[健康ビジネス・マーケティング&収益化編]Form Healthのニュープログラムから見るトレンド
こんにちは、渡辺武友です。
米国で昨年ブームとなった減量薬GLP-1。
早くも今年は次のフェーズにシフトしていく兆しが出てきました!
特集:健康ビジネス・マーケティング&収益化編
米国で肥満治療大手のForm Health社が、新たに肥満予防(太り過ぎから肥満への移行を防ぐ)プログラムを発表し、企業向けに展開をはじめました。
なぜ、このタイミングで新たに肥満予防プログラムが登場してきたのか?
米国市場の背景も踏まえ、見ていきましょう。
米国の肥満を取り巻く現状
米国で肥満は長年の課題(成人の42%が肥満、太り過ぎまで含めると67%に。肥満者による医療費負担が大きな課題)となっています。
米国でも成人の多くは、肥満が生活習慣病の原因であり、生活習慣病による医療費が高いことも知っているのですが、肥満率は依然高い状況です。
肥満や生活習慣病の初期段階(合併症を引き起こす前)では痛みが伴わず、改善行動に繋がりにくいことに加え、取り組んでもすぐに結果が出ないため、辛い改善行動が長続きしないことが肥満者数の増加に歯止めをかけられない理由と言えます。
ここ数年、注目を集めてきたのが「GLP-1受容体作動薬」です。
GLP-1は2型糖尿病血糖値を有意に改善し、心血管イベントのリスクを低減するものですが、減量効果もあることから、肥満の特効薬として注目され、FDAが2型糖尿病治療薬の「セマグルチド」を減量目的で使用することを2021年6月に承認したことで、一気に減量薬として普及することとなりました。
ただし、薬の費用が高額であるため、企業がすべての肥満従業員に提供することは難しいのが実情です。
また、服用中は減量効果が継続してくれますが、元の生活習慣を変えないまま服用を中止するとリバウンドしてしまい、高額な費用が無駄になりやすい点も課題です。
そこで、薬と併用した取り組みサービスが求められるようになり、WeightWatchersをはじめ、多くのダイエット支援企業がGLP-1と併用するサービスの提供をスタートしました。
肥満予防プログラムの登場
GLP-1や併用するサービスは、肥満になってから取り組む対処療法となります。
企業としては、そもそも肥満にならないことが最も望ましいことであると、米国市場でもかなり前から言われてきました。
しかし、今まで肥満予防プログラムの導入が進まなかったのは、肥満になってしまった従業員の医療費負担が大きいため、その対応に注力せざるを得なかったという背景がありました。
それが、肥満の特効薬と思われたGLP-1が、高額な割に思ったような結果に結びついていないため、改めて肥満予防プログラムの必要性が高まってきました。
Form Healthの肥満予防プログラムは、医師による診断を受け、Form Health登録栄養士により個別プランを提示され、毎月2回のオンライン面談、メッセージによる介入にて栄養や活動(運動)に対する指導が提供されます。
この肥満予防プログラムでは薬は提供されません。
Form Healthウェブサイト:
https://www.formhealth.co/
肥満に関する国内動向
日本国内でもここ数年、自由診療におけるダイエット治療の利用が伸びています。
また、2024年に大正製薬の内臓脂肪減少薬「アライ」が承認され、薬剤師の指導を受けることで購入できるようになりました。
米国ほどのブームではありませんが、着実に“薬によるダイエット”市場は広がりを見せています。
今後、懸念されるのは薬の服用を止めることによるリバウンドです。
では、薬と合わせて生活習慣指導を行えばよいかと言えば、そう簡単なことではないでしょう。
そもそも生活習慣改善の地道な取り組みではなく、即効性のある薬を求める人に、いくら正しい指導をしても受け入れてもらうのは容易ではないでしょう。
必要なのは、このような対象者でも無理することなく、自分の意志で継続できる手法(サービス)です。
ここに大きなビジネスチャンスがあるのではないでしょうか!?
具体的ヒントは、ヘルスビズウォッチで何度も紹介してきていますので、改めてバックナンバーをチェックし、これから来るムーブメントに対応していってはいかがでしょうか?
先行する米国法人市場で何が行われているのか?
米国法人企業向けヘルスケアビジネス、日本でいう健康経営、健康保険組合向けの市場は、日本市場よりはるかに大きな規模と言えます。
人口規模では米国は日本の2倍ほどですが、法人向けビジネス市場をみていくと、日本のトップ企業と米国のトップ企業では、売上規模が10倍近くとなっています。
日本市場と米国市場の違いは何か?
日本企業はどのような対策をしていくべきか?
