こんにちは、里見です。

ヘルスコーチングは双方向のコミュニケーションを基本に、対象者の気づきにつなげて行動の継続、習慣化をサポートします。
しかし、このような説明をすると、ヘルスコーチングは直接的な会話、対話が必須なのでは?といったイメージを持たれることが多くあります。

そこで今回は、ヘルスコーチングの会話、対話だけではないすべてのヘルスケアサービスにおける活用方法について解説してみたいと思います。

特集:ヘルスコーチングの視線編

ヘルスコーチングの可能性を探る:すべてのヘルスケアサービスにヘルスコーチングは活用可能

1.双方向のコミュニケーションという誤解

ヘルスコーチングは、双方向のコミュニケーションのやり取りが基本になっています。
しかし、このように双方向のコミュニケーションと聞くと、どうしても「人」が前提では?直接的な会話や対話が必須では?といった、コミュニケーションに関して誤解を持たれるケースがあります。

ヘルスコーチングは「人」による会話、対話が必要といった先入観を持たれた方が、次に懸念されるのが以下のような点です。

1)ヘルスコーチの人材と品質
2)人がサポートすることによるコスト面
3)対応人数などの規模の拡大の可能性

特に、現在アプリなどオンラインでヘルスケアサービスを提供し、「人」による直接的な会話、対話の要素を組み込んでいないサービスを提供しているケースでは、ヘルスコーチングの活用自体がイメージできなかったりするのです。

2.会話、対話の先にあるアプローチ、寄り添い方

そもそもヘルスコーチングは、対象者の気づきに働きかけることが必要で、単なる双方向の直接的な会話、対話が成立することが本来の目的ではありません。

行動に着目し、行動を継続しながら、対象者のゴールや目的に近づけることが本当の目的で、そのためのアプローチ、寄り添い方に特徴があるのがヘルスコーチングなのです。

双方向の直接的な会話、対話が成立していたとしても、そもそも対象者がゴールを見据えて行動と向き合っていなければ、スムーズな会話、対話が成立していたとしても、それは単なる会話であって、ヘルスコーチング的な視点に立てば、その会話自体は効果を発揮していないことになります。

やはり、コミュニケーションの向こう側にある、本来のヘルスコーチングのアプローチ、寄り添い方をしっかりと押さえる必要があるのです。

3.アプローチ、寄り添いのサービスへの活用

ヘルスコーチングのアプローチ、寄り添い方は、双方向のコミュニケーション、会話、対話の中だけではなく、サービスを提供する中で利用者に寄り添うことが可能なすべての場面こそが、活用可能なタイミングなのです。

その理由としては、ヘルスコーチングはコミュニケーション技法で、アプローチ、寄り添い方については、多くのポイント、要素が存在しているからです。

双方向のコミュニケーション、「人」が直接介入した会話が成立しなくても、ヘルスコーチングのアプローチ、寄り添い方の要素を分解して、オンラインのアプリサービスなどに組み込むだけでも、利用者に対してヘルスコーチング的なアプローチが十分可能であり、対象者自身の気づきはもちろん自分ごと化などへ導くことができます。

ヘルスコーチングでは、決まりきった会話のパターンや決まったフレーズがあるわけではありません。

タイミングや対象者の状況によって意識してほしいポイントや意識を向けてほしい視点などなど、寄り添う際の要素、ポイントがいくつもあります。

そのため、アプリなどオンラインでヘルスケアサービスを提供し、「人」による直接的な会話、対話の要素を組み込んでいないサービスを提供しているケースであっても、利用者との接点、タッチポイントを見渡してみると、ヘルスコーチングのアプローチ、寄り添い方の要素を入れ込むポイントはたくさん見えてきます。

4.気づきにつながるアプローチ

では、双方向のコミュニケーション、直接的な会話、対話以外のどんなタイミングでヘルスコーチングのアプローチ、寄り添い方の要素が活用できるのか、いくつか具体例を用いてお話ししていきます。

例1)記録のタイミング

ヘルスケアサービス、特にアプリなどオンラインで提供する際に、何らかの記録、データの入力の機能を提供しているケースがあると思います。

この記録の機能については、継続することが難しいわりに、「記録」しないとサービス自体が成立しないような仕立てになっていて、継続して利用するには意外とハードルが高かったりします。

