[モバイルヘルス&アプリ動向編]次世代デジタルヘルスの要「ヘルスボイステック」
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[モバイルヘルス&アプリ動向編]2018年11月13日号
≫≫≫Author:渡辺 武友
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モバイルヘルス担当の渡辺武友です。
私がここ数年、ヘルステックで最も注目しているのは
『テクノロジー × 音声』です。
それはなぜか?ご覧ください!
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【1】特集:モバイルヘルス&アプリ動向編
---次世代デジタルヘルスの要「ヘルスボイステック」
【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
---「購入がゴールだった」
【3】今週の注目デジクリップ!
---国内 コードレス低周波治療器、海外 AI動向など、9本
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【1】特集:モバイルヘルス&アプリ動向編
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<テーマ>
次世代デジタルヘルスの要「ヘルスボイステック」
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ヘルスケア市場において、アナログの音声サービスの活用は過去から多く存在します。
医師や専門家への電話相談、電話を使ったヘルスコーチングなど、何十年も持続しているサービスもあります。
一方、モバイルヘルスの研究をしている中で“モバイルヘルスで音声の活用が意外とされていない”と気づいたのが6年ほど前でした。
なぜなのか?せっかく会話ができる携帯電話を使ったサービスなのに!
携帯電話に関わらず、他分野では音声の活用は見られます。
例えば、カーナビのようにユーザー支援をするもの、AI登場以前から会話型を成立させているロールプレイングや育成シミュレーションなどのゲームなど。
スマートフォンアプリで音声を取り込んだヘルスケアサービスはいくつかありましたが、ヒットしたのは上記のゲーム要素をうまく組み込んだものに限られていました。
それが大きく変わってきたのが、AIを活用したスマートスピーカーの登場です。
米国ではすでに多くのヘルスボイステックが誕生しています。
※まだ海外でもこの領域のカテゴリーが明確になっていないため、ネーミングもされていないのが現状です。
そこで、『テクノロジー × 音声』のヘルスケアへの活用を「ヘルスボイステック」と呼んで説明したいと思います。
毎月のようにmHealth Watchでヘルスボイステックの記事を掲載しているので、一部紹介しましょう。
『mHealth Watch』注目ニュース:
健康管理のための音声アプリ・スタートアップ
(18/8/20掲載)
『mHealth Watch』注目ニュース:
瞑想アプリ『Headspace』、音声対応AIシステムのAlpine.AIを取得
(18/9/18掲載)
『mHealth Watch』注目ニュース:
Amazon、声の調子に応じて「咳止めドロップ」を勧めるスマートスピーカー特許取得
(18/10/22掲載)
ヘルスボイステックは、GoogleやAmazonなどのIT企業が、医療現場での活用を視野に研究、開発を進めています。
ヘルスボイステックを活用しているのは、メジャー企業だけではありません。
1つ目の記事「健康管理のための音声アプリ・スタートアップ」では、音声を使ったスタートアップを複数紹介しています。
3つの記事それぞれに解説していますので、内容はリンク先から確認いただくとして、ここでは一歩進んだヘルスボイステックの活用をはじめる企業を見ていきます。
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AIを活用して慢性疾患管理を支援するLivongo Health
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Livongo Health,Inc
Livongo Healthは、糖尿病をはじめとした慢性疾患(予備軍含む)の管理をするためにAIを活用したデジタルツールとヘルスコーチングを提供する企業です。
ユーザーに血圧計やグルコースメーターを提供し、日々記録されるデータに異常値があると数分以内にメールや電話で連絡し、生活習慣のアドバイスを行っています。
今回新たにいくつかのサービスを発表しました。その中で注目したいのが、「a voice- and cellular-enabled blood pressure monitoring system」と呼ばれる、携帯電話と連動するボイス機能を備えた血圧計、すなわち「スマート血圧計」と言えるものです。
2019年リリースに向けた予告的な発表のため、まだ詳細はわかりませんが、Livongo HealthのAmar Kendale最高製品責任者のコメントから、以下の特長が挙げられます。
・ユーザーが計測中に音声でコミュニケーションを取る
今までは計測してもらって、データが届いてからコミュニケーションを取るといったものでしたが、計測中の待ち時間に会話を行います。
これにはいくつか利点が見えてきます。
1つは、ユーザーが計測行動をするといった、健康意識が高まっている瞬間をうまく捉えられることです。
もう1つは、通常計測時間は数秒から数十秒といったところですが、毎日計測していると、この待ち時間が長く感じてきて手持ち無沙汰を感じてきますが、この時間を活用することで無駄に時間を取られるようなストレスを与えにくくすることができます。
健康意識が高まっているタイミングですので、Livongo Healthにとっても、適切な情報収集がしやすくなります。
<参考記事>
慢性疾患管理のスタートアップLivongo Health、『Applied Health Signals』を発表
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多くの可能性を秘めたヘルスボイステック
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健康改善における手法として、ヘルスコーチングを何度か紹介していますが、ヘルスコーチングの中で大切なユーザーとのコミュニケーションにおいて、適切な情報提供をしていくためには、ユーザーを知らなければ、その人に何が適した情報か判断できません。
また、短期間のコミュニケーションではないので、ユーザーの体も行動変容ステージも変化していくのに合わせて情報提供していかなければなりません。
そのためには、定期的な情報収集は重要になります。
今回はヘルスボイステックについて紹介しました。
ヘルスボイステックは、スマートスピーカーの普及率からも米国が先行していますが、日本でのスマートスピーカーも着実に浸透してきているとのデータも出てきています。
先行優位性を出せるのは今がチャンスと言えます!
