ダイエット市場
───────────────────────────────────
「日米ダイエット市場の分類、ダイエット食品市場の分類・動向、
ライフタイム分析による新商品開発」(米国最新トレンド)───────────────────────────────────
<<今月のテーマ>>
人々の健康志向が高まるとともに順調な拡大を続ける市場のひとつとして、
ダイエット関連市場があります。この市場は食品、機器、情報サービスなど
分野が幅広く巨大な市場です。今月号ではダイエット関連市場を分類し、
ダイエット食品市場を中心に日米の市場動向を俯瞰的に整理してみたく思い
ます。尚、今月は配信が少々遅れましたことをお詫び申しあげます。
※参考:「男のダイエットビジネス」可能性研究レポート
http://www.project-garage.com/hbr/theme/repo_men_diet.php
.........................................................................................................
【基本情報--日米の肥満度比較】
.........................................................................................................
まず、ダイエット市場を理解する基本情報として日米の肥満度を比較して
みたいと思います。
肥満度は国際的にBMI(BODY MASS INDEX=体重/身長/身長)という数値が
使われます。
(例えば体重75kgで身長が175センチの人のBMIは75÷1.75÷1.75=22.9と
なり、国際的な肥満の基準値は25~30以上になっています。)
<日本人>
厚生省がまとめた「1996年国民栄養調査」によると日本人の肥満度は21%と
なっています。
また、ダイエット市場を支える20代女性では「肥満の人」は約5%と少なく、
肥満度がマイナス10%未満の「やせ型の人」が44%を占めています。女性
全体では11%が「ダイエットしている」と答えており、その内訳をみると、
ダイエットが必要でない女性(やせ型の人、普通の人)が75%を占め、
ダイエットが必要な肥満の人は25%に過ぎません。
つまり、日本の女性のダイエット市場はダイエットをすべき肥満の女性より
もダイエットの必要のない女性(やせ型の人、普通の人)が中心の市場と
言えそうです。
<アメリカ人>
マーケットインテル社の調査によるとアメリカ人の肥満度は1994年で68%で
あり、1983年の58%から10%も上昇しています。また、男女を合わせた全体
の54%の人がダイエットをしたいと答えています。アメリカは世界中で肥満
の人が一番多い国と言われ、そのためダイエット関連の商品開発が最先端を
行っており、市場の大きさについても容易に理解できます。
.........................................................................................................
【ダイエット関連市場の分類】
.........................................................................................................
ダイエット関連市場を理解する上で市場の分類は非常に重要と思われます。
今回はダイエットを行いたいと思った消費者の行動モデルをヒントに市場を
分類してみました。
ダイエットを行いたいと思った人の行動モデル
「ダイエットを行いたいと思うきっかけが生まれる」
↓
「ダイエットに関する情報を収集し、自分のダイエット方法について決める」
↓
「摂取カロリーを減らす」または(同時に)「消費カロリーを上げる」
行動をする
↓
「ダイエットの効果があったか確認する」
<ダイエット関する情報提供市場>
●書籍・ビデオ等(運動・食事などの方法を書いた本、雑誌など)
●アドバイスサービス(インターネット上でのアドバイスなど)
ダイエットを行いたい消費者(ダイエットに失敗した消費者)の悩みの
ひとつは、「世の中にダイエットの方法は過剰に紹介されており、自分に
とってどのダイエット方法が合うのかわからない」という点があると思い
ます。米国ではインターネットを通じた個別アドバイスサービスをはじめ
この情報提供市場が進んでおり、今後日本でも市場が大きくなる可能性が
あります。
<摂取カロリーを減らす市場>
●ダイエット食品(詳細は以下に記載)
<消費カロリーを上げる市場>
●運動機器・運動サポートグッズ(エアロバイク、ステッパー、チューブ、
ダンベル、歩数計など)
●美容施設(エステティックサロン、整体エステ、サウナ、タラソテラピー
など)
●運動施設(アスレチッククラブ、ボクシングジム、スイミングクラブなど)
●化粧品(レッグスプレー、とうがらしパック、ボディージェルなど)
●その他アイデアグッズ(アルミサウナラップ、スリミング、サンダルなど)
<ダイエット効果を確認する市場>
●測定機器(体重計、体脂肪計など)
<その他隣接市場>
ダイエット関連市場に隣接する市場として
●美容市場
●リラックス市場
●スポーツ市場
●医療市場
などが考えられます。市場が一部重なることも考えられるので、これらの
市場も今後考慮する必要がありそうです。
.........................................................................................................
