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2015.3.4
ウンログ株式会社 
CEO 田口 敬 氏

今、ヘルスケア業界でユニークなスタートアップ企業が注目を集めています。
その名はウンログ
 
「うんち記録」をメインとしたアプリを提供している企業です。同社の田口さんにそのアプリの可能性について伺いました。
プロフィール
田口 敬[たぐち たかし]
2006年日本大学理工学部航空宇宙工学科卒業。2012年ウンログのリリース。会社勤めをしながらアプリ開発やデザインをゼロから学び、1年半かけて制作。2013年29歳のときに独立。ウンログをメインとしたヘルスケアサービスの開発・運営会社としてじぶんラボ合同会社を設立。設立3ヶ月後にIPOを目指す事を決め、2014年1月に株式会社へ組織変更。ドコモイノベーションビレッジ3期生に選ばれ、グランプリ受賞。うんちでIPOを目指す唯一のスタートアップ。

なぜ起業?

2011年3月に震災が起こったとき、当時勤めていた会社で営業をしていたが『このままでいいのか?』と真剣に起業を考えるきっかけとなった。そして“面白法人カヤック”などがおもしろいアプリをすぐ創ってみて、可能性があればどんどん拡大していくスタイルに可能性を感じ興味を持ったという。
 
まず起業するにはプログラミングを学ぶべきだと勉強を始めたが、これがとても大変だったという。
 
「ここは単純に自分の興味のあるオッパイ、うんちをテーマにしたアプリを作れば、楽しみながらプログラムの勉強ができると思った」そうだ。働きながらも勤務時間以外のほぼ全ての時間を使って2012年7月にウンログバージョン1のリリースに漕ぎ着ける。
 
「ヘルスケアより前に個人の興味でスタートしたのですが、ユーザーからのフィードバックをもらいながら徐々にヘルスケアに寄っていき、会社化するときにヘルスケア企業になろうと決意しました」
 
ユーザーからのフィードバックが何よりもの喜びなのだそうだ。
 
「実は初期は男性向けを意識してブラックでスタイリッシュなカッコいいアプリに仕立てたつもりだったのですが、ユーザーは圧倒的に女性でした。そして女性向けのかわいらしさの要望が多かった。最初はボクみたいな男子に向けてつくったつもりが完全に誤ったということです。デザインに対する要望、生理日や基礎体温が記録できるといいなど、女性ならではの要望がいっぱいきました」
 
そしてそのフィードバックに対応しながらアプリを進化させていった。
 

継続率の高さ!?

田口さんは初期リリースから2年半経つ今、手応えを感じているという。
 
「他のヘルスケアサービスと比べて優位性は継続率の高さだと思います。記録が簡単にできることもウンログ継続率の高さの要因だと思います。ログ記録はカタチが7種類、色は9種類から選択するので簡単です。例えば食事記録となると様々な要素を組み合わせると数千種類となり、入力が大変だと思うのです。それと他にスイッチするものがないことも継続率の高さにつながっていると思います」
 
継続率はインストールしてからは20%だという。これはとても高い数字だ。
 
「あと、もう一つコミュニティの存在も継続率につながる要因だと考えています。結局悩みを持っている人が継続してくれているのだと思います。便秘で辛い、痩せたいけど食事を減らせないなど悩みを持っていて、それをコミュニティで共有することによって心が楽になることで続けられる。ウン活というチャット投稿もどんどん増えていますし、みんなで悩みを打ち明けて相談し合っています」
 
ユーザー同士で貢献し合うカタチをつくることに成功していると言えるのだが、これはサービスビジネスモデルの理想的なカタチとも言える。
 
「カラダの悩みは多くの場合精神面に起因している場合が多く、相談することで楽になるということが多いのではないかと思います。悩み共有プラットフォームとして進めていきたいです。このウン活も最初は“いいウン活動を報告し合う場”として提供したのですが実際は悩みを共有する場として使われるようになりました。仮説通りになることはほとんどありません」とのこと。
 
この継続率の高さを武器に他のライフログサービスと連動していこうという企画もあるという。
 

ウンログの今後?

この領域でウンログは競合らしきものが存在していない。それに胡座をかくことなく事業拡大アプローチをしていきたいと言う田口さん。いくつかの方向性が見えてきているとのことだ。
 
「自分で自分のうんちを管理していくことのほかに他人対象にもメリットが出せることが分かってきました。例えば、話すことができないペットの健康管理のためのウンログや赤ちゃんの健康状態の把握などです」
 
この分野へのアプローチにはパートナー協力も必要になると想定しており、興味のある方はぜひお声掛けくださいとのことだ。
 
そしてもう一つは継続率の高さが背景となりデータ蓄積そのものに興味を持つ企業からアプローチされるようになったことだ。いわゆるウンログデータ価値ビジネスが成立するということだ。
この2本を今年のメインで展開していくという。
 
根源的な人間の生理機能にフォーカスしたアプリ『ウンログ』のポテンシャルをとても大きく感じるのはボクだけではないと思う。
 
増々注目のウンログです!!



取材後記:
とてもユニークなアプローチをしながらユーザーと一緒にこのサービスを創ってきていることにボクはとっても深い感銘を受けました。
まさにwith Cコンセプトのビジネスモデルです。大注目です!!
 
 
 
インタビュアー:大川耕平
 
[取材日:2015年2月19日]