毎週金曜配信のNEWSクリップ号より健康ビジネスキーワードを抜粋してご紹介。
HBW編集主幹の大川耕平が、健康&ウェルビーイングビジネス現場で見聞体験した中で見つけたビジネスヒントや発想刺激につながりそうなトレンドやキーワードをコンパクトに解説します。

健康ビジネスキーワード(2月)

---「健康サービス事業には成功の型がある_7/8」

「ヘルスケアビジネス」力 8 の7つ目になります。

「チェック&ソリューション」
「チョイス&チェンジ」
「ピア&トゥギャザー」

ヘルスケア(健康)ビジネスは、対象者の行動変容の流れをどう設計するかが決め手です。
一瞬にして健康になってしまうことはあり得ません。
なんらかの健康行動を継続することによってのみアウトカムを得ることができ、あらゆるヘルスケア(健康)ビジネスも、この基本をベースにする必要があります。

今回紹介する3つの型は、様々な業種業態のサービスで活用されているものです。
チェック&ソリューション → チョイス&チェンジ → ピア&トゥギャザーになります。

1)チェック&ソリューション
まず、ヘルスケア(健康)ビジネスのユーザーは、明確なゴールがどれだけ描けているかの差はありますが、大きな方向性を持ってなんらかの手がかりを探し始めるのが普通です。

  • ちょっと太り始めたのでダイエットしようかな?
  • 血圧高めを指摘されたので何かやろうかな?
  • どうも睡眠が足りていないようで仕事中も眠い!
  • 肌のコンディションが良くないのでなんか方法はないかしら?

自分が感じている課題がどのレベルであるのかをチェックし、現在地点を明確にした上で課題解決に向けたソリューション(方法やルート)が提示されるというフレーミングが「チェック&ソリューション」です。
漠然と行きたい方向があっても現在地を確定しないとルート(道順)が描けません。

例えば
「減量したい」=漠然
10kg体重が増えたので(現時点)
a)10kg減量を半年でしたい
b)5kg減量を1年でしたい
現時点が明確になって方向がさらに明確になっていますが、a)とb)では減量へのアプローチ行動が異なることになります。

ヘルスケア(健康)ビジネスサービスのユーザーの行動起点設計を行うプロセスがチェック&ソリューションになります。

2)チョイス&チェンジ
ソリューション行動を自分に合ったものとしてチョイスでき、チェンジ(変わっていく行動)にすぐ移せる流れがフレーミングされているのが「チョイス&チェンジ」です。
まさに行動プロセスになります。

自分でチョイスすることがポイントです。それによってその行動は自分ゴト化しやすくなります。
自分ゴト化=主体性の発揮は成果への達成率が高まることは言うまでもありません。
そしてチョイスとチェンジ行動が直結し、スムーズに行われることによって初期成果を早いタイミングで経験しやすくなることが分かっています。
また、即行動できる流れを提供することによって、初期選択行動が自分に合っていなかった場合でも、その変更もスムーズになる場合が多いのです。

このチョイス&チェンジはヘルスケア(健康)ビジネスのサービス化の核となるプロセスであり、サービスコンテンツとなるので継続的なアップデートが求められます。

3)ピア&トゥギャザー
チョイス&チェンジで自分にとっての効果が期待できる行動を選択できたユーザーが成果を得ることができるような継続環境を提供するフレーミングが「ピア&トゥギャザー」になります。
自分が選択した(購入した)健康ビジネスサービスの利用者やアドバイザーなどと交流できるコミュニティ機能と言ってもいいです。

ピア(同じテーマを共有する仲間同士の刺激)と行動をトゥギャザー(一緒に)継続できる環境を提供できるか否かは、すべてのサービス事業者の課題と言われてもいます。

---「顧客との持続的関係性技術としてコミュニティデザイン発想が必須_8/8」

「ヘルスケアビジネス」力 8 の8つ目になります。

顧客との持続的関係性づくりの装置として、コミュニティを活用していくことについて共有させてください。

●コミュニティをデザインし、ドライブしていく
コミュニティに参加している構成員が、お互いに積極的に関与して高め合ういい関係性を継続していくには何が重要なのでしょうか?

