こんにちは、渡辺武友です。
あまり認知されていなかったヘルスケア商品サービスが急激に伸び出すとき、あることを打ち出しているケースがあります。
それは何か?見ていきます!

特集:健康ビジネス・マーケティング&収益化編

自社商品サービスが選ばれる!メソッドの活用

商品やサービスが完成したら販売となるわけですが、実際に販売してみると、
「思ったように売れない!」
なんてことはよく起きます。
特に認知度の低いプロジェクトなどは、この段階で苦労するケースが多く見られます。

今回は、競合他社ではなく、自社の商品サービスを選びやすくする考え方について共有していきます。

市場選びがカギ

新しい商品やサービスを販売してみて、なかなか売れないと感じたときにやることの代表的なものが、法人市場(自治体や医療機関含む)への販売に切り替えることです。

どんなに健康効果があるものでも、一人ひとり売っていくのは効率が悪いものです。
できることならまとめて販売できたら、その方が何倍も楽に感じます。
法人市場なら1社に採用されれば、数百人から数千人に利用される可能性があります。

こんな感じで、とてもおいしい話に見えます。
では、そのように考えた企業が思ったように業績を伸ばしているかと言えば、残念ながらそう簡単にはいかないのが実態です。

まず、市場価格が違います。
ものによりますが、仮にコンシューマ向け商材として1万円を想定していたとしても、大量購入されるために半値程度に下げる必要があります。
例え、どれだけ1万円の価値があったとしても、お客さんは競合他社と比べて、市場価格に合っていなければ購入ができないのが実態です。

他にも課題があります。
個人の健康課題を解決する商品やサービスであれば、個人の健康課題を解決してあげれば成果となりますが、法人市場ではそれだけでは成果としては足りない場合があります。

従業員個人の健康課題を解決することで、健康経営としての効果はどうか?企業全体の医療費削減効果は?など、プラスαの効果まで評価することを求められたりします。

これらの要望に対応していては、一気に1,000人分購入されてもコストがまったく合わない可能性があります。

市場選びは、
「自社が得たい利益が得られる市場」
であることを確認した上で、参入のために必要なことは何かを考えていく必要があります。

販売代理店を動かすには

まだアプローチ先が少ない段階だと、
「お客さんとの接点を持っている人に代わりに売って欲しい!」
と考えることがあります。

所謂“販売代理店”です。

代わりに売ってくれる人(販売代理店)がいれば、商品やサービスの提供に集中できるので、気分的にもかなり楽できます。

では、どうしたら販売代理店が見つかるでしょうか?
ご自身が販売代理店の立場だったらどうするか?を考えるとすぐにわかります。

あなたが販売代理店だったらどんな商材を扱いたいでしょうか?
売れるかどうかわからないものではなく、より確実に売れるものを扱いたいと思いませんか?

お客さんのところに持っていき、まったく認知されていないものを1時間も2時間も説明しても理解してもらえるかわからないものより、見せただけで
「あの話題の商品ですね!」
と言われるものの方が断然売りやすいものです。

もし販売代理店に取り扱って欲しければ、しかも棚に並べて終わりではなく率先して売ってもらうためには、まずはご自身が売って見せて、販売代理店が取り扱いたいと思えるようにしなければならないのです。

ここまでの話だと、
「なんだよ、けっきょく地道に売らないとダメなのかよ!」
と、読んだことを後悔するかもしれませんね(苦笑)

ご安心ください!
ちゃんと対策もお伝えします!!

商品サービスの魅力を引き出す「メソッド」

基本的な話になりますが、ヘルスケアビジネスとは“顧客の健康課題を解決すること”になります。
健康課題を解決する方法を、より楽に、確実に、無理なく実行するために商品やサービスが必要になります。

ここで気をつけないといけないのが、
「提供する商品やサービスがあるから、健康課題が解決するわけではない」
ということです。

繰り返しになりますが、「健康課題を解決する方法を、より楽に、確実に、無理なく実行するために商品やサービスがある」のです。
例えば、頭痛を和らげる成分を摂取する(方法)ために、薬やサプリという商品があるのです。

健康課題を解決したいお客さんが欲しいのは、解決する方法です。
その課題を解決したい緊急性や価値によって、お金を(いくらで)払うべきかが決まります。

例えば、先ほどの頭痛を和らげる成分が、標高1,000メートル以上の山頂にしか生息していない植物が必要だとした場合、自分で取りに行くことも選択肢の1つです。

でも、現在頭痛がするなら、山登りしている余裕はないでしょう(緊急性)。
その薬が5,000円したとしても、山まで行く交通費や登山道具を揃える費用に比べたら安いでしょう(価値)。

このように人は、健康課題を解決するために商品やサービスから選ぶのではなく、解決する方法(=メソッド)から選び、それから無料のやり方か、有料のやり方(さらにバリエーションから)かを選びます。

