HealthBizWatch Authorの大川耕平です。
今回は、編集デスクの今村七重・川村彩乃の女子チームとの合併号になります。

特集: ウェルビーイング・アイテム研究編

腸活の近未来

ウェルビーイング・アイテムとしての「腸活の近未来」に関して考えます。

毎週金曜日に配信している弊社メールマガジン【NEWSクリップ号】の記事ピックアップを編集デスクの今村七重と川村彩乃が担当しているのですが、時系列的に記事が増加しているテーマは明らかにブームになっているものです。

現在ピークに差し掛かっている健康経営やウェルビーイングも、同様の動きが見て取れていました。健康経営は、10数年前には健康会計と言われていたものが進化したバージョンと言えると思います(これは大川の個人見解です)。
実は、この進化にポイントがあります。
コンセプトや主張や提供価値がほぼニアでありながら、少しずつ進化していくテーマはマーケットとしても成長していく確率が高いと言えます。

腸活もそのテーマの一つです。

腸活以前

元々腸内環境を整えるメリットは多くの健康ヘルスケアメディアでずっと昔から展開されていましたし、アスリートにとってコンディショニング期間の排便や腸内環境は入浴や睡眠と連動したケアすべきアイテムとして知られていました。

腸内環境良好の証でもある「快便」という言葉が表すように、体調のバロメーターでもありました。

予防医学視点で乳酸菌にフォーカスして生まれ、今では超ポピュラーな飲料であるヤクルトは1935年に福岡で販売が開始されています。腸内環境に関する関心は昔からずっとあったのでした。

現在の腸活ブームの起点となったのは、デジタル社会発展の流れで生まれてきたスタートアップでした。

2012年7月スタートのうんち記録アプリ「ウンログ」
2015年にアスリートの腸内環境に特化した研究からスタートしたAuB株式会社

この2社が「腸内環境との対話を活動として生活に取り入れる提案」をし続けてくれている価値は大きいと感じています。
盛り上がりには6~8年かかっていることも気に留めておいてください。

※似たようなムーブメントは2016年BASE FOODがリリースした完全栄養食パスタ「BASE PASTA」が起点となった「完全栄養食ブームによるマーケット形成」です。
これは別の機会を設定して構造分析予定です。

なぜ腸活はブーム化したのか?

  • ネット拡大による腸内環境情報民主化の実現
  • 効果実感性(腸内環境変化はダイナミック)
  • プチ・チャレンジ気分が味わえる
  • アクティブな活動イメージで楽しい

腸活を自分ゴト化しやすい環境が整い、且つ浸透したからではないでしょうか?

この領域におけるプレイヤーは大小問わず増加しています。
マーケットに魅力を感じ参入してくるどのようなプレイヤーがビジネスモデルとして強くなり、大きくなっていくのでしょうか?

HBWとしての仮説です。
「腸活」をビジネスモデルの型として考えると「チェック&ソリューション」になります。
適切なチェック・評価で現状(位置)を把握し、望む方向へのベターな施策(道のり)を選択し、実践し、効果を手にするまでのプロセスがサービス範囲になります。

腸活テーマの様々なプロダクト&サービスが立ち上がっている流れを記事リストとしてまとめましたので本文最後の<読者プレゼント>よりダウンロードして参照してください。


我々は「腸内環境改善プロセスの可視化」が大きな鍵を握ると予測しています。

デジタル技術を駆使した「可視化」には2つあると考えています。
それは「点と線」です。
点は先にも述べましたがその時点での位置です。
線は方向性を持った動きです。

現時点では「点」の可視化は多くのセンシング活用デバイスで実現できていますが、「線」の意味解釈や方向修正の具体化プロセスでの知見が、まだまだ不足していると思われます。
つまり、まだまだ伸び代がたくさんあるということです。

昨今、様々なデバイスによる人体データのセンシングが可能になり、スマートウォッチを中心に日常的に自分の動作や体内の変化を確認できるようになってきています。
「腸内環境改善プロセスの可視化」は不可能ではない気がしています。
この部分へのテクノロジーアプローチも注視していく予定です。


<今村七重・川村彩乃コメント>
2021年後半(大川のビジネスコラムが現タイトル「ウェルビーイング・アイテム研究編」になったのもこの時期)から各所より発表されるニュース記事で急激に目にする機会が増えた“ウェルビーイング”に比べると、じわじわと確実に増えてきている印象のあった腸活関連ニュース。

