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[海外事例にみる企画ヒント編]2019年5月21日号
   ≫≫≫Author:脇本 和洋
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こんにちは。脇本和洋です。
 
[海外事例にみる企画ヒント編]は4月16日号に続けて、「健康経営を支援する注目企業」を紹介します。
 
日本での健康経営向けサービスは数多く競争が激しい上、採用されても参加率/継続率が低いために、契約が長続きしない場合も増えています。
 
今回紹介するHealth Fitness社は、フィットネスプログラムを提供している企業ですが、参加率と継続率を高め、成果の評価分析を専門に行う「Engagement Professionals」という人がいる点が特長です。
 
この「Engagement Professionals」の要素は、今後健康経営を支援するサービスを提供する企業にとって、サービスを独自化する上で参考になる点が多いはずです。
 
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【1】特集:海外事例にみる企画ヒント編
---健康経営を支援する注目企業(その2)「Health Fitness」
 
【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
---「プロフェッショナルの新定義」
 
【3】今週の注目デジクリップ!
---国内 医療観光、海外 ヘルスケアアプリ動向など、9本
 
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【1】特集:海外事例にみる企画ヒント編
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<テーマ>
健康経営を支援する注目企業(その2)
「Health Fitness」
 
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1.Health Fitnessの事業概要
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■企業名:Health Fitness Corporation
 
■設立:1975年
 
■売上:11.8億円(Owler調べ)
 
■顧客(B-B)
・企業の健康管理部門
・保険会社
・医療機関
 
■主なサービス
1)Fitness and Recreation:職場にフィットネス施設(運動する場)を導入する上でのコンサルテーション、トレーナーの派遣
2)Wellness:オンラインで生活習慣を改善する各種プログラム(ヘルスコーチングプログラム、クイズ・動画による健康知識の提供、自宅での運動を支援する動画配信など)
 
■実績(同社発表)
・顧客満足度(クライアント企業担当者の満足度と想定される):92%
・コーチングサービスを利用した従業員の目標達成率:90%
・通常の健康プログラムと比べ、参加率が平均33%高い
 
 
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2.サービスの特長:Engagement Professionals
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同社が提供する「Fitness and Recreation」「Wellness」といったサービス自体には大きな特長は見当たりません。サービスの特長は、同社が「Engagement Professionals」と呼ぶ、参加率と継続率を高め、成果の評価分析を専門に行う人にあるとみています。
 
■Engagement Professionalsの2つの役割
 
Engagement Professionalsには2つの大きな役割があります。
 
1)プログラムの参加率、継続率の向上
2)取り組みを評価し、人事部門に対して成果をアピールする
 
(例)
Health Fitness社のEngagement Professionalsである、Joey Barengさん。
JoeyさんのクライアントはGenentech社(従業員数約1万人)です。
 
Health Fitness社は、Genentech社に対して、3つのフロアからなる職場内のフィットネス施設へのコンサルティングと、トレーナー60名を派遣。さらに、オンラインでは、ダイエットコーチングプログラムを提供しています。
 
Joeyさんは、参加率と継続率を高める工夫をし、取組みを評価分析するため以下のような行動をします。
 
・Genentech社の経営課題、人財課題、健康施策を人事担当者と共有し、適切な健康施策を提案する
 
・各種プログラムのトレンドを知り、自ら体験し、Genentech社にとって必要なプログラムを見つけてくる
 
・各従業員の健康施策への参加状況を把握し、一人ひとりの健康行動の継続をチェックする
 
・参加者一人ひとりの特長や組織文化を共有するしくみを作り、職場内施設のトレーナーやオンラインのコーチと蜜に話し、的確な指導ができるようにする
 
・インセンティブの管理、方向付けをおこなう
 
・家族に対しても様々なアプローチを行い、従業員が運動を意識しやすい環境を作る
 
・参加度と継続度を分析し、健康度の改善、人財課題の改善度を評価し、今後とるべきアクションとともにGenentech社に報告する
 
※(例)は、Engagement ProfessionalsであるJoey Barengさんのブログより類推含む
 
 
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3.日本版のEngagement Professionalsが求められる
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同社の設立は1975年。35年近くサービスを提供し続けられる背景には、Engagement Professionalsの存在が大きいとみています。
 
Engagement Professionalsの要素を組み込み、日本で今後求められるサービス提供の姿を考えてみました。
 
 
【サービス提供前】
 
・クライアント企業に、本質的な健康経営の在り方を提案する(会社ごとに経営目標、経営課題、人財課題、健康施策を仮提案として用意する)
・その組織にとって必要な健康施策を立案する(自社のサービス以外も含む)
・健康施策は、ターゲット、魅力的な価値、メソッド、サービスまで考える
・単に健康施策だけを提案するのではなく、健康施策の参加率、継続率を高める施策を組み込んだ提案をする
・サービス提供企業自身が健康経営に取り組み、PDCAを回した実体験を元に、クライアント企業と話す
 
