HealthBizWatch Authorの大川耕平です。

時代の進化とともに価値観も変化してきましたし、今後も変化していきます。
その中で、現状のヘルスケアサービスが最低限押さえておくべきポイントをまとめたのが今号のテーマです。

特集: ヘルスビズウォッチ特集企画

第8回:「コミュニケーションデザイン&ドライブ」


ヘルスケアサービス事業の成功には製品やサービスの提供だけではなく、顧客とのコミュニケーションデザイン(設計)とドライブ(継続運用)が不可欠です。

コミュニケーションデザイン&ドライブの15ポイント


1.顧客のライフスタイルを深く理解する

ヘルスケアサービスは、単なる一過性の利用ではなく、顧客の日常生活に深く溶け込むことが求められます。生活リズム、価値観、行動パターンを徹底的にリサーチし、最適な接点を見つけることが重要です。
顧客の生活の質を改善・向上・維持するための手段として自社製品サービスを位置付けるアプローチが基本になります。



2.パーソナライゼーションの徹底

個々の健康状態や目標に応じたカスタマイズが求められます。データを活用し、個別最適化されたプランやコンテンツを提供しましょう。
ここで注意したいのは貴社の製品・サービスのパーソナライゼーションポイントを明確にすることです。どこに自社ならではの価値提案を込めるのか?を考えましょう。



3.エモーショナルなつながりを築く

健康は感情と密接に関わります。モノづくりを基盤に事業を展開するプレイヤーの多くが、この点へのフォーカスが希薄であることが、日本の課題でもあります。
顧客が共感し、安心感を得られるストーリーを提供することで、長期的な関係を築くことができます。



4.継続的なエンゲージメント戦略

一度の購入や登録で終わらず、定期的なフォローアップやコンテンツ配信を通じて、顧客の関心を維持し続けることが大切です。
顧客関係性の維持継続に対してどれだけポジティブな展開・拡張意欲を持って推進できるかです。



5.デジタルとリアルの融合

アプリやウェアラブルデバイスなどのデジタルツールと、リアルなサポートやコミュニティの組み合わせが重要です。
顧客の生活の中に入り込み貢献するには、顧客の過ごす時間の中にポジショニングすることになるので、オンラインかオフラインかは問題ではありません。



6.行動変容を促す仕組み

ヘルスケアの成果は継続的な行動変容によって得られます。
心理学的手法を用いた設計が不可欠です。



7.信頼の構築

専門家監修のコンテンツや、科学的根拠に基づいた情報を発信し、顧客の信頼を獲得しましょう。
また、製品・サービスだけにとどまらず顧客が使用中に感じる価値に対して関心を寄せる態度でいることも併せて重要な信頼構築のファクターになります。



8.コミュニティの活用

ユーザー同士の交流を促進することで、相互のモチベーションを高め、継続率を向上させます。
同じ製品・サービス利用者の知り合いが0の場合と2名以上いる場合とでは、製品・サービス利用期間は3倍以上も後者が長くなると言われています。



9.簡単かつ直感的なUX/UI設計

アプリやウェブサービスは、誰でも迷わず使えるデザインを心掛け、シンプルなユーザー体験を提供することが重要です。
日本国内で利用率が高く継続されているアプリやサービスのUX/UIの特徴を一言で表現すると「かわいい」になります。



10.フィードバックループの構築

顧客からのフィードバックを定期的に収集し、サービスに反映させることで満足度を高めます。
このプロセス構築は顧客関係性プロセスを磨き、進化させていく上でも欠かすことはできません。



11.クロスセル戦略

関連する商品やサービスを提案することで、顧客の価値を最大化し、ビジネスの幅を広げることができます。
自社での取り扱い商品・サービスだけに拘る時代は終わりました。



12.顧客教育の強化

ヘルスケアに関する正しい知識を顧客に提供することで、サービスの理解度を高め、行動変容を促します。このプロセスが弱いのは、日本の企業プレイヤーの特徴です。
阿吽の呼吸文化から脱却しましょう!



13.専門家との連携

信頼性の高い情報発信のために、医師や健康の専門家とのパートナーシップを築きましょう。



14.継続的なイノベーション

ヘルスケア市場は日々進化しています。
最新の技術やトレンドをキャッチし、継続的にサービスをアップデートしていく必要があります。



15.サステナビリティの意識

環境や社会への影響を考慮したサービス設計を行い、長期的な価値を提供することで、社会的責任を果たします。



コミュニケーションデザイン&ドライブをフレームワークとして、貴社のビジネスフォローに当てはめてみてください。
効果的な戦略立案と顧客との関係構築に役立つはずです。


これらのポイントは、26年間にわたり取材・観察してきた、持続性ある成功モデルのプロセスから抽出したものです。


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