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[健康サービス・デザイン編]2017年2月7日号
         ≫≫≫Author:大川耕平
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HealthBizWatch Authorの大川耕平です。
 
ユニークかつ魅力的なヘルスケアサービスモデルの体験取材を今回からスタートします。
ユーザー目線でのサービス・デザインを分解するワークにチャレンジしていきます。
 
その第一回目は「Fitbit」です!!!
 
 
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【1】特集:健康サービス・デザイン編
---「Fitbitのサービス体験分析レポート」
 
【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
---「友情」
 
【3】今週の注目デジクリップ!
---国内 歩行姿勢測定システム、海外 スマートインソールなど、6本
 
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【1】特集:健康サービス・デザイン編
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テーマ:「Fitbitのサービス体験分析レポート」
 
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1、Fitbitの魅力
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数あるアクティビティトラッカーの中でも抜群の存在感を持つFitbitのサービス体験分析をしてみました。
2007年にスタートした同社のミッションは「お客様がより健康でアクティブな生活を送れるように励まし、動機づけること」とあるように、あくまでもお客様価値にフォーカスしています。
 
モノを作って売るのではなく、お客様にとっての成果を売っていくサービス・ドミナントロジックを具現しようとするスタンスが読み取れます。
 
製品の構成は
 
<スタンダードモデル>
Fitbit Zip
Fitbit One
Fitbit Flex2
Fitbit Alta
<アクティブモデル>
Fitbit Charge2
Fitbit Blaze
<パフォーマンスモデル>
Fitbit Surge
 
全ての機種で使えるウェブサイト上のダッシュボードとスマートフォンアプリとがセットとなります。
 
ちなみに私はZip→One→Blazeとステップアップした6年ユーザーです。
 
 
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2、顧客経験プロセスBLA(ブラ)分析
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※BLA(ブラ)分析とは
顧客経験プロセスをBefor(前行程)、Live(使用行程)、After(後行程)の3行程に分けて分析すること。頭文字をとってBLA。
 
●Befor(前行程)
マーケティング活用しているソーシャルメディアや画像・動画アプリは
・facebook
・Twitter
・Instagram
・Pinterest
・Youtube
・g+
・BLOG
 
ここでは、各顧客接点におけるFitbitのメッセージコンセプトを見ていきます。
 
「目標のある生活
最初にfitbitへ歩数目標を設定します。デバイスはアクティビティ、エクササイズ、食事、体重、睡眠といった生活のあらゆる面を記録するため自分にあった目標を設定してモチベーションを保ち、小さな一歩があなたに大きな変化をもたらすことを実感できます」
 
「Fitbitはあなたらしく運動できる選択肢を提供しています」
 
好ましいアクティビティがあるライフスタイルの中にfitbitが自然に溶け込んでいる物語を一貫して訴求していることがわかります。
 
自分にもできる!という感覚を共有することに成功していると思われます。
 
 
●Live(使用行程) 使用開始 使用中
デバイスとスマートフォンアプリの初期設定も極めてユーザビリティ良好であり、ダッシュボードもフレンドリーかつ見やすく使いやすいです。
 
ダッシュボード表示項目は
・歩数
・登った階段数
・歩行距離
・消費カロリー
・アクティブな時間
・週間運動目標
・睡眠時間(目覚めた回数|寝返りの回数)
・時間ごとのアクティビティ(250歩以上歩いた時間)
・心拍数
・体重体脂肪率*
・水分補給量*
・食事記録*
*印以外は自動計測
 
風呂シャワー時に充電してそれ以外はずっと付けっ放しにしています。
サイクリング、ランニング、ウォーキングを自動で区別してカウントされますし、スマートフォンのGPSと連動してランニングのコース&タイム記録も可能です。
 
食事と運動と睡眠が作用しあっていることをとても実感できることが面白味の一つです。(食事は別アプリ利用)
以前は、意識していなかった心拍数も睡眠時や運動時、静止時との比較からリラックスできているかどうかや、快適な睡眠前の過ごし方などが経験的に分かってきます。
 
つまりこれは、ライフトラッキングモニタリングしながら自分ルールを一つ一つ発見していくジャーニーとも言えると思います。
 
継続ドライバとしては
・自動でセンシング記録されるモニタリングによる自己効力感
・自分のデータと向き合うことによる自分ゴト化のパーソナライズ
・デバイス、スマートフォンアプリ、PCが連動するIoTリンケージ
・世界中のユーザと歩数でコミュニケーションができるコミュニティと競争ができるゲーミフィケーション
 
