【海外ユニーク事例編】拡大する「食品の選択指標NuVal(ヌバル)」
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【海外ユニーク事例編】 拡大する「食品の選択指標NuVal(ヌバル)」
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こんにちは。スポルツの脇本和洋です。
本メルマガ「海外ユニーク事例編」では、日本での新しい健康ビジネスモデル
を考えるヒントをお届けしています。
今回、考えてみたいのは、
「健康に関する商品、サービスはいっぱいあって、どう選んでいいか
よくわからない・・・・・」
という、現在もそしてこれからも考えられる「不満」に対する解決法。
今回紹介する解決法は、食品の選択指標NuVal(ヌバル)。
NuVal(ヌバル)は、健康によい食品をスコア化したもので
スーパーマーケットの食品棚の値札の横に記載されています。
このNuVal(ヌバル)システムは、この4年で全米のスーパーマーケット
1600店に、導入されています。
※NuValシステムのスーパーマーケット店舗「ハイビー」での紹介
NuValシステムを使ったヨーグルトでの比較、ピーナツバターでの比較など、
NuValシステムの使われ方が動画でわかります。
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「NuVal(ヌバル)」指標を運営する企業
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■運営企業名:NuVal LLC
・Topco Associates LLC(共同購買組織:日本でいう生協のような組織)
・Griffin Hospital(Yale-Griffin Prevention Research Center研究機関)
という2組織のジョイントベンチャー(合弁企業)
提携機関としてYale University School of Medicine(エール大学医学部)
がある
■設立:2008年
■ターゲット:より健康的な食生活に興味のある人
■ミッション:包括的な栄養情報をスコアで提供することで、健康に良い
食品を簡単に選べるよう支援する
(NuVal LLC is dedicated to making good nutrition easy by providing
comprehensive nutritional information in a single number)
■サービス:NuValシステムの導入サービス
■売り先:スーパーマーケット、小中高校などの教育機関
■売上:非公開
■実積:Kroger、Meijer、Hy-Veeなどの食品スーパー30社が導入している。
(店舗数としては、1600以上)
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NuValスコアの換算方式
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NuValでは、食品個々の栄養情報を単一のスコア(1から100点まで)で
示します。
●ポイント換算の方程式
基本は「体に良いもの」÷「体に悪いもの」で計算しており、
「その他の要素」も独自の係数にしてあり、計算式に含める。
●体に良いもの(Numerator Nutrients)
食物繊維、葉酸、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンD、カリウム、カルシウム、
亜鉛、オメガ3脂肪酸、生体フラボン、カロチノイド、マグネシウム、鉄分など
●体に悪いもの(Denominator Nutrients)
飽和脂肪、トランス脂肪酸、塩分、糖分、コレステロールなど
●その他の要素
タンパク質の質、脂肪の質、グリセミック負荷、エネルギー密度など
※NuValの算出に必要な栄養素は、食品の栄養ラベルに表示されているものの
範囲であり、表示されていないものがある場合、NuValのスコアが不正確に
なる。あくまで、食品のもつ全般的な健康度合といった指標になる。
・食品ごとのスコア例
(生鮮食品から加工品まで様々な食品がスコア化されている)
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NuValスコアの特徴
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利用者と店舗側のメリットをまとめると以下になります。
<利用者のメリット>
■Simple:わかりやすい
■Inclusive:多くの食品が同じスコア表示なので、異種食品を比べやすい
■Convenient:便利。商品タグに載っているので、見やすい、比較しやすい
■Objective:客観性。食品メーカーなどがスコア作成に加わっていない
■Value-focused:価値重視。高価で健康に良いものはたくさんあるが、
低価格でも健康に良いものを購入するために役立つ
細かい栄養ラベルを見なくても、どれが体に良いか、一目みてわかる。
買いたい食品と同類のもので、より体に良い代替食品を選べるというものです。
<店舗側のメリット>
●健康志向を持つ買い物客に対して、選択支援を行うことで、商品販売数を
増やせる
●NuVal導入でより「健康に配慮した商品を取り扱うお店」というイメージを
顧客にもってもらえる
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ビジネスモデルのヒント:今後、「選択指標」をいかにビジネスにするか?
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■実はNuValのような食品の選択指標が、米国にはあと一つ存在しています。
「Guiding Stars」というもので、これは3段階で全食品を評価し、選びやすく
しています。
■このように選択指標を作り「選択を支援する」ことは、日本ではまだあまり
見られない、新しい価値として注目したいところです。
■また、この公平性の高い選択指標を使って、最終的には自社商品の販売拡大
を狙う「Topco(日本でいう生協)」という親会社の存在も見えてきます。
■「Topco」は、公平性の高い選択指標を自社の名前がでないジョイントベン
チャー形式でたちあげ、そこで開発した指標を、自社と近い業界(スーパー
マーケット)や教育機関に販売する。
■その後、NuValが話題になるにつれ、NuValを行っているのが「Topco」である
ことの訴求を広げ、自社の食品に対する健康ブランド力を高め、自社商品の
販売拡大を狙うというわけです。
■選択の支援をいかにビジネスにするか?は今後も課題になるでしょうが、
そのヒントになる事例と言えます。
<編集人:脇本 和洋(わきもと かずひろ)>
・株式会社スポルツ ディレクター
・メールマガジン「海外ユニーク事例編」の編集を14年行う
・健康業界の事業企画部門の方を中心にイノベーションを起こす手伝いをする
※選択の指標をビジネスにして、今や世界最大の健康サービスに成長したのが
「ウェイトウォッチャーズ」です、この事例もぜひチェックしてください。
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