今回、これまでの情報収集活動の中から腸活関連記事をリスト化してみました。ここ数年、感覚的に増えてきていると感じていた腸活関連ニュースでしたが、私たちが収集していた腸活関連ニュースは、2021年から2022年にかけて65件→151件にも増えていました。
大川同様、私たちもまだまだ伸び代がある領域だと感じており、引き続き動向をチェックしていきたいと思います。

<読者プレゼント>
2021-2022年に先の【NEWSクリップ号】用にピックアップした腸活関連の記事一覧をエクセルにてダウンロードしていただけます。
期間:2023年6月12日(月)まで
https://healthbizwatch.com/member/hbw230404


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大川へのお問い合わせやご質問などがあればこちらへ(直接届きます)。
ディスカッションも大歓迎です!
https://healthbizwatch.com/consultation?athr=12
 

健康ビジネスキーワード

「ラーニング・ピラミッドと体験デザイン」

講義:5%
読書:10%
視聴覚:20%
実演説明:30%
グループ討論:50%
自ら体験(練習):75%
他人に教える:90%

これは学習方法別に定着率を示したラーニング・ピラミッド(再掲)です。
ヘルスケアサービスでは、顧客学習プロセスが必須になります。
単純にスライドショーだけのセミナーだと、20%くらいの定着率と想定できます。
一方的な講義(説明)だけだと、なんと5%だそうです。

グループ討論以上は顧客の能動的参加性が前提となります。つまり顧客の体験です。
貴社のコミュニケーションデザインはどのレベルでしょうか?
顧客学習プロセスを体験デザインとしてアプローチすることを提案します。

今週の注目記事クリップ

[1]インテージヘルスケアとmonoAI technology、「メタバースだから気楽に話せる」30~40歳代のがん患者が座談会~新たなインタビュー手法でより深い考察を~
https://www.intage-healthcare.co.jp/news/release/d20230328/
今回、がん患者を対象とした座談会をメタバース上で実施。「自身の姿を他者に見せたくない」「プライベートな話題は話しにくい」などの不安が参加者にある場合の新たなインタビューの手法として、メタバース座談会の有用性を確認しました。(2023/03/28)

+++★追加解説音声:130秒(編集主幹 大川耕平)★+++
メタバース利用の可能性の一つです。
https://youtu.be/j02aPb_AHuU

[2]CureApp、新サービス「ascureDr.受診勧奨(高血圧)」を開始
https://cureapp.blogspot.com/2023/03/cureapp-ascuredr-41.html
民間法人向けの健康増進サービスであるascureモバイルヘルスプログラムより新たに「ascureDr.受診勧奨(高血圧)」をリリースし、健康診断等で高血圧疑いとして医療機関の受診を推奨されている方へのサポートプログラムの提供を開始する。(2023/03/22)

[3]Helte、阪急阪神ホールディングスと自治体へのサービス開発のために資本業務提携を始めます
https://helte.jp/22799/
今回Helteは、沿線の健康寿命の延伸に取り組んでいる阪急阪神ホールディングスと資本業務提携し、各自治体における高齢者のコミュニティ再生・活性化やコミュニケーション機会の創出など、新たなソリューション事業を展開・拡大していきます。(2023/03/22)

[4]クックパッド、Mizkan・JA全農と連携し、旬野菜の魅力を発信する「旬ごち」プロジェクトを発足(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000305.000027849.html
本プロジェクトは、三者が一体となって「旬野菜のおいしさの発信」および「地産地消の応援」を実施するもので、「“旬”の野菜をカンタンに“ごち”そうに」という想いを略して名付けました。(2023/03/22)

[5]どうして売れない?どうして伝わらない…?女性に響く“伝え方”がわかる書籍3選(ウーマンズラボより)
https://womanslabo.com/library-230323-1
女性ヘルスケア市場をウォッチし続けるウーマンズラボ編集部が厳選、マーケターへのおすすめ書籍を紹介するコーナー。今回のテーマは「伝え方」。(2023/03/23)

[6]キユーピー、ヒアルロン酸Naの経口摂取による健常者の膝の痛み・こわばり・違和感の緩和を確認
https://www.kewpie.com/newsrelease/2023/2923/
今回は、病者ではなく、日常生活で膝の違和感を経験したことのある健康な成人を対象に試験を実施。具体的には、変形性膝関節症の重症度を判定するためのKL分類でGrade0または1と評価された一般市民ランナーを被験者としています。(2023/03/24)

[7]ノボ ノルディスク ファーマと日本糖尿病協会、4月より「歩いて学ぶ糖尿病ウォークラリー」を4年ぶりに対面で開催【PDF】
https://www.novonordisk.co.jp/content/dam/nncorp/jp/ja/news/media/2023/03/23-06.pdf
https://www.novonordisk.co.jp/
「歩いて学ぶ糖尿病ウォークラリー」は、糖尿病とともに健康的に暮らすことの重要性について広めるため、ノボ ノルディスク ファーマと日本糖尿病協会が1992年より共催。2023年4月より全国各地での対面開催を再開します。(2023/03/24)

