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[健康サービス・デザイン編]2019年12月3日号
   ≫≫≫Author:大川 耕平
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こんにちは HealthBizWatch Authorの大川耕平です。
今回は異業種からサービス・デザインへのアプローチヒントを探ります。
2019年最後の[健康サービス・デザイン編]となりました、来年も役立つ切り口提案に努めますのでご期待ください。
 
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【1】特集:健康サービス・デザイン編
---サービス・デザインの潮流「部活と従業員満足」
 
【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
---「メラビアンの法則」
 
【3】今週の注目デジクリップ!
---国内 糖質を減らせる炊飯器、海外 Apple Watch 心電図のデータ調査など、9本
 
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【1】特集:健康サービス・デザイン編
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<テーマ>サービス・デザインの潮流「部活と従業員満足」
 
前回はFood-Techで最近起こっている新たな動きの魅力をお伝えしましたが、今回はサービスビジネスのデザインという視点で注目すべき事例からその優れたパフォーマンスのエッセンスを紹介していきます。
ヘルスケア&ウェルネスサービス事業を展開していく上で異業種から学び、そのエッセンスを自らのサービスプロセスにあったチューニングを加え試行錯誤で実装していくプレイヤーが伸びるはずです。
 
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顧客キャスティング「部活コミュニティ」
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自社ビジネスにおいてそのプロセスに顧客の参加を具体化するフレームとしてコミュニティがあり、その重要性は多くの成功しているビジネスモデルでも証明されていると思います。
そのコミュニティにおいて顧客に役割を持ってもらうというアプローチが「顧客キャスティング」という考え方です。
昨年6月の小生担当メルマガでも紹介しています。
 
顧客が自ら望んで役割を演じ、ビジネスパフォーマンスを活性化する貢献を継続的にしてくれる関係をどうやってつくっていけばよいのでしょうか?
 
そのヒントが雑貨店である「フライングタイガー コペンハーゲン」にあります。
同店は2012年に日本に進出し、そのユニークな商品とその業態で人気を獲得し店舗展開に成功します。
しかし、雑貨という性格上コモディティー化しやすく新たな戦略の必要性に対してのアクションが始まったのが2017年ごろだったとのことです。
 
その流れは
 
・マーケティング戦略の一環として顧客関係性活性化のためにアンバサダー制度を導入
→セレクトした顧客に新商品無償提供後SNSでの情報発信をしてもらうことを想定
→数多くのエントリーに対して少数の採用を勿体無いと感じる
→なんとかこの流れを活かせないか??
・そこで「部活」というスタイルを採用することに
・この活動を通じて従業員の意識改革にもつながりエンゲージメントが高まる
 
※ここで重要なことは顧客との関係性最適化を探り始めてやりながら「部活」を発見したという流れです。
 
この「部活」は顧客が自己申請で部員となり、同店商品を使ったアイデアを顧客同士で共有することが目的です。
現在、「パーティ部」と「あそ部」の2つがあり、さらに会社が選んだ部長が部員の中で5人いて部活運営に協力をしてもらっており、ゆくゆくは顧客である部長の自律性を前提とした運営へと進化させていくもくろみだと言います。
 
顧客目線で商品の魅力を伝えるチャネル(SNSなど)の活動が一般顧客への消費促進とロイヤルユーザーの熱狂度アップと拡大の加速につながり、ビジネスパフォーマンス向上に寄与しています。これは、顧客をうまく自社サービス活動プロセスに組み込むことでマンネリ化を打破し、win-win関係づくりに成功しているケースと言えます。
 
 
 
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従業員ファーストでサービス現場品質をサスティナブル化
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今までの飲食業経営の常識的戦略ベクトルの逆を行きながら成長している魅力的なビジネスモデルが京都にあります。
ランチ定食を中心に展開する超人気店「佰食屋」です。
 
彼らの経営方針はズバリ「従業員ファースト」です。労働時間の長時間化などブラック企業的要素の多い飲食業界の中でその真逆を具現しているのが同社です。
 
・創業者夫婦は飲食業は全くの素人(業界の常識を無視)
・1日100食の提供(売上を伸ばし続けるという文脈なし)
・新鮮な料理提供をしたいので冷蔵庫なし
・安心して食べて欲しいので原材料は無添加、無化学調味料
・早く売り切れば従業員は早く帰ることが可能
・従業員の満足が現場でのサービスに繋がる
・メニューを3つに絞る
・結果的に食品ロスの最小化を実現
・これらのプロセスメソッドを横展開して4店舗へ拡大
 
今までの常識をゼロクリアしてから自らの大切にする価値観をベースにしたサービス現場づくりをデザインした結果がこのようなビジネスモデルになったのだと思います。
 
売り切れごめんで従業員満足をキープしつつ顧客にも支持され、持続性を持った経済圏をエリアで創出できるということなのだと思うのです。
拡大を前提とできない今後の不透明時代の中で極めて現実的なビジネスモデルフォーカスと言えないでしょうか!?
 
