毎週金曜配信のNEWSクリップ号より健康ビジネスキーワードを抜粋してご紹介。
HBW編集主幹の大川耕平が、健康&ウェルビーイングビジネス現場で見聞体験した中で見つけたビジネスヒントや発想刺激につながりそうなトレンドやキーワードをコンパクトに解説します。

健康ビジネスキーワード(5月)



---「共創はめんどくさい」

考え方も、ペースも、時には好き嫌いさえも違う。
思い通りにならないことの連続だ。

何度も立ち止まり、何度もズレを調整して、前に進む。
一人ならもっと早くできたかもしれない、そんな気持ちになる瞬間もある。
けれど、それでも共創に挑む理由は、たったひとつ。

自分一人では決して見えなかった景色に出会えるからだ。

新しいアイデア、意外な突破口、想像を超えるシナジー。
それは、違いに向き合い、時間をかけて関係性を育てた者だけが手にできる贈り物。
めんどくさいけど、なんだかんだ、また誰かと手を組みたくなる。
共創とは、不便さを超えた先にある、不思議な喜びだ。


---「これからのKPIは、体温より“会話温度”」

ヘルスケアサービスを誰にどう届けるか。
多くの企業が、商品やプログラムの良さを“伝える”ことに一生懸命です。
が、実はこれ、伝えすぎると“情報の押し売り”になります。
健康になってほしい気持ちが強すぎて、逆に相手が引いてしまう、、そんな現場、心当たりありませんか?

本当に必要なのは「伝わっているかどうか」の確認です。
“伝える”より“伝わる”が大事。
しかも、それは相手の内側の変化でしか測ることはできないのです。

では、何を指標にすればいいのか?
最新のKPIは「顧客の声」それも、数ではなく“質”です。
ヘルスケアの現場で今注目されているのは、「どんな会話が生まれているか?」という視点。

継続してもらうには、効果や論文やエビデンスなどよりも、「この人と話すと元気になる」「この人は私の体のことを本気で考えてくれている」と思ってもらえるかどうか。

IoTで脈拍も睡眠も測れる時代、最後に頼れるのは人と人の“あたたかいやりとり”。
そう、これからのKPIは「会話の質=会話温度」なのです。


---「事例はパクってからが勝負」

私たちHealthBizWatchは、これまで数えきれないほどの海外事例をネタに、お客様企業のヘルスケア事業の"カンフル注入"をしてきました。
でも、ただ事例を紹介するだけでは、ブームに乗ったつもりが転覆するのがオチ。
そこで私たちは、事例活用には“5つの段階”があると考えています。


レベル1:表面だけパクる(コピー&ペーストで満足)→ わかりやすく言うと、「とりあえずスムージー出してみた」みたいなやつです。

レベル2:パクって失敗して、学んだと思ったらまた失敗→ PDCAじゃなくて、FDFD(Fail→Do→Fail→Do)の無限ループ。

レベル3:なんでその事例がうまくいったのか、ちゃんと考えてからマネる→ ここからが「思考」フェーズ。ここまでくれば迷子にはならない。

レベル4:本質を理解して、ちゃんと自社仕様にチューニングしてからやる→ このあたりで「あの会社、なんか最近キレてるな」と周囲がざわつき始める。

レベル5:最終的にオリジナルに昇華。事例を超えて新しい定番にしちゃう→ もうここまで来ると“パクった”ことさえ誰も覚えていない。


多くのチームがレベル2で力尽きます。なぜか?
doing(やること)だけを真似て、being(あり方)を見ないからです。
うまくいくチームは「この事例がなぜ刺さったのか?」という「問い」から始めます。
そして、自分たちの文化や文脈、ユーザーの期待を織り込んで「意味あるdoing」に変えていく。

流行りのモデルをそのまま導入して「なんか違うんだよなぁ」で終わった経験、あなたにもきっとあるはず。
それ、beingが抜けてるサインです。

私たちHealthBizWatchが提供するのは、レベル3以上の“事例活用型イノベーション”。
「真似る力」より、「問い直す力」を伸ばす方が、結局近道なのです。
気になる方、ご一報ください。


---「デジタルヘルスの符号を探せ、創れ」

医療者と生活者、開発者と現場、企業と顧客。
それぞれの「あうん」は、実は共有された符号(コード)によって成り立っています。

「まあまあ元気」という曖昧さも文脈がなければ伝わりません。
今後のデジタルヘルスの進化に必要なのは、この「意味の符号化」です。

体調、行動、感情をどうコード化し、使い手と作り手が共有できる「解釈の地図」を持つか?
符号を「読み取る力」と「創る力」こそ、これからのヘルステックの競争力。

共通語をつくろう、記号を磨こう。

デジタルヘルスの「次」は、符号の言語設計から始まるのです。


------------------------------------------------

ダイジェスト版アーカイブはこちら