予測不可能な出来事は避けられないものの、ある程度のシナリオを用意し、実際に起こったこととのギャップを受け入れ、チューニングしていくスタンスがベターだと考えています。

今まで我々は、様々なビジネスコミュニティ運営に関わってきました。
規模は様々でしたが、参加者とコミュニティの関係性の変数は、基本には「温度」「方向性」「距離」であり、この指標で構成員の活動と関係性を見れば活性状態なのか、課題があるのかが分かります。

そして結論を申し上げると、成功しているコミュニティには下記の4つの要素が必ず存在し健全に相互機能しています。

■Peer & Together:仲間意識と一緒感覚(適合)
■Contribution & Respect:貢献と尊敬
■リーダーの交代
■コミュニティミッションの共有

コミュニティテーマによって各ファクターをどう経験してもらい実践していくよう導くかはかなり個別性がありますが、この4つのファクターを目指せば間違いはないはずです。

例えば、仲間意識をどう創るかで言えば

  • 一緒感覚やそこに適合できている自分を感じてもらう
  • コミュニティやメンバーへの貢献したい気持ちやその喜びを感じてもらう
  • コミュニティやメンバーへの尊敬の念がとってもいい空気感を生む事実を共有する
  • リーダーの自然なタイミングでの交代(ボス化しない構造)
  • コミュニティ活動内のルールやミッションが共有されている→やらないことが明確化

コミュニティ運営によって生まれる効果としては、LTV(顧客生涯価値)の向上(離脱率の低下、見込み客の誘引)や新商品サービス開発の起点、新たなアライアンス先の発見や新規チャネルの発掘などあります。
しかし、これらは二次的な効果と見るべきです。

コミュニティにダイレクトに商売を持ち込まないことも重要なマナーとなります。
コミュニティが盛り上がることで一時売り上げも同時に伸びることがあります。
熱意ある参加者はいっぱい購入するという見方をしないことが重要です。

そしてネットコミュニティ活動を充実したものにしていくために、成功しているコミュニティが大切にしていることが3つあります。

・アウトプット(情報発信の頻度)
 →参加者にとって共有できる価値情報の明確化や共同作業でのアウトプット
・文脈の管理
 →コミュニティ内の発言のマナーなどの管理
・オフライン
 →盛り上がっているネットコミュニティのほとんどがリアルも大切にしています

※関連資料として「コミュニティデザイン&ドライブ事例」解説メモを用意しています。
・ラーニングコミュニティ
・顧客キャスティング
・ウェイトウォッチャーズ

https://healthbizwatch.com/member/hbw2302
ダウンロード期間:2023年4月10日(月)まで

---「Educare(エデュケア)」

これは我々の造語です。
エデュケーションとケアを組み合わせたものです。

ヘルスケアやウェルビーイングサービスの場合、提供相手に提供価値をどう享受してもらうかの基本知識を習得してもらうことが求められます。
そのプロセスを表現したのがこのエデュケアです。

貴社のコミュニケーション文化に、このエデュケアがありますか?

---「Wellbe-Switch(ウェルビースイッチ)」

ウェルビースイッチ。これは造語です。
ウェルビーイング(快適自己肯定モード)へ入るスイッチのことをこう呼びたいと思います。

毎月第1週目のHealthBizWatchオーサー号(大川耕平担当)では、ウェルビーイング・アイテム研究と称してウェルビーイングに寄与する様々なアイテム(商品・サービス・コト・習慣・マインドセット)を紹介し考えていくビジネスコラムを展開しています。

詳細定義や分析は大川のビジネスコラムでお届けしていく予定ですが、このウェルビースイッチの存在を意識して顧客に接することができるできないで、大きくウェルビーイングビジネス・プレイヤーのパフォーマンスは変わるはずです。


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