ポーションコントロールツールの可能性
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【先進事例分析】
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ポーションコントロールツールの可能性
ー 「量と質」の食事コントロールを同時にサポート ー
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ポーションコントロールツールは、
食事の「量と質」を同時にコントロールするためのサポートツールです。
食事のコントロールは、以下の2つに分けることができます。
1)食習慣を変える
・量を落とす
・質を変える
・食べ方を変える
2)ストレスをコントロールする
ポーションコントロールツールは、そのうちの、「量と質」を同時に
コントロールすることを支援します。
特に糖尿病の人など「量と質」を同時にコントロールする必要のある人に
とっては、最適量と質(バランス)を覚えることは必須であり、海外では
このポーションコントロールツールが役立っています。
今回は、このポーションコントロールツールをテーマに
海外と国内の事例を探してみました。
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海外の動向
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ここでは、海外の代表的なポーションコントロールツールを3つ
(皿、容器、テーブルマット)紹介します。それぞれURLをつけています
ので、クリックしてイメージをつかんでください。
【事例1:「皿」で量と質(バランス)のコントロールができる】
■商品名:The Diet Plate
http://www.thedietplate.com/
■企業名:Trade Diet Plate Ltd
■実績関連:
・ポーションコントロールツールの元祖(1995年開始)
・糖尿病の人への臨床実験でも結果を出す
■特長:
1)皿に炭水化物食品、たんぱく質食品、チーズ、ソースなどの区分が入った
線があり、それに従って盛り付けをすれば、カロリーとバランスのコント
ロールができる
2)面倒なカロリー計算は不要
3)ミールリプレイスメント(Slim Fastなど)を使って減量に成功し、
その後通常の食事に戻すときにも使える
■価格:6.95ポンド(約1,000円、1皿あたり)
■販売先:
専門家/病院、ドラッグストア、フィットネスクラブ
【事例2:弁当容器で量と質(バランス)のコントロールができる】
■商品名:EZ Weight Plate
http://www.ezweightplate.com/
■企業名:L&Lofluling
■特長:
・糖尿病の人向けでカロリー計算が不要
・電子レンジ、食洗機に入れることも可
■価格:16.95ドル(約1,600円、容器一つあたり)
【事例3:テーブル用マットで量と質(バランス)のコントロールができる】
■商品名:Portion Plate Mat
http://www.theportionplate.com/otherproducts.html
■企業名:beBetterNetworks, Inc
■販売実績:
・政府系(CDCなど)
・企業(IBM、Dow chemicalなど)
・病院、自治体、学校、フィットネスクラブ
■特長:
1)テーブル用マットで、皿(プレート)の内容を紹介。
プレートは3分割されており、2分の1にフルーツ&野菜、
4分の1にホールグレイン(全粒穀物)、4分の1に低脂肪の
たんぱく質をのせる
2)量の目安は野球のボールなどを使って表現している
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国内の動向
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日本ではポーションコントロールツールはまだ少ないですが、
代表的な事例としては、下記があります。
■商品名:「3・1・2弁当箱法」弁当箱 (群羊社)
http://www.gun-yosha.com/Pages/312_lunchbox.html
■提唱者:女子栄養大学名誉教授の
足立己幸さんが約20年前から提唱
■実績:
・中高校生の健康教育授業、セミナー
・小児肥満の予防、治療
・自治体の保健指導の活動にて
■特長:
1)体格や活動量に合った弁当箱を選び
(例:40代男900ml、30代女600ml)、主食3・主菜1・副菜2
の割合に詰めると、適量で栄養バランスのとれた1食になる
2)厚労省・農水省より発表された「食事バランスガイド」もクリアできる
■価格:2100円から
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スポルツの視点
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■今回調査した3つの海外事例では、
・主に糖尿病の人が中心
・自宅で食事をとる時(朝、昼、夜)を想定
・量とバランスの工夫がしやすく、面倒な計算が必要ない
・皿、弁当箱、マップ等、使いやすい形を選べる
という設計のものが多かったです。
■日本でのポーションコントロールツールを考える際、食事量とバランスの
工夫が確実に必要となる「糖尿病の人」が海外同様にターゲットとして
考えられますが、下記の2点の改善点が考えられます。
・米国のようにワンディッシュで食べる習慣はないので、個別の食器にて
対応する必要がある。
・見た目のおいしさは十分訴求する必要があり、海外のようなプラスチック
材質は使わず、食器の材質やデザインも日本に合ったものにする必要がある。
■今回数名の管理栄養士にヒアリングしましたが、現ツールはお弁当(昼食)
が中心であり、実際のカロリーコントロール指導は夕食で必要な場合が多く、
昼食だけでなく、夕食にも対応できるツールの開発も必要という意見も
ありました。こうした利用タイミングや、ある程度幅広い食事メニュー
(和洋中など)にも対応できるツールの開発が期待されます。
■また、今後のポーションコントロールツールの一つの方向性としては、
量を落とすことになるので、満腹感を得る食べ方や工夫を掲載した付属
ブックをつけるなどして、量を落としながらも満腹感は維持する提案も
考えられます。
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