この流れになっていないものも多くあるように感じるかもしれませんが、その多くは方法(=メソッド)がすでにわかっているためです。

例えば、頭痛を治すには頭痛薬を飲めば解決することは、多くの人が経験上わかっています。
すでに生活上の文化になっているわけです。
そこまでなっていれば、頭痛になったときにわざわざ頭痛の治し方から探したりはしないでしょう。

ですので、あなたの扱う商品やサービスの解決方法(=メソッド)が文化になっているなら、商品やサービスの他との差を示せばよいでしょう。

でも、解決方法(=メソッド)が複数ある場合や、新しい解決方法(=メソッド)の場合は、まずは「メソッド」を示すことが大切になります。

この「メソッド」、実は多くの成功してきたヘルスケア企業が持っており、特に急成長したときには明確に示しています。

米国で60年以上もダイエットサービスの上位にいるWeightWachers社や、代替食品で売上を伸ばし続けてきたMedifast社などは、急成長したときには独自のメソッドを打ち出していました。
(内容が気になる方は、ヘルスビズウォッチの過去記事で検索を!)

「メソッド」自体は魅力的(自分でもこれなら健康課題が解決しそうと思える)で、努力すれば無料でもできるものだが、商品やサービスを使えば、簡単、確実に結果につながると思えることが大切です。

そしてもう一つ、もしその「メソッド」が今までにないようなやり方であれば、必ずやって欲しいことがあります。

それは「ネーミング」です。

説明だけだとわかりにくくても、名前が付くだけで、人はイメージしやすくなります。

もし、ご自身が提供する「メソッド」が複雑な仕組みになっていたら、試しに名前をつけて、さも当たり前のように説明してみてください。
今までと理解のされ方が変わるはずです。



今回は、まだ認知の少ない自社商品サービスが選ばれるヒントをお伝えしました。
これで最初の難関を越えられれば、市場選びで間違った失敗を避けたり、販売協力者を集めることにもつながります。
「メソッド」および「ネーミング」、試してみてください。

健康ビジネスキーワード

「プロジェクトにおける代謝とウェルビーイング」

プロジェクト活動の中に関わるメンバーのウェルビーイングに寄与するアクティビティや仕組みを実装していくべきだということをHealth Biz Watchでは提案しています。

様々な思考・行動によるプロジェクト活動で起こる科学反応からの合成や分解がプロジェクト代謝です。
この代謝によってプロジェクト活動(生命)が維持されています。
そのためにはエネルギーが必須で、何を摂取するかで代謝の品質も決まりますが、ウェルビーイング栄養の摂取をプロジェクト全体で考え実践していく、プロジェクトウェルビーイングというアプローチは今後注目です。

今週の注目記事クリップ

[1]日清食品、「食」と「ウェルビーイング」の関係性を明らかにする世界初の研究調査「Recipes for Wellbeing Report」を発表
https://www.nissin.com/jp/news/11980
『食事に満足している人は、満足していない人に比べて、「ウェルビーイング」を実感する可能性が1.62倍高い』『「食」は「収入」と同様に「ウェルビーイング」を構成する重要な要素である』ことなどが明らかに。(2023/10/18)

+++★追加解説動画:6分56秒(編集主幹 大川耕平)★+++
Food wellbeing indexがフードTECHを引っ張る時代へ
https://youtu.be/2C_J09mW4qg

[2]あすけん、筋トレ層が支持する「プロテイン」商品ランキングを発表
https://www.asken.inc/news/2023/11/1
あす筋ボディメイクコースの利用者が摂っている「プロテイン」ランキングTOP5、第1位はザバス『ホエイプロテイン 100 リッチショコラ味』。(2023/11/01)

[3]博報堂 Woman Wellness ProgramとTBWA HAKUHODO、共同実施による「更年期に関する生活者意識調査ソーシャルリスニングレポート」を公開
https://www.hakuhodo.co.jp/news/info/106541/
本調査では、更年期に関する話題は年々増加傾向にあることや、根本治療にとどまらず、生活面やメンタル面でも女性たちをサポートする商品・サービスの拡大が求められていることが明らかになりました。(2023/11/01)

[4]ウエルシア薬局・CCCMKホールディングス・ライフログテクノロジー、ウエルシア薬局でデジタル×リアルの栄養相談サービスがスタート
https://www.calomeal.com/pressrelease/20231101.html
「Tヘルスケア」アプリと「カロミルアドバイス」を活用した対面カウンセリングで地域の健康増進をサポート。(2023/11/01)

[5]サーモス、冷え・冷え性に関する調査【PDF】
https://www.thermos.jp/info/pdf/20231101101015.pdf
https://www.thermos.jp/
20代以上の男女1,212名を対象に調査を実施。11月から冷えを感じる人が急増(47%)。30-50代女性の70%が「自身が冷え性だと自覚」、20代男性も50%が冷え性を自覚、など。(2023/11/01)

