デザイナーズ フーズ
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●海外健康ビジネストレンド情報<創刊号1999年6月>
「デザイナーフーズが食文化を変える!」(米国最新トレンド)
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<注目すべき最新動向>
FDA(米国食品医薬品局)は1999年4月30日にLipton/Unilever社の
「Take Control」という血液中のコレステロール値を適正に維持する
マーガリンを認可していたがそれに続いて1999年5月26日、Johnson&Johnson's社
の「Benecol」という「Take Control」と同じような機能をもつマーガリンを
許可した。「Benecol」は現在米国のスーパーなどで販売されはじめている。
この2つのマーガリンには40年以上にわたり研究されてきた」「phytosterol」
という植物由来のコレステロールの適正化に効果のある原料が使われている。
また、ケロッグ社はパスタ、冷凍食品、クッキーなどでコレステロール低下
を促進する商品を販売しはじめた。これらは食品と医薬品の中間に位置し
「Designer foods」と呼ばれる新しいカテゴリーの商品であり、今後しばらく
は最もホットな話題を提供してくれるはずだ。
<食品の分類について>
まず、アメリカと日本でのデザイナーフーズ周辺の食品に分類について
以下に整理してみる。
.........................................................................................................
■ 米国での分類
.........................................................................................................
□機能性食品(Functional Foods)
1994年、国立栄養医薬食協会は「通常の食品の含有量を超えて健康にベネ
フィットのある食品または原料」と定義している。その原料は52個あり、
ビタミン、ミネラルなど人間にとって必要不可欠な原料である。機能性食品
の市場は成長し続けており現在は280億ドル(約3兆円)市場と言われている。
サプリメント等がこのカテゴリーの中心である。
□デザイナーフーズ(Designer Foods)
特定の病気のリスクを下げるために作られたもので、市場はまだ開拓されはじ
めたばかりである。
許可申請の方法は以下の2通りがある。
A.Health Claims
申請する企業はFDAに対して効能を実証する医学的証拠を提出する。FDAは540日
以内にその内容を十分に調べ検討する。現在まで11の申請がFDAによって許可
されているが、そのうち1990年代に8つの申請が許可されている。最近の例と
しては心臓の病気のリスクを減らすことに貢献する「オートミールの溶解性
繊維」と「PSYLLIUMという植物由来の原料」を利用したケロッグ社のパスタ、
冷凍食品、クッキーなどがある。この申請にはコストと時間が必要であるが、
メリットは食品に特定の病気のリスクを減らすと表示して良いことである。
例えばケロッグ社の製品は心臓の病気のリスクを減らすと表示することがで
きる。
B.Structure/Function Claims
ある特定の原料が身体によい影響を及ぼすと製造メーカーが判断し、申請する。
この申請には細かい科学的なデータは必要とされていない。(Health Claimsの
10分の1のデータ量で可能)例としては適正なコレステロール値を維持するの
に役立つというLipton/Unilever社の「TAKE CONTROL」などがある。ただし、
治療や病気の予防に役立つとは表示はできない。
.........................................................................................................
■ 日本での分類
.........................................................................................................
□機能性食品
特定のビタミン、ミネラルなどの成分を強化した食品をいう。○○によいと
いった効果効能を表示することはできない。1988年に最初に発売された
大塚製薬の食物繊維入り炭酸飲料「ファイブミニ」などがある。
□特別保健用食品
厚生大臣の許可を得て効果を表示できる食品。厚生省のトクホマークがつく。
最近の例としてはカルピスのアミール、ヤクルトのミルミルなどがある。
分類内容を日米対比させてみると、「Functional Foods」は日本の「機能性
食品」に近く、「Designer FoodsのHealth Claimsで許可を受けたもの」は
日本の「特別保健用食品」に近いと言える。
<デザイナーフーズの先行事例>
国の公的機関が健康増進に積極的な国としてフィンランドは特に有名である。
同国はヨーロッパで最も心臓の病気の患者の比率が高い国であるが、公的機関
がその予防のために「運動」、「体重管理」、「脂肪の最適な摂取」、「喫煙
のコントロール」とともに「Benecol」などのデザイナーフーズを薦めている。
フィンランドでは「Benecol」は4年前から販売されており、フィンランド国立
公衆衛生協会はこの製品を含めてデザイナーフーズにより国民のコレステロー
ル値が大きく下がったと発表している。デザイナーフーズのよい点は毎日食べ
る日常的な食品(パスタ、マーガリンなど)の形で通常の食品と味が変ること
なく摂取できることと言われている。
一方、マイナス点は摂取の仕方である。「Take Control」の場合、使用方法は
1日あたり2-3グラム、つまりパンにマーガリンを2-3回塗る程度である。もし
このマーガリンのことをよく知らない人が摂取した場合、妊娠中の女性が知ら
ないで摂取した場合、また、今まで摂取している医薬品とデザイナーフーズを
同時に摂取した場合など検討すべき課題は多く存在している。(ヨーロッパで
は医薬品とデザイナーフーズを同時に適切に摂取した場合血液中のコレステ
ロールが24パーセント減ったいうよい報告もある。)
