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2014.12.10
株式会社FiNC 
代表取締役社長CEO 溝口 勇児 氏

『ダイエットの家庭教師』というネームでユニークなサービスを展開しているFiNC社は、溝口勇児さんが率いるベンチャー企業だ。
 
アグレッシブな彼らの活動についてご本人にインタビューを行った。
プロフィール
溝口 勇児[みぞぐち ゆうじ]
1984年生まれ。高校在学中にフィットネスクラブの運営、コンサルティングを行う企業にフィットネストレーナーとして入社。今日までプロ野球選手やプロバスケットボール選手、芸能人等、延べ数百人を超えるトップアスリート及び著名人のカラダ作りに携わる。トレーナーとしてのみならず、業界最年少コンサルタントとして、数多の新規事業の立ち上げに携わり、また数々の業績不振クラブの再建を担う。再建を託されたクラブに関しては、その全てを過去最高業績or最高会員数へと導き「日本一の再生ノウハウ」と称される実績を残す。2012年4月にFiNCを創業。

ダイエットの家庭教師

まずはダイエットの家庭教師というネーミングの理由について聞いた。
 
「ボクたちのビジネスモデルは英会話ビジネスに近いです。対面で提供していたサービスに非対面のオンライン英会話スクールというイノベーションが起こりました。健康管理の家庭教師的サービスはありませんでした。また、ボクたちのサービスはエデュケーションという要素が強いです。ヘルスケアサービスは相手に行動変容をさせることになります。一生使えるヘルスナレッジを、免許を取ってもらうように提供したいと思ったので家庭教師としました」
 
エデュケーションやヘルスナレッジ(知識)に関して特に強い思いを持っている溝口さんは、FiNCスタート時に数社の営業不振スポーツクラブコンサルティングを請負、見事に全て蘇らせた実績を持っている。その時の姿勢・体験が現在の戦略にも結びついている。
 
「全ての店舗で過去最高を出しました。徹底したのはマーケティングを工夫して顧客を集めること。そしていかに辞めさせないかの2点です。
 
なぜ、運動なのか。
自己管理がなぜ必要なのか。
このまま放置しておくと将来どのようなリスクがあるかを会員に懇々と説明しました。
 
そのリスクをフィットネス施設を使ってどう解決していくのか、それをヘルスナレッジとして学んでもらうことで退会を抑制します。そして、それはお客様にとっての成果につながっていくことになります。2,000人に実施したアンケートで辞めていくお客様の95%は目標を達成していないことが分かりました。
つまり、目標達成しないと辞める。
 
その人たちが辞めていく理由は、運動や食生活に気をつけることに対して必要性を感じていないので、サプリメントに頼ったり、朝バナナダイエットをやったりと、不適切なサービス・商品・情報に踊らされてしまうのです。きちんとした知識を提供できていたら一時的に辞めたとしてもスポーツクラブにまた戻ってきます」
 

対面でのエデュケーション・ヘルスナレッジの提供でビジネスが伸びることは分かった。でも、アプリにシフト!?

次に、今後のアプローチを聞いてみた。
 
「予防に限定して行動変容を展開していきたいと考えています。そのためにも評価とスマホと専門家が必要だと考えています。この3つがあれば10個ある継続ドライバの全てを満たすことが出来ます。
 
アプリ開発は、優秀なエンジニア10名体制で自社で全部できます。スポーツクラブ起点でスマホ、アプリを使えば退会率を飛躍的に下げられる自信がありました。でも、銀行が貸してくれるお金で自分の成長が決められるのが我慢ならなかった。1店舗上手く回り始めるとまた1店舗分貸してくれ、またその次というやり方では100店舗つくるのにすごく時間がかかります。では、スポーツクラブ施設起点ではなく、アプリケーションからやろうということにしました。
 
自分が正しい情報を持って行動を選択する。自分の人生を自分でコントロールできるそういう時代をつくっていきたい。その意味で施設はひとつの手段です」
 

そして、ウェルネスへ

DNA検査をどこよりも早くダイエットサービスに取り入れたのもFiNC社だった。続いて、その可能性について聞いてみた。
 
「予防意識を高めるために遺伝子情報DNAはとても可能性があると思っています。人口8千人の夕張市が経営破綻して病院が潰れたことによって市民の予防意識が飛躍的に高まり、病気が一気に減りました。それでは病院を潰してしまえばいいと言う人もいるかもしれませんが、現実的にはそれはできません。でも、ひょっとしたら遺伝子情報はそれよりもポテンシャルがあると思っています。
 
遺伝子はロジック。それにファクトである生活習慣・食習慣情報と結びつけていけば予防をもっと広げていくことができると思っています。そのためにもきちんと成長していってほしいサービスです」
 
ウェルネスという言葉も彼らが大切にしているワードだ。つながりと成果という2軸でウェルネスを捉え、それぞれの適切なポジションが心の満足を支えるという定義だ。
 
資金調達も成功し、優秀な人材も集まってきている同社が目指すところはダイエットに留まらない、ウェルネス産業創出リーディング・カンパニーだ。



取材後記:
溝口社長は弊社主催のセミナーへも何度か参加され熱い真剣な質問をしてくれこちらも背筋を正したことを思い出します。
彼らは真剣ですし、使命感に燃えています。
きっと日本のウェルネス業界を支える一社に成長してくれると期待しています。
 
 
 
インタビュアー:大川耕平
 
[取材日:2014年11月22日]