新しい価値を生むためのアライアンス

「健康ビジネス業界がわかる」(技術評論社刊)より筆者大川耕平が加筆

アライアンスとは

アライアンス(alliance)とは企業連合、同盟、提携のこと。複数企業(機関・団体・個人)の間でお互いにない価値生産資源を持ち寄り協力し、新しい価値提供を可能にすることである。

機能補完をしながら目指すビジネス全体の完成度・価値をアップさかつ相互のシナジー効果を求めていくためのマネジメント手法である。健康ビジネスには様々なファクターがあり多くの専門知識・技術・機能が必要であることから総合健康サービス化を目指すのにこのアライアンスは有効と思われるが、まだ成功事例は少ないのが事実だ。

健康専門家の縦割り構造

予防領域での健康サービスを開発する場合、複数の専門家の知識が必要になる、食事に対しては管理栄養士やサプリメントアドバイザー、または調理師。運動に関してはパーソナルトレーナーや健康運動指導士、理学療法士、スポーツドクター。監修としての医師にも声をかけるだろう。

みな健康領域の専門家と言えるが日常的な持ち場は違い活動文化も違う。サービスプログラムとして組み上げ、運用していく上での課題がここにある。どうしても各専門分野縦割り構造が反映されたものになってしまう。

アライアンスマネジメント

先に挙げた専門家の数ほど多くはなくとも異なる専門分野の融合が価値を生む健康サービスは多い。そして今後もそれらへの要請は増えていく。専門知識を組み合わせただけではサービスプログラムはできあがらない。ではどうすべきか?

1)「チームビルド」係わる専門家が共通した価値観を共有し相互にサポーティブになれるコミュニティ構築と運営

2)「フィードバック」現場情報の徹底したフィードバック共有

3)「学習する組織」学習成果共有を共有し、現場に組み込む工程

この3つが今後の健康専門家、健康複合サービスにおけるアライアンスマネジメントの上位必須項目になる。健康サービスで言うところのサービスの意味を価値創造という視点でのアプローチが始まったのはごく最近である。予防領域での健康サービス・アライアンスは、まだ黎明期であるだけにチャンスも大きい。

アライアンス力を高めるために

ビジネススキームとしてのアライアンスを上手く機能させるためにアライアンスマネジメントの3ポイントを先に挙げたが極めて基本的な世界観共有メソッドであり合意形成手法である。

文化背景の異なる者同士が同じ絵図を見ながらそれぞれの専門領域での当たり前を超えたコミュニケーションをとっていくにはお互い敬意を持って接する心構えが必要に思うのだ。

いや、この「敬意をもって接する」こことが最も大切かもしれない。