【ダイエット食品市場の分類とトレンド】
.........................................................................................................
ダイエット関連市場の分類に続き、今月のテーマのひとつであるダイエット
食品市場の分類とその動向を追ってみたいと思います。
<日本市場の分類>
日本のダイエット食品(以下飲料を含む)は脂肪、糖分、油分などを低く
した「成分オフタイプ」とダイエットに効果のあるガルシニアなどの成分を
配合した「成分配合タイプ」に分けることができます。この2つのタイプに
ついて市場動向をまとめてみます。
●成分オフタイプ
1995年から1998年までの市場規模は約1,930億から3,720億まで拡大していま
す。成分オフタイプは低脂肪型、低糖型、低油分型の3つの型に分けることが
でき、市場推移と推移の特徴を以下にまとめました。
○市場推移
1990年まで:低糖型(ジャム、炭酸飲料)、低油分(ドレッシング、ツナ缶、
めん類)により拡大
1990年~1995年:低脂肪型(バター、チーズ、乳性飲料、ヨーグルト)により
拡大
1995年~1999年:低糖型(ビスケット、キャンディー、アイスクリーム、健康
飲料、果実飲料、嗜好飲料)、低油分型(菓子)により拡大
○市場推移の特徴
・約5年周期で(低糖型+低油分型)と低脂肪型が交互にトレンドになって
います。この順番でいくと2000年以降の5年間は低脂肪型の商品により市場
が更に拡大する可能性があります。(最新の日経流通新聞ヒットチャートでは
明治乳業の低脂肪乳が9月1日より1位を続けていることもその兆候かも知れま
せん)
・ある特定のカロリーオフ成分が発見され、使用の許可がおりると多様な
食品に応用されその市場は1~2年で急成長し、成熟期に達する傾向があり
ます。(1990年から1995年にかけてキシリトールが許可になるとビスケット、
キャンディー、アイスクリーム、飲料など多様な食品に応用され、各商品は
1~2年で成熟期に達しています)
・開発のポイントとしては今後どのようなカロリーオフ成分が現れるかを常に
トレースしておくことと思われます。(薬事法の関係で日本で許可されていな
いダイエットピルなどが米国では許可されているなど米国で実証済みで日本で
販売されていないダイエット食品・成分はたくさんあります)また、ほとんど
の市場がすぐに成熟してしまうという特徴から考え、成熟期における商品戦略
のポイント(ターゲットの細分化と用途の拡大)についてあらゆる視点で考え
ておく必要があると思います。
●成分配合タイプ
1995年から1998年までの市場規模は約1,273億から1,633億まで拡大してい
ます。成分配合タイプは「整腸・快便促進型」、「特殊成分(ガルシニア、
ギムネマ、キトサンなど)入り」、「消費カロリーアップ型(基礎代謝向上
や脂肪燃焼をサポートする)」の3つの型に分けることができ、市場推移と
推移の特徴を以下にまとめました。
○市場推移
1990年まで:整腸型(マンナン、オオバコ、乳酸菌、プルーン、ビタミンC、
ローヤルゼリー、オリゴ糖、食物繊維入り)により拡大
1990年~1995年:特殊成分入り(ギムネマ入り)、消費カロリーアップ型
(アミノ酸)により拡大
1995年~1999年:整腸型(アロエ)、特殊成分入り(ガルシニア入り)により
拡大
○市場推移の特徴
・約5年周期で市場の拡大に貢献する商品がでてきています。ガルシニアが
発売されすでに4年ほど経過しており、次の市場拡大商品として特殊成分入り
(キトサン)、消費カロリーアップ型(明治乳業から発売されている脂肪燃焼
をサポートする飲料「ヴァーム」やカプサイシンの発汗作用を利用した
とうがらしタブレットなど)が注目を浴びています。「ヴァーム」に関しては
運動前に飲むと消費カロリーを増すという使われ方をしており、その点が
今までにないアピールポイントになっていると思われます。
・ギムネマ、ガルシニアはともに米国で流行し、数年後に日本での使用許可が
おり、その成分を利用した多種多様な食品、飲料、錠剤が発売されることに
より市場は成長しています。つまり、海外の動向を正確にトレースしておけ
ば、日本での次のトレンドはある程度読めると言えそうです。
<米国市場の動向>
アメリカのダイエット食品・飲料の分類としては以下の5つが考えられます。
