こんにちは、里見です。
最近のヘルスケアサービスを見渡してみると、以前よりも「人」や「コミュニケーション」の要素を取り入れたサービスが多くなってきている印象です。
今回は、ヘルスケアサービスの「人」や「コミュニケーション」の要素の背景にある「承認欲求」について解説してみたいと思います。

特集:ヘルスコーチングの視線編

ヘルスコーチングの可能性を探る:「承認欲求」に応える仕組みとは

1、ヘルスケアサービスの提供機能のトレンド

これまでのヘルスケアサービスの提供機能のトレンドを見てみると、以下のような流れだったように記憶しています。

1、情報提供

2、記録

3、改善、ソリューションの提供

4、パーソナライズ

5、コミュニケーション

上記1~3の段階では、基本的に個人の取り組みが基本でした。
また、サービス提供側と利用者の密な情報共有やリレーションは必要なかったです。

そして、ここから一歩踏み込んで、個別化要素を取り入れたパーソナライズな対応、提供といった流れになってくると、個別化に必要な情報のやり取りや情報共有が必要になるため、サービス提供側と利用者の間の情報共有やリレーションは必須になってくるのです。

しかし、あくまでも個別化、パーソナライズに必要な情報共有やリレーションであって、「人」や「コミュニケーション」が全面に出てくる形でのサービス提供ではありませんでした。

そして、以前よりヘルスケアサービスで取り入れられるようになってきたのが、「人」や「コミュニケーション」のアプローチで、この「人」や「コミュニケーション」については、取り組みの継続やモチベーションの維持に大きく関係していますが、その背景には「承認欲求」の存在も大きいのではないかと考えています。

2、「人」や「コミュニケーション」と「承認欲求」

以前このメルマガでも紹介しましたが、「マズローの5段階欲求説」では欲求を以下の5つに階層化しています。

「マズローの5段階欲求説」

(5)自己実現の欲求

(4)承認の欲求

(3)所属と愛の欲求

(2)安全の欲求

(1)生理的欲求

欲求は、低い階層から順番に現れ、その欲求がある程度満たされると、次の欲求が現れると言われています。

(4)の承認の欲求とは、他者から尊敬されたい、認められたいという欲求のことになります。
一般的なSNSの利用者の意識としても、他者に認められたいといった欲求が存在しています。

健康の取り組みは、基本的には一人で継続的に取り組むこと、実践することが求められます。
また、取り組むこと、実践すること自体は、生活習慣に関係していることが多いため、生活習慣を改善するとなると、かなりハードルが高いものなのです。

このような取り組みを一人で継続的に取り組む際に、必要となる要素の一つが、「人」や「コミュニケーション」を通した「承認欲求」へのアプローチです。

3、「人」や「コミュニケーション」に求められるもの

「人」や「コミュニケーション」の活用については、様々なアプローチがされています。

例えば
・専門家によるサポート
・コミュニティでの仲間との取り組み
・AIによるコミュニケーション
など

「人」や「コミュニケーション」のアプローチの中で、必要なのは指導、アドバイスではなく、寄り添いや見てくれている感覚です。
これまで、一人での取り組みでは提供されてこなかった取り組みに対する「反応」なのです。

例えば、これまでは記録機能を活用してデータを入力しても何もレスポンスがなく無反応だったのに対して、「人」や「コミュニケーション」の機能が入ることによって、データの入力に対して何かしら反応、レスポンスが提供できます。

また、専門家である「人」やAIによる「コミュニケーション」の機能であれば、データに関連したコメント、レコメンドも提供可能で、見てくれているといった感覚で寄り添うことが可能なのです。
さらに、仲間といっしょに取り組むコミュニティであれば、仲間からの反応や励ましなどが受けられたりするのです。

このように、自分の取り組みに対して、「人」や「コミュニケーション」を通した「反応」があるということは、自分の取り組みを承認してもらえていることにつながっています。

