こんにちは、渡辺武友です。
マーケット戦略を考えるのは、導入期だけにあらず!
マーケットの状況に合わせて、組み立てるべきマーケティング戦略を考えていきます。

特集:健康ビジネス・マーケティング&収益化編

ヘルスケアビジネスのマーケティング戦略

ビジネス規模や目的によってマーケティング戦略を決めるのは当然のことですが、戦略検討の段階でマーケット(市場)の捉え方を誤解してしまっていると、ビジネスとしては、とても遠回りになってしまいます。

適切なタイミングで適切なアプローチができるよう、マーケティング戦略を検討するにあたり、忘れがちだがとても重要なマーケットの捉え方をお伝えしていきます。

マーケティング戦略 3つの段階

マーケティング戦略において、そのマーケットがどの時期かを把握し、マーケットの時期に合わせて戦略を組み立てる必要があります。
マーケットは大きく3つの段階(期)に分かれます。
それぞれ説明していきます。

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(1)マーケット創出期
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多大な投資をして優れた技術が獲得できたとしても、マーケットがなければ事業はうまくいかない。
まったく存在しないマーケットを自社だけで作るには、さらに時間とコストが膨大にかかる。
コストを抑え、時間を短縮するためには、マーケットを創り出す仲間(市場参入する他社)が必要になる。
賛同者が増えなければマーケットは形成されない。
どんなに優れた技術があっても、賛同者が多いところでマーケットはできてしまうので、自社の優位性にばかり気を取られることなく、賛同を得るためにどうするか?が重要となる。

【HBW補足】

令和の現在、
「誰も気づいていないブルーオーシャンを見つけ、先行優位で逃げ切る!」

このような発想が通じなくなったのはご存知のことと思います。
現在のブルーオーシャンとは、お金を払う価値がない場、タダだったら集まる場のため、ビジネスが成立するマーケットとはなりにくいのです。

仮にマーケットを1から創出する場合、そのブルーオーシャンにお金を払ってもいい顧客を他のレッドオーシャンから連れて来なければなりません。

例えるなら、太平洋にいる魚に大西洋に泳いで来て!と言っても、よっぽどの利点を感じなければ、わざわざ横断してくれないでしょう。
大西洋に導くために餌を撒き続けたり、網ですくって船で運んだりしないとなりません。

膨大な時間とコストがかかってしまいます。

ですので、1からマーケットを創出するためには1人でやるのではなく、仲間が必要になるのです。
もちろんビジネスの場では競合となりますが、ある部分では共感、共有できる仲間にならなければマーケット形成が遠のきます。

「マーケット創出期」の場合は、マーケットを一緒に作る仲間をどう集めるか!?
この視点も戦略的に検討します。

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(2)マーケット拡大期
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マーケットに見込み客が増えることで、新規参入者(フォロワー)が増える。
この段階で自社商品サービス(以下、商品)のマーケットシェアを落とさないためには、自社商品とフォロワーの商品を差別化する、非開示の技術を確保しておかなくてはならない。
また、継続的な優位性を維持するためには、新たな技術開発によって斬新的に高度化できるようにしておかなくてはならない。

【HBW補足】

上記の「マーケット拡大期」の説明は、マーケットを創出する立場の場合になります。
ビジネス上、すでにあるマーケットにアプローチした方が、費用回収は早まるので、フォロワーは悪いことではなく、拡大期のマーケットは、むしろ率先して参入すべきマーケットと言えます。

ビジネス書などで、フォロワー戦略があまり紹介されていないですが、1からマーケット創出するよりも確実性が高く、先行者(リーダー)からマーケットを奪う戦略もありますので、後発だからと怖気付く必要はありません。

但し、そのマーケットが「拡大期」なのか?次に紹介する「成熟期」なのかで、マーケティング戦略は変わってくるので、マーケットの見極めが重要になります。

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(3)マーケット成熟期
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さらなる市場拡大による利益の拡大は見込めなくなるため、価格競争にならないよう、自社に優位な形で生産や運用コストを下げるための技術的更新が必要になる。
独占的にコストダウンできれば、価格による差別化でマーケットシェアをさらに伸ばすことができる。
「マーケット成熟期」の別の戦略として、既に飽和状態にあるマーケットに新たな付加価値を呼び込み、さらには周辺市場に自社の製品技術を波及させるためのマーケット間をブリッジする。

【HBW補足】

「マーケット成熟期」は、「マーケット拡大期」に続いて、収益化しやすいマーケットです。
「マーケット成熟期」は、リーダーのコスト感を見極めながら適切な価格でマーケットに商品を投入します。

