新規事業開発人材の育成プロジェクトでご一緒したことのある岩田さん。
昨年書籍を出され国内の事業開発チャレンジャーをサポートするポジションを取られた。
岩田さん、そしてアイディアポイントの面々の一貫したスタンスの中で見えてきた国内新規事業の本質的なポイントを把握したいと思いインタビューをお願いしました。
アイディアポイント社は業種を問わずオファーがあるけれど、ヘルスケア領域に活用できるエッセンスがあると思う。
※このインタビューでピンときたらこの書籍お勧めです。

岩田 徹 氏

株式会社アイディアポイント代表取締役社長
慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント学科 研究員

岩田 徹 氏

Profile

東京大学大学院工学系研究科修了(工学修士)外資系コンサルティング会社(A.T.Kearney、Roland Berger)、外資系ソフトウェア会社(SAP japan)を経てセルムグループにて株式会社ファーストキャリアの立ち上げに参画。その後、新規事業開発・企業と人の創造性開発をテーマに株式会社アイディアポイントを創立。新規事業開発コンサルタントとして、大手企業の新規事業創出プロジェクト、各種研修・ワークショップの実施。一般社団法人日本イノベーション協会代表理事。

Q1.コロナ禍にあっても、世の中の流れが、現状維持だけではダメ!と言う意識が多くの企業やビジネスパーソンにも浸透しつつある気がしています。でも、その中でも保守的な組織も多いことも事実です。アイディアポイント社へのオファーにはどんな変化がありますか?

これまでも、多くの企業で『このままではいけない』、『何らかの形で新しいことに取り組まなければいけない』という雰囲気はありましたが、今回のコロナ禍でより加速したというのが実感です。

特に、これまで新規事業に取り組んできた企業では、『社会の仕組み』や『人々の考え方』が大きく変わるこのタイミングこそがチャンスだと市場を見極めながら、可能な限り早める方向で動いています。

それに伴って私たちへのオファーも「アイディア創出」に関わる部分から、顧客や市場調査のサポートやプロジェクトのメンタリング等、より実務的、実践的な内容に変化しつつあります。

ほとんどの企業では、『コロナ禍』やそれによる『社会構造の変化』、『人々の価値観、行動の変化』は既に所与のものとして受け入れられていて、その後の『これまでとは違う世界』を前提にプロジェクトを進めているので、『コロナ禍』そのものを扱うことはほとんどありません。

実際のプロジェクトの場面では、シナリオシンキングを用いて、『どんな未来の可能性があるのか』、その中で、会社として『どんな手を打つのか / 打てるのか』、『それで生き残れるのか』が論点になっています。

この議論は、『正解がない(わからない)』ものであるため、限られた情報を集めて議論、整理するところまではできるものの、最後は、自分たちがどんな未来を信じて、そこに向けてどのように行動していくのかを決めなければいけないため、プロジェクトの難易度が高く、よりチャレンジング(挑戦しがいがあるもの)になってきています。

その中で、やはり、プロジェクトにおける人の能力、リーダーシップ(大きく未来を描く力、抜け目なく緻密に構想する力、多少の失敗や想定外があっても明るく前向きに周囲を巻き込みながらなんとか進んでしまう力)がプロジェクトの成否を左右するな、と感じています。

Q2.著書の表紙の左上に小さく「ふわっと考えていることをカタチにする」とあります。これって新規事業の本来的な起こりなのだと思います。この表現アプローチの根拠があると思うのですが教えてください。

ビジネスパーソン一人一人とお話しすると「実は、こういうことをやりたいんです」という方は意外と多いのです。

「普段働いていると、この業界でこういう商売やったら絶対もうかると思う」、「消費者としてこういうものがあれば絶対に買うのになぁ」、「儲かるかわからないけど将来子どもが大きくなったときには、この社会課題はなんとかしておいてあげたい」等、とてもピュアでおもしろく、大切だと感じるものが出てきます。

私としてはなんとか応援したい…のですが、「では、やりましょう」となると…「まだ、ふわっとしているので、もう少し固まってからお話しします」という言葉が出てきます。

そのままにしておいて、「ふわっとした」アイディアが固まることはありません。

このアイディアが「できるのか」、「できないのか」考えていくと、ほとんどの場合、「できない」理由が勝ちます。

「本当に欲しい人がいるのかわからない」、「他の人が似たようなことをやっている」、「必要だと思うのは自分だけなのではないか」、「会社や自分がやるには規模が小さすぎる」、「今、自分がやるべきことは他にもある」等、いくらでも理由が出てきます。
最後には、誰もやっていないことをやろうと考えているのに「誰もやっている人がいない」のが、「できない」理由になってしまったりします。

なので、少しでもいいなと思っている「ふわっとした」アイディアは、一度、『これはきっとできる(そして、すごい素敵な)アイディア』であると決めて、固めてしまわなくてはいけません。

その固め方を説明したのが、私の書籍です。難しいことはありません。

「ふわっと」考えているということは、やろうとしていることのうち、「決まっていること」と「決まっていないこと」があるということです。

ひとまず「はじめの一歩」を踏み出して、アイディアをフレームに当てはめて、決まっていないところを具体的に書いてみればよいのです。
その上で、全体を検討して、それが「できる」のか「できない」のかを考えようというのがこの書籍で説明している内容です。

この「はじめの一歩」を躊躇する気持ちとどう付き合いながらどのように踏み出すのかも丁寧に解説しています。
「はじめの一歩」を踏み出すとそれ以降は比較的スムーズに進むので、この本当に本当の「はじめの一歩」である「ふわっと考えていることをカタチにする」ところをサポートできたらうれしいです。

Q3.今後の岩田さん、アイディアポイントのビジョンや計画など可能な範囲で教えてください。

アイディアポイントや自分自身は、これまで「事業開発」x「人材開発」というテーマでビジネスをしてきました。
基本的には、引き続き、多くの企業やビジネスパーソンが新しいことに挑戦して成功することのサポートを続けていこうと考えています。

同時に、私たち自身にも「新しいことに取り組む」経験や知識も蓄積され、ネットワークもできてきています。
これらを活かして多くの人が役に立つ情報を発信したり、ネットワークを活用して調査や企業や人材の紹介、新しいことに取り組む人のためのコミュニティづくりなど、少しずつフィールドを広げていこうと考えています。

これまでは、ビジネス自体は『企業』に向けて提供していましたが、より『個人』にフォーカスしたサービスやサポートを増やしていこうと考えています。

将来的には、自分たち自身も新しいビジネスにチャレンジしたり、人材、ネットワーク、資金の提供等、様々な形で仲間と新しいビジネスにチャレンジする、そのための仕組みづくりをする等、様々なことにチャレンジしてきたいと思っています。

私自身も、まだまだ「やりたいこと」ばかりなので、自分自身に『枠』をつくらないで、新しいことにチャレンジしていきたいと思っています。

ありがとうございました!

インタビュアー:大川耕平

[取材日:2021年1月15日]