病気に対しての効能は持っているが食品であることがデザイナーフーズの特徴
であり、そのことが影響するプラス面とマイナス面を明確化にすることが今後
の課題である。
また、国民の7割が体重オーバーといわれている米国では肥満による高血圧、
コレステロール値の上昇などによる心臓系の病気が死因の大きな要因となって
いる。したがって心臓の病気を予防するための血圧低下、コレステロール低下
に関する商品・サービスは大きな市場となっている。
一般的に、日常的な運動、脂肪摂取制限、減量などにより20%はコレステロー
ル値を下げることができると言われている。ところが、コレステロール値の
高い人の多くはそれらの方法を自分で実行することができず医薬品を利用して
いる。従ってデザイナーフーズの摂取は簡単に実行できる方法であり、医薬品
よりも体に優しいイメージもあり、注目されていると思われる。
<今後のデザイナーフーズの大きな可能性>
現在FDAは大豆製品に対する許可を検討している。これが許可されると心臓の
病気のリスクを減らす「とうふ」や「大豆バーガー」などの大豆関連商品が
出回ることになる。また、FDAは血圧を下げるカルシウムについても許可を
検討している。10年以上にわたりCLAという脱脂粉乳を精製する時に得られる
物質の研究も行われている。これは心臓の病気と減量に役立つと言われてい
る。また、「Probiotics」や「Bifidobacteria」(ビフィルス菌)などの胃腸
に効くバクテリア、「Butyri acid」(酪酸)や「Oleic acid」(オレイン酸)
などの心臓の病気やガンによいとされる物質などの研究も行われている。
<日本市場の今後>
米国の「デザイナーフーズ」にあたる日本の「特別保健用食品」の市場は
1991年より許可申請が始まったが当時は「機能性食品」が十分に売れていた
ためわざわざ費用をかけて申請する企業は少なかった。ところが機能性食品に
過当競争が起こり、市場が行きづまると企業は「特別保健用食品」に注目し始め、
市場はここ2年間急速な伸びを示している。現在の市場規模は約1500億円で
厚生省から許可されたアイテム数は約130と言われている。中心企業は花王、
カルピス、不二製油、ヤクルト、雪印乳業などで、アイテムとしてはコレステ
ロール、血圧、腸内環境をテーマとしている製品が多い。
今後、米国のデザイナーフーズの開発が急速に進むと考えられ、日米ともに
更に有望な商品カテゴリーに成長すると思われる。日本企業にとって米国の
変化をどうビジネスチャンスに結びつけるかについてはいろいろな選択肢が
あると思われるが以下のようなアイデアも考えられる。
・米国で研究中の物質、FDAに申請されている物質をいち早くつかみ日本で
開発する。
・米国で研究の進んでいる企業と技術提携を結び日本での技術開発のスピード
を上げる。
・米国で発売されたデザイナーフーズの日本での販売権を得て、厚生省への
申請など行い日本で販売する。
・米国で今後発売されるデザイナーフーズの個人輸入代行をする。
・日本古来の食文化が生んだ健康によいとされる食材の研究をグローバルな
視点で着手し、海外からビジネスをスタートさせる。
■今回活用した情報源一覧
●ワシントンポスト「HEALTH」過去1年分の記事
●FDAのホームページ
・http://www.fda.gov/
●財団法人健康・栄養食品協会のホームページ
・http://www.health-station.com/jhnfa/
●ケロッグ社のデザイナーフーズに関するホームページ
・http://news.foodingredientsonline.com/companies-in-news/19981106-2262.html
・http://news.bakeryonline.com/companies-in-news/19981106-2302.html
・http://augustachronicle.com/stories/110698/bus_124-7127.shtml
●Lipton/Unilever社の「Take Control」に関するホームページ
・http://herhealthonline.com/news/11-2-98/ldl.shtml
●Johnson&Johnson's社の「Benecol」に関するホームページ
・http://www.fimdefelice.org/clip.benecol2.html
・http://news.foodonline.com/industry-news/19990311-9519.html
・http://www.nfm-online.com/nfm_backs/Dec_98/functionals.html
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●海外健康ビジネストレンド情報<創刊号1999年6月>
「デザイナーフーズが食文化を変える!」(米国最新トレンド)
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<注目すべき最新動向>
FDA(米国食品医薬品局)は1999年4月30日にLipton/Unilever社の
「Take Control」という血液中のコレステロール値を適正に維持する
マーガリンを認可していたがそれに続いて1999年5月26日、Johnson&Johnson's社
の「Benecol」という「Take Control」と同じような機能をもつマーガリンを
許可した。「Benecol」は現在米国のスーパーなどで販売されはじめている。
この2つのマーガリンには40年以上にわたり研究されてきた」「phytosterol」
という植物由来のコレステロールの適正化に効果のある原料が使われている。
また、ケロッグ社はパスタ、冷凍食品、クッキーなどでコレステロール低下
を促進する商品を販売しはじめた。これらは食品と医薬品の中間に位置し
「Designer foods」と呼ばれる新しいカテゴリーの商品であり、今後しばらく
は最もホットな話題を提供してくれるはずだ。
<食品の分類について>
まず、アメリカと日本でのデザイナーフーズ周辺の食品に分類について
以下に整理してみる。
.........................................................................................................
