Photo1022_.jpg

2014.10.22
一般社団法人日本フィットネス産業協会 FIA 
事務局長 松村 剛 氏

健康ビジネスになんらかの関わりを持つ業界団体が、どのような方針のもとに活動をしているのか興味を持っていたので、とってもアクティブに活動されているFIAの松村事務局長にズバリ聞いてみた。
プロフィール
松村 剛[まつむら つよし]
1963年生まれ。エグザスでのインストラクター経験を経て、アメリカのフィットネス指導者教育団体AFAA JAPANの設立に参加。その後、JAFAでの事業企画を主導後、ブラザー工業(株)入社。健康系の新規事業の企画・マーケティングに参加し、現職 (一社)日本フィットネス産業協会事務局長。活字や数字だけでなく、自身のフィットネス実践を通してフィットネス産業を肌感覚で掌握し続ける事が信条。

FIA事務局長としての活動

フィットネス業界で松村さんはある程度の知名度があることは明確だが、その彼が今、この業界団体の幹部に至るまでのプロセスを伺った。
それはフィットネス業界そのものが歩んできたプロセスと同期していた。
 
「大学時代、エグザス津田沼でアルバイトインストラクターをし始めたのがこの業界へのきっかけです。そこでは学生なのにチーフインストラクターに任命されて、どんどん仕事を任せてくれて、アルバイトの募集から面接まで取り仕切るという、とても貴重な体験をさせていただきました」
 
約30年前のフィットネスクラブという業態が勢いを得て躍動しだしたとき、筆者の記憶でもエグザスは“かっこいい”の先を行く、おしゃれなオトナの世界のイメージがあった。その現場での体験はきっとかけがえの無いものだったと推察される。
 
その後、松村さんは当時西武系フィットネスクラブのリボン・スポーツシステムズへ入社し、AFAA JAPAN(アメリカエアロビクス&フィットネス協会)、JAFA(日本フィットネス協会)を経て、一旦、ブラザー工業にてフィットネス新事業のマーケティングを担当。FIAの運営幹部交代のタイミングで招かれ現職となる。フィットネスの業界団体と民間事業者の両者を知り尽くしたプロフェッショナルと言えるでしょう。
 
そんな松村さんが注力している活動は
 
「FIAの仲間を増やしていきたいです。FIAには、現在92社・約2,700クラブが加盟していますが、組織率ではまだ7割ほどです。地域に根ざして活躍されるクラブがまだまだあるわけです。フィットネス業界は本来新しいフォーマットが、小規模スタジオやベンチャーなどからどんどん出現してきて活性化していくというダイバーシティが重要です。大小は関係ないと思うのです。同じテーブルで議論することはとても重要です。コンペティターだけど、ここはシェイクハンドしようよということが重要です」
 
仲間を増やす活動でも特に力を入れているのが地方都市だそうだ。
地域の独立事業者にもどんどんFIA活動に参加してほしいという。
大都市部分だけではなく、全国くまなくフィットネスのある快適なQOLを生活者が送れるサポートをしていきたいとのこと。
 
地域毎のフィットネス事業者連絡会やネットワークにもオブザーバーとして参加し、人間関係を構築し、業界団体ならではの提案をしていくのだそうだ。エリアによっては温度差もあるが、地域にある体育系大学からの人材受け入れ体制をネットワークで整備したり、活性化しているケースも出てきたという。
 
きっとFIAがなんらかの介入をしつつエリア単位のフィットネスが盛り上がっていくというロールモデルが見られるようになると思う。
 

今後のビジョン

仲間を増やす活動の延長上に描いているコトに関して続けて聞いてみると
 
「実は、クラブマネージメントの業界検定が始まります。厚生労働省の雇用促進の一環で、フィットネスクラブでのマネジメント能力の技能検定を設定し、インストラクター以外のマネジメントキャリアの流通性を確保していく流れになると思います。
 
フィットネス業界は、インストラクターを中心に非正規雇用が多いのですが、彼らは実は自分たちのスタイルとしてそれを選択しています。そして彼らにとってのライセンスや技能認定精度はとても多く存在しています。
 
一方で、店舗運営に関しての検定は無かったので、業界全体のプレゼンスのアップにつなげていきたいです」
 
「この事業とともに、地域の小さなニーズにも対応できるようにしていきたいし、例えばリスクマネジメントノウハウは充分に地方独立事業者にとって貢献できます。ネットワークを増やし、フィットネス業界の総合窓口として中央省庁(経済産業省・厚生労働省・総務省・文部科学省など)との折衝にも力を入れ、アジアを中心とする海外進出のサポートもしていきたいです」
 
業界団体の実務は一見地味に見えるが、戦略的にポジティブにビジョンを推進している松村さんの活動はきっと実を結ぶと感じた。



取材後記:
多忙な中、とってもオープンマインドでお話いただき焦点を絞った話は分かりやすかったです。
今後の活躍にも期待したいです!
 
 
 
インタビュアー:大川耕平
 
[取材日:2014年10月8日]