4、取り組みを承認する仕組みづくり

「承認欲求」に応えるということは、取り組み自体の継続にアプローチするだけではなく、その結果として効果、成果へと導くことにもつながります。

しかし、「人」や「コミュニケーション」で承認をヘルスケアサービスに取り入れるとなると、すごくハードルが高いように受け取られがちですが、「人」や「コミュニケーション」をメインにするのではなく「承認欲求」に応えることをメインに据えて、「人」や「コミュニケーション」の要素を組み込むことにすれば、ハードルはそれほど高くはありません。

特に、取り組みに対しての反応的な承認などであれば、対象者のアクションへのリアクション、レスポンスの工夫だけで「コミュニケーション」として成立するものです。

例えば、対象者が何か記録をした際に、記録の変化に合わせて準備した複数のコメントの中から自動的に適切なコメントで表示したり、コミュニティであればメンバー同士でスタンプを押せる機能を提供するだけでも、スタンプを通したコミュニケーションによる承認が可能になるのです。

「人」や「コミュニケーション」を通して承認を提供するのではなく、承認を行うための「人」や「コミュニケーション」といった要素を絞った上での提供であれば、仕組みとして提供が可能なのです。
また、承認されることで安心し、行動が起こりやすくなり、そして承認してくれる人に対して信頼感を感じやすくなっていくのです。

今回は、「人」や「コミュニケーション」の要素の背景にある「承認欲求」について解説しました。

取り組みを承認する仕組みづくりについては、利用者への気づきや行動変容を促すヘルスコーチングのコミュニケーションによるアプローチ、要素が活用可能です。
ヘルスコーチングの要素を活用した、取り組みを承認する仕組みづくりに、ご興味ある方、是非一度ご相談ください。


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健康ビジネスキーワード

「健康サービス事業には成功の型がある_7/8」

「ヘルスケアビジネス」力 8 の7つ目になります。

「チェック&ソリューション」
「チョイス&チェンジ」
「ピア&トゥギャザー」

ヘルスケア(健康)ビジネスは、対象者の行動変容の流れをどう設計するかが決め手です。
一瞬にして健康になってしまうことはあり得ません。
なんらかの健康行動を継続することによってのみアウトカムを得ることができ、あらゆるヘルスケア(健康)ビジネスも、この基本をベースにする必要があります。

今回紹介する3つの型は、様々な業種業態のサービスで活用されているものです。
チェック&ソリューション → チョイス&チェンジ → ピア&トゥギャザーになります。

1)チェック&ソリューション
まず、ヘルスケア(健康)ビジネスのユーザーは、明確なゴールがどれだけ描けているかの差はありますが、大きな方向性を持ってなんらかの手がかりを探し始めるのが普通です。

  • ちょっと太り始めたのでダイエットしようかな?
  • 血圧高めを指摘されたので何かやろうかな?
  • どうも睡眠が足りていないようで仕事中も眠い!
  • 肌のコンディションが良くないのでなんか方法はないかしら?

自分が感じている課題がどのレベルであるのかをチェックし、現在地点を明確にした上で課題解決に向けたソリューション(方法やルート)が提示されるというフレーミングが「チェック&ソリューション」です。
漠然と行きたい方向があっても現在地を確定しないとルート(道順)が描けません。

例えば
「減量したい」=漠然
10kg体重が増えたので(現時点)
a)10kg減量を半年でしたい
b)5kg減量を1年でしたい
現時点が明確になって方向がさらに明確になっていますが、a)とb)では減量へのアプローチ行動が異なることになります。

ヘルスケア(健康)ビジネスサービスのユーザーの行動起点設計を行うプロセスがチェック&ソリューションになります。

2)チョイス&チェンジ
ソリューション行動を自分に合ったものとしてチョイスでき、チェンジ(変わっていく行動)にすぐ移せる流れがフレーミングされているのが「チョイス&チェンジ」です。
まさに行動プロセスになります。

