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 【海外ユニーク事例編】

 Facebookを利用し、健康行動の輪を広げる「MeYou Health」


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日本と米国では、医療保険制度の違いもあり、
健康予防を意識し、実践する人は米国の方が多いといえそうです。

つまり、米国では健康行動を実践する人が多い分、中断したりあきらめたり
しながらも、自分にピッタリな健康行動を探している人が多いといえます。

そのため、こうした人をターゲットとしたサービスが充実しています。

今回紹介する「MeYou Health」というサイトは、自分にピッタリな健康行動を
探している人をターゲットに


●毎日実践できる小さな心がけ(健康行動例)の提案
●Facebookを利用し、同じ行動を実行する仲間から具体的なコツを知る
●成果の実感を促す「ウェルビーイングトラッカー」の提案


を特長とするウェブサービスです。


健康行動を幅広く提示し実行レベルを上げることを目的としているので、
健康分野のウェブサービスや、アドバイスサービスを提供している企業
にとっては特に参考になる事例です。


※フェイスブック
世界最大のSNS(ソーシャルネットワークサービス)。世界で5億人を
超えるユーザーがおり、米国では約1.5億人のユーザーがいる(2010年
12月末)。日本では2008年にサービスが開始され、現在約180万人の
ユーザーがいる。
http://ja.wikipedia.org/wiki/Facebook


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ビジネス概要
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■企業名:MeYou Health
(大手ディジーズマネジメント会社である「ヘルスウエイズ社」の子会社)
http://www.meyouhealth.com/

■設立:2009年

■ミッション(表記):毎日実践できる小さな心がけ(Small Actions)を
 体験してもらい、ウェルビーイング改善を助ける 
(MeYou Health helps you improve your well-being by introducing you
  to small actions you can accomplish every day)

※ウェルビーイング(well-being)
WHOの健康の定義にある「身体的・精神的及び社会的に良好な状態」の
ことをさす。

■事業内容:ウェブや携帯電話を使用し、ソーシャルネットワークによる
 継続性を持ったウェルビーイングのためのサービス提供

■売上:非公開

■販売先:ヘルスウエイズ社の顧客である、大手企業の総務・人事部門が
 中心と思われる

■実績:米国健康ネットビジネスの先端事例を紹介する「Health2.0」の中
 でも取り上げられる注目サイト


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サービスの概要
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同サイトのミッションにあるよう、
健康づくりの「小さな心がけ(Small Actions)」を紹介し、Facebookという
コミュニティ機能を使って「仲間といっしょに」健康行動を実践することを
テーマにしています。


■ターゲットとニーズ

ターゲットは、企業の従業員で健康づくりに興味はあるが、

・健康行動を実行するも長続きしない
・自分にはコレ!という健康行動がまだ見つかっていない

という人を対象にしています。


■サービス

同社はネットを使い下記のサービスを提供しています。


<主なメニュー>

1.Daily Challenge
シンプルで手軽に実践できる小さな心がけ(Small Actions)に挑戦し、
ウェルビーイングを達成する。
Facebookを利用して、友人とともに健康行動を行うことを推奨する。

2.Change Reaction
Facebookを利用したチェーン・ゲーム。健康に役立つ課題をクリアし、
Facebookで仲間に続きを挑戦してもらう。

3.Community Clash
自分の住む地域の健康意識レベルを遊びながら学習し、ウェルビーイング
への意識を高める。

4.Monumental
iPhoneを使って、世界の有名建造物の階段を上るゲーム。

5.EveryDRINK
水を飲むことの大切さを思い出させるデスクトップソフト。

6.Munch 5-a-Day
野菜とフルーツの摂取量をモニタリングできるiPhone用アプリケーション。

7.Twitter Well-Being Tracker
Twitterでのウェルビーイングをテーマにした会話をチェック。

8.Well-Being Wire
ウェルビーイング情報を手軽にキャッチできるツール。


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注目サービス:Daily Challenge
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今回は、その中で最も力を入れている「Daily Challenge」を紹介します。


■「Daily Challenge」のサービスの流れ

1)サイトに登録すると、日々の健康行動例(Small Actions)が毎日送られ
  てくる
2)自分に合った健康行動を実践する
3)実行したらポイントがつき、認証スタンプをもらえる
4)健康行動を具体的に実践するコツをFacebookを使って共有する

https://challenge.meyouhealth.com/signup
(無料で登録可能です)