そして、獲得した顧客が次に何が欲しいのかを見極めます。
つまり次なるマーケットへシフトする際、顧客獲得を1から行う労力を低減させ、新たなマーケットを創出し、早い段階で収益に結びつけます。

ヘルスケアビジネスにおけるマーケティング戦略

マーケティング戦略は初期段階だけでなく、市場の現状に合わせて(いつからいつまでが拡大期とは先に決められないため)、常に見直して戦略を立てることが重要です。

例えば、健康経営市場といった大きな括りだけでなく、その中には従業員の健康支援サービスもあれば、経営のための分析評価もあります。
それぞれ棲み分けて考えるとマーケットの段階は違ってくるのではないでしょうか?

従業員向けの健康支援サービスも、すでに10年、20年以上前から提供されているものもあります。
導入当時は1人あたり1,000円で提供していたものが、今では1人あたり100円になっているものもあります。
価格が安くなった分、利用者が爆発的に増えているなら「拡大期」ですが、価格は安く、利用者数も減っているなら「成熟期」と言えます。

このように、ご自身がアプローチするマーケットの段階を見極め、適した戦略を組み立てる必要があるのです。


※「マーケティング戦略 3つの段階」参考資料
「平成19年度 標準化経済性研究会報告書」標準化経済性研究会
https://www.jisc.go.jp/policy/kenkyuukai/keizaisei/pdf/2007houkokusho.pdf

健康ビジネスキーワード

「デジタル化の魅力」

デジタル化はモノの価値の変化と同期しています。
モノの機能を販売していた時代は終焉を迎え、モノはもはや顧客との価値共創のツールと考えた方がサービスデザインがし易い。

今まではサービスは個別的であり、それ自体が点だったものがデジタル化によってつながり線になりストーリーになっていきます。
そして、connectivity(コネクティビティ)というデジタルによる相互接続性が生む顧客同士のコミュニティ創出が新しいビジネス推進基盤となっていく。

今週の注目記事クリップ

[1]CALENDAR、日めくりオンラインフィットネス「CALENDAR」が初期費用ゼロの2つの新料金プランを開始(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000097756.html
スマート日めくりカレンダー(Android端末)を通じて運動習慣をつくるオンラインフィットネスサービス「CALENDAR」にて、2つの新料金プラン(年割プラン・月額プラン)をスタート。(2023/09/01)

+++★追加解説動画:9分56秒(編集主幹 大川耕平)★+++
日本的ホームフィットネス
https://youtu.be/sW6kUj5Im6U

[2]国立長寿医療研究センター、老化疫学研究部より「食事バランスチェックシート」を公開しました
https://www.ncgg.go.jp/ri/news/20230817.html
栄養バランスの良い食事をとれているかをチェックし、どのような食品を摂取するとバランスがよくなるかを簡易に把握できるチェックシートがダウンロードできます。(2023/08/30)

[3]コクヨグループ カウネット、「Well-being」の認知度は約2割、職場の健康への取組みに対して厳しい評価【PDF】
https://company.kaunet.com/wp/wp-content/uploads/2023/08/d12f6d6ef6d13365c35207d762e3f1621.pdf
https://company.kaunet.com/
コミュニティサイト「カウネットモニカ」会員1,421名を対象に「個人・職場の健康への取組みについて」と題した調査を実施。職場が社員の健康づくりに取り組んでいると感じている人は約5割、など。(2023/08/30)

[4]メドピア、[中小企業の産業医活用に関する実態調査]約8割が産業医の満足度が高いと回答
https://medpeer.co.jp/press/11027.html
産業医活用のメリット、「職場環境の改善への意識が向上した」と約4割が回答。「従業員のパフォーマンス向上」「ストレスを抱えている従業員が減った」も約3割に。(2023/08/30)

[5]オトバンク、睡眠時間帯の『audiobook.jp』の平均再生時間は54分!夜のスマホ習慣を「見る」から「聴く」へ <オーディオブック白書2023>(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000327.000034798.html
本調査では、生活スタイルが多様化する中で、22:00-2:00を睡眠のゴールデンタイム、23:00-5:00を深夜時間と設定し、睡眠時間帯における「audiobook.jp」の利用傾向やよく聴かれている作品をご紹介いたします。(2023/08/30)

[6]ソースネクスト、充電不要の活動量計「MOTHER Bracelet」販売開始(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000582.000035169.html
米国シリコンバレー発の最先端技術「温度差発電」を搭載し、ユーザーの体温を動力源に用い、充電不要を実現しました。歩数、睡眠、体表温、心拍数、消費カロリーなどの健康データを計測します。(2023/08/30)

