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2012.09.10
株式会社ウィット
道江 美貴子 氏 天辰 次郎 氏 衞藤 敬子 氏 遊津 加奈子 氏

2008年6月より個人向けにサービスを開始したあすけんは、食事と栄養のプロフェッショナル管理栄養士のノウハウが詰まった健康・ダイエット応援サイトである。このサイト、実は今年の9月6日に登録者が11万人を超えたと言うが、ほとんど広告費をかけずに口コミの力でここまでの規模にしてきたのだ。その運営の工夫などを4名のスタッフの方々に伺った。
プロフィール
株式会社ウィット
2007年10月1日設立。コントラクトフードサービス業界大手グリーンハウス( http://www.greenhouse.co.jp/ )の100%出資子会社。グリーンハウス社にて培われてきた食と健康、栄養指導に対するノウハウをインターネットサービスに展開する役割を担い、『あすけん』の開発・運営を行っている。

栄養士さんが伴走してくれる!

まずは、あすけんの運営コンセプトをお聞きした。

「あすけんのブランドイメージが『寄り添い、励ましてくれるやさしい栄養士さん』になることを目指しています。実際、サイト・ショップ・リアルイベントなどの企画や運営も、全て栄養士が中心になって行っています。

例えば、『チアメール』と言って、毎朝ユーザの状況に応じたワンポイントアドバイスをメールで送信していますが、そのあいさつ文なども栄養士が毎日考えているものです。ユーザさんからチアメールに“いつもありがとう”と返信をいただくことも頻繁にあり、栄養士の存在を感じていただけているのではないかと考えています。

色々なタイミングで、ユーザさんに“栄養士さんが伴走してくれている”と感じていただけるように企画・運営しています(天辰)」


栄養士発想の運営工夫

あすけんの魅力を支えているのが栄養士のチームワークということになるのだと思う。他の多くのサイトでは、SNS的な機能やポイント制など、ネットサービス的な発想が先にあって、必要なコンテンツの専門家として栄養士を起用する。あすけんでは、栄養士の発想が先にあって、その発想がシステムに落とし込まれていく。これは今後のこのサイトの拡張性を考えるとアドバンテージになる。なぜかというとサイト運用品質を理解する栄養士発想での拡張性とシステム発想のものと比べると、利用者満足への距離が近いのだ。意外とこのことに気づいている事業者は少ない。


あす友は継続の味方!

地道に運営の工夫を積み重ねてきているこのサイトを使った成功パターンもある程度みえている。その流れはどうなっているのか?

「まずは、友人・知人からの口コミであすけんを知り、登録する→初日の食事記録の結果、アドバイスでカロリー超過&ビタミン不足を指摘され、驚く!→1ヶ月以内にカロリーを気にするだけでなく野菜をたくさん食べるようになります。ダイアリーで友達(あす友)をつくり、励まし合う→そして、この次がポイントになるのですが、3ヶ月以内に挫折しかけても、あす友に励まされてモチベーション回復。あす友コミュニケーションを実行している方の継続率はデータ分析でも明白です。→ダイエット成功(ダイエット目標の達成)ユーザ同士でお祝いと感謝の言葉が飛び交います。運営側として見ていて最も嬉しい瞬間です(遊津)」
 
成功して卒業する方もいるが、食事記録はせずともダイアリーでのコミュニケーションを続けている方が多いのだという。ダイエット活動によって成果を自ら獲得した方がそのコミュニティに継続的にいるというカタチはこのあすけんの素晴らしい価値だと思われる。
 
 

ユーザさんへの寄り添いスタンスは変えない!

この食事記録サイトのキラーコンテンツが『食事記録・アドバイス』である。

「外部のブログやコラムなどでコメントいただくのも食事記録とアドバイスです(道江)」

さらに外部の栄養士からも支持を得ていることも、口コミ中心の会員増加に寄与していると思われる。

サイト状況を紹介すると
・登録者11万人
・85%が女性ユーザ(25-39歳が最も多い)
・ユニークユーザ数は月間約75,000ユーザ
「1日数千件の日記の書き込みがあり、何年も毎日のようにメッセージ交換しあっている方もいらっしゃいます(衞藤)」

「今後、直近はスマホ版開発と社内では『あすけん2.0』と呼んでいるリニューアルに力を入れていきます。とことんユーザさんに寄り添っていき“あすけんだったから楽しくダイエットできた”と言っていただけることをこれまで通り目指していきます。また、健康領域での連動可能な機能や商品サービスをお持ちの企業との連携も注力していくつもりですし、リアルイベントも仕掛けていきます。まだ模索部分もありますが手応えを感じています(道江)」
 
ウィット社を取材中とてもみなさん仲がよく、ユーザへの思いが強いことを実感した。少し無骨なアプローチに見えるが、ダイエットサービスの価値増幅の基本構造は確実に見えてきているので、貫くべきスタンスを明確に今後も邁進していって欲しい。
 
[取材日:2012年9月10日]