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●海外ヘルスビジネス事例NO.100

     ~ 「旅行と健康」サービス(その1) ~
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 欧米では、旅行中の健康を考える「旅行医学(Travel Medicine)」とい
う分野が発達しています。この分野は、特定の慢性病をもつ患者でも旅行を
楽しめるしくみを作ること、また普段健康な人が旅行先で急に体調を崩した
場合でも迅速的確に対応できるしくみを作ることを主な目的としています。

今回は前者の「特定の慢性病をもつ患者が旅行を楽しめるサービス」事例と
して、透析患者及び呼吸器系疾患の患者向けサービスを紹介します。


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【事例1:Global Dialysis】透析患者の旅行をサポートするポータルサイト
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■運営:Global Dialysis
■URL: http://www.globaldialysis.com/
■設立:2000年

透析とは、慢性腎不全で腎臓の働きが悪い人に行う治療法です。通常、透析
治療は、患者ひとりあたりに週2~3回、1回4~6時間かけて実施されていま
す。

Global Dialysisは、透析患者が旅行を楽しむためのポータルサイト。注目
コンテンツは、以下の3つです。

・透析医療機関ディレクトリ「Dialysis Centres」
http://www.globaldialysis.com/centres.asp
主要観光地をはじめ、世界115国、1万軒以上の透析治療が可能な医療機関を
、地名や郵便番号で検索、患者が自分で問い合わせることができます。

・主要な透析センターのリンク集「Accommodation with Dialysis」
http://www.globaldialysis.com/hotels.asp
透析センターとは、リゾート地やシティホテル内に設けられた透析を専門と
した医療施設。現在のところ、ヨーロッパを中心に5ヵ所の詳細を記載して
います。

・現地語の対訳集「フェイズカード(phrase cards)」
http://www.globaldialysis.com/phrases.asp
医療機関で、透析を受ける際に必要な会話表現集。ドイツ語・日本語を含め
計7カ国語を用意しています(現在は、英語とフランス語のみアクセス可能
)。

Global Dialysisは、透析患者やその家族が、病気のために海外旅行をあき
らめるのではなく、積極的に参加できるような情報を提供しています。今後
は、食事面でのサポートが受けられる宿泊施設の情報提供なども期待されま
す。


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【事例2:Home Care Medical Services】呼吸器系疾患の旅行者をサポート
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■運営:Home Care Medical Services社(米国)
■URL: http://www.healthtology.com/hcms/
■設立:1983年

Home Care Medical Services社は、呼吸器系疾患の患者向けに、空港・ホテ
ルなどで使える、携帯型の酸素吸入機器の販売とレンタルを行う企業。

特徴は、販売だけに留まらずオンラインで、呼吸器系疾患の患者が旅行する
際の疑問や不安に答えるサービスを展開している点。また、同社は、医師と
の連携はもちろん、シティホテルやリゾートホテルなどで、呼吸器系疾患の
患者受け入れに慣れている宿泊施設の紹介も行っています。医療機器メーカ
ーが、商品活用シーンを「旅行」に広げ、新しいベネフィットを訴求してい
る例と言えます。

・サポートの概要
http://www.healthtology.com/hcms/oxygen.htm


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【日本の現状と今後の方向性】
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■日本でも、透析患者が旅行する際に必要な患者データを英訳、現地の医師
のアレンジを請けおう医療支援サービスを提供する企業もあります。

・オブベースメディカコーポレーション
http://www.obm-med.co.jp/

ただ、全体として特定疾患を抱える患者の旅行中の健康をサポートする情報
・サービスの提供は遅れているといえます。その点を受け、今年3月には
「旅行医学学会」が発足。さまざまな調査を公開していく予定と発表してお
り、最新動向に注目しておく必要がありそうです。

・日本旅行医学会
http://www.jstm.gr.jp

■日本ではテロや景気の低迷などの影響により、旅行者数は伸びていないと
考えられがちですが、本年末年始の旅行者数は史上2番目の多さだそうです
(JTB調べ)。特に健康管理が課題となってくるシニア層が好調とのこと。
今後は糖尿病や高血圧などシニアの健康課題と「旅行シーン」を絡めた商品
、情報サービスには可能性があると言えないでしょうか。

・参考:JTB(ニュースと資料)
http://www.jtb.co.jp/soumu/press/news/02/news81.html

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