[7]ウンログ、物価高騰時代を助ける健康フード!納豆と効果体感に関する実態調査
https://unlog.co.jp/lab/20230831/
納豆を日常的に食べるウンログユーザー1,417名を対象に調査を実施。ウンログユーザーの中でも根強い人気がある発酵食品・納豆の効果体感を明らかにしました。納豆を食べる頻度は1日1パック以上が主流、など。(2023/08/31)

[8]笹川スポーツ財団、「スポーツライフ・データ」に筋トレ人口を掲載
https://www.ssf.or.jp/thinktank/sports_life/data/workout.html
2022年6月から7月にかけて「スポーツライフ・データ(スポーツライフに関する調査)」を実施しました。2022年の20歳以上の筋トレ人口(実施人口)は1,640万人、男性:941万人、女性:688万人。(2023/08/31)

[9]クラシエホールディングス、おとな女性一人一人の悩みに寄り添うサブスクリプションサービス「Fun to Me(ファントゥーミー)」新登場
https://www.kracie.co.jp/release/10187119_3833.html
「Fun to Me」は、おとな女性の悩みを対処するため、個別のバランス状態をチェックし、一人一人に合った「食」と、セルフケア方法などの「情報」をお届けするサブスクリプションサービスです。(2023/08/31)

[10]Smart相談室、法人向けオンライン対人支援サービス「Smart相談室」のスタートアップ向けメンタルケアプランを提供開始(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000022.000089158.html
スタートアップ向けメンタルケアプランは、従業員が50名未満の企業アカウントを対象に、メンタルケアに必要なカウンセラーや医師への相談窓口といった機能を特別価格で提供します。(2023/08/31)

[11]ninpath、フェムテック領域に挑む3社の男性起業家が女性の健康課題をホンネで語るウェビナーを開催(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000038.000055467.html
開催日は2023年9月28日(木)。無料オンラインセミナー「フェムテック領域に挑む男性起業家のホンネ ~女性の健康課題に男性がどう取り組むべきか~」。(2023/08/31)

[12]ポーラ・オルビスホールディングスとLIFEM、『ルナルナ オフィス』の「更年期プログラム」をポーラ・オルビスグループ健康保険組合が導入【PDF】
https://ir.po-holdings.co.jp/news/news/news8300234408226155565/main/0/link/20230901_lunaluna%20office.pdf
https://ir.po-holdings.co.jp/
従業員を対象に、医療機関と連携したオンライン診療サービスを提供し、婦人科受診と漢方薬などの処方・配送をはじめ、婦人科医師監修のセミナー動画を配信することで、更年期に伴う症状など、働く女性が直面する健康課題の改善をより幅広く支援します。(2023/09/01)

[13]キリンビバレッジ、「キリン おいしい免疫ケア 睡眠」新発売!
https://www.kirinholdings.com/jp/newsroom/release/2023/0901_01.html
キリンの独自素材「プラズマ乳酸菌」に加え「GABA」も配合した、“免疫ケア”と“睡眠の質向上”をサポートするダブルヘルスクレームの機能性表示食品。(2023/09/01)

[14]リンクアンドコミュニケーション、AI健康アプリ「カロママ プラス」が「auウェルネス」と連携
https://www.linkncom.co.jp/news/news/1159/
「カロママ プラス」で1日の食事を記録すると、「auウェルネス」のコインがもらえるキャンペーンを9月1日(金)から開催します。(2023/09/01)

[15]アキュリスファーマとメディカルノート、9/3『秋の睡眠の日』にあわせて、睡眠関連疾患の啓発活動を共同で実施
https://aculys.com/ja/news/20230901-1042/
国内最大級の医療情報メディアである「Medical Note」内に睡眠関連疾患特集サイトを公開しました。日本の睡眠課題解消を目指す業務提携、第一弾の取り組み。(2023/09/01)

[16]西川、今年も1万人の睡眠実態を大調査『西川 睡眠白書 2023』を公開【PDF】
https://www.nishikawa1566.com/news/news_file/file/20230901112040.pdf
https://www.nishikawa1566.com/
不眠症の疑いが高い人が全体の51.9%と、ここ数年悪化傾向。今年は、美容・健康と睡眠の関係についてより掘り下げ、ダイエットや女性特有の症状(更年期症状・月経前症候群)にフォーカスした調査も実施。(2023/09/01)

[17]8月の女性ヘルスケア市場ニュースまとめ、記事11選(ウーマンズラボより)
https://womanslabo.com/news-women-230901-1
2023年8月に公開した記事を一挙振り返り。最も読まれたのは、女性ホルモンに関する知識の有無と健康行動者率の関係を明らかにした調査を紹介した記事。(2023/09/01)