Livongo Healthの取り組みは、ヘルスボイステックの1つの側面に過ぎず、まだ多くの可能性を秘めています。
ぜひチャレンジしていただきたいです。
ヘルスボイスチェックについて検討されたい方はご連絡ください。
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【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
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≫≫≫「購入がゴールだった」
かつてのマーケティングは製品の購入がゴールだったが、今後は購入後の使用価値をいかに高めるかがテーマとなる。これがマーケティング3.0。
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【3】今週の注目デジクリップ! <9クリップ>
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[1]オムロン ヘルスケア、「オムロン コードレス低周波治療器 HV-F602T」新発売
腰などの広範囲のマッサージ効果による痛み治療に適したコードレス低周波治療器。本体は、専用のスマートフォンアプリ「オムロン低周波」を使って、日本で初めてスマートフォンから操作できる。(2018/10/31)
[2]名古屋大学、朝食を抜くと体重が増えるメカニズムは体内時計の異常であることを解明【PDF】
今回の研究で朝食欠食は肝臓時計と体温時計の異常が生じるために体重増加が起こることを明らかにした。毎朝規則正しく朝食を食べることは、体内リズムを正常化して肥満やメタボ、糖尿病、冠動脈心疾患の予防につながる可能性がある。(2018/11/01)
[3]NTTデータ、AIは人間の医師を超えるか?ディープマインドが囲碁の次に目指すのは医療の革新
囲碁AI「AlphaGo」を開発したディープマインドは、医療用製品の開発を計画中。一般的なタイプの眼のスキャンから失明の恐れのある50以上の疾患を医師が検出できるよう支援する製品。ディープマインド AIアルゴリズムがヘルスケア製品に発展する初めての事例。(2018/11/01)
[4]新社会システム総合研究所、健康アライアンス勉強会「シンガポールから見た、日本の健康・アジアのヘルスケア」
開催日は11月21日(水)。APAC地域16カ国で5つのビジネスモデルを展開するMIMSグループを中心とした多くの経験から、市場構造とビジネスモデルの組み合わせの面白さについて、MIMSグループ坂井CEOが講演。
[5]フィリップス、携帯性を向上したCPAP装置「ドリームステーションGo」を取扱開始(PR TIMESより)
出張や外出時にも持ち運びしやすい持続的気道陽圧(CPAP)装置。従来のドリームステーションシリーズから44%小型化、36%軽量化。(2018/11/01)
[6]息を吐いて「代謝」を測定するデバイス『Lumen』
Lumenは「食べ物をエネルギーに変えるメタボリズムは人や日にち、タイミングによって異なる」ことに目をつけて、その時々のメタボリズムを測りながら食事のコーチングをしてくれるプロダクト。(2018/10/31)
[7]AIが乳がんのリスクを予見!MIT、放射線医師と同レベルの診断ができるモデルを構築
米国のマサチューセッツ工科大学とマサチューセッツ総合病院は、乳腺濃度の高い乳房をマンモグラフィーの画像で判断し、がんのリスクを予見するアルゴリズムを開発。(2018/11/01)
[8]AIがアルツハイマー発病を予測?カナダの研究チームが発表
McGill大学の研究チームが、アルツハイマーを予測するAIアルゴリズムを開発。今後5年間に個人の認知機能がアルツハイマー病に悪化する可能性があるかどうかを予測するのに役立てることができる。(2018/11/05)
[9]『mHealth Watch』注目ニュース:糖尿病リスク予測ソフト、「未承認の医療機器」指摘で中止に
厚労省が指摘した点は、「あなた」と個人を特定して発症リスクを表示しているため診断行為にあたるということです。また、「同じ健康状態の人の発症リスクとして示すなら問題ない」と厚労省は修正、改善案も指摘しています。(2018/11/12)
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