[サービスデザインと健康の関係編]共創サービスデザインの可能性と課題
HealthBizWatch Authorの大川耕平です。
前回配信後のZoom会議には4名の方が参加され、約1時間、解説と質疑応答をさせていただきました。
今回は個別ディスカッションを企画しています。
特集:サービスデザインと健康の関係編
「共創」という概念がビジネスメソッドの中で重要なウェイトを占めていく事が叫ばれ始めてから久しいのですが、まだまだ我々は共創の本質を学ぶ必要があるし、実践しそのパワーを磨いていくべきだと思うのです。
特に今回のコロナ禍にあって一人だけ、あるいは1社だけで戦ってはダメです!
共創パターンの理解
まずはなぜ共創なのでしょうか?
ビジネス展開はデジタルトランスフォーメーションの進行とスピード化の中にあって1社のリソースでは顧客満足の継続を担保できないし、変化に対応できない。
市場変化に対応していくための戦略として共創アプローチが有効という流れがあります。
さて、読者の皆さんはどのような立ち位置でこのシフト現象と関わっているのでしょうか?
共創には3パターンあると言われています。
1)互恵関係(双方向)
顧客と一緒になって価値をつくっていくプロセスをデザインし自ビジネスに実装していくアプローチのことです。
全ての業種業態には顧客が存在するはずですので、共創が成立すれば今まで以上のビジネスパフォーマンスに結びつくはずです。
これは、共創アプローチの原型と言ってもいいと思います。
このアプローチを0→1(ゼロイチ)で展開するビジネスモデルがD2C(ダイレクトトゥーコンシューマ)です。
※参考記事
フィットネス業界におけるD2Cを紹介した2019年7月の記事https://healthbizwatch.com/mailmagazine/news/857.html
2)オープン関係(共有)
あるコミュニティが中心になる場合やコンソーシアムのように複数の団体や企業がある特定テーマに対してオープンな関係で集うようなアプローチです。
オープンイノベーションもここに入ると思います。
・大手企業が主催する
・複数企業の集合体(団体や協会)が主催する
・中央省庁が提示する事業に複数企業がチームを組んで参加する
この領域のトレンドは「大」が「小」のアイデアとスピードに効率よく出会う場として2014年頃から国内でも頻繁にオープンイノベーションイベントが開催されるようになり、国内のスタートアップ育成に貢献しています。
※参考例
経産省が主催するヘルスケア産業育成の場「イノハブ」
https://healthcare-innohub.go.jp/
※参考記事
ウェルネス領域のオープンイノベーションについて解説した2019年2月の記事https://healthbizwatch.com/mailmagazine/news/551.html
3)連携関係(協力・コラボレーション)
企業同士が連携して協力試行錯誤しながら創り上げていくアプローチです。
ここに無限の可能性があると感じているのは僕だけでしょうか?
相互のビジネスがあり、知見やリソースがある前提で共有できる新たな目的をベースとした共同体を持ち価値創造アプローチをしていくイメージです。
※参考記事
コラボレーションマーケテイング事例を紹介した2018年7月の記事https://healthbizwatch.com/mailmagazine/news/527.html
共創サービスデザインの可能性と課題
共創のベースにあるものは顧客に向けた最適化提案という目的共有であることは言うまでもない。
また、今まで全く存在していなかった発明や発見などのインキュベーション型の模索ではないと考えています。
自由な発想は必須だが、無方向ではあってはならない。
フォーキャストではなく、顧客満足をパーパス(目的ゴール)としたバックキャスト的アプローチである必要があります。
僕は何度もその現場を見てきましたが、このバックキャストアプローチの理解がないと共創プロジェクトは迷走します。
今回の想定読者へのヒント
・現状スモールだが良質サービスのオーナー(健康系&フィットネス専門職)
→自分たちができていない範囲で顧客が大切にしているものは何か?そこに協力できないか?
・モノ×サービスの今後のマーケティング展開を強化したい担当者
→自社提供サービスの範囲外で親和性を持てそうな「コト」「サービス」「モノ」は何か?
・サービスプロバイダー
→自社提供価値周辺で新たな経済圏をつくり顧客に今以上の満足を提供している世界観を発想してみる!
●この3つのヒントが気になる方は個別にちょっとZoomでディスカッションしませんか?
日 時:2020年6月17日(水)15:00-18:00 の約30分
締 切:6月12日(金)18:00までのお申し込みとさせていただきます。
参加費:無料
※Zoomによるウェブ会議となります。アプリのご用意は各自でお願いします。
●お申し込み方法
以下のURLより、「Zoomディスカッション参加希望」と、15:00-18:00の間のご希望の時刻を記入してご連絡ください。
※ご希望の時刻が埋まってしまった場合は、別途時間調整しますのでご了承ください。
詳細は、折り返しご連絡させていただきます。
お申込みはこちら
https://healthbizwatch.com/contact
健康ビジネスの現場で使えるキーワード
「バックキャスト発想」
コロナ禍対処で受け身になっている今だからこそ、未来に現実を合わせていくバックキャスト発想が重要です。
今週の注目デジクリップ!
