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[モバイルヘルス&アプリ動向編]2018年3月13日号
 
   ≫≫≫Author:渡辺武友
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モバイルヘルス担当の渡辺武友です。
4月18日から20日の3日間「ヘルスケアIT」が開催されます。
今年も健康経営に関するセッションが多く開催されます。
スポルツでも2つのセッションで事例を紹介します。
 
 
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【1】特集:モバイルヘルス&アプリ動向編
---「2018年における健康経営」
 
【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
---「サービスは完成しないし、在庫もできない」
 
【3】今週の注目デジクリップ!
---国内 睡眠関連サービス、海外 網膜画像で心疾患リスク予測など、11本
 
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【1】特集:モバイルヘルス&アプリ動向編
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<テーマ>2018年における健康経営
 
 
日本では2009年頃からはじまった健康経営も、すでに8年が過ぎ、先行する企業が結果を出してきています。
 
例えば、伊藤忠商事は働き方改革、健康経営などの取組みを約6年に渡り試行錯誤し、“全員健康経営”を実施してきた結果、総合商社の中で一人あたりの純利益がトップになるなど、経営に大きく貢献してきました。
 
今回は、スタートから8年経った現時点での健康経営はどうあるべきかを整理してみましょう。
 
 
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企業における健康経営の位置付け
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健康経営に関連したサービス提供の告知で、「健康経営により医療費削減」との謳い文句をよく見かけます。
医療費削減と一言で言っても、誰にとっての医療費削減なのかが明確になっていないことが多いようです。
従業員個人のためなのか?企業や健保の財政面なのか?または国の医療費負担軽減に貢献することなのか?
 
健康経営に先行して取組んでいる企業や先進健保にお話しを聞くと以下のコメントをいただくことがあります。
 
「特定の取組みにより、従業員個人負担の削減、企業としては対象者への医療費負担の削減はできます。しかし、その取組みに対する費用負担や新たな対象者の出現、予測できない希少性疾患者の発見などが重なるので、企業全体としての医療費削減までは難しいです」
 
企業として“従業員に還元することが健康経営”と捉えるならよいでしょう。
しかし、企業全体としての医療費削減が目的であるなら、適した効果まで導き出すには1つの取組みでは足りないのが実態です。
 
 
<< 健康経営では何を目指すべきか? >>
 
企業によって経営上の課題やその対応策が違うのが当たり前なように、健康経営においても課題と解決方法、そして評価方法は変わってきます。
他社が出した結果は、その企業が出したかった効果であって、自社が出したい効果とイコールではありません。
健康施策でできることを考える前に、
 
経営(戦略など)の課題は何なのか?
それを解決する人材はどうあるべきか?
適した人材になるためには何が必要か?
そのために必要な施策は何か?
 
このようにブレイクダウンすることで、適切な健康施策を導き出すことができます。
 
 
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企業ならではのターゲティングとアプローチ
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健康経営を導入したい企業の担当者に要望を聞くと、
 
「健康課題がある従業員(メタボやメンタル予備軍など)を狙い撃ちでアプローチしたい」
 
と言われることがあります。
費用対効果を考えた場合、最もな要望です。
 
しかし、そのような対象者は健康行動が苦手だったり、続かない人が多く、強制でやらせようとしても、やらない、やっても継続しないケースがほとんどです。
 
・企業担当者の想い
身体の状態がよくないので、会社がお金を出してあげるから健康になるように。
 
・対象者の想い
仕事が忙しく、それどころではない。そこまで体調も悪くないので、今はやりたくない。時間があったら休みたい。
 
このように立場の違いによる価値観の差が生じます。
 
 
<< 企業組織ならではのアプローチとは? >>
 
一般的に従業員の心理として、会社からの強制を前向きに捉えるのは難しく、拒否反応の方が強くなりやすい傾向にあります。
 
まずは選択権があることで最初の障壁を低くできます。
参加することで自分に利点があると思えることが大切です。
“手挙げ式”の募集とするのが望ましいでしょう。または、仲間と参加できて楽しい場になると期待できるなら、仲間からの強制も受け入れられるでしょう。
 
それでも一番参加して欲しい対象者が手を挙げないことがあります(課題がある人ほど参加してこないものです)。
それでも企業という組織であればやりようがあります。
 
目的はプログラムに参加してもらうことではなく、健康になってもらうことです。プログラムに参加しなくても、少しずつでも健康意識が芽生え、健康に近づいていけばよいのです。
 
例えば、対象者のチームメンバーがプログラムに参加したことで、体型が改善されたとしましょう。対象者は身近なその人が何で変われたのか気になるものです。
また、体型改善に成功した人の多くは、自分の成功体験を話したいと思っています。
ちょっとしたコミュニケーション(例えば昼食時や飲み会の場で楽しい会話をしているときなど)の場でその体験を聞くことができると、対象者は成功者の体験から、1つ真似してみようと思うことがあります。
 
その積み重ねにより、プログラムに参加していない対象者の数値が改善されて、組織全体の数値が好転している例はすでに起きています。
 
 
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健康経営先行企業の取組みを参考にする
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闇雲に他社事例を探る前に、まずは自社の課題を明確にしてから、先行する企業の取組みで参考になる事例を見ていった方が実施までのスピードアップとなります。
 
