健康ビジネス問題解決サポートメディアHealthBizWatch
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
[ヘルスコーチングの視線編]2017年6月27日号
   ≫≫≫Author:里見将司
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 
「ヘルスコーチングの視線」では、ヘルスコーチングのアプローチについて現場の方々の生の声をインタビュー形式でご紹介してきています。
 
今回もインタビューを振り返ってみて、気になるキーワードをピックアップして紹介したいと思います。
 
本日のキーワードは、「目標達成のための具体的な行動」です。
 
 
 
■□■□■□■ I N D E X ■□■□■□■
 
【1】特集:ヘルスコーチングの視線編
---ヘルスコーチングの可能性を探る:インタビューから見えてくるキーワード『目標達成のための具体的な行動』
 
【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
---「ビジネスモデルにも賞味期限がある」
 
【3】今週の注目デジクリップ!
---国内 ウェアラブルデバイス市場動向、海外 メンタルヘルスチャットボットなど、11本
 
─────────────────────
 
◆◇◆---------
【1】特集:ヘルスコーチングの視線編
◆◇◆---------
 
<テーマ>
ヘルスコーチングの可能性を探る:
インタビューから見えてくるキーワード
『目標達成のための具体的な行動』
 
 
これまでにも「ヘルスコーチは健康的な行動変容を支援するコーチ」ということをこのメールマガジンでお伝えしてきました。
 
「コーチ」というと何かを教えてくれる人、アドバイスをくれる専門家というイメージが強いですが、実は「ヘルスコーチ」は教える、指導するアプローチとは異なり、対象者自らの気づきを促し、「行動」に取り組みながら、対象者が自ら行動を継続することに目を向けるアプローチです。
 
しかし、「行動」を追いかけてPDCAのサイクルをしっかりと回していくプロセスの中では、対象者が陥りやすいポイントがあります。
 
今回は、その陥りやすいケースから注意すべきポイントとして「目標と具体的な行動」の関係について、これまでのインタビューの中のコメントを交えてご紹介したいと思います。
 
 
-----------------------------------
1.「目標・達成イメージ」と「行動」の違い
-----------------------------------
 
「目的」「目標」「行動」などの言葉の使い方は様々ありますが、ここでは「目標、達成イメージ」とは未来の姿、なりたい姿などが設定されるものとします。
そして、「行動」とは、具体的な取り組み(アクション)として以下説明したいと思います。
 
上記のように整理した上で、目的そして目標と具体的な達成イメージがモチベーションの源泉になります。特に目標を達成した先にいる自分の具体的なイメージこそが、原動力になったりします。
 
そのため、目標と具体的な達成イメージは、あくまでもゴールやゴールの先のワクワクした気持ちになるようなことが設定されます。逆に「行動」とは、具体的なアクション、取り組みということになります。
 
 
-----------------------------------
2、「目標・達成イメージ」に向けて「具体的な行動」という位置付け
-----------------------------------
 
目標・達成イメージに向けて具体的な行動(アクション)に取り組むことを常に意識することが「ヘルスコーチング」では大切になります。
 
しかし、具体的な行動への取り組みに目を向け過ぎて集中し過ぎると「目標・達成イメージ」が薄れていってモチベーションのダウンにつながってしまうケースがよく起こります。
 
また、「行動」に目を向けすぎるあまりに、いつの間にか「行動」をこなすことが「目標」にすり替わってしまうケースが発生します。
 
例えば、「通勤時に一駅前から歩く」という行動を設定したとします。
梅雨時など雨が続いてなかなか一駅前から歩くことが出来ない日が続いてしまうと、決めたルートを歩けないことにストレスを感じてきます。そうするといつの間にか「一駅前から歩く」ことが手段ではなく、目標に変わってしまうことがあります。目標が「一駅前から歩く」になってしまうと、本来の達成イメージのような魅力がないため、取り組み自体を止めてしまうことがあります。
 
このように、目標を達成するための具体的な行動(アクション)が目標にすり替わることが多々起こりうることなので、「目標」と「行動」の関係を常に意識させるサポートが重要になるのです。
 