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特長1:自分に合った健康行動がわかる「健康行動例の提案」
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登録したアドレスに、その日の健康行動例が毎日自動送信される。

送られてくる健康行動例は、

・フィジカル(身体的健康)
・エモーショナル(心の健康)
・ライフバリエーション(人生評価)
・生活習慣
・労働環境の向上
・生活環境の向上

とウェルビーイング(身体、精神、社会)に関する内容で、
幅広く具体的である点が特長です。


※送られてくる1日の健康行動例:

<フィジカル(身体的健康)>
□壁を使って12回腕立て運動をする
□手を洗うとき"ハッピーバースデイ"を2回歌う
□顔の表情筋を動かしてストレッチ
□リップクリームに紫外線防止効果があるか確認する
□一週間の"睡眠計画"を立ててみる

<エモーショナル(心の健康)>
□自分のストレス解消法を一つあげてみる(例:散歩、ペットと遊ぶ、など)
□一日に少なくとも一回、自分で自分をほめる
□2010年の一番良かった思い出を誰かに話す
□最近起きた嫌な出来事から、反省点や対処法を考え、ポジティブな思い出
 に変える


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特長2:Facebookを使って、同じ行動を実行する仲間から具体的なコツを知る
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特長1で提案される健康行動の実践例においては、その人なりの工夫を
加えている場合が多いです。
その具体的なコツを、Facebookを利用して共有するしくみです。

他の人たちの取り組み方(具体的なコツ)を知り、その健康行動を定着
させるヒントとなります。自らも、短いコメントを書くことで、達成した
ことを他の人に言うことができ、満足感を得られるしくみになっています。


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特長3:成果の実感を促す「ウェルビーイングトラッカー」
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特長1、2で実際に行った健康行動により、自分にどのような主観的な
健康変化がおきたかがわかるしくみ。

ウェルビーイングトラッカーは、健康レベルを6つのカテゴリー(人生評価、
エモーショナル、フィジカル、労働環境、健康的な行動様式、基本的な生活
環境)でアンケート式に自己評価する。

普段の自分では気づきにくい変化に気づくことで、モチベーションを高める
工夫をしています。


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スポルツの視点
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■今回は、「小さな心がけ(Small Actions)」を紹介し、Facebookという
コミュニティ機能を使って「仲間といっしょに」健康行動を実践する
「MeYou Health」を紹介しました。

■「MeYou Health」は、ウェブを使って利用者の健康行動を蓄積し、価値化
するHealth2.0の事例としても紹介されています。

■今まで本メルマガでは、Health2.0の注目事例として「patientslikeme」、
「curetogether」という事例を紹介しました。
この2つの事例は、健康課題(疾患)を入り口に仲間との広がりをみせるのに
対し、「MeYou Health」は、具体的な健康行動を入り口に仲間との広がりを
見せる点が大きな違いとなっています。

※バックナンバー
・Patientslikeme
http://www.healthbizwatch.com/hbw/global/contents/249.html
・curetogether
http://www.healthbizwatch.com/hbw/global/contents/274.html

■「MeYou Health」は、健康行動を実行するも長続きしない、自分にはコレ!
という健康行動がまだ見つかっていない人をターゲットとしたサービスです
が、同サイトの提供価値として以下の3つをあげることができます。

1)自分に合った健康行動がわかる
2)SNSを使って、同じ行動を実行する仲間から具体的なコツを知る
3)成果を実感しやすい

■上記の提供価値は、日本の健康サービスでも訴求が十分可能です。
日本版として応用する場合、下記が課題として考えられます。

1)の課題

日常的に可能なレベルまで落とし込んだ健康行動をいかに数多く集めるしくみ
をもつかが課題になります。その分野の専門家、サービス利用者(成功者・
体験者)からのアンケートなどを使うことがまずは考えられます。

2)の課題

SNSの活用法が課題になります。日米文化の違いもあり、全く見知らぬ人と
健康行動をテーマにSNSでやりとりを行うことには壁がある日本では、
企業内の従業員同士や同じフィットネスクラブに通う人同士など、まずはある
特定の集団内でのしくみとして活用できると思われます。

3)の課題

米国では、ウエルネス自体の指標化が進んでいます。ウエルネスをどのように
設定するかが大きな課題になるわけですが、世界のウエルネス指標の一つで
ある「SF-36」を応用するなど、日本版に向けた指標づくりが必要に
なります。

・SF-36
http://www.i-hope.jp/index.html


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