自分でチョイスすることがポイントです。それによってその行動は自分ゴト化しやすくなります。
自分ゴト化=主体性の発揮は成果への達成率が高まることは言うまでもありません。
そしてチョイスとチェンジ行動が直結し、スムーズに行われることによって初期成果を早いタイミングで経験しやすくなることが分かっています。
また、即行動できる流れを提供することによって、初期選択行動が自分に合っていなかった場合でも、その変更もスムーズになる場合が多いのです。

このチョイス&チェンジはヘルスケア(健康)ビジネスのサービス化の核となるプロセスであり、サービスコンテンツとなるので継続的なアップデートが求められます。

3)ピア&トゥギャザー
チョイス&チェンジで自分にとっての効果が期待できる行動を選択できたユーザーが成果を得ることができるような継続環境を提供するフレーミングが「ピア&トゥギャザー」になります。
自分が選択した(購入した)健康ビジネスサービスの利用者やアドバイザーなどと交流できるコミュニティ機能と言ってもいいです。

ピア(同じテーマを共有する仲間同士の刺激)と行動をトゥギャザー(一緒に)継続できる環境を提供できるか否かは、すべてのサービス事業者の課題と言われてもいます。

今週の注目記事クリップ

[1]フジッコ、パソコンやスマートフォンなどのディスプレイ作業により生じる一過性の疲労感を軽減-黒大豆ポリフェノール「クロノケア(R)」で新たな機能性表示食品の届出が受理【PDF】
https://www.fujicco.co.jp/corp/upload/pr_230118.pdf
https://www.fujicco.co.jp/
「黒大豆ポリフェノール」は、今回の届出に先立ち「日中の一時的な眠気を軽減」する機能や「加齢とともに低下する血管のしなやかさを維持」する機能での届出も受理されています。(2023/01/18)

+++★追加解説音声:90秒(編集主幹 大川耕平)★+++
情報価値商材づくりパターンの一つですね!
https://youtu.be/dJ9Deo-K9d8

[2]理化学研究所、悪玉脂質を産生する腸内細菌が肥満を悪化させるー腸内細菌を介した肥満の発症・悪化メカニズムの解明ー
https://www.riken.jp/press/2023/20230118_1/
今回、共同研究チームは、「トランス脂肪酸」など健康を害する脂質を産生する腸内細菌が肥満や高血糖などの代謝疾患を悪化させることを発見しました。(2023/01/18)

[3]ビッグローブ、「2023年の働き方に関する意識調査」を発表
https://www.biglobe.co.jp/pressroom/info/2023/01/230118-1
全国の20代-50代の働いている男女892人を対象に調査を実施。約4割が時間外に業務対応した経験あり、「つながらない権利に対する配慮が必要」7割強、など。(2023/01/18)

[4]Smart相談室、オンラインカウンセリングサービス「Smart相談室」が新たにコーチングサービスをリリース(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000089158.html
カウンセリングだけではない対人支援サービスへ進化した「Smart相談室」。コーチングサービスリリース記念キャンペーン実施中。(2023/01/18)

[5]Beyond Health事例:指タッピングの解析で目指す「認知症の芽」早期発見ー「脳をみる」新たなアプローチー(Beyond Healthより)
https://project.nikkeibp.co.jp/behealth/atcl/feature/00003/121600292/
今回は、磁気センサーを用いて“指タッピング運動”を解析し、軽度認知障害の早期発見につなげようという国立長寿医療健康センターの取り組みを紹介する。(2023/01/18)

[6]フィットネス業界 2023年大予測!RIZAP株式会社(Fitness Businessより)
https://business.fitnessclub.jp/articles/-/1422
月刊NEXTコラボ記事。今回は、RIZAP株式会社。コンビニ感覚で通えるchocoZAPの勢いが衰えるところを知らないが、2023年を、どのように捉えているのだろうか。(2023/01/18)

[7]ロート製薬とユーグレナ、資本業務提携契約を締結
https://www.euglena.jp/news/20230119-2/
Well-beingな社会の実現に向けて協業を推進。業務提携の範囲は、ヘルスケア関連商品の企画及び販売連携、藻類を活用した化粧品原料や健康食品の共同研究、八重山地域やアジアにおける協業の検討など。(2023/01/19)