そのため、「目標・達成イメージ」を手に入れるための「具体的な行動」は状況に応じて差し替えていくことも必要なのです。
 
また、ヘルスコーチングでは、具体的な行動に目を向けて継続的にサポートしていく中で、「出来る行動」「出来ない行動」がハッキリ見えてきます。
 
通常、出来ない行動(マイナス)に意識が向かってしまいがちですが、出来ていることを早めに見つけて、その出来ている部分をより習慣化、定着化に向けて工夫していくことも大切なポイントです。
 
 
それでは、ここでこれまでにインタビューさせていただいた専門家の方々が、「行動」へのアプローチとしてどんな点を意識しているのかご紹介したいと思います。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
【コメント1】:具体策を導いて、効果を感じてもらう
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
(有限会社クオリティライフサービス代表取締役、食コンディショニングプロデューサー小島美和子さん)
 
食事指導の現場はもちろん管理栄養士への指導や健康商品、サービス等への監修など、食事を中心に幅広い分野で活躍されている小島さんへのインタビューの中で、対象者の「行動の継続」へのアプローチで必要なポイントは、「具体策を導く」ことだとコメントされています。
 
 
(小島氏)----------
 
具体策を導くことですね。
例:行動目標「休肝日を週2日つくる」
この目標を達成するために、どんな具体策が必要か?週末は家族で楽しみたいので月曜日と火曜日を休肝日にする。そのために家族の協力も得る、など。そして、からだで効果を感じてもらう、ということだと思います。食生活の改善により、からだにいい変化が出ていることに気づかせる、体感させる、体調チェックをしてもらうなどです。
 
 
ヘルスコーチングの視点:
「より行動に繫がりやすい具体的な行動への落とし込み」
 
漠然とした行動の設定をよく見かけますが、例えばいつ取り組むのかまで明確になっていないと、意識はできるもののなかなか行動に結びついていきません。
「行動」の設定では、より詳細な部分まで含んだ行動に設定することが必要で、もしその詳細な部分(タイミングなど)が合わないのであれば、その詳細な部分を変更しながら習慣化、定着化に向けて工夫していくことがポイントです。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
【コメント2】:持続可能で必要十分
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
(株式会社ボディクエストの代表でボディデザイナーの森俊憲さん)
 
オンラインでのパーソナルトレーニングでこれまでに10,000人以上への個別カウンセリングやパーソナルトレーニング指導を行っている森さんに、トレーニング(行動)の継続で特にどんなことを意識しているかお聞きした時に、以下のようにコメントされています。
 
 
(森氏)----------
 
無理強いしても長続きはしませんので、大前提として、持続可能な形でトレーニングのインプットをしていかなくてはいけないのです。そういう意味では、キーワードは“必要十分”。そのユーザー自身が維持できるレベルと、求めるアウトプットレベルのクロスポイントを見出すことが大切です。
 
 
ヘルスコーチングの視点:
「一人一人に合わせた効果と持続可能なスタイルのサポート」
 
10,000人以上のオンラインでのパーソナルトレーニングを提供してきた森さんも、やはり持続可能なトレーニングのスタイルを見つけることが重要だと言われています。やはり効果を出すための最低限の取り組みとは、トレーニングの継続であって、そのトレーニングは一人一人の目標達成に向いていることがベースになっているのです。
 
また、一人一人に合わせた効果と持続可能なスタイルのサポートでは、対象者としっかりと向き合うこともポイントです。
 
そのためには、「教える」「アドバイスする」のではなく、対象者に寄り添って、対象者を知るための問いかけや気づいていない点に目を向ける「質問」などのスキルもオンライン上のコミュニケーションでは重要になってきます。
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
【コメント3】:行動の継続は行動の開始とセット
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
(国立看護大学校 講師、看護師 藤澤雄太さん)
 
