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[ヘルスコーチングの視線編]2017年7月25日号
   ≫≫≫Author:里見将史
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「ヘルスコーチングの視線」では、実際にヘルスコーチングをサービスとして取り組んでいる現場の方々の生の声をインタビュー形式で紹介しています。
 
会員が140万人を突破し、国内ネット系ヘルスケアサービスではトップランナーである健康管理アプリ&ウェブサービス「あすけん」。その「あすけん」を運営している株式会社ウィットが「あすけん」をベースに従業員のパフォーマンス向上に向けた「あすけんブレイン・コンディショニングプログラム」を企業向けに提供しています。
 
この「あすけんブレイン・コンディショニングプログラム」では、ヘルスコーチングのアプローチをメールサポートの中に組み入れて提供。
今回はヘルスコーチングのアプローチを組み入れた「あすけんブレイン・コンディショニングプログラム」について、現場で作り上げてきている法人営業担当の岸亜悠美さんと管理栄養士の衞藤敬子さんにインタビューさせていただいたので紹介いたします。
 
 
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【1】特集:ヘルスコーチングの視線編
---ヘルスコーチング最前線インタビュー:「あすけんブレイン・コンディショニングプログラム」
 
【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
---「beingから考える」
 
【3】今週の注目デジクリップ!
---国内 コラボヘルスガイドライン、海外 Jawbone動向など、6本
 
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【1】特集:ヘルスコーチングの視線編
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<テーマ>
ヘルスコーチング最前線インタビュー:
「あすけんブレイン・コンディショニングプログラム」
 
 
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1、「あすけんブレイン・コンディショニングプログラム」のサービスについてお聞かせください。
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(岸氏)
あすけんブレイン・コンディショニングプログラムとは、脳のコンディション(=ブレイン・コンディショニング)を整える食事・運動・睡眠の改善方法を学び、疲労を回復し、集中力を高め、よりスッキリした状態で仕事に取り組めるようになることを目指す、1ヶ月間の研修プログラムです。
 
研修で知識を学ぶだけでなく、実際の行動までサポートする「実践型研修プログラム」です。約1ヶ月の期間で、セミナーを受講&あすけんアプリで食事・運動・睡眠の記録を行っていただきます。記録された内容を管理栄養士がチェックし、個人ごとに改善をメールでサポートします。
 
 
 
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2、「あすけんブレイン・コンディショニングプログラム」のサービスの提供に至った経緯をお聞かせください。
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(岸氏)
2007年のサービス開始以降、「あすけん」は食事管理サービスとして、様々な企業様で導入していただきました。「あすけん」への食事記録により、体重減、食生活改善の効果はもちろんあったのですが、20-30代の若手社員の方には、「将来病気にならないために今食事を整えましょう」といったメッセージが刺さりづらいという課題もありました。
 
その課題に対するアプローチとして、ブレイン・コンディショニングプログラムを企画しました。
ブレイン・コンディショニングプログラムは健康についての危機感を持っていない若手層や、ビジネス書などを読んで、自身の業務効率化に向けて努力されているような、いわゆる「意識が高い方」を対象にしています。そういった方には、「将来メタボにならないために一日1万歩歩きましょう」といった知識をお伝えするよりも、「運動すると海馬が鍛えられて脳が活性化する」「食事改善によって集中力の持続時間が長くなる」といった内容の方が、より生活改善に向けた行動を起こしていただきやすくなると考えています。
 
 
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3、「あすけんブレイン・コンディショニングプログラム」のサービスで「ヘルスコーチング」のアプローチ、コミュニケーションを活用した理由、思いを教えてください。
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(岸氏)
ブレイン・コンディショニングプログラムは、1ヶ月集中型のプログラムです。
プログラム期間終了後に、自分自身で習慣を継続できるようになるためには、プログラム中に習慣改善を『実行』できるかが重要と考えました。そこで、従来弊社で栄養士が行っていた知識を教える(ティーチング)型のメールサポートではなく、「“自ら”行動を継続すること」に焦点を当てたヘルスコーチングの考え方を取り入れることにしました。
 
実際に、ティーチング型のメールサポートではアンケートの声も「ためになりました」「栄養のことを知ることができました」といったものだったのですが、ヘルスコーチングの考えを取り入れたメールサポートの際は「帰りに小松菜を買って帰りました」「栄養士さんが見守ってくれている感覚があった」といったより行動に繋がったという声や、よい評価をいただけました。
 