■ 米国での分類
.........................................................................................................
□機能性食品(Functional Foods)
1994年、国立栄養医薬食協会は「通常の食品の含有量を超えて健康にベネ
フィットのある食品または原料」と定義している。その原料は52個あり、
ビタミン、ミネラルなど人間にとって必要不可欠な原料である。機能性食品
の市場は成長し続けており現在は280億ドル(約3兆円)市場と言われている。
サプリメント等がこのカテゴリーの中心である。
□デザイナーフーズ(Designer Foods)
特定の病気のリスクを下げるために作られたもので、市場はまだ開拓されはじ
めたばかりである。
許可申請の方法は以下の2通りがある。
A.Health Claims
申請する企業はFDAに対して効能を実証する医学的証拠を提出する。FDAは540日
以内にその内容を十分に調べ検討する。現在まで11の申請がFDAによって許可
されているが、そのうち1990年代に8つの申請が許可されている。最近の例と
しては心臓の病気のリスクを減らすことに貢献する「オートミールの溶解性
繊維」と「PSYLLIUMという植物由来の原料」を利用したケロッグ社のパスタ、
冷凍食品、クッキーなどがある。この申請にはコストと時間が必要であるが、
メリットは食品に特定の病気のリスクを減らすと表示して良いことである。
例えばケロッグ社の製品は心臓の病気のリスクを減らすと表示することがで
きる。
B.Structure/Function Claims
ある特定の原料が身体によい影響を及ぼすと製造メーカーが判断し、申請する。
この申請には細かい科学的なデータは必要とされていない。(Health Claimsの
10分の1のデータ量で可能)例としては適正なコレステロール値を維持するの
に役立つというLipton/Unilever社の「TAKE CONTROL」などがある。ただし、
治療や病気の予防に役立つとは表示はできない。
.........................................................................................................
■ 日本での分類
.........................................................................................................
□機能性食品
特定のビタミン、ミネラルなどの成分を強化した食品をいう。○○によいと
いった効果効能を表示することはできない。1988年に最初に発売された
大塚製薬の食物繊維入り炭酸飲料「ファイブミニ」などがある。
□特別保健用食品
厚生大臣の許可を得て効果を表示できる食品。厚生省のトクホマークがつく。
最近の例としてはカルピスのアミール、ヤクルトのミルミルなどがある。
分類内容を日米対比させてみると、「Functional Foods」は日本の「機能性
食品」に近く、「Designer FoodsのHealth Claimsで許可を受けたもの」は
日本の「特別保健用食品」に近いと言える。
<デザイナーフーズの先行事例>
国の公的機関が健康増進に積極的な国としてフィンランドは特に有名である。
同国はヨーロッパで最も心臓の病気の患者の比率が高い国であるが、公的機関
がその予防のために「運動」、「体重管理」、「脂肪の最適な摂取」、「喫煙
のコントロール」とともに「Benecol」などのデザイナーフーズを薦めている。
フィンランドでは「Benecol」は4年前から販売されており、フィンランド国立
公衆衛生協会はこの製品を含めてデザイナーフーズにより国民のコレステロー
ル値が大きく下がったと発表している。デザイナーフーズのよい点は毎日食べ
る日常的な食品(パスタ、マーガリンなど)の形で通常の食品と味が変ること
なく摂取できることと言われている。
一方、マイナス点は摂取の仕方である。「Take Control」の場合、使用方法は
1日あたり2-3グラム、つまりパンにマーガリンを2-3回塗る程度である。もし
このマーガリンのことをよく知らない人が摂取した場合、妊娠中の女性が知ら
ないで摂取した場合、また、今まで摂取している医薬品とデザイナーフーズを
同時に摂取した場合など検討すべき課題は多く存在している。(ヨーロッパで
は医薬品とデザイナーフーズを同時に適切に摂取した場合血液中のコレステ
ロールが24パーセント減ったいうよい報告もある。)
病気に対しての効能は持っているが食品であることがデザイナーフーズの特徴