医療の現場で患者さんのサポートはもちろん看護師を育成する立場で活躍している藤澤さんのインタビューの中で、行動の開始と行動の継続を分けて、それぞれのアプローチの重要性を挙げています。
 
 
(藤澤氏)----------
 
行動の継続は非常に重要です。そしてその前段階にある「行動の開始」も重要です。行動の開始の仕方によっては、継続が難しくなると思いますので、習慣化を目指すためにも、行動開始に向けた医療者の関わり方がまず鍵となるでしょう。
 
 
ヘルスコーチングの視点:
「動機づけと行動の継続」
 
藤澤さんへのインタビューでは、患者さんの動機づけも重要だと以下のようにコメントされています。
「患者さんの今の感情や価値観に焦点を当てて、どんな考えでいるのかについて正確に理解することがポイントだと思います」。「動機づけ」の一つとして「行動の開始」があって、「行動の開始」の要素の一つに「目標・達成イメージ」が存在します。
 
そのため、開始時の「目標・達成イメージ」のセッティングが、その後のモチベーションはもちろん、行動の継続にも影響するということなのです。
 
やはり、「目標・達成イメージ」と「具体的な行動」は、役割は異なりますが、セットでアプローチすることが不可欠だということなのです。
 
 
-----------------------------------
「習慣化、定着化には「具体的な行動」のPDCAサイクルが必要」
-----------------------------------
 
今回ご紹介したキーワード「目標達成のための具体的な行動」は、ヘルスコーチングのアプローチでは重要な要素の一つです。
 
特に、「目標・達成イメージ」と「具体的な行動」の関係性を理解した上で、「行動習慣化、定着化」にフォーカスして対象者に寄り添うことが、最終的には対象者の「目標・達成イメージ」の実現に繫がるのです。
 
上記でご紹介した3人の専門家の方々へのインタビューでも、表現はそれぞれで異なってはいますが、「目標・達成イメージ」と「具体的な行動」をしっかりと区別して、双方の重要性はもちろん関係性を意識してアプローチをしています。
 
目標達成に向けた具体的な行動は、取り組みながら対象者にフィットさせていくやり方、向き合い方を見つけて習慣化、定着化を目指していきます。
 
このプロセスの中で対象者に寄り添って、しっかりとPDCAを回すためのサポートをしていく役割がヘルスコーチなのです。
 
 
 
◆『これからの健康経営を牽引するモバイルヘルス(食改善編)』
 7月25日13:00-15:30
 
富士通株式会社の健康推進本部にて長年従業員の健康に携わり、昨年、株式会社富士通ゼネラルに移籍し、今年4月より健康経営推進室をスタートした佐藤光弘氏をモデレーターに、食をテーマにした企業向け健康プログラムを提供する株式会社ウィットから天辰次郎氏、Noom Japanから濱嵜有理氏、ドコモ・ヘルスケア株式会社から戸田伸一氏の3名をパネラーにお迎えし、パネルディスカッションを開催いたします。
 
今回ご登壇いただく3サービスともに「人が寄り添う」ことが特長で、コミュニケーションの基本はコーチングの要素を取り入れたアプローチになっています。サービスごとに「コーチング」の要素が異なりますが、「コーチング」のサービスへの取り入れ方は参考になると思います。
 
今回も事前登録制になります。
定員制限がありますので、お早めにスケジュールをご調整ください!
 
・セミナー申込ページ
※フリーワード検索に「健康経営を牽引するモバイルヘルス」と入力、絞り込みいただくとセミナー詳細&お申込みページが簡単にご覧いただけます。
 
・来場事前登録ページ
 
・ウェルネスフードジャパン
 
 
 
◆【『ヘルスコーチング』プライベートセミナー】
 
最近、管理栄養士向けなど専門家の方々へのヘルスコーチングのセミナーのお声掛けをいただくケースが多くなってきております。
 
このプライベートセミナーは、お客様のご要望に合わせ、場所、日時、参加人数を決めていただき開催する個別セミナーです。
 
プライベートセミナーでは、ワークショップ形式も含めた内容もアレンジ可能です。是非ご活用ください。
 
『ヘルスコーチング』プライベートセミナーの内容は以下にてご確認ください。
 
 
 
