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[健康サービス・デザイン編] 2015年12月01日号
           ≫≫≫Author:大川耕平
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HealthBizWatch Authorの大川耕平です。
 
2015年 みなさまにとってはどのような年でしたか?
6年ぶりに神宮前・青山文化圏にオフィスを移転し、次々とリリースされるグローバルアパレルブランドや新コンセプトカフェ、レストランなどに触れながら毎日刺激的に過ごしています。
 
さて、今回テーマの「健康サービスデザイン改善の落とし穴」は、我々がサポートしてきた様々な経験を背景にした切り口を提案しています。
 
ぜひ、味わって実践してください!!
 
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【1】特集:健康サービス・デザイン編
---健康サービスデザイン改善の落とし穴
 
【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
---「健康プランナー」
 
【3】今週の注目デジクリップ!
---国内 新サービス・アプリ情報、海外 製薬企業のデジタルヘルス動向など13本
 
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【1】特集:健康サービス・デザイン編
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【テーマ:健康サービスデザイン改善の落とし穴】
 
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1.健康サービス品質をアップしたい
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今以上に顧客満足がアップすることによって自社提供健康サービスのパフォーマンスが高まるであろうことに多くの事業者が気付き始めている。しかし、なかなか上手くいかない原因はどこにあるのでしょうか?
 
 
◆顧客の行動文脈を把握するためのアプローチ
サービスデザインはビジネスを顧客側からみて、より好ましい流れにサービスプロセスを編集して整えていく作業です。また、顧客の行動文脈にある経験価値にフォーカスするアプローチでもあります。
 
これは顧客を単なる商品サービスの購入者ではなく、利用者として捉える考え方に基づいています。
 
この経験価値には5つあると言われています。
 
SENSE(感覚的)視覚・触覚・聴覚・味覚・嗅覚の五感による経験
FEEL(情緒的)感情経験
THINK(創造的・認知的)知性や好奇心による経験
ACT(肉体的)行動やライフスタイルによる経験
RELATE (集団・文化)グループや文化への所属意識による経験
 
 
◆カスタマージャーニー
この顧客経験をより好ましい文脈に構成していくアプローチとして「カスタマージャーニーマップ」というフレームワークが存在します。
 
提供サービスプロセスで顧客が経験する行為やコミュニケーションタッチポイントを可視化しながらそのプロセスで顧客がどう感じ、判断し、行動するかをインタビューしたり、観察したりしながら、プロセスにおける顧客経験をどう創出することがビジネスとしての成功をもたらすかをデザインしていくワークです。複数人でワイワイとディスカッションしながら作り上げていくワークショップ形式の研修も最近数多く開催されるようになっているので読者にも経験者がいると思います。
 
※下記URLは成果物としてのカスタマージャーニーマップの画像サンプルです!イメージはこれでつかめると思います。
 
サービスプロセスを可視化しながらそこでの顧客経験品質に効果的に作用する提供内容の吟味を具体的に考えることのできるフレームワークとしてとても有用性あるものです。
 
 
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2.不都合な事実の露呈
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全く無の状態からサービスデザインを試みる場合は60%完成度で一旦顧客に評価してもらいながら、修正し、品質を磨いていくというアプローチが可能です。
しかし、既存の健康サービスをカスタマージャーニーとしてそのプロセス品質を可視化していくと、多くのプロセスで課題が発見されます。
 
 
◆全部をイッキに変えることは不可能
実は、サービスプロセスにおける顧客経験への配慮が欠けていることによる売り上げ不振や顧客満足度の低さ、継続率の伸び悩みを抱えている健康サービス事業が80%だと我々はみています。
 
しかし、イッキにプロセス全部を変えることは極めて困難ですし、明確な合意形成がなされず作り込まれた工程の発見や、意思決定根拠の不明瞭さなどが露呈し始めると多くの場合一時混乱します。
 
 
◆現実的なアプローチの必要性
健康サービスビジネスでは、リリースされたサービス事業だとしても「未完成」であり「不完全」であるという前提に立つことが最も重要になり、この意識共有が持てればサービスデザイン改善は可能だと考えます。
 
サービスとはプロセスの掛け算とよく言われます。イメージ的に下記の計算のようなことが提供しているサービスで起こっているということです。
 
1×1×1×1=1
0.8×1×1×1=0.8
1.1×1.1×1×1=1.21
 
4工程あるサービスの各工程品質の掛け合わせが解の数字(パフォーマンス)というイメージです。
 
 
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3.現実的なプロセスデザイン改善の一歩
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既存サービスプロセス改善を大枠で捉え、経験値を積み上げながら推進することをお勧めします!
 
 
◆BLA(ブラ)工程でのチェック
極めて単純で着手しやすく、改善効果も期待できるサービスプロセスデザイン手法を紹介します。
「え、、、そんなもんでいいの?」と思われるかもしれませんが確実に手応えを感じていただけると思います。
 
Before(前工程)・Live(最中工程)・After(後工程)
この3つの工程に提供プロセスを分解します。
 
Before
商品・サービスの購入前開始前の工程です
Live
商品・サービス利用時の工程です
After
商品・サービス利用後の工程です(継続への工程も含む)
 
 
◆各工程ひとつの施策から
各工程におけるタッチポイントをひとつずつ丁寧に追加するのです。
 
例えば
事前説明の丁寧さの追加
最中タッチポイントにケアマインドメッセージの追加
事後フォローに感謝コメントと継続へのご案内の追加
 
え、、と思われるかもしれませんが、先に示した計算になるとおり、1が1.1になる工程を増やすという発想です。この工程ごとの少しの工夫がサービスプロセスデザイン品質を支えていきます。
 
サービスデザインは提供しているサービスが不完全であるという認識がスタートです。ぜひ、BLAアプローチを試してください!
 
