に動いてくると安心感がある。五月末には厚生労働省で「第1回職場における
メンタルヘルス対策検討会」も開催された。ただ重要な分、重厚ではあるもの
の、メンタルヘルスという言葉はどうもコピーセンスが乏しく、新しい感性の
新ネーミングで普及に拍車がかかることが望まれる。
【新たなトレンドキーワード】
■地域医療再生基金
都道府県ごとの医療課題の解決のために用意された注目の基金。当初100億円×
10地域、25億円×84地域とするとされたが、仕切り直しがあり25億円×94地域
に再編成された。各県2地域ずつの勘定で、平成25年度までの5ヶ年にわたり
行われる。厚生労働省のサイトには47の計画が並んでいて、居住地の医療を
じっくり考えるのもよし、ビジネス視点で眺めてみるのもよしと思われる。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryou/saiseikikin/index.html
■捨てる技術
情報技術満載、情報も満載の世の中である。ツイッターの幾憶のつぶやきも、
健康診断のデータも、個人の携帯に潜むデータもあり、データだらけがゆえ
に、真の情報の有無がわからなくなってきている。そこで捨てる技術、拾う
ワザが大事になる。データマイニングという言葉は市民権を得つつあるが、
まだその方向性は見えていない。下記、foodlogに注目するのも、その技術や
ビジネスの趨勢に有用な視点を与えてくれると思うからである。
http://www.foodlog.jp/
※株式会社レーグル
http://www.regle.co.jp/
───────────────────────────────────
[6]健康食生活分野の2010年トレンド(中間ウォッチ)
───────────────────────────────────
健康食生活のトレンドは、有限会社クオリティライフサービス
代表取締役 今川 博喜氏にお聞きした。
【トレンドキーワードのその後】
■食事力
「健康的な食生活」 「からだにいい食品」などの情報は氾濫しているが、
個人のライフスタイルは様々であり、からだの状態も様々である。したがって
今後は、自分自身のライフスタイルや健康状態に合わせて食べる力が必要と
なる。食事力の向上につながるアプローチが、健康食生活につながる。
食事力は、「時間力×選択力×調整力」で構成される。
・時間力=ライフスタイルに合わせた食事計画、食事時間を考慮した食べ方
・選択力=コンディション、時間、購入シーンに合わせた食品選択
・調整力=コンディション、シーンに合わせた短期、長期の調整力
■食体感
食事でからだが変ることを体感することで、食生活改善の意識、意欲を高める
ことができる。特に食事に無関心な人に有効なサービス(行動変容ステージを
上げる)となる。食体感を感じやすいプログラム、商品、情報、サービスの
提供に可能性がある。(特定保健指導、動機付け・積極的支援の開始前、又は
並行して行うことで、プログラムの継続率や効果上昇が期待できる)
食体感力を上げるためには、食事をどう変えたら体のどこがどう変わるのかを
示し、その効果指標(例:体重・便通・肌の調子)を示すことが有効である。
この場面で健康モニタリング機器を連動し、数値変化が見えるようにすると
更に食体感力が向上しやすい。
■「時間生理学」に基づいた食事計画
カロリーコントロールだけの減量から一歩先を行く必要がある。なぜなら、
同じものを食べても何時に食べたかで、体温の上がり方、血糖の上がり方、
体脂肪への変換度合いが異なるから。まずは、人間の体内時計に合わせた食べ
方の修正が必要。それだけで減量や血糖のコントロール、その他の体調が改善
する場合が多い。
【新たなトレンドキーワード】
■買い物力
食事力は、買い物力とも言える。自給自足の生活をしていない限り、殆どの人
は食べものを購入している。一般的な栄養指導は食べるシーンへアプローチ
するが、素材を買うシーンからアプローチすれば、より簡単なアドバイスで
済む。買い物の時点である程度バランスがとれていれば、その先に難しいアド
バイスは必要なく、調理段階での注意点は、調理油の使い方程度で済む。特に
家族の健康管理という観点から、主婦層へのアプローチが有効。
■人間栄養
何のために食生活を整えるのか?ただ漠然と「健康のため」というのでは、
健康に近づけないかもしれない。健康になるための食事(いわゆるバランスの
よい食事)は、人によって違うからである。何となく「からだによさそう」と
いう食品選択はやめて、自分の体調に合わせて食事をコントロールする必要が
ある。体調が、どの栄養素が過不足しているかを示す。例えば便秘気味だから
食物繊維の多いものを選ぶ、というように自分の体調から過不足の栄養素を
考え、そこを調整する食事を心がけるとよい。
※有限会社クオリティライフサービス
http://www.qls.co.jp/
───────────────────────────────────
スポルツの視点
───────────────────────────────────
■以上6分野におけるトレンドキーワード、いかがでしたでしょうか。
商品・サービスの企画発想時のトリガー(刺激)素材として、是非活用して
ください。
■スポルツではこれらのキーワードを軸に、本メールマガジンでもその後の
動向を追っていきます。
※本号の内容が一覧でみることができるPDF版を用意しています。
貴社内で共有していただき、ご活用ください。
http://www.sportz.co.jp/project_note/contents/71.html
───────────────────────────────────
本号と関連するバックナンバー
───────────────────────────────────
・2010年健康業界トレンド予測(2009年12月18日号)
http://www.healthbizwatch.com/hbw/global/contents/255.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━