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   今回の注目事例:男性専用フィットネスクラブ「Cuts Fitness」
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【本格軌道に乗ったビジネスモデル】

「男性専用のフィットネスクラブ」。聞いた瞬間、気持ち悪い!?と思われ
た方も多いかもしれません。

ただ、この「男性専用のフィットネスクラブ」の代表格である「Cuts Fitn
ess社」が、わずか2年弱で店舗数が170店を超え、2005年には75
0店にも到達する勢いであり、フランチャイズビジネスの業界誌で最も注目
の企業としてノミネートされているという事実をお知りになったらどうでし
ょうか。

今回は、2003年10月に設立されて以来、新しいビジネスモデルとして
注目され、本格的な拡大路線に入った「Cuts Fitness For Men社」を紹介し
ます。


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【今回の事例:Cuts Fitness For Men】
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■基本情報

・URL: http://www.cutsfitness.com/
(↑クリックして下さい!イメージがつかめます)
・設立:2003年5月
・店舗拡大計画:2007年に2000店舗を目指す(病院内、健康食品販
売店内、公的運動施設内などにも展開予定)

■設立背景

同社の創業者である、ジョン・ジェナロー氏は大手フィットネスクラブで十
数年働いた後、女性専用フィットネスクラブとして地位を築いている
「Curves」の男性版ができないかと考え、同社を設立しました。

■利用者

主な利用者は、30才以上の仕事が忙しいビジネスマンで、ダイエットや生
活習慣病対策のために運動を行いたく、現状の大手フィットネスクラブに対
し、下記のような不満点をもっている人たちです。

【現状の大手フィットネスクラブへの不満点】

1)1回行くと短時間でなかなか終わらないので、頻繁に機会を作りにくい
2)最新フィットネス機器は多くあるが、使い方が難しそうで気後れする
3)女性からの目が気になり今一歩集中できない
4)筋肉隆々の人の中では引け目(コンプレックス)を感じる
5)競争意識があおられ自分のペースで少しずつ行いにくい
6)月会費が高く、気軽に入会しにくい

では次に、上記1)~6)の不満点に対し同社がどのような解決案を用意し
たかを見てみましょう。


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■男性専用30分間フィットネスプログラム
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1)~5)に対する解決案として同社は男性専用フィットネスクラブという
コンセプトで、「30分間フィットネスプログラム:Body Cuts System」を
用意しました。

これは、16種類の簡単な機器を組み合わせ、サーキットトレーニング(無
酸素運動と有酸素運動を繰り返す)を行い合計30分で完了するプログラム
です。

指導者が積極的に「ほめる」ことを行い、会員とわきあいあいとした雰囲気
を作り出すことに配慮し、競争意識が生まれにくい工夫をしています。

※参考:Body Cuts Systemの説明
http://www.cutsfitness.com/equipment.php

また同社は、自宅から車で15分以内にくることができる人を主なターゲッ
トに設定。自宅でトレーニングウエアに着替えてきてもらい、30分のプロ
グラムを受け自宅に帰るまでが合計1時間以内になることを想定しています
。(シャワールームやコーヒーバーなどの休憩所は同施設内に存在しない)

さらに施設内には鏡がなく、利用者が余計なコンプレックスをもたないよう
工夫しています。

■価格

6)の価格に対しては同社では月会費制を取り入れ、39ドルで使い放題と
いうリーズナブルな設定にしています。


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【HBMチームの視点】 「効果を上げる運動習慣」へのこだわりが原点
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■現状の大手フィットネスクラブに対する不満点を見事に解決している同社
ですが、注目すべき点は同社の徹底した「運動の効果へのこだわり」にある
とも言えます。

■同社は、そもそもどのような運動が健康を気遣う生活者にとって望ましい
かを深く調べ、健康づくりに効果的な運動習慣とは、「週3回以上30分の
運動を続けること」と明確に設定しました。

■この目的を達成するため、プログラム内容・ロケーション・価格・雰囲気
といった観点で、解決案を用意したというわけです。単に「運動するための
場を用意する」というものではありません。

■また、同社は「週3回以上30分の運動を続けること」を身につけるには
、子供の頃からの運動習慣が大切と判断。「子供の運動教育」に力を入れ、
「父と息子で参加できる夏期スクール」も開催しています。

■「週3回以上30分の運動を続けること」といった「効果を上げるための
生活習慣」をつきつめることは、多くの健康ビジネス立案の原点とも考えら
れないでしょうか。

■日本でも大手フィットネスクラブに対し同様の不満点があると考えられ、
近いうちによく似たビジネスフォーマットが日本でも現れるかもしれません
。ただ、日本人は米国人よりも「飽きやすい」といった傾向があるのも事実
。プログラム内容に対しバリエーションをもたせるなどの工夫は、もちろん
必要になるはずです。

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