着圧ウェアについて

スポルツ アドバイザー 今村貴幸



 近年、CW-Xに代表されるような着圧タイプのウエアー(Compression wear)が増加傾向にある。その可能性について探ってみた。

着圧ウエアーの分類
 現在のタイプとしては大きく分けて、テーピング・サポータータイプと弾性タイプの2タイプである。

前者の代表的なメーカーとしては、CW-Xや4DM、アルケア社であり、後者の代表的なメーカーとしてはアンダーアーマー、Skins sports、2XU(ツー・タイムズ・ユー)、Speed Compression wearやLine Breakなどが挙げられる。

アリーナはシセイストという商品で正しい姿勢を維持するための商品を、アシックスはインナーマッスルという商品で大腰筋(股関節にあるインナーマッスル)の強化や肩周辺のインナーマッスルのサポートを行うことのできるウエアーをそろえている。これはテーピング・サポータータイプに分類できるが、上記の3メーカーと比較し機能的に若干マイルドな感じを受ける。

ソックスに特化した、パールイズミやX-Socksなどもあり、テーピング・サポータータイプでもあり、弾性タイプでもある。

テーピング・サポータータイプ
Ⅰ.メカニズム
 テーピング・サポータータイプのウエアーでは、関節周辺に存在する筋線維の方向に沿って、必要局所に対してパワー素材となるものを配置し、またその他の部位に対しては、動きをスムーズにするためにハイストレッチ素材を配置することで、身体機能を最大限に引き出すような構造が施してある。また、テーピングのように関節を安定させ保護する機能も備えている。

Ⅱ.効果
メーカーによる独自の発表だが運動時間が延びる、疲労の軽減が認められるなどの効果が挙げられている。これらの機能が有効であれば、ハードなトレーニングを毎日行っているアスリートは障害の予防や、障害からの復帰の為のトレーニングに有効であり。また、中高齢者や女性などの関節や筋力に不安がある方でも比較的安心して運動を始め(再開)ることが出来る。

弾性タイプ
Ⅰ.メカニズム
 弾性タイプウエアーは、心臓から遠い場所では圧が高く、心臓に近づくにつれてウエアーの圧が小さくなっていくような構造をしている。そのため、末梢からの血液循環をサポートする役割を果たす。弾性タイプのウエアーに関しては、海外においても研究論文が散見され、また弾性ストッキングに関しては医療機関による使用と研究論文が多く認められ、その効果が証明されている。

Ⅱ.効果
 末梢における血液の循環を促進する働きがあるため、疲労の軽減や筋の動きをサポートする働きを持つ。しかし、立位姿勢や安静時においてその効果が有効であるとされ、運動時には効果がないとする研究もあり、まだその効果に関しては明確ではない。

着圧ウエアーの可能性
 どちらのタイプであっても現在現場のアスリートには好意的に利用され、その使用感は研究結果とほぼ同じように感じる。特に、試合の合間などに弾性タイプのサポーターを利用している選手に聞くと、足の疲労感が利用していないときに比べスムーズに軽減すると証言している。
将来的に更に研究が進み、更に優れた素材が開発されればアスリートから一般の高齢者や女性、障害からの復帰やサポート、リハビリテーションにおける現場で有効に活用できる可能性が高い。障害をもっていて運動に制限がある人たちにとっても、健康の維持・改善や体脂肪のコントロールのためには運動の実践が必要不可欠であるが、これらの商品によって運動を諦めていた人の需要が高まる可能性がある。