●low-calorie foods(ローカロリー食品)
●sugar-free product(低糖食品)
●reduced-fat product(低脂肪食品)
●dietary supplement(ダイエットサプリメント)
●diet soft drinks(ダイエット飲料)
ダイエット食品の市場規模は1995年で29billionドル(約2兆9千億円:日本の
約10倍)あり、2000年には40billionドル(約4兆円)になると予測されてい
ます。マーケットのリーダー企業はBorden、ConAgra、CPC、Hintz、Coca-Cola、
Mars,Nabisco,PepsiCoなどと言われています。
アメリカ人の肥満度の高さを受け、国家健康推進プロジェクト「healthy
people2000」ではダイエットが非常に重要なテーマに位置づけており、
具体的には2000年までに5000アイテムのダイエット食品を開発するという
目標を立てています。(この目標は1999年9月の段階ですでに達成されてい
ます)
また、アメリカでは公的なダイエットに関する機関(日本で言う財団)が
充実しています。
<ダイエット関連の主な財団>
●American Dietetic Association
●Shape Up America
●U.S.Dietary Guideline
●OfficeOf Dietary Supplement
●Caloroie Contorol Council
これらの財団は一般消費者に向けてダイエットに関する最新情報を提供して
おり、ダイエット食品関連ではではOfficeOf Dietary Supplementがダイエット
サプリメントの情報を、Caloroie Contorol Councilがダイエット食品
(ローカロリー食品など)の情報をわかりやすく提供しています。
■今後のダイエット市場での商品開発のポイントは
日本のダイエット食品の分析からわかるように多くのダイエット関連市場の
商品は成熟期に達していると思われます。成熟期における商品開発のポイント
として使用シュチュエーションの開発があります。例えば、生活時間との関連
を考えてみてはどうでしょうか。
以下にNHK生活時間調査調査に基づいて生活時間を3つ分類してみます。
<生活時間の分類>
●必要時間
食事、身支度、洗面、便所、入浴、歯磨き、睡眠、療養・静養
●拘束時間
仕事机上(OA)事務、仕事のつきあい の飲酒、自動車の運転乗物(普通歩行)
での通勤/通学/移動、学業(学校生活)、家事<炊事、洗濯、掃除、炊事
(準備、片付け)、洗濯、買い物、自転車、子供の世話 >
●自由時間
趣味・娯楽、読書、家庭菜園、草むしり、生花、麻雀、楽器演奏、スポーツ
(ウォーキング ボーリング、テニスゲートボール、ジョギング、ゴルフ、
サイクリング 、筋力トレーニング、エアロビ、 ランニングハイキング、
スケート、スキー、水泳など)、会話・交際、休息・談話、社会参加/ボラン
ティア、マスメディア接触
<行動タイミングによる分類>
また、生活時間を更に細分化する手段として、その行動の前、最中、後という
分け方をすることも可能です。つまり、ライフタイムマーケティングという
新しい視点を活かすとおもしろいと思います。
生活時間の分類、行動タイミングによる分類を使って、
・トイレの最中にかむと便が出やすくなるガム
・入浴の最中になめると発汗量があがるアメ
・食事中に使うと食欲を抑える効果のある調味料、ふりかけ
・食事の後に食べるダイエットの効果のある特殊成分を入れたデザート
・あらゆる運動中にかむとカロリー消費量が上がるガム
などの開発アイデアが出てきます。
■まとめ
今月号では日米のダイエット関連市場とダイエット食品市場を俯瞰的に分析
してみました。
アメリカでは肥満度が非常に高いこと(日本の約3倍)、ダイエット食品の
市場規模が日本の10倍であること、国家的なプロジェクトにダイエット食品
開発が組み込まれていることから推測して、ダイエット商品の開発に関して
はかなり進んでいると思われます。
来月号からは具体的に今後注目すべきカテゴリーごとに具体的な商品分析を
行うつもりです。
今回のレポートに使った情報源を以下に掲載しておきます。
■情報源一覧(ホームページ)
・平成8年国民栄養調査結果の概要
