顧客満足を生み出すサービスマネジメント

健康ビジネス業界がわかる」(技術評論社刊)より筆者大川耕平が加筆

サービスとは

産業構造のサービス化が進んでいると言われている。日本のサービス産業従事者は全体の約七割であり、そのGDP比率は約六割に達する。健康ビジネスにおいても「サービス」が必須テーマだ。

まず、フィリップ・コトラー(マーケティング学者)の定義を引用すると「サービスは、基本的に無形かつ所有の対象にならないものを提供する活動である。物理的な製品と結びつけて提供される場合もある」とある。日本的な慣習ではサービスをおまけと考えがちだが、もしそうであれば改めねばならない。

さらにサービスの特徴を整理すると無形であり、生産と消費が同時に行われるということは、対面式の健康アドバイス場面を思い浮かべて欲しい、アドバイスを受ける人とアドバイスする人が同時に交流することで生産と消費が行われる。そして権利の移転を伴わないということは無形のもの交換であることを意味している。

顧客との共同生産(相互作用)であるということはサービスを受ける側もサービス価値の生産工程に参加していることを意味する。

サービスを受けるこちらの態度もサービス品質に影響するのだ。

購入後、結果とプロセスが評価され、購入前には評価できない。これは例えばマッサージに行き、丁寧でやさしく施術されているプロセスとその結果(例えば楽になった)と合わせて品質として評価される。プロセスが不安感のあるままでは理論的には同じ施術であっても評価は低くなると思われる。

そして、提供者、時間、場所によって品質が左右される。ものと違い品質管理が難しい側面を持つ。

健康ビジネスが対象とするのは消費者の健康志向マインド

サービスの価値は顧客が知覚した価値、つまり主観的評価だ。予防領域の健康サービスでもこれは同じだ。「人を直接相手にしたビジネス」の目標は顧客満足であることは言うまでもない。

その顧客満足をより多く提供していくためにもサービスマネジメントを健康業界事業者は取り入れていくべきだ。

機能はすぐにキャッチアップされ、機能面だけでは差別化は出来にくい。ビジネスの継続価値提供はサービス品質管理で決まる。