◆◇◆---------
【2】健康ビジネスの現場で使えるキーワード
◆◇◆---------
 
≫≫≫「ビジネスモデルにも賞味期限がある」
 
多くのフィットネスクラブはお客様が歩いて来店してくれる時代のビジネスモデルから抜けきれないでいる。IoT時代進化とともに商圏という考え方が意味を持たなくなる。
 
 
 
◆◇◆---------
【3】今週の注目デジクリップ! <11クリップ>
◆◇◆---------
 
[1]カシオ、Bluetoothストップウオッチ「HSB-100W-1」登場
ストップウオッチの測定データをiPhoneへ送信し、個人別での管理が可能なカシオ初のBluetooth搭載ストップウオッチ。(2017/06/14)
 
[2]IDC Japan、2017年第1四半期 世界/国内ウェアラブルデバイス市場規模を発表
2017年第1四半期のウェアラブルデバイス世界出荷台数は前年同期比17.9%増の2,470万台。国内ウェアラブルデバイス出荷台数は合計で20万4千台となり、前年同期比19.9%減。(2017/06/15)
 
[3]FiNCとパナソニック、「家電」と「ヘルスケアサービス」を組み合わせた行動変容の共同実証実験開始について
実証実験では利用者の血圧に着目し、FiNCが提供するFiNCアプリとパナソニックの血圧計等を組合わせた生活習慣指導サービスを提供。そこから得られるデータから利用者ごとの行動変容と血圧等のバイタルデータの関係を調査。(2017/06/16)
 
[4]東京海上日動リスクコンサルティング、リスクマネジメント最前線「健康経営の最前線」【PDF】
本稿では、健康経営に取り組む意義について検証。(2017/06/19)
 
[5]雪印メグミルク、健康に対する牛乳への期待度調査報告 第一弾【PDF】
本調査から、肌の健康に悩む20代女性で牛乳に肌の改善効果を期待する人が一定数いるという新たな事実が明らかになった。(2017/06/20)
 
[6]日本計画研究所、“稼ぐ公共スポーツ施設”の主要件とその本質的機能
開催日は7月20日(木)。「スポーツイベント運営者の視点で見るスポーツ施設の現状」「“稼ぐ”スポーツ施設の真意…とは?」など。
 
[7]UBMメディア、ダイエット&ビューティーフェア2017(第16回)
開催日は9月11日(月)から13日(水)。コスメ・美容機器や、サプリメント等を扱うインナービューティー業界等、様々な美容・健康業界のプロが集結する展示会。
 
[8]グローバルインフォメーション、国際会議「The AI Summit Singapore-人工知能(AI)サミット:シンガポール大会」(Futurum Media Ltd.主催)
2017年10月3-4日シンガポールにて開催。AI Summitは、人工知能が企業組織に及ぼす実質的な影響やビジネス現場の生産性に大きな変化をもたらしつつある実用的なソリューションにスポットライトを当てる世界初の大規模な会議と展示会。
 
[9]Woebot Labs、Facebook Messengerを使ったAIメンタルヘルスチャットボット『Woebot』を提供
メンタルヘルスについてしか話したがらないチャットボット。利用料は、2週間の無料トライアルの後、毎月39ドル。(2017/06/15)
 
[10]mHealthWatch健康経営キーマンインタビューVol.2:自分達でしっかりと社員を見守れる環境づくりが健康経営への一歩
今回の健康経営キーマンインタビューでは、今年4月から正式に健康経営推進室が設置された株式会社富士通ゼネラルに、健康経営の準備段階から、最初に取組む施策まで、導入時にスポットを当ててお話しを伺いました。(2017/06/20)
 
[11]mHealthWatch注目ニュース:2つの記事からAmazonの展開を予測!
Amazonの取り組みは、今後のヘルスケアにおける在宅支援のあり方を大きく進展させる可能性があると思えます。(2017/06/26)
 
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━