 
サポートが必要であればお声かけください!
 
 
 
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【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
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≫≫≫「健康プランナー」
 
フィナンシャルプランナーの健康版があってもいいと思いませんか!
各種保険や生命保険、住居より、健康が大切!!健康プランナー的発想を取り入れませんか?
 
 
 
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【3】今週の注目デジクリップ! <13クリップ>
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[1]DeNAライフサイエンス、遺伝子検査サービス「MYCODE」最新の遺伝子研究論文に基づき42項目の検査結果を更新
今回は全280項目のうちの糖尿病や大腸がんなどの42項目を更新し、すでに検査結果が出ているユーザーも含めて、新しい検査結果を提供する。利用者から要望のあった検査結果を冊子で届けるサービス「検査レポートブック」も申込受付開始。(2015/11/18)
 
[2]エムティーアイ、カラダのデータを一括管理するアプリ「CARADA」シリーズスタート
「CARADA」「CARADA お薬手帳」「CARADA 健診手帳」は、様々なカラダに関するデータをスマホで簡単に一括管理することで健康が気になるあらゆる年代の意識を変革し、健康的な生活を送る習慣を持続できるようサポートする。(2015/11/20)
 
[3]厚生労働省、「第4回 健康寿命をのばそう!アワード」表彰式を開催
生活習慣病予防分野、介護予防・高齢者生活支援分野、母子保健分野の企業・団体・自治体を表彰。厚生労働大臣最優秀賞は、立命館大学父母教育後援会「100円朝食による学生の健康管理、生活リズムの維持活動」。(2015/11/20)
 
[4]厚生労働省、事業者向け「厚生労働省版ストレスチェック実施プログラム」の配布を開始
改正労働安全衛生法に基づき12月より施行されるストレスチェック制度が事業者にて円滑に導入できるよう、ストレスチェックの受検、結果出力、集団分析等ができるプログラムを無料配布。(2015/11/20)
 
[5]クックパッド、英語で「和食」を世界に発信するサイト「Washoku.Guide」を本格リリース
約2万品のレシピ紹介に加え、和食の最新トレンドや海外現地情報などを英語で記事化し、世界に向けて「Washoku」を発信するポータルサイト。(2015/11/24)
 
[6]大磯町・東海大学・アルケア、運動機能を評価 ロコモを診る「ロコミル」を実施【PDF】
「ロコミル」は、要介護等の原因第1位である「運動器の障害」についての評価を実施。運動機能の見える化・モニタリングを行うとともに、ロコモのリスクに応じた運動処方を実施することで、町民の運動機能の維持・向上、ロコモとメタボの関連性や医療費の削減効果の検証、他自治体での応用を目指す。(2015/11/24)
 
[7]シード・プランニング、市場調査レポート:2015年版 世界のITヘルスケア市場注目ビジネス事例研究
Precision Medicineに向かう米国及び世界の健康・医療分野の注目企業・サービス25社を調査。アップル、グーグル、サムスン電子、マイクロソフト4大企業のプラットフォームと健康・医療戦略+IBMのワトソン戦略など。
 
[8]新社会システム総合研究所、[規制緩和で利用範囲が拡大]ドコモの医療ICTへの挑戦2016ー医療現場×スマホで生まれる新たな可能性と課題ー
開催日は1月19日(火)。医療機関におけるICT化を後押しする外部要因も伴って、NTTドコモは「メディカルICT推進室」が中心となり、進化したモバイルネットワーク、端末、サービスを活用した提案を推し進めている。
 
[9]Fossil、フィットネストラッカーのMisfitを2億6000万ドルで買収へ
この買収は、Fossilの持つファッションやウォッチ開発に関するノウハウとMisfitの持つ技術を統合するとともに、ウェアラブル製品の重要性が高まっていることを示すもの。(2015/11/18)
 
[10]Intel、高血圧はモバイルヘルスの最大の機会
John Sotos博士は、心臓専門医にしてIntelのワールドワイドメディカルディレクターでもある。彼はモバイルヘルスが、いわゆる“世界最悪の病気”を打ち負かす鍵となると考える。(2015/11/18)
 
[11]いびき・無呼吸を簡単にチェック!毎日の睡眠状態を管理できる測定アプリ『nastent app』
いびきの検出は端末のマイクを利用し、独自のアルゴリズムによって他の物音といびきを聞き分ける。データは色つきのグラフで表示。また、一晩のうちで大きかったいびきは、およそ5分間のデータとして録音。(2015/11/20)
 
[12]Walgreens、テレヘルスを新しく20州に拡大。Walgreens Connect appをスタート
テレヘルスサービスは現在、合計で25の州で提供されている。Walgreensは、Qualcomm Life社と共同で開発した「Walgreensコネクト」と呼ばれる新しいアプリも発表。(2015/11/20)
 
[13]『mHealth Watch』注目ニュース:製薬会社の次のステップは、治療薬としてのデジタルヘルス
Kvedar博士によると数年前まで製薬会社のマーケティング部門はデジタルヘルスツールを治療薬の販売時に使える程度のものとしか見ていなかったが、デジタルヘルスツールを治療サービスとして考えるようになっているという。(2015/11/24)
 
 
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