[1]電通、ライブ配信型の運動プログラム「リモスポ」を企業へ提供開始
https://www.dentsu.co.jp/news/release/2020/0527-010056.html
「リモスポ」は、リモート環境下における運動不足の解消や企業内コミュニケーションを支援するライブ配信型の運動プログラム。世界で活躍するトップアスリートと共同開発。各種リモート会議ツールでトップアスリートと社員とを直接ライブでつなぐ。(2020/05/27)
[2]ダイキン工業と理化学研究所、室温28℃でも湿度を下げれば疲労軽減に有効であることを実証
https://www.daikin.co.jp/press/2020/20200528/
理研とダイキン工業は、快適で健康な空間づくりに向けた共同研究において、夏季のオフィス環境における快適性や疲労の改善に有効な温度・湿度を検証。その結果、室温28℃でも湿度を55%以下に保てば快適性が向上し、さらに40%以下であれば疲労も軽減できることが実証された。(2020/05/28)
[3]経済産業研究所、ノンテクニカルサマリー「メタボ健診の質問票に記載された生活習慣の改善は体重・血圧・悪玉コレステロールの数値の改善にどの程度結びついているか?」https://www.rieti.go.jp/jp/publications/nts/20j030.html
本稿では、1健康保険組合のメタボ健診の複数年のデータを入手して、標準的な質問票による生活習慣の改善が見られる場合に、体重(BMI)・収縮期血圧(高い方の血圧)・コレステロール値(LDL-C)が改善しているかどうかを検証した。(2020/05/28)
[4]アーバンリサーチとXenoma、日本初、美しい睡眠習慣をデザインするスマートパジャマ「デジタルヘルスケアパジャマ」販売開始
http://www.urban-research.co.jp/news/brand/2020/05/digitalhealthcarepajama/
パジャマに搭載されたデバイスが睡眠時の変化を計測。アプリと連携することで睡眠スコアや睡眠履歴の確認、睡眠改善アドバイスなどを得ることができる。(2020/05/29)
[5]asken、腸とカラダのすっきりをサポートする新食事管理コース「食物繊維で生活改善コース」を開設
https://www.asken.inc/news/2020/6/1
ミツカングループの「ZENB(ゼンブ)」ブランドによる新しいアドバイスコース。特長は、「食物繊維の効率の良い摂り方などの食事内容に関するアドバイスの提供」「1日の食事の中で、食物繊維が多かった食品・メニューのランキング表示」など。(2020/06/01)
[6]SOMPOひまわり生命保険、健康応援リサーチ「With/After コロナの健康と保険に関する意識調査」【PDF】
https://www.himawari-life.co.jp/~/media/himawari/files/company/news/2020/a-01-2020-06-02.pdf
https://www.himawari-life.co.jp/
新型コロナウイルス感染症流行による健康・保険サービスに関する意識の変化について調査を実施。その結果、4割近い人が生活習慣病への意識が高まる一方、改善に取り組めている層は限定的3割以上の人は体重が増加、禁煙に成功した人は1割未満だということがわかった。(2020/06/02)
[7]新社会システム総合研究所、Withコロナ時代の医療・ヘルスケア産業の未来予測
http://www.ssk21.co.jp/seminar/S_20239.html
開催日は7月2日(木)。国内外の制度、テクノロジー、社会構造の大変革を捉えるビジョン共有とビジネスチャンス。本講演では、制度、テクノロジー、社会構造に至るまで、様々な変数のからむ医療・ヘルスケア分野を俯瞰し、2030年に向けた予測ビジョンを描く。
[8]MIT、家電製品が出す電磁波から居住者の健康状態を把握するシステムを開発
http://mhealthwatch.jp/global/news20200528-2
MIT(マサチューセッツ工科大学)の研究者が、ヘアドライヤー、ストーブ、電子レンジ、洗濯機などの家電製品がいつ、どこで使われているかを把握できる新しいシステムを開発した。(2020/05/28)
[9]『mHealth Watch』注目ニュース:Facebookが将来健康のためのデジタルエントリーポイントになる可能性
http://mhealthwatch.jp/column/news20200608
IT業界を代表する巨大企業におけるヘルスケアでの動向や、今後の予測などが報告されました。このレポートにおけるヘルスケアとは、医療も含めた広義なものになります。(2020/06/08)