 
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4、従来の管理栄養士のサポートと「あすけんブレイン・コンディショニングプログラム」のメールサポートで大きく異なる点はどんなところでしょうか?
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(衞藤氏)
「対象者が自分で考えて行動すること、栄養士は伴走者として常に寄り添うこと」です。寄り添うことで、対象者は前向きに行動し、習慣化に繋がったと感じています。
 
従来のメールサポートは、食事改善(あすけんでは見えない食べ方や食べ合わせなど)をメインとしたものでした。ですが、ブレイン・コンデショニングプログラムのメールサポートでは、対象者が設定した行動目標に沿って、必要な時に気付きやヒントを与え、対象者自身にハマる行動を一緒に探しています。3週間という短期スパンではありますが結果は出ており、事後アンケートにて92.3%の方が「今後も生活習慣の改善を継続したい」と回答いただきました。
 
大切なことは「対象者自身が考えて行動すること」です。定期的に行う自己評価(対象者自身での振り返り)は、習慣化に直結する今までにない新しい改善ポイントでした。
 
 
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5、「あすけんブレイン・コンディショニングプログラム」のメールサポートで、対応する管理栄養士が特に気をつけている点、意識している点はどんなことがありますか?
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(衞藤氏)
「具体的に落とし込むこと」「無理はさせないこと」の2点です。
 
1:「具体的に落とし込むこと」については、達成後の気持ちや日々の行動目標を深堀りしています。例えば、「卵を食べる」という行動目標の場合、“朝食or昼食?”“卵料理をどう食べるか(例えば、温泉卵を朝食に追加する)”というように、日常生活に落とし込む方法を考えることが習慣化に必要だと考えています。
 
2:「無理はさせないこと」については、メンタル面のフォローです。
ダイエットでもそうですが、無理な行動は習慣として定着しません。対象者の状況を把握し、「出来ていても無理はしていないか?」出来ていなければ、「ただマッチしないだけ。他の行動を一緒に見つけよう」と促し、否定的感情をとり除くようにしています。
 
変化を感じれば、そこからモチベーションが上がります。
栄養士は専門知識だけではなく、対象者の様々な変化(体調や食事の向き合い方、食事選びなど)に気付き、サポートする視点を持つように心がけています。
 
 
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6、「あすけんブレイン・コンディショニングプログラム」のメールサポートをしている中で、実際にサポートした方の中でどんな変化がありましたか?「ヘルスコーチング」のアプローチならではの変化や反応などあればお聞かせください。
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(衞藤氏)
「毎日続ける励みになった」「栄養士さんが“自分を見てくれる”という満足感がある」「ちょっとしたきっかけや心がけから行動を変えられる経験をして、自分を信じるようになりました」というようなお声をいただいています。
 
あすけんは食事を記録すると栄養士からの自動アドバイスをもらえるサービス(アプリ)ですが、メールサポートでは“リアルな栄養士”をより近くに感じていただいているようです。
 
また、ブレイン・コンデショニングプログラムは、仕事のパフォーマンス向上を目的としたプログラム。自分に問題意識を持った参加者が多いため、「もっとこうしたらこうなれるかも・・・」という仮説を立てて行動し、カラダの変化を楽しんでいる方も多くみられました。
 
 
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7、メールサポートはオンラインでのコミュニケーションですが、オンラインでのコミュニケーションで難しい点、気をつけている点などあればお聞かせください。
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(衞藤氏)
メールでは、対象者の環境や状況の把握が難しい為、事前アンケートで生活習慣や志向などを情報収集し、サポートに活かしています。ですが、サポート期間中の相手の状況把握や本音を知ることが難しいのも事実。今後の課題でもあります。
 
現段階ではサポートにズレが生じないために、メール内で質問したり、言葉の奥を読み取ったりするように意識しています。
 
 
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8、今後「あすけんブレイン・コンディショニングプログラム」のメールサポートを含めて、コミュニケーションの部分で特に力を入れていきたい部分などお聞かせください。
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(衞藤氏)
メールは簡潔に明確にし、対象者との信頼関係を築いていきたいです。
 
お客様は業務時間内でメール返信をするため、私たち栄養士は
「簡潔に正しく伝えること」・「文章を見やすくする」などを常に意識する必要があります。「忙しい中でも回答できる」とイメージさせるメールは、お客様に対する心づかいだけでなく、返信率が高まり、信頼関係の構築にも繋がると考えています。
 
「ブレイン・コンディショニングプログラム」のサポートは、通常のダイエットサポートとは異なり、運動や睡眠・ライフスタイルなどを包括したサポート。
栄養士はブレインに関連する栄養・運動・睡眠などの様々な情報から、必要な情報を伝えるだけでなく、相手が欲する情報を引きだし伝達するスキルも必要です。
 
