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●ビジネスモデル事例 【米国トレンドレポート】

  ~ 米国展示会にみるフィットネス業界のトレンド(2) ~
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 今回も前号に引き続き、米国のフィットネス業界の展示会からトレンドを
追います。今回は、フィットネストレーナー専門の展示会「WORLD FITNESS
IDEA 2002」に注目。

展示会セミナーで紹介された「TAE-BO」「Water Exercise」、今年度のベスト
トレーナー受賞者が提唱する「ジャザサイズ」「チェアエクササイズ」という
4つのプログラムを前半で紹介します。また後半では、米国のフィットネス
プログラムのマクロトレンドをまとめ、今後の日本のフィットネスプログラム
の方向性を探ります。

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■展示会名:WORLD FITNESS IDEA 2002
■開催期間:2002年6月27日~7月2日(米国、サン・ディエゴ)
■サイトURL: http://www.ideafit.com/world.htm
■主催:IDEA Health and Fitness Association
■概要:
IDEAは、世界80国以上で23,000名以上の会員を持つフィットネストレーナー
の会員組織。世界中のインストラクター・企業が参加するセミナーや関連
展示会を運営する。本展示会は、トレーナーが各種プログラムの指導方法を
学び、トレーナー同士の情報交換の場となる年1回の大型イベント。

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【武道+ボクシング「TAE-BO」】気軽にストレス解消できるプログラム

「TAE-BO」とは、テコンドーとボクシングの動きを組み合わせて、リズミカル
なダンスミュージックとともに行う運動です。セミナーの講演者のBilly
Blanks氏は、世界的なテコンドー選手として数多くの実績を持ち、約20年前
に「TAE-BO」を考案しました。

「TAE-BO」の特徴は、パンチやキック、ディフェンスの動きを採り入れなが
ら、筋力と柔軟性アップを図り、日常生活のストレスを気軽に解消できる点
です。ここ数年米国のフィットネスクラブでは、「Tai Chi(太極拳)」
「Karate(空手)」「Boxing(ボクシング)」などのクラスが増えています。

これまで道場や専門ジムに行かなければ習得できなかった格闘技に興味の
ある新規顧客を、うまくひきつけたプログラムといえます。

 ・Billy Blanks氏の「TAE-BO」ページ
  トレーニングの様子を動画提供している
http://www.billyblanks.com/vr.html

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【Water Exercise】「アクアエクササイズ」と「アクアセラピー」

「Water Exercise」とは、「水の特性を生かした水泳を含む水中運動」全般
を指します。特徴は、水中のため身体への負担が少なく、有酸素運動・
リラックス・ストレス解消など幅広い効果をもたらす点にあります。

具体的には、音楽やダンスを取り入れた「アクアエクササイズ」、リハビリ
テーションやケガ予防などの「アクアセラピー」の2つに分類できます。
特に「アクアセラピー」では、資格をもつ専門トレーナーが関節炎や腰痛を
もつ会員向けに、無理のない水中運動を指導しています。

・Aquatic Therapy & Rehab Institute
(米国アクアセラピー&リハビリ研究所)
「アクアセラピー」のトレーナー向けセミナーや資格認定の提供機関
http://www.atri.org/

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【ジャザサイズ(Jazzercise)】グループで楽しめるダンス系プログラム

「ジャザサイズ(Jazzercise)」とは、今年度のベスト・トレーナーに
選ばれたPeggy Buchanan 氏が指導するダンスプログラムのひとつです。
約30年前に考案されたJazzerciseは、すでに世界38カ国に普及しており、
日本でも約10万人の愛好者がいるといわれています。

基本的な内容は、ジャズに合わせたウォーミングアップ、約30分間の
エアロビクス・筋力トレーニング・ストレッチなどです。

 ・Jazzerciseの基本的な動き
 ※右端「Basic Aerobic Movements」をクリックして写真・動画を見ること
  が可能
http://www.jazzercise.com/basicmovements.html