http://www.mhw.go.jp/search/docj/toukei/eiyou/t0502-1.html
・Caloroie Contorol Council(カロリーコントロール協会)
http://www.caloriecontrol.org/
・Office Of Dietary Supplement(ダイエットサプリメント協会)
http://odp.od.nih.gov/ods/default.html
・US Weight Loss & Diet Control Market Dieter Demographics(Market
Enterprize社)
・US Weight Loss & Diet Control Market Low-Calorie Foods(Market
Enterprize社)
■情報源一覧(参考資料)
・98食品要覧シリーズNO4ダイエット&ビューティ市場(富士経済)
・食品と開発「低カロリー・ダイエット食品市場を探る」vol32
・食品と開発「健康食品の市場動向と素材・技術研究」vol34
・食品工業「健康・栄養食品をめぐる最近の動向」1998.12.15
※参考:「男のダイエットビジネス」可能性研究レポート
http://www.project-garage.com/hbr/theme/repo_men_diet.php
●ダイエット食品の特集テーマを募集!
今後数回にわたり、上記の成分オフタイプ、成分配合タイプの中から食品カテ
ゴリーを選び、具体的商品分析を行う予定です。特集してほしい商品(ガム、
冷凍食品、飲料など)がありましたらお知らせください。優先的に特集を組ん
でいきたいと思います。
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「日米ダイエット市場の分類、ダイエット食品市場の分類・動向、
ライフタイム分析による新商品開発」(米国最新トレンド)───────────────────────────────────
<<今月のテーマ>>
人々の健康志向が高まるとともに順調な拡大を続ける市場のひとつとして、
ダイエット関連市場があります。この市場は食品、機器、情報サービスなど
分野が幅広く巨大な市場です。今月号ではダイエット関連市場を分類し、
ダイエット食品市場を中心に日米の市場動向を俯瞰的に整理してみたく思い
ます。尚、今月は配信が少々遅れましたことをお詫び申しあげます。
※参考:「男のダイエットビジネス」可能性研究レポート
http://www.project-garage.com/hbr/theme/repo_men_diet.php
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【基本情報--日米の肥満度比較】
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まず、ダイエット市場を理解する基本情報として日米の肥満度を比較して
みたいと思います。
肥満度は国際的にBMI(BODY MASS INDEX=体重/身長/身長)という数値が
使われます。
(例えば体重75kgで身長が175センチの人のBMIは75÷1.75÷1.75=22.9と
なり、国際的な肥満の基準値は25~30以上になっています。)
<日本人>
厚生省がまとめた「1996年国民栄養調査」によると日本人の肥満度は21%と
なっています。
また、ダイエット市場を支える20代女性では「肥満の人」は約5%と少なく、
肥満度がマイナス10%未満の「やせ型の人」が44%を占めています。女性
全体では11%が「ダイエットしている」と答えており、その内訳をみると、
ダイエットが必要でない女性(やせ型の人、普通の人)が75%を占め、
ダイエットが必要な肥満の人は25%に過ぎません。
つまり、日本の女性のダイエット市場はダイエットをすべき肥満の女性より
もダイエットの必要のない女性(やせ型の人、普通の人)が中心の市場と
言えそうです。
<アメリカ人>
マーケットインテル社の調査によるとアメリカ人の肥満度は1994年で68%で
あり、1983年の58%から10%も上昇しています。また、男女を合わせた全体
の54%の人がダイエットをしたいと答えています。アメリカは世界中で肥満
の人が一番多い国と言われ、そのためダイエット関連の商品開発が最先端を
