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2010.11.10 ヤマハ株式会社 デジタル楽器事業部 マーケティング部 CL・PKグループ 課長代理  佐々木 道彦 氏

健康活動においてどのように「継続」させるかは重要なテーマである。ヤマハ株式会社が開発した『BODiBEAT(ボディビート)』は、自分のテンポに合った音楽を自動再生してくれるランニング、ウォーキング専用ミュージックプレイヤー。音楽との一体感を感じることで走ること自体を楽しむことができる。2009年春に国内販売をはじめたBODiBEATが、この秋、新たなアプローチをスタートした。BODiBEATの開発からプロモーションまでを手掛けるプロデューサーの佐々木道彦氏にお話を伺った。
佐々木 道彦[ ささき みちひこ ]
1997年ヤマハ株式会社入社。AV機器の営業を担当後、2001年より「光るギター」や「歌うトランペット」などの新規コンセプト商品企画に携わる。2005年よりBODiBEATの企画・開発を担当し今日に至る。BODiBEAT開発時は自ら実験台となり、試作機を装着して富士登山やフルマラソンに挑戦。

発売後1年半が経ち見えてきたこと

BODiBEATはランニングやウォーキング時の運動ピッチ(リズム)を検出し、ピッチに合ったテンポの曲を自動で選曲し再生する。ランニングピッチが変わるとそのピッチに合ったテンポの曲に切り替わるので、トレーニングにも活用できるユニークなミュージックプレイヤーである。 「自分のペース変化を音楽で知ることができリズムよく走れるので、ペースを意識して練習しているシリアスランナーなど、40〜50代男性を中心としたコアランナーの方々に多くご購入いただいております。また心拍数も胸へ装着するタイプではなく、耳たぶにクリップで挟むタイプのため、気軽に心拍数を計測できることも高く評価いただいております。 そうした状況からシリアスランナーが多く集まるマラソン大会やランニング誌などを中心に商品を訴求してきましたが、今年6月に実施したアンケート調査で、ファンランナーや20〜30代の世代にも関心や購入意向が高く、そういったお客様に対し商品価値をしっかり訴求できていなかったことが分かりました。『自分の運動テンポに合った曲を自動的に再生してくれる』というメインコンセプトをシンプルに伝えられず、少し難しそうな機器というイメージになっていたようです。 また、同調査で健康増進/維持やダイエットが多くのランナーのランニングする目的であるにも関わらず、一生懸命走りすぎて故障したり、効果的な有酸素運動など自分にとって適したトレーニング方法が見つけられず、ランニングが辛いものとなり思うように継続できない方が多いということがわかりました。ランニング本来の目的を達成するためにも、ランニング自体が音楽との一体感でより楽しく継続できるものになればと思いました」 もっとBODiBEATを効果的に使用することで、無理せず楽しみながら継続できるスタイル提案が必要と感じたと佐々木氏。

この秋スタートした「リラックスエクサ」

健康維持やダイエットなどの目的を達成するためには無理のない運動(有酸素運動)を楽しく継続することが大切である。しかし多くのランナーがうまく実践できていない。 「継続できない方の多くは、目的のレベル以上に速いペースで走っており無酸素運動となり、ランニングは辛いものと思ってしまい、走るのが億劫になってしまうようです。少し物足りないくらいの運動でもそれを継続することで健康やダイエットの目的が達成できる、その継続を音楽で楽しくサポートする運動プログラムとして『リラックスエクサ』を作りました。 有酸素運動の効果を高め故障を防ぐために運動前のストレッチは重要ですが、面倒くさいとの思いから簡単に済ませる方も多いようです。そこで、ヨガという関心の高いエクササイズを準備運動として使い、まず体を程よくほぐし、有酸素運動の効果を高められるランナー向けのヨガメニューをヨガインストラクターの山口つぐみさんと一緒に作りました。一人ではなかなか行えなかったヨガも、山口さんのナレーションと、ヨガで最も大切な呼吸のリズムを音楽で教えてくれることにより、5分程度で気持ちよくヨガ・ストレッチを行えます。 そしてリラックスしたペースで音楽のリズムを意識して気持ちよく10分間だけ走ります。もちろんそれ以上走っても問題ありませんが、重要なのは無理なく継続できる範囲を知ることです。有酸素運動の範囲はボディビートの心拍LEDの色で簡単に確認できますし、自分のピッチに合った曲が再生されることでリズムよく走れます。 無理なく心地よく走る方法はランニングコーチの高尾憲司さんが専用サイト上でアドバイスしています」 音楽と解説が入った「ヨガ・ストレッチ」ナンバーは専用サイトで無料配信されている。BODiBEATユーザー以外でもダウンロードできるので、まずは音楽と合わせて運動する心地よさを体感してみることをお勧めする。

「リラックスエクサ」を活用した今後の展開

まだスタートしたばかりだが、早くもヨガ・ストレッチ体験者から「5分間でも体がほどよく温まって気持ちよい」「体をほぐすとスムーズに走れるようになった」「音楽があることで続けられそう」などの感想をいただいたとのこと。 「ヨガ・ストレッチを紹介することで、これまであまり興味を示さなかった20〜30代の女性からも高い関心をいただいております。この気持ちよさを多くの方々に体感していただき、音楽との一体感により楽しく運動が続けられるよう、これまでのハード(商品)の訴求だけではなく、ソフト(プログラムやコンテンツ)も紹介していきながら、運動継続を音楽でトータルサポートしていきたいと思っています。『リラックスエクサ』の体験会も今後開催していく予定です」 マラソンブームと言われるが、まだまだ運動が苦手な人は多い。音楽をうまく取り入れることで、一人でも楽しく継続できるスタイル提案に今後も注目していきたい。 [ 取材日:2010年10月20日 ]