私、大川がここ数年ずっと気になっているキーワードの一つがモチベーション・テクノロジーです。人に焦点を当て、イキイキと、結果的に高い生産性を発揮していく組織づくりにアプローチしている会社の存在を知ったのは2015年でそのタイミングで本インタビューにも登場していただいたこともある石見さんに、人中心のデジタルトランスフォーメイションへのシフトが叫ばれている昨今の同社の動きを伺いました。

石見 一女(いわみ かずめ)氏

株式会社Be&Do代表取締役/CEO

石見 一女(いわみ かずめ)氏

Profile

武庫川女子大学卒業。1985年に25歳でセールスプロモーションのスタッフ派遣で起業。組織・人材活性化コンサルティング会社を共同で設立するなどを経て、2011年に株式会社Be&Doを設立。
世界の人をイキイキすることをミッションに、人の力で業績を伸ばすWellbeingマネジメントツールHabi*doを開発販売。Habi*doは、目標(Will)と達成の方法(Way)と信頼関係(Trust)を築きながらイキイキと行動を促すマネジメントツール。
Habi*doを活用した心理的資本を高める目標達成プログラム(TREE-MBO)やオーセンティックリーダーシップを育成するWWTプログラム(Will-Way-Trust Power Upプログラム)などコンサルティングサービスを提供。人と組織のイキイキづくりプロデューサーとして、企業の組織人材の活性化を支援している。
一般社団法人人と組織の活性化研究会(APO研)代表理事

Q1.コロナ禍にあってまさに石見さん達がアプローチしてきている「人の力」を最大化していくシステムや仕組みが求められていると我々も実感していますけど、ここ最近の手応えはいかがですか?

新型コロナのパンデミックは、働き方、デジタル化、人と人との心理的、物理的距離についてなど、コロナ前から解決しなければならない課題と言われていながら、手を付けていなかった物事を一挙に推し進めることになりました。

特にテレワークが、この日本でこんなに一挙に広まるとは思っていませんでした。
というのは、どうしても、仕事とは会社でするもの、とか、お客さまのところには訪問しないといけないという固定観念や、通信環境の問題、パソコンなどの機器の問題など、できない理由を山ほど挙げていたのがコロナ前でしたから。

テレワークが進むことで、多様な働き方が進んだことはダイバーシティの推進においても良かったと思います。

一方でテレワークは自分のがんばりがどう評価されるかという不安も生んでいます。孤独も生んでいるかもしれません。

笑い話ですが、ある課長さんがテレワークで、ずーっと腕組みしてパソコン画面をにらんでいるだけの姿を見た奥さんが、「あなたの仕事って何?」という突っ込みを入れたという話があります。
会社にいれば、様々な情報が飛び交っているので、そのかかわりの中で自分の役割や仕事を認識できますが、テレワークの状況では、自らしっかり目的を持ち、貢献意欲を高め、仕事のプロセスを共有していかないとパフォーマンスが上がっていきません。
でもこれって、ひとりでは難しいのです。やはり職場の仲間と共有していかないといけないのです。

当社の提供するHabi*doというマネジメントツールは「人の力で業績を上げる」ことを目的にしています。
業績というと、なにやら強制的に行動を促すように思われるかもしれませんが、まったくその反対です。
業績が高まるのは、ひとりひとりが目標を持ち、メンバーどうしが信頼関係を持ちながら、学びあいながらゴールをめざすことで実現します。
人も組織もイキイキとしなければ業績の向上は難しいという研究も多数あります。

Wellbeing(より良い・調和)という言葉が最近注目されていますが、Habi*doはWellbeingな組織運営を実現するマネジメントツールとして提供しています。
コロナ禍で、従業員のWellbeingを高めつつ、業績を高めたいというニーズで、最近、ありがたいことに引き合いが増えています。

Wellbeingは、幸福と言われますが、心身が調和し、より良い状態であることと私はとらえています。
そのような状態を保つことができれば、パフォーマンスも高まるのです。
Wellbeingテクノロジーの市場は2021年には世界で400兆円といわれており、ますます広がると言われています。

Q2.確か、心の資本ということも言われていると思うのですが、どういった内容なのでしょうか?

こころの資本=心理的資本のことですね。
心理的資本というのは、業績にかかわる人の資本のひとつで、ポジティブなメンタリティのことです。
10年ほど前から欧米で研究が盛んになってきて、日本でも厚生労働省の報告書の中にも登場している言葉です。

業績にかかわる人の資本として、「人的資本(ヒューマンキャピタル)」「社会関係資本(ソーシャルキャピタル)」って聞いたことありますでしょう。

まず、最初に注目された人の資本は「人的資本」でした。人が業績を高めるには、知識や能力を高めることが重要である、と。それが人的資本です。
しかし、知識や能力を持っていても、それだけでは業績があがらないのはなぜか。ということで、それはネットワークだろう、と。ネットワークの重要性を指摘したのが「社会関係資本」です。

人的資本も社会関係資本も高いのに、業績があがらないのはなぜか。そこで注目されたのが、「心理的資本」なんです。
心理的資本は、「やりとげる自信」のようなメンタリティを意味します。
モチベーションのようなものでもありますが、モチベーションとは違い、測定可能で開発可能なんです。
モチベーションは一過性の感情のようなものなので、経営学では取り上げにくかったと聞いています。

心理的資本を高めると、最大25%の業績向上が実現するというエビデンスもあるのです。
やる気になって、イキイキして業績もあがるなんて、最高ですよね。

Q3.今後の石見さんの方針や予定を可能な範囲で教えてください。

今、私たちはHabi*doのご利用実績を踏まえ、心理的資本を高め、業績向上を支援するコンサルティングを行っています。

1つは次世代のリーダーを発掘するリーダーシップトレーニング、WWTプログラム(Will-Way-Trust Power Upプログラム)です。
心理的資本を高めるリーダーシップであるオーセンティックリーダーシップを高めます。

もうひとつは、心理的資本を高めながら、目標達成を実現するTREE-MBO導入コンサルティングです。
どちらもHabi*doを使いながら進めていきます。

人の力で業績を伸ばしたい方はぜひ、当社のホームページをご覧ください。
https://habi-do.com/

また毎月第4木曜日の13:00~14:00に無料の「心理的資本Webセミナー」を開催しています。

3月25日(木)の心理的資本Webセミナーは、「世界標準の経営理論」で今をときめく早稲田大学の入山章栄先生、アクサ生命CEOの安渕聖司さん、サイバーコミュニケーションズを傘下に持つカルタホールディングスCFOの永岡秀則さんをお迎えして、「コロナ禍を経験した今、あらためて人材育成の価値を問う!」と題しておこないます。
ぜひご参加ください。
https://habi-do.com/event/human-resource-development-value/

ありがとうございました!

インタビュアー:大川耕平

[取材日:2021年3月3日]