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【先進事例分析】
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     健康データの一元管理・共有化事例「Healthvault」

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本号も前号につづき、健康記録のあり方をとりあげます。

健康記録は下記の3つのステップがあります。

1)記録する
2)保管する
3)記録した結果を次の行動に活かす

今回は、2)保管の課題である「記録の一元管理と共有」
にフォーカスをあて、サービスを展開している、Microsoft社の
「HealthVault(ヘルスボルト)」というサイトに注目します。


※関連バックナンバー(過去のHealthVaultに関する内容)
・「一元化」という健康モニタリング機器の方向性(2008年7月)
http://www.healthbizwatch.com/hbw/global/contents/225.html
・米マイクロソフトが先駆け、グーグルも近く公開予定「健康・医療情報の
プラットフォーム(2007年11月)
http://www.healthbizwatch.com/hbw/global/contents/209.html


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「HealthVault(ヘルスボルト)」の概要
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■企業名:Microsoft

■サイト名:HealthVault(ヘルスボルト)
http://www.healthvault.com/personal/index.html

■概要:家族の健康情報を保存し、外部と共有できるサイト
 
■サイト開始:2007年10月

■会費:無料

■収益源:
・参画企業からの収入(BーB)
・参画企業の有料プログラム販売時の取引手数料(BーB)
・モニタリング機器の販売手数料(アマゾン経由、BーC)

■サイトの特長

特長は、同サイトのトップページに下記のように記載されている。

特長1:家族の健康データを一元管理できる
特長2:様々な人と健康データを共有し、適切に活用できる
特長3:データから気づきを得て、次の行動に役立てることができる



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3つの特長
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●特長1:家族の健康データを一元管理できる

具体的には、家族で一つのIDをもっていれば、全員の記録を家族内のだれ
でも自由に見ることができます。また記録できるデータの対象が広く、
入力方法も楽な点が特長です。

・記録できるデータの対象
医療データ、血圧・血糖値などの生活習慣病データ、フィットネスに関する
行動記録、投薬履歴、医療機関からの電子ファイルなど。

・データ入力の方法
手入力形式と、ヘルスボルト対応のアプリケーションからのデータ連携による
自動入力の2種類があります。現在対応アプリケーションを増やし、
データ連携による自動入力を増やしています。

※ヘルスボルト対応のアプリケーションは、
「健康医療フィットネスアプリケーション」と「健康モニタリング機器アプ
リケーション」の2種類があります。これらのアプリケーションを使って
データを管理していた場合、データをヘルスボルトに連携すること
ができます。
http://www.healthvault.com/personal/websites.html?type=application

※「健康モニタリング機器アプリケーション」では、日本の代表企業である、
オムロンヘルスケア社、タニタ社、A&D社も参画しています。
http://www.healthvault.com/personal/devices.html?type=device


●特長2:様々な人と健康データを共有し、適切に活用できる

具体的には、医師、フィットネストレーナー、栄養士など自分がデータを
見せたい相手に応じて、共有の方法・範囲・期限を自由に設定できます。
細かい設定が自由にできることが特長です。

・共有方法
閲覧のみとするか、書き込みも可能とするか

・共有データの範囲
どのデータまでを共有するか(医療データのみか、フィットネスデータのみか
など自由に範囲を設定)

・期限
何日間共有するか



●特長3:データから気づきを得て、次の行動に役立てる(記録の価値化)

3番目の特長は現サイトで該当箇所が見当りませんでしたが、今後展開が予想
されます。本メルマガの前号で紹介した「Keas」のような記録結果に合わせ
プログラムを紹介するといった機能を入れるか、もしくはこのような企業との
連携を強化していくと思われます。

※前号「健康記録、大航海時代の到来」新たな展開事例「keas(キーアス)」
http://www.healthbizwatch.com/hbw/global/contents/251.html



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スポルツの視点
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■今回は健康データの一元管理・共有化で先行している「Healthvault」の
特長を具体的に見ました。実際にサイトを使ってみると、わかりやすい
シンプルなナビゲーションが印象的でした。

■日本でも、健康記録の一元管理(データがバラバラで管理しにくい)という
課題があります。健康記録をサービスとして展開する企業が増えれば増える
ほど、「Healthvault」のような一元管理と共有のしくみが必要とされてくる
はずです。



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