行っており、市場の大きさについても容易に理解できます。
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【ダイエット関連市場の分類】
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ダイエット関連市場を理解する上で市場の分類は非常に重要と思われます。
今回はダイエットを行いたいと思った消費者の行動モデルをヒントに市場を
分類してみました。
ダイエットを行いたいと思った人の行動モデル
「ダイエットを行いたいと思うきっかけが生まれる」
↓
「ダイエットに関する情報を収集し、自分のダイエット方法について決める」
↓
「摂取カロリーを減らす」または(同時に)「消費カロリーを上げる」
行動をする
↓
「ダイエットの効果があったか確認する」
<ダイエット関する情報提供市場>
●書籍・ビデオ等(運動・食事などの方法を書いた本、雑誌など)
●アドバイスサービス(インターネット上でのアドバイスなど)
ダイエットを行いたい消費者(ダイエットに失敗した消費者)の悩みの
ひとつは、「世の中にダイエットの方法は過剰に紹介されており、自分に
とってどのダイエット方法が合うのかわからない」という点があると思い
ます。米国ではインターネットを通じた個別アドバイスサービスをはじめ
この情報提供市場が進んでおり、今後日本でも市場が大きくなる可能性が
あります。
<摂取カロリーを減らす市場>
●ダイエット食品(詳細は以下に記載)
<消費カロリーを上げる市場>
●運動機器・運動サポートグッズ(エアロバイク、ステッパー、チューブ、
ダンベル、歩数計など)
●美容施設(エステティックサロン、整体エステ、サウナ、タラソテラピー
など)
●運動施設(アスレチッククラブ、ボクシングジム、スイミングクラブなど)
●化粧品(レッグスプレー、とうがらしパック、ボディージェルなど)
●その他アイデアグッズ(アルミサウナラップ、スリミング、サンダルなど)
<ダイエット効果を確認する市場>
●測定機器(体重計、体脂肪計など)
<その他隣接市場>
ダイエット関連市場に隣接する市場として
●美容市場
●リラックス市場
●スポーツ市場
●医療市場
などが考えられます。市場が一部重なることも考えられるので、これらの
市場も今後考慮する必要がありそうです。
.........................................................................................................
【ダイエット食品市場の分類とトレンド】
.........................................................................................................
ダイエット関連市場の分類に続き、今月のテーマのひとつであるダイエット
食品市場の分類とその動向を追ってみたいと思います。
<日本市場の分類>
日本のダイエット食品(以下飲料を含む)は脂肪、糖分、油分などを低く
した「成分オフタイプ」とダイエットに効果のあるガルシニアなどの成分を
配合した「成分配合タイプ」に分けることができます。この2つのタイプに
ついて市場動向をまとめてみます。
●成分オフタイプ
1995年から1998年までの市場規模は約1,930億から3,720億まで拡大していま
す。成分オフタイプは低脂肪型、低糖型、低油分型の3つの型に分けることが
でき、市場推移と推移の特徴を以下にまとめました。
○市場推移
1990年まで:低糖型(ジャム、炭酸飲料)、低油分(ドレッシング、ツナ缶、
めん類)により拡大
1990年~1995年:低脂肪型(バター、チーズ、乳性飲料、ヨーグルト)により
拡大
1995年~1999年:低糖型(ビスケット、キャンディー、アイスクリーム、健康
飲料、果実飲料、嗜好飲料)、低油分型(菓子)により拡大
○市場推移の特徴
・約5年周期で(低糖型+低油分型)と低脂肪型が交互にトレンドになって
います。この順番でいくと2000年以降の5年間は低脂肪型の商品により市場
が更に拡大する可能性があります。(最新の日経流通新聞ヒットチャートでは
明治乳業の低脂肪乳が9月1日より1位を続けていることもその兆候かも知れま
せん)
・ある特定のカロリーオフ成分が発見され、使用の許可がおりると多様な