 ・Jazzerciseのプログラムのバリエーション
 ジャザサイズ・ジャパン(日本語)
http://www.jazzercise.jp/about/class.html

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【チェアエクササイズ】 椅子に座ったままできる運動

「チェアエクササイズ」とは、今年度の「ベスト・プログラムディレクター」
Josie Gardiner氏が、1989年に開発したシニア向けエクササイズプログラム
のひとつです。具体的には、体力があまりなく運動になれていないシニアが、
椅子に座ったままで、効果的に持久力・筋力をつけることのできる運動です。


 ・「チェアエクササイズ」の様子(中央に写真あり)ワシントン大学健康
   増進センターのプログラム「Lifetime Fitness Program」より
http://depts.washington.edu/hprc/Current_Projects/Lifetimefitness.htm

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【米国フィットネスプログラムのマクロトレンド】

以上が、今回の展示会における注目プログラムとなりますが、ここでは
IDEA展示会の過去20年の主なセミナー内容を分析し、プログラムのマクロ
トレンドを探ってみます。

※展示会の過去20年の主なセミナー内容(IDEAとフィットネス業界の歴史)
http://www.ideafit.com/PR2002may2.htm


1)1980年代のトレンド:アクティブ・トレーニング系プログラム

「アクティブ・トレーニング系プログラム」とは、有酸素、無酸素運動を
問わずある程度体力のある人をターゲットにしたプログラムのこと。主に20代
から40代までで体を動かすことが趣味の人を対象としたプログラムと言って
もよいでしょう。

1980年代に有酸素運動の及ぼす健康効果が実証されて、激しい動きを特徴と
するハイインパクト型エアロビクスが広く普及。その後は、無理な負担によ
るスポーツ傷害への関心が高まり、ゆるやかな動きのローインパクト型の
エアロビクスへの参加者が増加しました。

そして、現在定着しているスピニングという室内での「自転車こぎ」による
運動が普及。今回紹介したエアロビクスにジャズダンスを採り入れた
「ジャザダンス」や武道をボクシングを採り入れた「TAE-BO」なども
この時期に開発されたものになります。このトレンドは高齢化の影響を受け、
大きく次の2つのトレンドに移っていきます。


2)1990年代~現在のトレンド:
 「ボディコンディショニング系プログラム」と「シニア向けプログラム」

●ボディコンディショニング系プログラム

「ボディコンディショニング系プログラム」とは、心身のバランスを重視した
体にかかる負担の少ないプログラムのこと。具体的には、ヨガ、ピラティス、
ストレッチ、チューブ・ボールトレーニングなどを指します。

1990年代より少しづつ増加、その背景には生活習慣病に対する予防意識の
高い中高年層の参加者が増えたことにあります。今回紹介した
「アクアエクササイズ」なども多くの中高年や女性が、無理のない運動
として病気予防のために参加できるプログラムのひとつです。現在、
ボディコンディショニング系プログラムの多様化が進んでいます。

●シニア向けプログラム

「シニア向けプログラム」とは、主に60代~80代で体力があまりなく、
運動になれていない人をターゲットにしたプログラムを指します。
今回紹介した「チェアプログラム」もここに位置づけられます。
「チェアプログラム」は、地域のフィットネスセンターだけでなく病院内
クラブ・福祉介護施設などで幅広く普及中です。


3)今後のトレンド:セラピー系プログラム

「セラピー系プログラム」とは精神的な「いやし」と、身体的な「治療」
の両方を備えたプログラムを指します。今回紹介した「アクアセラピー」
などは腰痛・関節痛、糖尿病・高血圧などの治療や、退院後のリハビリ
テーションで使われるなど「セラピー系プログラム」の一つと言えます。


日本でも、ほぼ米国と同様のトレンド変遷をたどっていると言えます。特に
上記2)3)は、その可能性の大きいところです。特に3)では理学療法や
慢性病に関する専門知識を持ち、コミュニケーション能力の高い専門スタッフ
養成がポイントになるでしょう。

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