[8]グローバルインフォメーション、市場調査レポート:mヘルスとホームモニタリング市場:第11版
https://www.gii.co.jp/report/ber1188880-mhealth-home-monitoring-11th-edition.html
当レポートは、世界のmヘルスとホームモニタリング市場について調査し、市場の概要とともに、セグメント別動向、収益予測、および無線技術が医療機器にどのようにシームレスに統合されるかについてまとめています。(202/01/19)

[9]大人のダイエット研究所、“高カカオチョコを「食後に」食べるだけ”で高血糖対策、高カカオチョコレートの血糖値の抑制効果~ヒト試験で明らかに~
https://otona-diet.jp/release/6008.html
ベジタブルファーストなどの“食べる順番の工夫”による食後高血糖の抑制に着目し、高カカオチョコレートを食前ではなく「食後」に摂取した場合でも、血糖値上昇抑制効果が得られることが明らかになりました。(2023/01/20)

[10]インフォーマ マーケッツ ジャパン、「働く女性の美と健康を応援する!」ビジネストレードショー(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000021.000084538.html
今年9月開催の「ダイエット&ビューティーフェア」は、昨年来場された多くの方からの要望を受けて、今回のフォーカステーマを今後市場で大きなニーズが期待される“5活”(「温活・腸活・眠活」と「骨活・筋活」)に決定。(2023/01/20)

[11]HYPER CUBE、AIアバターを用いたフレイル健康チェック診断の提供を開始(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000044934.html
岡山市主催フレイル予防イベントや市内薬局等数か所において、AIアバター「トモニ」の設置を開始。この期間中、岡山市をフィールドとして、対話型AIアバターを用いたフレイル健康チェックを実施しその有効性やサービス検証を行います。(2023/01/20)

[12]Aesta、2023年版スポーツテックカオスマップをリリース
https://www.aesta.co.jp/2023-sports-tech-marketmap/
国内外スポーツテック領域の200サービスを、全15カテゴリに分類。資金調達の動き、独自性、ユーザー数の多さなどを基準に独自目線で選出しています。(2023/01/24)

[13]AuB、キッズ向け腸育食品に参入!「粉末食品」と「スープ」新発売
https://aub.co.jp/archives/4545
子ども(主に2-6歳)の腸内環境をケアする商品を発売し、キッズ向けの食品分野に参入します。“腸活食品”の新たなブランド「aub for kids」を立ち上げます。(2023/01/24)

[14]24時間血圧モニタリング。指輪型のスマートデバイス『RingConn』
https://mhealthwatch.jp/global/news20230118-2
『RingConn』は、睡眠時の呼吸障害や高血圧モニタリングなど医療の場面で利用されることが期待されている。(2023/01/18)

[15]CES2023:女性の健康に着目したMovanoの新スマートリング『Evie』
https://mhealthwatch.jp/global/news20230118
『Evie』の機能は、安静時心拍数、心拍数変動、SpO2、呼吸数、皮膚温度変動、月経・排卵トラッキング、月経症状トラッキング、歩数、活動時間、消費カロリー、睡眠段階・睡眠時間、気分トラッキングなど。(2023/01/18)

[16]Hinge Health、在宅ケアを開始
https://mhealthwatch.jp/global/news20230119
デジタル筋骨格系ケア企業のHinge Healthは、理学療法の往診サービスで対面ケアに進出すると発表した。(2023/01/19)

[17]『mHealth Watch』注目ニュース:ウェアラブルは外傷後の痛み、不安に直面している患者を検出する
https://mhealthwatch.jp/global/news20230130-2
JAMA Psychiatryに掲載された研究によると、ウェアラブルデバイスはトラウマ的な出来事の後に睡眠障害、痛み、不安に苦しんでいる患者を検出して観察するのに役立つ可能性があるとしている。(2023/01/30)