冒頭で触れた伊藤忠商事の取組みはヘルスケアITにて、18日(水)、19日(木)の2回講演が行われます。
 
 
伊藤忠の健康経営を実現するソリューションと事例のご紹介
(経営課題ー分析ー施策実施)
4月18日(水)14:15-15:30 A会場
 
伊藤忠商事にて導入中の健康経営施策のご紹介
4月19日(木)13:45-14:15 D会場
 
講演をご聴講されるには、事前登録が必要になります。
来場登録を行い、セミナープログラムページより対象セミナーにチェックを入れて「お申し込み」に進んでください。
 
・来場登録
 
・セミナープログラムページ
18日分
 
19日分
 
人数制限がありますので、早めのお申込みをオススメします。
 
またブース出展もありますので、セミナーに参加できない場合は、直接質問することもできるようです。
この機会をぜひ活用してください。
 
 
 
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【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
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≫≫≫「サービスは完成しないし、在庫もできない」
 
ホテルは施設設備の完成が完成ではない。開業した時からサービスが始まり、日々その品質はアップデイトされていき、それは廃業するまで続く。
 
 
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【3】今週の注目デジクリップ! <11クリップ>
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[1]新潟大学、体力テストが中学校の生活習慣病高リスク者の発見に有用であることを明らかにしました
中学生を対象とした共同研究において、心肺持久力と筋力の両方が低い中学生では、代謝異常リスク(=生活習慣病あるいはメタボ傾向)を有する可能性が相乗的に高くなることを明らかにした。(2018/02/28)
 
[2]日経デジタルヘルスより、デジタルヘルス・レポート:「PeOPLeは、ただのPHRではない」慶応医学部 教授の宮田裕章氏が語る
PeOPLeは、個人の健康な時から疾病や介護の段階までの保健医療データを、その個人を中心にした形で統合した情報基盤のこと。厚生労働大臣のもとに設置された「保健医療分野におけるICT活用推進懇談会」が2016年10月にまとめた提言書で示したコンセプト。(2018/02/28)
 
[3]西川産業とパナソニック、睡眠関連サービスの共同開発を開始
両社は、日中の活動データ、くらしデータ、睡眠データ等から快眠アルゴリズムを開発し、一人ひとりの快適な眠りに寄り添う睡眠関連サービスを提供する。(2018/03/01)
 
[4]日本医療政策機構、「働く女性の健康増進に関する調査2018」(速報版)を発表
ヘルスリテラシーの高い人の方が、1カ月の仕事のパフォーマンスが有為に高かったことから「女性に関するヘルスリテラシーの高さと仕事のパフォーマンスの高さに関連性がある」といった結果を明らかにした。(2018/03/01)
 
[5]エスアールエルとウェルビー、業界初の検査結果/PHR連携サービス「PLANET×マイカルテ」のサービス提供を開始
本サービスでは、診療を行う医療機関で実施した患者の検査結果とPHRのデータを連動させることにより、医師は対面診療時に患者のPHRデータを参照しながら検査結果や電子カルテ等の診療記録を見て、より総合的な治療や指導を行うことが可能となる。(2018/03/01)
 
[6]富士キメラ総研、「働き方改革」に関連した需要も期待されるICT関連のワークスタイル変革ソリューション市場を調査【PDF】
2016年度の市場規模は153億円、2017年度は332億円が見込まれる。さらに、2021年度には2016年度比5.7倍の869億円が予測される。(2018/03/02)
 
[7]日経デジタルヘルスより、デジタルヘルス事例:ユーグレナ、ヘルスケア×IT領域に本格参入
ユーグレナ・マイヘルスのブランドで新たなヘルスケア事業を開始。第1弾は、遺伝子解析サービス。また、さまざまなベンチャー企業とタッグを組んだサービスを段階的に拡大していく計画(尿検査・腸内フローラ解析・オンライン個別医療相談)。(2018/03/03)
 
[8]メドピアグループ、スギ薬局グループと業務資本提携
両社グループが協業することにより、健康・医療・介護領域におけるネットとリアルを融合した統合型プラットフォームを創出し「IT×地域密着」を軸とした独自の予防・医療サービスを開発・提供することを目指す。(2018/03/05)
 
[9]東急スポーツオアシス、WEBGYMにて「ラジオ体操第一」の提供を開始
WEBGYMでは、毎朝6時から7時の間に「ラジオ体操第一」を実施することを推奨し、日々運動する時間を作れない忙しい人でも、毎朝早起きするだけで運動習慣が身に付くライフスタイルの提供を行う。(2018/03/06)
 
[10]Google、ディープラーニング技術で網膜画像から心疾患リスクを予測
網膜眼底画像には目の血管も写る。論文によると、この血管の画像を利用することで、心血管疾患の危険因子を正確に予測できるという。そうした因子には、喫煙習慣の有無、血圧、年齢、性別、心臓発作の病歴などが含まれる。(2018/03/01)
 
[11]mHealthWatch注目ニュース:Phoenix Children病院、iPadを使って娯楽と教育を1つのパッケージで提供
ポイントとなるのは「患者エクスペリエンス」の視点。特に米国では治療するだけでなく、その成果に対して支払いが決まる“CMS”が導入されていますので、トータル的な患者満足度(気持ちの面でもよりよく治療に向かえる)を高めることが重要視されています。(2018/3/12)