[18]グローバルニュートリショングループ、ウェルネス総合研究所主催:食品業界トレンドセミナーの第2回をハイブリット形式で開催
https://global-nutrition.co.jp/information/%e3%82%bb%e3%83%9f%e3%83%8a%e3%83%bc%e3%81%ae%e3%81%8a%e7%9f%a5%e3%82%89%e3%81%9b/
開催日は2023年9月20日(水)。「“海外の最新機能性素材トレンド”グローバルトレンドの変遷とマーケティング視点から読み解く、これからの日本での注目素材と可能性!」について講演致します。(2023/09/01)

[19]フィリップス・ジャパン、「睡眠に関する調査2023」から見えてきた眠たい国、ニッポンの実態
https://www.philips.co.jp/a-w/about/news/archive/standard/about/blogs/healthcare/20230903-sleep-suvey-japan-2023.html
日本人の睡眠実態を明らかにすべく「睡眠に関する調査2023」を実施しました。その結果、多くの人が悩んでいたのは、睡眠時間以上に「眠りの浅さ」と判明しました。眠りを浅くする要因について考察します。(2023/09/03)

[20]Welby、WelbyのPHRプラットフォームが 健康やフィットネス情報を管理するAndroidアプリ「ヘルスコネクト」と連携
https://welby.jp/category/news/230904150000.html
健康やフィットネス情報を管理するAndroidアプリ「ヘルスコネクト」とWelbyが企画・開発するPHRプラットフォームが連携し、「ヘルスコネクト」から歩数データの連携が可能となったことをお知らせいたします。(2023/09/04)

[21]issin、「生活習慣改善サービス」の提供を開始「心拍数連動オンラインエクササイズサービス」も年内提供開始予定
https://issin.cc/blogs/%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9/20230905release
日本初の新サービスとして、“無理なくライフスタイルに定着できる行動変容デザイン”に基づく生活習慣改善サービス『スタイルアッププログラム』の提供を開始します。(2023/09/05)

[22]FiNC Technologies、ヘルスケア/フィットネスアプリ「FiNC」累計1,200万ダウンロード達成!
https://company.finc.com/news/16094
2017年3月にサービスを開始したヘルスケア/フィットネスアプリ「FiNC」は、2023年8月現在で累計1,200万ダウンロードを達成いたしました。(2023/09/05)

[23]第一生命経済研究所、ノルウェー健康ポータル「ヘルスノルゲ」の衝撃~日本におけるヘルスノルゲの取り入れ方と示唆~
https://www.dlri.co.jp/report/ld/275327.html
ノルウェーでは、国民と医療機関間の効率的なコミュニケーションを実現する健康ポータル、Helsenorge.no(通称ヘルスノルゲ)が広く利用されている。2022年のユーザー数は520万人に達し、これはノルウェーの総人口の約90%を占めている。(2023/09/05)

[24]クラブビジネスジャパン、chatGTPなどの生成AIで健康分野の新規事業案を、59分間で創出するー「chocoZAP」の事例をヒントに、成功する新たなビジネスモデルをつくる
https://business.fitnessclub.jp/articles/-/1802
開催日は2023年9月25日(月)。ビジネスモデル・イノベーション協会(BMIA)理事であり、多摩大学大学院 客員教授でもある山本伸氏を講師にお迎えしてウェビナーを開催します。

[25]Boseの元従業員らが開発した睡眠用イヤホン『Ozlo Sleepbuds』
https://mhealthwatch.jp/global/news20230905-2
『Ozlo Sleepbuds』は、ノイズマスキングやBluetooth経由の音声ストリーミング、眠りに落ちたタイミングを検知できるセンサーなどの機能があるという。(2023/09/05)

[26]『mHealth Watch』注目ニュース:Headspace、VBHCを提供するCastellと提携
https://mhealthwatch.jp/global/news20230911
米国のValue Based Health Care、つまり治療の“量”から“質(価値)”へと支払いの仕組みの変換が進んでいます。(2023/09/11)



+++★デジタルヘルス解説動画(オーサー 渡辺武友)★+++

【デジタルヘルス・ビジネスの疑問解消!】
デジタルヘルスのビジネスに関わる人に役立つ情報をお届けします。

第16回 ヘルスケア、2つの予防領域(6分40秒)
https://youtu.be/VpWeOr0ubyU

第17回 Forbesが予測する「ヘルスケア・ユニコーン企業」(7分56秒)
https://youtu.be/T-AUqk3zwGw