 
今回の2つの事例の共通点がどこにあるかお気づきいただけたでしょうか?
サービス品質をアップするためにプロセスを工夫しているのですが、そこに存在する「人」にフォーカスしていることです。
従業員→顧客→従業員→顧客→というLOOPが見えましたか?
 
 
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弊社代表取締役/HealthBizWatch 編集主幹の大川耕平著
「フィットネス業態の[デジタル化戦略]と施設計画資料集」
 
 
 
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【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
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≫≫≫「メラビアンの法則」
 
矛盾したメッセージが発せられた時に人は何を信じるか?言語情報が7%、話し方などの聴覚情報38%、表情や見た目などの視覚情報55%と言われています。非言語コミュニケーションの大切さを再確認ですね。
 
 
 
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【3】今週の注目デジクリップ! <9クリップ>
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[1]明治ホールディングス、島津製作所、帝人、オリエンタル酵母を幹事会社として「プロダクティブ・エイジング コンソーシアム」を設立【PDF】
「健康寿命を延伸し、歳を取ることを前向きにとらえ、生まれてから最後の日まで自分らしく充実した生活をおくる」こと、すなわち「プロダクティブ・エイジング」の実現を目指すという理念に賛同する企業が集まり、設立。(2019/11/20)
 
[2]山善、「糖質を減らせるマイコン炊飯器」新発売
特殊な内釜を使って炊くことで通常炊飯と比較して、1合炊飯時に糖質約7.7gを減らし(角砂糖約2個分の糖質をカット)、100gあたりの糖質を27gに抑えたご飯を食べることができる。(2019/11/21)
 
[3]FiNC Technologies、ヘルスケア領域におけるAI関連特許「コミュニティ機能」の特許権を取得
取得した特許群は、オンライン上におけるイベント等において運営側、アンバサダー、ユーザー間のそれぞれにおいてコミュニケーションを図る機能の多面的な保護を図ったもの。(2019/11/21)
 
[4]忙しい現代女性は「HIIT」エクササイズ(ウーマンズラボより)
HIITとは、High Intensity Interval Trainingの略語で高強度インターバルトレーニングのこと。アスリートたちが実践しているトレーニング方法として知られている。1日たったの4分という極端に短いトレーニングが特徴。(2019/11/21)
 
[5]日本生産性本部メンタル・ヘルス研究所、第9回「メンタルヘルスの取り組み」に関する企業アンケート調査結果
「心の病」の年代別割合は、前回に続き10-20代が増加。初めて3割を超え、わずかに40代を上回る。50代を除き各世代の比率が横一線となり共通課題に、など。(2019/11/22)
 
[6]DeNAライフサイエンスとコーセー、ヘルスケアビューティーアプリ「Skin Diary」を共同開発
エンゲージメントサイエンスを活用し、手軽に楽しみながら美容記録ができるアプリ。毎日の肌状態を睡眠や気分といった外的要素と組み合わせて記録することで、自分の肌の本当の性質や隠された傾向を精緻に知ることができる。(2019/11/26)
 
[7]翔泳社、超高齢社会の「困った」を減らす課題解決ビジネスの作り方を発刊
電通で長年シニア向けビジネス開発に携わる著者が、高齢社会の諸問題にビジネスとして取り組むユニークな先行事例を取材。その事業のどこが新しく、なぜうまくいっているのか、他の業界・職種に応用するヒントなども分析して紹介。
 
[8]『Apple Watch』の心電図測定は医学的に有効――スタンフォード大の論文が米医学誌で発表
今回発表された研究では、8か月間でApple Watchユーザー約40万人を対象に心電図のデータを調査。約0.5%にあたる2,000人以上が不整脈の通知をApple Watchから受け取った。(2019/11/26)
 
[9]『mHealth Watch』注目ニュース:美容系スタートアップへの投資、活発化
今回注目するのは、美容系スタートアップへの投資が活発化してきているニュースです。日本経済新聞によると、2018年の美容・パーソナルケア分野のスタートアップの資金調達額は前年比127%増の18億ドルで過去最高を記録したとのこと。(2019/12/02)
 
 
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