食品に応用されその市場は1~2年で急成長し、成熟期に達する傾向があり
ます。(1990年から1995年にかけてキシリトールが許可になるとビスケット、
キャンディー、アイスクリーム、飲料など多様な食品に応用され、各商品は
1~2年で成熟期に達しています)
・開発のポイントとしては今後どのようなカロリーオフ成分が現れるかを常に
トレースしておくことと思われます。(薬事法の関係で日本で許可されていな
いダイエットピルなどが米国では許可されているなど米国で実証済みで日本で
販売されていないダイエット食品・成分はたくさんあります)また、ほとんど
の市場がすぐに成熟してしまうという特徴から考え、成熟期における商品戦略
のポイント(ターゲットの細分化と用途の拡大)についてあらゆる視点で考え
ておく必要があると思います。
●成分配合タイプ
1995年から1998年までの市場規模は約1,273億から1,633億まで拡大してい
ます。成分配合タイプは「整腸・快便促進型」、「特殊成分(ガルシニア、
ギムネマ、キトサンなど)入り」、「消費カロリーアップ型(基礎代謝向上
や脂肪燃焼をサポートする)」の3つの型に分けることができ、市場推移と
推移の特徴を以下にまとめました。
○市場推移
1990年まで:整腸型(マンナン、オオバコ、乳酸菌、プルーン、ビタミンC、
ローヤルゼリー、オリゴ糖、食物繊維入り)により拡大
1990年~1995年:特殊成分入り(ギムネマ入り)、消費カロリーアップ型
(アミノ酸)により拡大
1995年~1999年:整腸型(アロエ)、特殊成分入り(ガルシニア入り)により
拡大
○市場推移の特徴
・約5年周期で市場の拡大に貢献する商品がでてきています。ガルシニアが
発売されすでに4年ほど経過しており、次の市場拡大商品として特殊成分入り
(キトサン)、消費カロリーアップ型(明治乳業から発売されている脂肪燃焼
をサポートする飲料「ヴァーム」やカプサイシンの発汗作用を利用した
とうがらしタブレットなど)が注目を浴びています。「ヴァーム」に関しては
運動前に飲むと消費カロリーを増すという使われ方をしており、その点が
今までにないアピールポイントになっていると思われます。
・ギムネマ、ガルシニアはともに米国で流行し、数年後に日本での使用許可が
おり、その成分を利用した多種多様な食品、飲料、錠剤が発売されることに
より市場は成長しています。つまり、海外の動向を正確にトレースしておけ
ば、日本での次のトレンドはある程度読めると言えそうです。
<米国市場の動向>
アメリカのダイエット食品・飲料の分類としては以下の5つが考えられます。
●low-calorie foods(ローカロリー食品)
●sugar-free product(低糖食品)
●reduced-fat product(低脂肪食品)
●dietary supplement(ダイエットサプリメント)
●diet soft drinks(ダイエット飲料)
ダイエット食品の市場規模は1995年で29billionドル(約2兆9千億円:日本の
約10倍)あり、2000年には40billionドル(約4兆円)になると予測されてい
ます。マーケットのリーダー企業はBorden、ConAgra、CPC、Hintz、Coca-Cola、
Mars,Nabisco,PepsiCoなどと言われています。
アメリカ人の肥満度の高さを受け、国家健康推進プロジェクト「healthy
people2000」ではダイエットが非常に重要なテーマに位置づけており、
具体的には2000年までに5000アイテムのダイエット食品を開発するという
目標を立てています。(この目標は1999年9月の段階ですでに達成されてい
ます)
また、アメリカでは公的なダイエットに関する機関(日本で言う財団)が
充実しています。
<ダイエット関連の主な財団>
●American Dietetic Association
●Shape Up America
●U.S.Dietary Guideline
●OfficeOf Dietary Supplement
●Caloroie Contorol Council
これらの財団は一般消費者に向けてダイエットに関する最新情報を提供して
おり、ダイエット食品関連ではではOfficeOf Dietary Supplementがダイエット