解説するセミナーをビッグサイトにて開催します。
小規模会場となり、参加者とのやり取りにて、理解を深められる場となります。
「米国法人向けヘルスケアビジネスのトレンド
~健康経営3.0のヒント~」解説セミナー
開催日時:
2025年2月26日(水)11:00 - 12:00
会場:
Care Show Japan ヘルスケアIT 2025 第5会場
東京ビッグサイト 第1ホール
解説:
ヘルスビズウォッチ・オーサー 脇本和洋
ヘルスビズウォッチ・オーサー 渡辺武友
定員:15名(定員になり次第締切りとなります)
費用:無料
同会場で14:00より、生成AIを活用してヘルスケアビジネスを企画する方法について解説します。こちらも合わせご検討ください。
生成AIを活用した「ヘルスケアビジネス企画開発」
解説セミナー
開催日時:
2025年2月26日(水)14:00 - 15:00
会場:
Care Show Japan ヘルスケアIT 2025 第5会場
東京ビッグサイト 第1ホール
解説:
ヘルスビズウォッチ・オーサー 脇本和洋
ヘルスビズウォッチ・オーサー 里見将史
定員:15名(定員になり次第締切りとなります)
費用:無料
健康ビジネスキーワード
「サポートからエージェントへ」
カスタマーサポートをほとんどのヘルスケア&ウェルビーイング事業プレイヤーは置いているが、より進化させた役割としてカスタマーエージェントを導入してはいかがでしょうか?
企業と顧客の間に立ち、製品・サービスの価値を最大化するための支援を行う役割です。
単なるカスタマーサポートではなく、顧客課題の発見・行動変容サポート、企業側への顧客実感のフィードバック、そして継続的な関係構築に必要なサポートです。
今週の注目記事クリップ
+++★注目記事クリップ★+++
[1]中国の生成AI関連特許出願件数、3万8,000件で世界1位に(36Kr Japanより)
https://36kr.jp/325564/
中国には登録を完了し、一般向けにサービスを提供できる大規模な生成人工知能(AI)モデルが200近くあり、登録ユーザー数は6億人を超える。生成AIに関する特許出願件数は3万8,000件を超え、世界1位を誇る。(2025/01/25)
[2]健康保険スタートアップのAlanは急速な成長を続けている(TechCrunchより)
https://techcrunch.com/2025/01/29/health-insurance-startup-alan-keeps-growing-at-a-rapid-pace/
Alanの最高売上責任者であるルドヴィック・ボープレ氏は、営業プロセスにAI(人工知能)を導入したことで、営業チームの業績が約50%向上したと語った。(2025/01/29)
[3]Teladoc Health、Amazon『Health Benefits Connector』と連携
https://mhealthwatch.jp/global/news20250129-2
バーチャルケア企業のTeladoc Healthは、Amazonの『Health Benefits Connector』と提携し、Teladoc Healthの慢性疾患プログラムへのアクセスを拡大を図っている。(2025/01/29)
[4]Teal Health、自宅での子宮頸がん検診を実現するため1,000万ドルを調達
https://mhealthwatch.jp/global/news20250131
FDAの承認を待って、Teal Heathは自宅で使用できる『Teal Wand』をリリースする。ユーザーは自宅用採取キットをリクエストでき、同社が遠隔医療訪問を提供する。(2025/01/31)
[5]カルビー、『Body Granola』取扱商品を拡充し、プラットフォームを拡大 全13品を販売開始
https://www.calbee.co.jp/newsrelease/250129a.php
「腸内環境に合った食生活で、おいしくて楽しい健康習慣をサポートしたい」という想いに賛同した、味の素AGF株式会社、サラヤ株式会社、帝人株式会社、ホクト株式会社、株式会社Mizkanの5社が今回の取り組みに参画しました。(2025/01/29)
[6]経済産業研究所、職場ストレスに対する記憶の書き直し技法のWEB心理教育の有効性の探索:ランダム化比較試験
https://www.rieti.go.jp/jp/publications/nts/25j002.html
本研究では、職場ストレスの記憶のつらさに悩む勤労者を対象に、週1回20分程度で合計4回の認知行動療法(CBT)に立脚したWEB心理教育プログラム群(PE群)、対照的なみせかけのWEB教育プログラム群(CON群)の2群のランダム化比較試験(RCT)を行った。(2025/01/29)
[7]エコナビスタ、生産性向上推進体制加算取得支援ツール「ライフリズムナビ タイムスタディ」アプリをリリース
https://econavista.com/news/20250130_timestudy/
介護現場の様々な業務内容をワンタップで簡単に記録することが可能です。生産性向上推進体制加算Iの取得において、指定されたエクセル書式の職員向けタイムスタディ調査票をメールで受け取ることができます。(2025/01/30)
[8]アボットメディカルジャパン、慢性疼痛を緩和する充電式脊髄刺激システム「Eterna(TM)ニューロスティミュレータ」の販売を開始
https://www.abbott.co.jp/media-center/press-releases/01-30-2025.html
本システムは、充電頻度を年5回程度に抑えることで患者さんが充電のために要する負担を軽減し、患者さんに最適化された術後の運用をサポートします。(2025/01/30)
[9]コミューン、シニアの社会課題解決に取り組むラポール、ライフエンディングの悩みを専門家に無料で相談できるオンラインコミュニティをCommuneで開設
https://communeinc.com/ja/news/2025jan30
コミュニティサクセスプラットフォーム「Commune(コミューン)」を提供するコミューン株式会社は、ラポール株式会社が運営するオンラインコミュニティ「あしたの窓口 おもしゃいサロン」にCommuneが導入されたことをお知らせいたします。(2025/01/30)