 
【サービス提供後】
 
・参加率、継続率を把握し、どの段階に課題があるかを見える化する
・当初予定していた成果(健康面、人財課題面)を見える化する
・成果がでた人(出なかった人)、行動が続いた人(続かなかった人)などを軸に分析を行い、成果を上げるためのサービス改善案を導き出す
 
上記は例ですが、今後日本の健康経営を支援するサービスでは、サービ提供前と後で「Engagement Professionals」の要素をもつサービスプロバイダーが優位になると、私は思います。
 
 
【脇本和洋】
 
 
 
※健康経営関連の記事
 
・参考バックナンバー>健康経営を支援する注目企業「Welltok」
「Opportunity Analysis」という分析ツールを使って継続度を上げる工夫をします。
提携する企業の中に本日紹介したHealth Fitness社も含まれます。
 
我々スポルツは、一歩先を考えた健康経営の支援を行っています。
ご興味ある方は是非お問い合わせください。
 
 
 
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【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
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≫≫≫「プロフェッショナルの新定義」
 
スペック消費の時代にはモノの優れた機能を作ることが求められたが、プロフェッショナルの今後は自分の価値づくりの能力を誰かのために使うストーリー消費へシフトしていきます!これは大きな違いです。
 
 
 
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【3】今週の注目デジクリップ! <9クリップ>
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[1]RIZAP、吉野家との初コラボレーション「ライザップ牛サラダ」を販売開始
ライザップ牛サラダは、吉野家の牛丼の具をご飯でなくサラダと共に楽しむ新感覚メニュー。吉野家の牛丼の具をご飯以外の食材と共に提供するのは史上初。(2019/05/08)
 
[2]キューサイ、機能性表示食品「記憶スイッチ」新発売
“人生100年時代”を生きる中高年の記憶力の維持をサポートする機能性表示食品。機能性関与成分として「イチョウ葉由来フラボノイド配糖体」と「イチョウ葉由来テルペンラクトン」を配合。(2019/05/09)
 
[3]損保ジャパン日本興亜ひまわり生命と電通、日本初!ウェアラブル端末を活用した企業対抗の歩数対決イベント「Step Challenge JAPAN」を開催【PDF】
本取組みは、両社が導入しているフィットネスウェアラブルデバイス Fitbitから得られる従業員の活動量データを集約する「Fitbit Group Health」を活用したもの。(2019/05/10)
 
[4]東京商工会議所、「健康経営アドバイザー研修」ならびに「第2回健康経営エキスパートアドバイザー研修」のリニューアルについて
「健康経営アドバイザー」研修は、受講用テキスト内容を拡充するほか、認定期間を1年間から2年間に延ばす。「健康経営エキスパートアドバイザー」研修は、知識確認テストをCBT方式とし、東京だけでなく全国各地での受験が可能になる。(2019/05/10)
 
[5]10X、タベリーが「オンライン注文機能」の提供を開始し食材ショッピングアプリへ、あわせて2.5億円の第三者割当増資を実施
今回のアップデートにより、「タベリー」アプリで作成した1週間分の献立に必要な買い物リストの食材を、たった数タップでオンライン注文することが可能となる。(2019/05/14)
 
[6]ウーマンズラボより、医療観光 2020年の市場規模5,500億円へ 日本の取り組みと課題
医療目的の渡航は「医療観光」「医療ツーリズム」「メディカルツーリズム」と呼ばれ、今後の新たな成長産業として期待されている。2020年には市場規模が5,500憶円と見込まれる医療観光について網羅的に解説。(2019/05/15)
 
[7]イーウェル、2019「健康経営推進セミナー」開催のお知らせ
開催日は、5月21日、6月11日、6月19日。セミナーでは、これまで得た知見を基に健康経営を推進する上で必要なノウハウや今後の動向について紹介。「第一部:健康経営を取り巻く現状について」「第二部:健康経営サポートツールの活用」。
 
[8]調査:2018年に世界のヘルスケアアプリのダウンロード数が4億超え
App AnnieのシニアマーケットインサイトマネージャであるLexi Sydow氏は、2018年にメディカルアプリの世界的なダウンロード数が4億を超え、2016年と2017年に記録された世界の合計数を15%上回ったと述べた。(2019/05/09)
 
[9]『mHealth Watch』注目ニュース:万能スマートバンド『Wraapit』
『Wraapit』はバンドがマジックバンドになっているため、装着がかなり楽になりそうです(巻く場所はそれなりの太さが必要なようですが)。画面も大きめなので、通常の時計サイズと比べるとGPSの確認なども無理なくできそうです。(2019/05/20)
 
 
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