サプリメントの情報を、Caloroie Contorol Councilがダイエット食品
(ローカロリー食品など)の情報をわかりやすく提供しています。
■今後のダイエット市場での商品開発のポイントは
日本のダイエット食品の分析からわかるように多くのダイエット関連市場の
商品は成熟期に達していると思われます。成熟期における商品開発のポイント
として使用シュチュエーションの開発があります。例えば、生活時間との関連
を考えてみてはどうでしょうか。
以下にNHK生活時間調査調査に基づいて生活時間を3つ分類してみます。
<生活時間の分類>
●必要時間
食事、身支度、洗面、便所、入浴、歯磨き、睡眠、療養・静養
●拘束時間
仕事机上(OA)事務、仕事のつきあい の飲酒、自動車の運転乗物(普通歩行)
での通勤/通学/移動、学業(学校生活)、家事<炊事、洗濯、掃除、炊事
(準備、片付け)、洗濯、買い物、自転車、子供の世話 >
●自由時間
趣味・娯楽、読書、家庭菜園、草むしり、生花、麻雀、楽器演奏、スポーツ
(ウォーキング ボーリング、テニスゲートボール、ジョギング、ゴルフ、
サイクリング 、筋力トレーニング、エアロビ、 ランニングハイキング、
スケート、スキー、水泳など)、会話・交際、休息・談話、社会参加/ボラン
ティア、マスメディア接触
<行動タイミングによる分類>
また、生活時間を更に細分化する手段として、その行動の前、最中、後という
分け方をすることも可能です。つまり、ライフタイムマーケティングという
新しい視点を活かすとおもしろいと思います。
生活時間の分類、行動タイミングによる分類を使って、
・トイレの最中にかむと便が出やすくなるガム
・入浴の最中になめると発汗量があがるアメ
・食事中に使うと食欲を抑える効果のある調味料、ふりかけ
・食事の後に食べるダイエットの効果のある特殊成分を入れたデザート
・あらゆる運動中にかむとカロリー消費量が上がるガム
などの開発アイデアが出てきます。
■まとめ
今月号では日米のダイエット関連市場とダイエット食品市場を俯瞰的に分析
してみました。
アメリカでは肥満度が非常に高いこと(日本の約3倍)、ダイエット食品の
市場規模が日本の10倍であること、国家的なプロジェクトにダイエット食品
開発が組み込まれていることから推測して、ダイエット商品の開発に関して
はかなり進んでいると思われます。
来月号からは具体的に今後注目すべきカテゴリーごとに具体的な商品分析を
行うつもりです。
今回のレポートに使った情報源を以下に掲載しておきます。
■情報源一覧(ホームページ)
・平成8年国民栄養調査結果の概要
http://www.mhw.go.jp/search/docj/toukei/eiyou/t0502-1.html
・Caloroie Contorol Council(カロリーコントロール協会)
http://www.caloriecontrol.org/
・Office Of Dietary Supplement(ダイエットサプリメント協会)
http://odp.od.nih.gov/ods/default.html
・US Weight Loss & Diet Control Market Dieter Demographics(Market
Enterprize社)
・US Weight Loss & Diet Control Market Low-Calorie Foods(Market
Enterprize社)
■情報源一覧(参考資料)
・98食品要覧シリーズNO4ダイエット&ビューティ市場(富士経済)
・食品と開発「低カロリー・ダイエット食品市場を探る」vol32
・食品と開発「健康食品の市場動向と素材・技術研究」vol34
・食品工業「健康・栄養食品をめぐる最近の動向」1998.12.15
※参考:「男のダイエットビジネス」可能性研究レポート
http://www.project-garage.com/hbr/theme/repo_men_diet.php
●ダイエット食品の特集テーマを募集!
今後数回にわたり、上記の成分オフタイプ、成分配合タイプの中から食品カテ
ゴリーを選び、具体的商品分析を行う予定です。特集してほしい商品(ガム、
冷凍食品、飲料など)がありましたらお知らせください。優先的に特集を組ん
でいきたいと思います。
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