であり、そのことが影響するプラス面とマイナス面を明確化にすることが今後
の課題である。
また、国民の7割が体重オーバーといわれている米国では肥満による高血圧、
コレステロール値の上昇などによる心臓系の病気が死因の大きな要因となって
いる。したがって心臓の病気を予防するための血圧低下、コレステロール低下
に関する商品・サービスは大きな市場となっている。
一般的に、日常的な運動、脂肪摂取制限、減量などにより20%はコレステロー
ル値を下げることができると言われている。ところが、コレステロール値の
高い人の多くはそれらの方法を自分で実行することができず医薬品を利用して
いる。従ってデザイナーフーズの摂取は簡単に実行できる方法であり、医薬品
よりも体に優しいイメージもあり、注目されていると思われる。
<今後のデザイナーフーズの大きな可能性>
現在FDAは大豆製品に対する許可を検討している。これが許可されると心臓の
病気のリスクを減らす「とうふ」や「大豆バーガー」などの大豆関連商品が
出回ることになる。また、FDAは血圧を下げるカルシウムについても許可を
検討している。10年以上にわたりCLAという脱脂粉乳を精製する時に得られる
物質の研究も行われている。これは心臓の病気と減量に役立つと言われてい
る。また、「Probiotics」や「Bifidobacteria」(ビフィルス菌)などの胃腸
に効くバクテリア、「Butyri acid」(酪酸)や「Oleic acid」(オレイン酸)
などの心臓の病気やガンによいとされる物質などの研究も行われている。
<日本市場の今後>
米国の「デザイナーフーズ」にあたる日本の「特別保健用食品」の市場は
1991年より許可申請が始まったが当時は「機能性食品」が十分に売れていた
ためわざわざ費用をかけて申請する企業は少なかった。ところが機能性食品に
過当競争が起こり、市場が行きづまると企業は「特別保健用食品」に注目し始め、
市場はここ2年間急速な伸びを示している。現在の市場規模は約1500億円で
厚生省から許可されたアイテム数は約130と言われている。中心企業は花王、
カルピス、不二製油、ヤクルト、雪印乳業などで、アイテムとしてはコレステ
ロール、血圧、腸内環境をテーマとしている製品が多い。
今後、米国のデザイナーフーズの開発が急速に進むと考えられ、日米ともに
更に有望な商品カテゴリーに成長すると思われる。日本企業にとって米国の
変化をどうビジネスチャンスに結びつけるかについてはいろいろな選択肢が
あると思われるが以下のようなアイデアも考えられる。
・米国で研究中の物質、FDAに申請されている物質をいち早くつかみ日本で
開発する。
・米国で研究の進んでいる企業と技術提携を結び日本での技術開発のスピード
を上げる。
・米国で発売されたデザイナーフーズの日本での販売権を得て、厚生省への
申請など行い日本で販売する。
・米国で今後発売されるデザイナーフーズの個人輸入代行をする。
・日本古来の食文化が生んだ健康によいとされる食材の研究をグローバルな
視点で着手し、海外からビジネスをスタートさせる。
■今回活用した情報源一覧
●ワシントンポスト「HEALTH」過去1年分の記事
●FDAのホームページ
・http://www.fda.gov/
●財団法人健康・栄養食品協会のホームページ
・http://www.health-station.com/jhnfa/
●ケロッグ社のデザイナーフーズに関するホームページ
・http://news.foodingredientsonline.com/companies-in-news/19981106-2262.html
・http://news.bakeryonline.com/companies-in-news/19981106-2302.html
・http://augustachronicle.com/stories/110698/bus_124-7127.shtml
●Lipton/Unilever社の「Take Control」に関するホームページ
・http://herhealthonline.com/news/11-2-98/ldl.shtml
●Johnson&Johnson's社の「Benecol」に関するホームページ
・http://www.fimdefelice.org/clip.benecol2.html
・http://news.foodonline.com/industry-news/19990311-9519.html
・http://www.nfm-online.com/nfm_backs/Dec_98/functionals.html
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