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●ビジネスモデル事例【HealthGrades.com】

  ~医療機関・医師の評価情報を公開するサイト~
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米国では医療ミスによる死亡が死因の第8位にのぼっており、患者が
信頼できる医療機関・医師を選ぶための情報を得ることは重要な関心事
となっています。「HealthGrades.com」は、患者が医療機関・医師など
を選択・決定する際のサポートを目的としたサイトです。同サイトでは、
全米の5000の病院、65万人の医師についての評価情報を無料で公開して
います。また、同サイトは昨年「e-Heakthcare World」が選ぶ「Insight
Awards」の最優秀サイトの評価を受けており、注目されているサイトの
一つといえます。

【サイトの概要】 主な収益はコンテンツライセンスフィー

サイトの概要は以下のとおりです。
■サイト名:HealthGrades.com
■サイトアドレス: http://www.healthgrades.com/
■ビジネス対象タイプ:B-C
■設立:1999年(旧社名Speciality Care Networlk Inc.の設立は1996年)
■収益源:
1.健康関連サイト、ポータルサイトへのコンテンツライセンスフィー
2.評価された医療機関が評価内容を使う際のライセンスフィー


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【コンテンツの特徴】 公的機関からの情報を分析し評価を行う
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HealthGrades.comの評価方法の特徴は同サイトの医療・統計の専門家チームが、
HCFA(米国保険省医療保険財政管理局)から提供されたMEDPAR(健康保険データ)
と被保険者データ(過去3年分)という「公的機関発表のデータ」を統計分析し、
病院ごとに「死亡率」や「手術の回数」などを基準に5段階で評価している点
にあります。

また、ユーザーがいかにして病院を選ぶかという「選び方」に最大の
ポイントを置いており、各医療機関の選び方とこのサイトの活用方法を
詳細に紹介したコーナーもあります。

通常、評価方法には「第3者機関(公的機関)による評価」、「専門家に
よる評価」、「実際に使った人(ユーザー)の評価」の3パターンがあり
ますが、HealthGrades.comは「第3者(公的機関)発表のデータを自社の
統計専門家により評価」した形になっています。


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【日本での可能性】 評価サイトは将来性あり
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■このビジネスモデルのポイントは「評価の信頼性を高める」ことに尽き
ますが、HealthGrades.comでは、「公的機関発表のデータ」と「データ解析
の専門家」を活かすことで信頼性(客観性)を高める工夫をしています。
信頼性を高める別の方法としては「実際に使った人(ユーザー)のデータ」
を多変量解析などの高度な統計解析を行い、信頼性を高めるという方法も
あります。

■HealthGrades.comでは、HCFA(米国保険省医療保険財政管理局)から
データベース使用許可を得ていますが、日本ではこのような保険者データは、
一般 企業に公開されていません。従って、日本でこのビジネスモデルを
そのまま応用することは難しいでしょう。しかし、日本でも医療ミスが
話題となってきており、インターネットを使ってなんらかの形で医療に
関する評価情報を提供するしくみが出てくるのは確実でしょう。

■例えば、病院や医師の評価情報は無理だとしても「医療サイト自体」の
評価や「サイト内のコンテンツ」を比較することは可能です。米国には
医療関係サイトをチェック・認定マーク付与を実施している第三者機関
としてHealth On The Net Foundationhttp://www.hon.ch/があります。
日本には日本インターネット医療協議会http://www.jima.or.jp/index.html
ありますが、米国のHealth On The Net Foundationと比べて会員数が
まだ少なく、発展途上にあります。今後このような医療関連のサイト
を評価し認定マークを与える第3者機関だけでなく、サイトのコンテ
ンツ自体を他のサイトと比較するようなコンテンツ比較サイトが現れて
もおかしくありません。

■顧客が商品やサービスを比較評価できることはインターネットに
よりもたらされる大きなベネフィットの一つです。医療に限らず、
健康関連での「評価サイト」は今後可能性があるでしょう。評価される
メーカー側の対応策の一つとしては、自社の製品を評価されることを
恐れず「評価サイト」を立ち上げることが考えられます。最初に
「評価サイト」を立ち上げることで、そのサイトでのいろいろな
優先権(バナー広告など)をもち、自社サイトの信頼性のアップ
にも繋げることができるわけです。

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