[10]ティップネスとカゴメ、若手従業員の早期離職を食事・運動・メンタルヘルスで予防する「若手従業員健康リテラシー向上プログラム」提供開始【PDF】
https://www.tipness.co.jp/cms-data/pdf/%E3%80%90%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%AA%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%80%91%E3%80%8C%E8%8B%A5%E6%89%8B%E5%BE%93%E6%A5%AD%E5%93%A1%E5%81%A5%E5%BA%B7%E3%83%AA%E3%83%86%E3%83%A9%E3%82%B7%E3%83%BC%E5%90%91%E4%B8%8A%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%A0%E3%80%8D%E6%8F%90%E4%BE%9B%E9%96%8B%E5%A7%8B.pdf
https://www.tipness.co.jp/
本プログラムでは、食事・運動・メンタルヘルスという3つの視点からアプローチを行い、仕事を円滑に進めるためのコミュニケーション術や健康習慣を身につけることで、心身のコンディションを整え健康と前向きな思考を保ち、就業継続を促すことを狙います。(2025/01/30)
[11]CureApp、2025年 加速する治療アプリ開発と社会実装
https://cureapp.blogspot.com/2025/01/2025.html
今回は株式会社CureAppで減酒治療アプリの開発を担当する宋医師が、国内の治療アプリの開発状況とその可能性について解説致します。(2025/01/30)
[12]Kort Valuta、デジタル社員証アプリ『TwooCa』を基盤に、ウェルビーイング経営を導入支援する株式会社AZentが『Well-beingアプリ』をリリース
https://kortvaluta.com/news/azent-twooca
AZentは、Kort Valutaが開発したデジタルポイント付与機能を持つ『TwooCa』をプラットフォームとして、その上にウェルビーイングを推進するAZentオリジナルの様々な機能・サービスを展開します。(2025/01/30)
[13]InnoJin、花粉症対策の新しいカタチを提案!スマホアプリ『アレルサーチ+』無料ダウンロード開始(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000027.000088821.html
本アプリは、順天堂大学の研究チームが2018年に開発した花粉症研究用アプリ「アレルサーチ(R)」の研究成果をもとに、InnoJin株式会社が新たに開発しました。(2025/01/30)
[14]ファミワン、「ラーメンと健康の両立」をテーマにした無料オンラインセミナーを開催します
https://famione.co.jp/2025/01/31/famonelearning_ramen-20250312/
開催日は2025年3月12日(水)。「賢く選んで健康的に楽しむ 麺活ライフ ~日本最大級のラーメン専門クチコミサイトに選ばれたラーメンのススメ2025~」を開催。(2025/01/31)
[15]国立長寿医療研究センターとエーザイ、認知機能低下リスクの低減と栄養に関するガイダンス、および宅配食/ミールキット開発の手引きを作成し、食品関連企業へ提供開始
https://www.eisai.co.jp/news/2025/news202508.html
本ガイダンスおよび手引きは、これらを活用し認知症の啓発活動にご協力いただくことに合意いただいた食品関連企業に対し、ご希望に応じてエーザイが提供するものです。(2025/02/03)
[16]eiicon、【SAMSUNG×AUBA】サムスン電子とこれまでにないモバイルデバイスのユーザー体験価値提供、製品化を共に目指すパートナーを募集!『Samsung Mobile Advance 2025』
https://corp.eiicon.net/press/t4CXtahI
4つの募集分野・活用領域(AI×●●、ヘルスケア/メディカル、素材/HW、カメラビジュアル/オーディオ)。本応募前に提案内容のフィードバックが可能なPRE-ENTRYを実施!(3月7日まで)(2025/02/03)
[17]オムロン ヘルスケア、正しい測定姿勢をお知らせするガイド機能付き「オムロン 手首式血圧計 HEM-6185-JF」発売
https://www.healthcare.omron.co.jp/corp/news/2025/0204.html
手首を心臓の高さと合わせた正しい姿勢での測定をサポートする「測定姿勢ガイド」を搭載した手首式血圧計。(2025/02/04)
[18]ステルラ、ミレニアル世代女性のためのエンパワーメントイベント「第5回 WEHealth2025」開催決定(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000027.000048815.html
今年も国際女性デーの3月7日から9日の3日間、WITH原宿にて開催いたします。前回まではフェムテックイベントという位置付けでしたが、今年からは女性エンパワーメントイベントとして大きくパワーアップし多様な選択肢で皆様をお迎えします。(2025/02/04)
[19]IKIGAI WORKS、「ホワイト500白書2024」“無料”発行のお知らせ(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000087089.html
「ホワイト500」認定を目指す大企業の健康経営担当者必見!本書では、認定企業が実践する先進的な取り組みを設問ごとにデータで比較。競争力の向上と持続可能な成長の実現に向けて、貴社が次に取るべきアクションが見えてきます。(2025/02/03)