サポート栄養士については、今後も専門知識やコーチングスキル向上のための教育を実施し、対象者が自発的に行動を継続できるサービスになるよう目指していきます。
 
 
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9、今後「あすけんブレイン・コンディショニングプログラム」をどんな領域に拡大していきたいですか?
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(岸氏)
まずは、様々な働き方の人にプログラムを対応させていきたいです。現在は9時から18時のオンタイムで働く方への提供が多いですが、シフト制、夜勤、在宅勤務等様々な働き方の人に合わせて、プログラム内容をアレンジして提供をしていきたいですね。またビジネスマンの他にも、教育領域での展開可能性も高いと思います。大学受験、資格試験等で脳パフォーマンスを高めたい方にも、ブレイン・コンディショニングプログラムの考え方を知っていただきたいです。
 
 
 
今回は、「あすけんブレイン・コンディショニングプログラム」を現場で作り上げてきているお二人、法人営業担当の岸亜悠美さんと管理栄養士の衞藤敬子さんにインタビューさせていただきました。
 
「あすけんブレイン・コンディショニングプログラム」では専門知識の提供だけではなく、栄養士さんの専門知識をベースに「対象者自身が考えて行動すること」にフォーカスを当てて、サポートすることをメールでのオンラインコミュニケーションに取り組んでいます。
 
知識と行動の継続をセットにしたオンライン上でのヘルスコーチング的なアプローチやコミュニケーションは、これからのヘルスケアサービスでは、外せない要素になってきています。
 
 
 
【『ヘルスコーチング』プライベートセミナー】
 
最近、管理栄養士向けなど専門家の方々へのヘルスコーチングのセミナーのお声掛けをいただくケースが多くなってきております。
 
このプライベートセミナーは、お客様のご要望に合わせ、場所、日時、参加人数を決めていただき開催する個別セミナーです。
 
プライベートセミナーでは、ワークショップ形式も含めた内容もアレンジ可能です。是非ご活用ください。
 
『ヘルスコーチング』プライベートセミナーの内容は以下にてご確認ください。
 
 
 
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【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
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≫≫≫「beingから考える」
 
サービス現場では何か一つの正解が用意されている訳ではない。どうあるべきかのスタンスbeingを定めてdoingを繰り返して価値提案を創っていく。
 
 
 
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【3】今週の注目デジクリップ! <6クリップ>
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[1]厚生労働省、「データヘルス・健康経営を推進するためのコラボヘルスガイドライン」を公表
ガイドラインは、事業主・健康保険組合の双方に向けてコラボヘルスの意義や実践事例などをまとめたもの。(2017/07/12)
 
[2]日経デジタルヘルス、デジタルヘルス・インサイド:ウエアラブルの活用先として「高齢者」に着目したワケ
高齢者向けという新たな視点でウエアラブルデバイスの活用を模索しようとする試みが登場。「Moff Band」を製造・販売するMoffは、デイサービスを提供する介護事業者に向けた介護予防プログラム「モフトレ」の販売を開始する。(2017/07/12)
 
[3]シード・プランニング、2017年版 世界のITヘルスケア市場注目ビジネス事例研究 - 人工知能を活用した健康・医療ビジネスの最前線 -
人工知能を使った健康・医療分野のサービスを提供する企業の最新動向とともに、トップIT企業のヘルスケアへの取組みと、まだ日本であまり知られていない医療・健康分野注目企業のビジネスモデルを紹介。
 
[4]日経デジタルヘルス、「動きだす遠隔診療 2018年度診療報酬改定に向けた行政・医療現場・産業界の最前線」を開催
開催日は、9月14日(木)。2015年夏の厚労省の事務連絡以降、盛り上がりを見せてきた遠隔診療の“第2幕”とも言える最新動向を、行政・医療界・産業界のキーパーソンが語る。
 
[5]Jawboneが会社清算、CEOらは新会社Jawbone Health Hubへ移行
すでに債権者には通知が届き始め、創業者でCEOのHosain Rahman氏をはじめ、Jawboneの従業員の大半は新たなスタートアップ企業Jawbone Health Hubへ移籍したと伝えられている。(2017/07/13)
 
[6]mHealthWatch注目ニュース:スマフォユーザー70万人の肥満と平均的活動の関連性
Azumioの行動追跡アプリ「Argus」の、世界の利用者70万人のデータを分析した結果について紹介された。幅広く世界中に展開しているため111の国で比較することができる。今回紹介されたのは、活動と肥満の関係。(2017/07/24)
 
 
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