しかし、ハードルが高いにも関わらず、記録したことに対するフィードバックはもちろん、記録した後のリアクションが全くなかったりするのが一般的です。

大変な「記録」という作業を強いておきながら、サービス提供者側からの反応が一切なく無反応では、長続きしない、継続を阻害する要因になってしまうのです。

この記録したことに対して、ヘルスコーチングのアプローチ、寄り添い方の要素を用いて一言でもリアクション、コメントによるフィードバックの仕組みを組み込むだけでも、行動の継続、取り組みの継続に関係してきます。

また、コメントによるフィードバックに、対象者の気づきにつながるアプローチや変化に向けたアプローチを、利用者のタイミングや状況によって組み合わせることも可能です。

例2)見落しがちなプロセス

アプリなどのオンラインで提供しているサービスの中では、利用者はサービスの中でたくさんのことを活動、行動しています。

例えば、ログインはもちろんコンテンツを確認したり、お知らせに反応したり、記録をしたりなどなど。

これらの利用者の活動や行動の情報を蓄積すると、利用者の取り組みのプロセスの情報になるのですが、このプロセス自体、利用者自身では把握していないものです。

寄り添うということの裏側には「見守る」ということが含まれているケースもあります。

対象者が忘れている、見えていないプロセスに目を向けて、例えばデータの小さな変化を捉えてリアルタイムで知らせることやコンテンツを確認した累積の回数の区切りのタイミングでコメントを出すなど、記録する価値や継続する意味づけにつながる要素に働きかけることができるのです。

また、これらの寄り添い自体は人よりもシステム化が得意とする部分で、「人」による会話、対話を必要としない領域と言えます。

5.すべての対象者との関係性にヘルスコーチングは活用可能

ヘルスコーチングのコミュニケーションやアプローチ、そして寄り添い方の中には、前述したようなアプローチのポイントや要素がたくさん存在し、その要素自体は切り分けることが可能です。

コミュニケーション、会話、対話の流れとして捉えると要素の活用は難しく見えてしまいますが、サービスの中における対象者とのタッチポイントや特定のタイミングなどで見ていくと、ヘルスコーチングのサービスへの組み込みは、多くの場面で活用が可能なのです。

ヘルスコーチングは双方向のコミュニケーションが基本で、「人」により直接的な会話、対話が必須のように誤解を持たれがちですが、本来ヘルスコーチングの要素は、対象者とのリレーション、関係性の中に取り入れることが可能なため、すべてのヘルスケアサービスに適応できるのです。

ヘルスコーチング自体、決まったコミュニケーションが存在しているわけではありません。

直接的な会話、対話であって、ヘルスコーチングでは意図をもってアプローチしたり要素を使ってコミュニケーションを行なっています。

それと同様に、アプリなどのオンラインであっても、活用可能な部分に組み込むことで、対象者の気づきにつながるアプローチや主体性を持った取り組みへのアプローチや寄り添いが可能なのです。

ヘルスコーチングは、「人」が前提だったり、直接的な会話や対話が必須ではなく、すべてのヘルスケアサービスに活用可能なアプローチだということを覚えておいてください!



今回お話したようにヘルスコーチングには多くのアプローチ、寄り添い方の要素が存在しています。

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これらはすべて対等の関係にある。

あらゆる種類の豊かさを認識できる人だけが、
本当に<生きがい>というものを理解し、
楽しむことができるのだ。
・・・

ここまで「生きがい」 茂木健一郎著 恩蔵絢子訳 新潮文庫より

生きがいマインドで見つめると、日本的ウェルビーイングの方向性が明確に見えてきます!

今週の注目記事クリップ

[1]Upmind、宅配食サービス国内最大手のnoshと事業提携(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000083261.html
Upmindアプリをご利用中のユーザーの希望者に、管理栄養士・一流シェフ考案の健康的な食事が定期的に届くサポートを開始する。(2022/08/18)

+++★追加解説音声:100秒★+++
https://youtu.be/NmqCkFdy-mc

[2]ワコール、「サクセスウォーク」より 体温でフィットする靴「SOPIVA」新発売
https://www.wacoal.jp/news/newsrelease/202208/release163262.html
三井化学が開発した、ヒトの体温を感知して触れたカラダをやさしく包み込む新素材「HUMOFIT(R)」搭載の「サクセスウォーク」新商品。デザイン性と機能性を兼ね備えた働く女性のためのフラットシューズが登場。(2022/08/17)

