【海外ユニーク事例編】「選択支援」というヘルスケアコンテンツ
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【海外ユニーク事例編】「選択支援」というヘルスケアコンテンツ
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こんにちは。株式会社スポルツの脇本和洋です。
本メルマガ「海外ユニーク事例編」では、毎月1回、特定のテーマで
海外の健康ビジネス動向を紹介しています。
今回は、
「自分の健康づくりの目的に合った商品やサービスを
様々な選択肢から選びたい」
という欲求を解決する「選択支援サービス」を紹介します。
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スーパーで上手に買うことを支援する「ShopWell」
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■運営企業名:YottaMark, Inc.
・設立:2008年
・中核事業として製品のトレーサビリティ(生産履歴管理機能)と認証
システムのプラットフォームを提供している。また、HarvestMarkという
食品ラベルによる食品トレーサビリティのシステムも提供している。
・2013年にShopWell Solutions, Inc.を買収し、ShopWellの事業を引き継いだ。
・shopwellを買収し、今後自社の食品トレーサビリティの仕組みと合わせて、
流通に対して販売していくものと予想される。
・売上:非公開
■ShopWellのページ
■ShopWell利用イメージ(動画3分による説明)→クリックしてください
■サービス概要:年齢、健康目標といった条件を設定することで、
自分にマッチする食品をスコア表示で教えてくれる買い物時に便利な無料
オンライン、アプリサービス
■実績:健康情報ポータルサイト“Greatist”で
「2014年のヘルス&フィットネスアプリ-ベスト65」にランクイン
■価格:無料(利用者)
■サービスの流れ
1.下記の基本条件を設定する
・年齢
・健康目標(複数可):健康増進、減量、心臓病リスク減、消化機能改善など
・こだわり:「ビタミンAを多めに取りたい」、「乳糖は減らしたい」などの
食成分の摂取に関する要望
・アレルギー反応のある成分
↓
2.買う予定の食品カテゴリを選ぶ
<例>肉類、魚介類、パン、ヨーグルトなど
(4万以上の品目データベースあり)
↓
3.選んだカテゴリの商品で、スーパーで一般的に流通しているものが
スコアと共に表示される。スコアは100点満点で、自分にマッチしている
ものほど高得点になっている。
↓
4.商品を選ぶ
(スコアの低い商品を選ぶと、代替案としてよりスコアの高い同類商品が
自動表示される)
↓
5.ショッピングリストを作成し、プリントアウトする。
■スコアの仕組み
スコアは得点により3色で色分けされている
・グリーンスコア(70-100点):その人と非常に良くマッチする、
健康に良いお勧めの食品。
・イエロースコア(40-69点):まあまあマッチしている。
この場合、食品ラベルを注意深く読み、成分を確認することが勧められる。
・レッドスコア(0-39点):マッチしていないもの。ごくまれに、少量食べる
位に控えた方が良い。
■スコアの換算方法
同社のスコアは一定ではなく、
利用者の入力したデータ(年齢、健康目標、こだわり、アレルギー反応)
によって変動します。
その換算方法ですが、
まず、その食品が「健康全般に及ぼす効果や慢性疾患に対する予防効果」
といった健康にプラスに働く成分の含有量によってスコアは高くなります。
逆に健康にマイナスな成分はスコアを下げます。
<例>
スコアを上げる成分:食物繊維、たんぱく質、カルシウム、ビタミンAなど
スコアを下げる成分:飽和脂肪、トランス脂肪、塩分、加糖糖分など
これがその商品の基本的なスコアとなります。
次に「カスタマイズした条件」が加わります。
例えば、
健康目標=減量と設定すると、
減量に貢献する成分はスコアを押し上げ、
減量に悪い成分はスコアを押し下げます。
具体的には食物繊維やタンパク質といった成分は
スコアを特に上げるものとして自動的に選択されますし、
高脂肪、人工甘味料といった成分は
スコアを下げるものとして自動選択されます。
さらに、
卵、魚介類といった「アレルギー反応」の設定をしておくと、
これらの食品は0点になります。
こうして、利用者とのマッチング度合を表す
最終スコアが決定されます。
※食品の健康全般に及ぼす効果のエビデンスとしては、
下記の指針や専門家の意見を参考にしています。
・米国農務省の定める食生活指針(Dietary Guidelines)
・米国医学研究所(Institute of Medicine)の定める食事摂取基準
・専門機関の推奨する食生活指針
・科学的調査と研究結果
・管理栄養士の専門家パネル
※参考URL
・米国農務省の定める食生活指針(Dietary Guidelines)
・米国医学研究所(Institute of Medicine)の定める食事摂取基準
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数多くのスーパーで導入されている選択支援システム「Nuval」
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■企業名:Nuval LLC
■設立:2008年
■ミッション:包括的な栄養情報をスコアで提供することで、
健康に良い食品を簡単に選べるよう支援する
■企業概要:食品小売業者に対し、食品のスコア評価システムのライセンス
認可を与えている。同社はTopco Associates LLC(共同購買組織:日本で
いう生協のような組織)とGriffin Hospital(Yale-Griffin Prevention
Research Center研究機関)という2組織のジョイントベンチャー(合弁企業)
■売上:非公開
■収益源
スコア評価システムのライセンス料
■利用イメージ(動画による説明)→是非クリックしてください
■実績:Kroger, Meijer, Hy-Veeなどの食品スーパー33社が導入している
(店舗数としては1,600以上)
■サービス概要:食品のスコア評価システム、Nuvalの導入サービス
■サービスの流れ
消費者はスーパーなどで買い物をする時に、次のような方法でNuvalを利用し、
商品を選択できます。
1.商品棚についている棚札(商品名や価格が表示されているタグ)に
表示されているNuvalスコアを確認する。
↓
2.価格を比較する要領で、各商品のNuvalスコアを比較する。
スコアは食品の栄養ラベルの情報をもとに1から100点までで採点している。
高得点なほど体に良い食成分が含まれている。
↓
3.買いたい食品カテゴリの中から、より得点の高いものを選んだり、
異種食品でも同じスコア表示なので、どちらが体に良いか比較できる。
■スコアの換算方法
Nuvalスコアは、Yale-Griffin Prevention Research Center研究機関が開発
した、ONQI(Overall Nutritional Quality Index/総合的な栄養価指標)
という食品の栄養価を表す指標を商品化したものです。
換算のアルゴリズムは基本的に、「体に良い成分」÷「体に悪い成分」で計算
しており「その他の要素」も独自の係数にしてあり、計算式に含めています。
「体に良い成分」は食物繊維、葉酸、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンD、
カリウム、カルシウム、オメガ3脂肪酸、生体フラボン、カロチノイドなど
です。また「体に悪い成分」として、飽和脂肪、トランス脂肪酸、塩分、
糖分、コレステロールなどを定めています。
<スコアの例>
100点:ブロッコリー、ブルーベリー、ホウレン草、スキムミルクなど
93点:サーモン
84点:アーモンド
57点:鶏のむね肉(皮なし)
56点:卵
※参考URL
ONQI
Nuvalスコアの概略
ONQIについて(日本語)
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「Nuval+ひと」で選択支援をするスーパーマーケット「Hy-Vee」
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■企業名:Hy-Vee, Inc.