[8]メドレー、3大都市圏に住む生活者を対象に 生活に身近なオンラインサービス及びオンライン診療に関する意識調査を実施
https://www.medley.jp/release/20230324.html
これから使ってみたい生活に身近なオンラインサービスのトップは「オンライン診療」。利用者が感じているメリットは移動や待ち時間の短縮。(2023/03/24)

[9]Fitness Business125号の見どころを編集長の古屋が解説!(Fitness Businessより)
https://business.fitnessclub.jp/articles/-/1531
特集テーマは「プライシング」。今号も、読みどころ満載の1冊になっているが、そのポイントについて編集長である古屋武範が解説する。(2023/03/24)

[10]おいしい健康、パーソナライズ献立提案・栄養管理アプリ『おいしい健康』フレイルの方に向けた食事支援機能を提供開始
https://corp.oishi-kenko.com/news/20230327_frail.html
フレイルの方・フレイル予防をされたい方に向けて、栄養バランスが良いことはもちろん、体重管理や筋力維持・増進のたすけとなるレシピコンテンツの提供を開始します。(2023/03/27)

[11]RIZAP、chocoZAPから「chocoZAPサポートバー」が新発売
https://www.rizapgroup.com/news/press-releases/20230327-01/
日常の身体活動により、中高年の方の加齢に伴い低下する筋肉量を維持する機能が報告されているGABA100mgが配合されたチョコレートバータイプの機能性表示食品。(2023/03/27)

[12]ウェルネス・コミュニケーションズ、主要株主変更に伴う資本政策、CI刷新のお知らせ【PDF】
https://wellcoms.jp/data/news/216/news.pdf
https://wellcoms.jp/
事業拡大/組織力向上を目的とした新資本政策/CI/ブランド戦略により、ウェルネス・データでつながるヘルスケアオープンプラットフォーム構築を目指す。(2023/03/27)

[13]ヘルステック研究所、PHRアプリ『健康日記』のマイナポータルAPI連携により、薬剤情報や特定健診情報の取得・閲覧が可能に(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000071.000062387.html
この度のマイナポータルAPI連携により、新たに薬剤情報及び特定健診情報の取得が可能になり、すでに連携済の予防接種履歴に加えて、『健康日記』への手入力の手間が軽減されることとなりました。(2023/03/27)

[14]笹川スポーツ財団、スポーツ白書 2023 刊行のご案内【PDF】
https://www.ssf.or.jp/files/SSF_Release_20230328.pdf
https://www.ssf.or.jp/
本書は、1996年の初刊以降、行政のスポーツ推進関係者、スポーツ団体関係者、研究者などに基礎資料として広く活用されています。約70名の識者・学術関係者が、国内外の最新データに基づき分析・執筆しました。(2023/03/28)

[15]オースタンス、50,60代向けWEBサービス「趣味人倶楽部」から初のユーザータイアップメニューを本格リリース(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000067.000018508.html
ユーザーの日記投稿を活用したユーザータイアップメニューを本格提供開始。ユーザータイアップとは、会員様の発信力を生かし、趣味人倶楽部上でユーザーへの認知獲得の最大化を狙うメニューです。(2023/03/28)

[16]WeightWatchers、Sequenceの買収により肥満治療薬市場に進出
https://mhealthwatch.jp/global/news20230323-2
WeightWatchers社は、ダイエット処方薬の供給に向けた動きのなかで、テレヘルス・プラットフォームを事業とするWeekend Health社を買収する計画を発表した。(2023/03/23)

[17]調査:プライバシー保護により、健康データを共有する消費者の意欲が高まる
https://mhealthwatch.jp/global/news20230327
JAMA Network Openに掲載された共同分析によると、消費者はプライバシー保護が実施される場合に非常に積極的に健康情報を共有する。プライバシー保護では同意が最も重要な事項であり、データの削除、規制監視、データの透明性がそれに続く。(2023/03/27)

[18]『mHealth Watch』注目ニュース:NTTデータ、600名の健康データを活用して商品等を検証できる『共創実証ラボ』
https://mhealthwatch.jp/japan/news20230403
今回のNTTデータの『共創実証ラボ』は、データの本当に意味での利活用できる環境、体制まで含めて提供している点が、これまでのデータ利活用との大きな違いだと思います。(2023/04/03)