[3]TANPAC、累計100万食突破の「筋肉食堂」がオフィス向けの福利厚生サービス『筋肉食堂 for Office』を提供開始(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000106557.html
時間や提供場所を選ばない高たんぱく・低カロリーな「冷凍弁当」を、企業の福利厚生を活用した食事サービスとして提供。(2022/08/17)

[4]KEYWORD:バーティカルSaaS(Beyond Healthより)
https://project.nikkeibp.co.jp/behealth/atcl/keyword/19/00176/
バーティカルSaaSとは、クラウドサービスとして提供されるソフトウエアであるSaaS(Software as a Service)のうち、特定の業界や領域に向けたもののこと。医療・ヘルスケア領域のサービスも続々登場。(2022/08/18)

[5]dacadoo Japan、FWDグループはdacadooと提携し「omne」の発売を発表(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000090267.html
「omne」は、個人の能力を最大限に引き出すために、目標に基づいた個別化された経験を中心とした独自の価値ある提案で個人を支援する新しいモバイルアプリ。(2022/08/18)

[6]グローバルニュートリショングループ、フードテック:進化するアップサイクル技術
https://global-nutrition.co.jp/blog/2022-08-19/
ウェルネスフード・ワールド第104回。今回は、特に進化している食から食へのアップサイクルについて、取り組んでいる海外スタートアップ企業をごく一部ですがご紹介。(2022/08/19)

[7]全薬工業、子育て中のママ・パパに「かぜなど体調不良時の困りごと」調査を実施(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000086241.html
ママ・パパが「かぜ」などの体調不良の際、実際に困ったことTop3は「子供の世話」「食事やお弁当の準備」「子供の送り迎え」。「かぜ」かもと感じる体調不良の際に「病院へ行く」ママ・パパは約3割にとどまる。(2022/08/19)

[8]トップアナリストに聞く「2030年のヘルスケアビジネス」どうなる?日本の生保ビジネス(Beyond Healthより)
https://project.nikkeibp.co.jp/behealth/atcl/feature/00019/081000029/
長い伝統がある生保ビジネスの注目点について、保険アナリストの植村信保氏に話を聞いた。(2022/08/19)

[9]経済産業省、「健康経営銘柄2023」「健康経営優良法人2023」の申請受付開始!
https://www.meti.go.jp/press/2022/08/20220822002/20220822002.html?from=mj
今年度調査の主な変更ポイントは、(1)情報開示の促進、(2)業務パフォーマンスの評価・分析、(3)データ利活用の促進。(2022/08/22)

[10]ALSOK、高齢者向け見守りサービス「HOME ALSOKみまもりサポート」外部サービスとの連携開始
https://www.alsok.co.jp/company/news/news_details.htm?cat=2&id2=1209
連携対象の第一弾は、株式会社SMBCファミリーワークスが提供するスマートフォン向けアプリのファミリー ネットワーク サービス。(2022/08/22)

[11]DeSCヘルスケア、ヘルスケアエンターテインメントアプリ「kencom」の複数年分の歩数データに基づき、歩数と心血管疾患リスク因子の改善との関連を示唆
https://dena.com/jp/press/4887/
今回の研究は、15,000人の集団を対象に複数年分の歩数データを用いて検査値との関連を検証しており、長期的な心血管疾患リスクのモニタリングにスマートフォンに記録された歩数が有用であることも示唆された。(2022/08/22)

[12]ライフログテクノロジー、カロミルユーザーが抱える課題に対するソリューションをアプリ内で提供開始
https://www.calomeal.com/pressrelease/20220822.html
カロミルユーザーの膨大な喫食・運動・バイタルデータを活用し、個々のカロミルユーザーが抱える課題に合った親和性の高い商品をカロミルアプリ上で提案するサービスをスタート。(2022/08/22)

[13][ピックアップ特集]ヘルスケア事業、異業種からの挑戦:第3回「セラミック企業」から続々生まれるヘルスケア事業
京セラ みなとみらいリサーチセンター(Beyond Healthより)

https://project.nikkeibp.co.jp/behealth/atcl/feature/00055/072800003/
電子部品の開発・製造等をはじめとして、多岐に事業を展開する京セラは、今後の注力分野として「医療・ヘルスケア」への取り組みを掲げている。(2022/08/22)

[14]DMM.com、「フェムテック推進EXPO Vol.2」事前セミナーを9月12日より配信(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000089.000081780.html
DMMオンライン展示会では2022年10月6日(木)-13日(木)に開催する「フェムテック推進EXPO vol.2」に先立ち、9月12日(月)から女性にまつわる幅広いテーマを有識者にお話しいただく全30セッション以上の先行配信が決定。(2022/08/22)