・設立:1930年
・企業概要:全米にチェーン店を235店舗展開する大手スーパー。
薬局、自然食品販売、コンビニなども手掛ける
・売上:8,000億円(2013年)
■同社の戦略
・ウォルマート、コストコなどのディスカウント系スーパー、ホールフーズ
などの自然食品系スーパーとの違いを出すために、同社は、健康に力を
入れ、さらに人(管理栄養士)を使ったサービスを展開している
■健康サービス概要:各店舗に管理栄養士を配属し、顧客に健康面や栄養管理
面での様々な支援やアドバイスを行っている。
※Hy-Veeは2005年から管理栄養士を配備しはじめ、2014年には235店舗で200人
の管理栄養士がいるとのこと。
■サービスの種類
同社は、前述のNuvalのシステムを採用。ただ、単にそのシステムで食品を
表示するだけでなく、店舗の管理栄養士が、
・ショッピングツアー(無料):買い物時に管理栄養士が同伴し、栄養ラベル
の読み取り方、健康的な食品の選び方などを教えてくれる。
・簡易健康診断(有料):コレステロール値、血糖値、体脂肪率など診断
・食事療法(有料):かかりつけ医などの指示により、特定の症状(高血圧、
肥満など)により食習慣の改善が求められた場合、食事プランを立てて
くれる。
・減量プログラム(有料):ライフスタイル改善や減量を目的として10週間
プログラムがある。
・講習/セミナー(有料):従業員の健康促進などのテーマや調理実演など。
グループで申し込める。
・イベント開催(価格は不明):地元のニーズによって、料理教室やワーク
ショップ、子供向けの企画など。
を開催している。
それぞれに対して、Nuvalのシステムをうまく利用したガイドがあると
考えられる。
■ショッピングツアー
例として“ショッピングツアー”では、
1.ショッピングツアーに申し込む。
慢性疾患の有無や食習慣の改善目標などを簡単に説明する
↓
2.管理栄養士と共に食品売り場で買い物(Nuvalのシステムを利用)をする。
↓
3.自分の健康課題にマッチした食品を教えてくれる。
また各商品の食品ラベルや、同社が導入しているNuValスコアの読み取り方
を教えてくれる。
このように商品選択の基礎知識について学べるだけでなく、
その人の健康状態や症状に合わせて、
選択肢を広げるアイデアも教えてくれます。
例えば、
アイスクリームの代わりに、Toffutiという
大豆を原料にした乳製品の代わりになる
ブランドを教えてくれます。
また、通常の小麦のパンの代わりに
ライ麦パンを食べることなどです。
このように、
スーパー側がおすすめの商品とそうではない商品を教えてくれる
という、一歩立ち入った選択支援を行っています。
※参考URL
・同社のコンサルテーションの様子(動画あり)
・同社の店内様子がわかる画像あり
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流通では「選択支援」というメソッドに注目
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今回は、「選択支援」をテーマに事例を紹介しました。
いかがでしたでしょうか。
流通現場で課題となる
・数ある選択肢(今回の場合、食品)をどのように選んでいくか?
に対する解決案として参考になるはずです。
一方で、流通がこうした選択支援を導入するには課題もあります。
1.選択支援のしくみを導入した時の費用対効果をどう提示するか
2.店舗に配属した管理栄養士の価値をいかに高めるか
3.膨大なデータをシステム構築する初期投資ができるか
1 に関しては、同様のサービスを提供していたヘルスノーツ社が、ある流通
1店舗に集中し、効果をだし提示した例があります。また、選択後に流通の
PB商品のポイントが高くなるならば、PB商品の販売拡大に結び付ける方法も
あるでしょう(特にPB商品に力を入れている流通の場合)。
2 に関しては、Hy-Veeの今後の戦略は、顧客のかかりつけ医とデータを
共有し、その人に合った食事選択を提供するところまで進化させています。
3 に関しては、システム提供会社と連携する、国プロジェクト(連携がテーマ
となっているもの)の中で実施するなどの工夫が考えられます。
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