5つの継続ドライバが機能していると思われます。
 
※継続ドライバの解説
 
 
特にコミュニティで出会った世界中の友達と「チャレンジ」という競争ゲームは楽しめます。
 
ウェブサイトでコミュニティ検索してそこに参加し、自分の歩数に近い参加者にお友達申請をします。そうやって集めたお友達をチャレンジに誘います。
・週末チャレンジ(土日の歩数を競います)
・平日チャレンジ
・1日対決
どれも対象がワールドワイドなので終了後の同期に8時間の時差があります。
 
私がやっているチャレンジ参加者はフランス人、英国人、スペイン人、米国人と様々で不慣れな英語でコメント交換したり励ましあったりと楽しめます。
 
このコミュニティは継続ドライバとして極めて強力に機能していると思われます。いろんな人が世界にはいて、その違いを感じつつ、歩数データを通じてコミュニケーションを楽しめるのです。
 
●After(後行程) 使用後
継続利用の延長上にどのようなサービスデザインがあるかといえば、これは今後の課題だと思われます。
 
私の使用しているウォッチ型デバイスのBlazeでは、文字盤のデザインをセレクトできるのですが、スポンサーのついた文字盤デザインとそのスポンサーサービスとの連動でアドオンで新たなビジネスを仕掛けたり、ユーザーの行動データをもとに様々なサービスを提案したりすることが可能だと思われます。
 
どんなサービスが生まれてくるか?楽しみです。
 
IoT時代のライフトラッキングサービスは継続局面の充実と、その延長上のマネタイズが今後の課題になっていきます。
Fitbitは、その世界の中で最先端を走っているサービスだと思います。
 
 
●お問い合わせメール
 
 
 
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【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
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≫≫≫「友情」
 
IoT時代の価値観として友情的な関係づくりがコミュニケーション資産となる。コミュニティでの互恵関係をいかにデザインしていくか?
 
 
 
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【3】今週の注目デジクリップ! <6クリップ>
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[1]厚生労働省、第3期特定健康診査等実施計画期間(平成30年度-35年度)における特定健診・保健指導の運用の見直しについて(議論のまとめ)
保険者の厳しい財政状況や専門職の限られた人的資源の中で、さらなる実施率の向上を達成するためには、制度の運用の見直しだけでなく、ICTの活用など現場での効率化の工夫や運用の改善が欠かせない、としている。(2017/01/20)
 
[2]アシックス、NECソリューションイノベータと「歩行姿勢測定システム」を共同開発
高齢者の健康寿命延伸に向けた新たな取り組み。「NEC 歩行姿勢測定システム」は、3Dセンサに向かって歩くだけで「歩行速度」「歩幅」「胸腰部の上下動」などの36項目を測定し、身体全体の歩行姿勢を年齢と性別に応じた基準で点数化できる。(2017/01/25)
 
[3]グラクソ・スミスクライン、社員のための疾病予防プログラムを日本で開始
本プログラムは、最大40の疾病予防サービスを少額の自己負担または自己負担無しで提供するもの。全世界の社員が勤務地や職務、給与等級に関わらず疾病予防サービスを利用できるようにすることを目的としている。世界の全拠点で包括的な疾病予防プログラムを確立し導入している多国籍企業は同社が初(2017/01/31)
 
[4]日本水産、ニッスイ「トレーニング&リカバリーセミナー」を開催
開催日は3月18日(土)。スポーツ分野におけるEPAの有用性など、アスリートや指導者に役立つ最新情報を提供。水泳・ランニング等の競技の指導者・トレーナー・栄養士等、スポーツにおける指導的役割を担う方向け。
 
[5]冷え性を救う靴の中のIoT『+Winter』
スイスのスタートアップ企業plus Tは、アプリで温度調節ができるスマートインソール「+Winter」を開発。Bluetoothでスマートフォンアプリとインソールを接続させた後、アプリで好みの温度を設定し、インソールを手持ちの靴に入れて使う。(2017/01/25)
 
[6]mHealthWatch注目ニュース、昨年苦しみを味わったウェアラブル市場の課題
今回の注目ニュースは、ウェアラブル市場の課題に関して。現状の海外を含めたウェアラブルデバイスの市場を見ていると、今回のニュースのように踊り場に差し掛かっている感は否めない印象。(2017/02/06)
 
 
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