[15]キリンビバレッジと日立社会情報サービス、ヘルスリテラシーと健康状態の関連について実証実験結果を公開
https://www.kirinholdings.com/jp/newsroom/release/2022/0823_01.html
アンケートデータ(健康意識・ヘルスリテラシー)と従業員の健診データ(健康状態)を分析し、健康施策提供者がもつバイアスの存在を可視化したことで、健康施策実施に関する2つの重要なポイントを確認した。(2022/08/23)

[16]cotree、ご利用件数が10万件を突破!
https://cotree.co/posts/10_renew
2014年10月にサービス開始以降、「話すカウンセリング」と「書くカウンセリング」の合計ご利用件数が10万件を突破した。カウンセリング満足度は93%以上。(2022/08/23)

[17]タウンドクター、<埼玉県横瀬町での「N・Partner」導入成果>参加者の血圧が4~5週間で平均10減少
https://npartner.jp/yokoze2021/
今回の取り組みは、オンライン会議ツール上で対象者と同社所属の管理栄養士の1対1での保健指導を行うもので、対象者ごとに1回30分程の指導を、計2~3回(4~5週間)実施した。(2022/08/23)

[18]サンスター、口腔ケアを習慣化するための新コンテンツ「歯みがき道~歯みがき道が人生を決める~」公開
https://www.sunstar.com/jp/newsroom/news/20220823/?_ga=2.236505800.832200091.1661242947-839079657.1658202153
歯周病予防啓発情報を発信する新サイト。また、おすすめのケア方法やお役立ち情報の指南書付き「歯みがき道はじめる!セット」を同日新発売。(2022/08/23)

[19]Intellect Company Pte. Ltd.、アジア最大のメンタルヘルスケアスタートアップのIntellectがIntellect Japan株式会社を設立(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000102702.html
Tiger Global、JAFCO Asia、MS&AD Venturesなどから調達した2,000万ドルをもとに、Intellectの最重要市場である日本市場での展開を行うため、Intellect Japan株式会社を設立。(2022/08/23)

[20]スマートルーチェ、10代女子アスリートが“ピル”を飲む時代。月経前症候群(PMS)で苦しむ日本の女性を助けるためにプロ野球選手の治療ノウハウを生かしたトレーニング法の発表(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000084907.html
フラスコオンラインEXPO出展社の紹介。株式会社フォレスト・ウィンは現役のプロ野球選手や監督などスポーツ障害の治療を通じて、薬に頼らず月経前症候群を軽減する体づくりや運動を研究。(2022/08/23)

[21]インフォーマ マーケッツ ジャパン、ダイエット&ビューティーフェア2022(第21回)開催
https://www.dietandbeauty.jp/
開催日は、2022年9月26日(月)~28日(水)。「アンチエイジング ジャパン(第8回)」「スパ&ウエルネス ジャパン(第13回)」同時開催。

[22]海外トピックス:皮膚に貼る「超音波パッチ」の開発が前進(Beyond Healthより)
https://project.nikkeibp.co.jp/behealth/atcl/news/overseas/00175/
米マサチューセッツ工科大学の研究グループは、高解像度のライブ像を得ることのできる切手サイズの超音波デバイスの開発が前進したことを「Science」に発表した。(2022/08/17)

[23]Heru、ARヘッドセット『Magic Leap』で眼科を受診
https://mhealthwatch.jp/global/news20220822
Heru社は仮想現実(VR)と拡張現実(AR)による眼科検査を、ヘッドセット『Magic Leap』を利用して実施している。(2022/08/22)

[24]『mHealth Watch』注目ニュース:東北大学、緑内障の早期発見スマートフォン用のゲームアプリを開発
https://mhealthwatch.jp/japan/news20220829
今回注目するのは、京都大学が開発し特許を取得した緑内障の早期発見に寄与できるスマートフォン用のゲームアプリに関するニュースです。(2022/08/29)

[25]The Rock Weekly 今週の注目記事より(英文)
・2022 Rock Health Summitにて、Innovation Fellowsを発表
https://www.rockhealthsummit.com/event/c116d319-7d24-4831-9628-9ed3b993bb8b/websitePage:a9f64710-fe3e-48e4-aa9a-a8666a8d692d
9月に開催されるRock Health Summitにて、Rock Healthが注目するイノベーター13名が発表された。