[6]小林製薬×オリオンビール、「生活習慣改善プログラム(血糖値対策)」実証実験結果を発表
https://www.kobayashi.co.jp/newsrelease/2023/20231101/
本プロジェクトは、血糖値が気になるオリオンビール従業員が適度な運動や休肝日設定など生活習慣の改善に取り組みながら、血糖値対策サプリメント「サラシア100」を6ヶ月間摂取し被験者の健康状態や意識・行動変容の様子を確認する実証実験。(2023/11/01)

[7]矢野経済研究所、ヘアケア市場に関する調査を実施(2023年)
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3381
2022年度はコロナ禍における行動制限緩和等による経済活動の回復傾向を背景に、毛髪業市場や植毛市場、ヘアケア剤市場が好調に推移。2022年度のヘアケア市場規模(4分野計)は、前年度比103.5%の5,166億円。(2023/11/01)

[8]日本医療政策機構、政策提言:「患者・市民・地域が参画し、協働する肥満症対策に向けた6つの提言」
https://hgpi.org/events/ncd-ob-20231101.html
提言1:医療的介入が必要な肥満症の定義を広く社会に浸透させ、介入が必要な当事者を同定するとともに、引き続き科学的根拠に基づく各種ガイドラインを整備していく必要がある、など。(2023/11/01)

[9]グローバルニュートリショングループ、世界初、「食」と「ウェルビーイング」の関係性を明らかにする研究調査を発表、ほか
https://global-nutrition.co.jp/gngnl/gng-newsletter-20231101/
GNGニューズレター11月1日号。この記事では、会員向けニューズレターの一部を抜粋してご紹介させていただきます。(2023/11/01)

[10]アップウェル、機能性表示食品「ラクト眠活」販売開始!
https://upwell-japan.co.jp/blogs/news/20231101
起床時の眠気や疲労、腸内環境が気になる方に嬉しい2つの機能性。高機能たんぱく質「ラクトフェリン」を日々の生活に。(2023/11/01)

[11]パナソニック、「普段肩がこる」73%、さらに「寒い季節のほうが肩がこると感じる」61%
https://panasonic.jp/topics/2023/11/000000833.html
寒い時期に食べたくなる「辛い料理」と「肩こり」の意外な関係を漢方&薬膳アドバイザーが解説!“からだを温める血行促進レシピ”3選も紹介。(2023/11/02)

[12]東北大学、カテキン×フッ化物でむし歯の予防効果アップ!口腔細菌がつくり出す「酸」を効率良く抑制するための方法を発見
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2023/11/press20231102-02-catechin.html
緑茶由来カテキンには細菌の酸の産生を抑える働きがありますが、フッ化物を併用することで、その働きがさらに強くなることが分かりました。カテキンとフッ化物の相乗作用を利用した新しいむし歯予防法を提案します。(2023/11/02)

[13]経済産業省、ビジネスケアラー支援に向けて「企業経営と介護両立支援に関する検討会」を開催します
https://www.meti.go.jp/press/2023/11/20231106001/20231106001.html
仕事と介護の両立支援に先進的な企業にとどまらず、より幅広い企業が両立支援に取り組むことを促すため、企業が取り組むべきことを具体的にまとめたガイドラインの策定や政府における支援策の在り方について、検討を行う。(2023/11/06)

[14]げんきな免疫プロジェクト、感染症流行が気になる時期に、免疫についての正しい知識や健康習慣が身につく「全国統一 免疫対策テスト」開始(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000132061.html
インフルエンザが例年より早く流行している今、免疫対策の正しい知識や健康習慣を身につけられるテスト。本テスト内容は「公益財団法人 日本ヘルスケア協会」が監修。(2023/11/06)

[15]日本母乳バンク協会、日本の母乳バンク設立第一人者の挑戦!「母乳バンク」で極低出生体重児の命をつなぐプロジェクト(CLOUD PRESS ROOMより)
https://lp.press-room.cloud/presskit/company/pressRelease/detail?pressReleaseId=6811
大切な“薬”であり“非常食”であるドナーミルクで年間5,000人の命を救いたい!より効率よく安全・安心なドナーミルクをより多くの赤ちゃんに提供するため、「CAMPFIRE」にてクラウドファンディングを実施中。(2023/11/06)

[16]ティップネス、企業向け「デジタル疲れ対策プログラム」提供スタート【PDF】
https://www.tipness.co.jp/cms-data/pdf/%E4%BC%81%E6%A5%AD%E5%90%91%E3%81%91%E3%80%8C%E3%83%87%E3%82%B8%E3%82%BF%E3%83%AB%E7%96%B2%E3%82%8C%E5%AF%BE%E7%AD%96%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%A0%E3%80%8D%E6%8F%90%E4%BE%9B%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%88.pdf
https://www.tipness.co.jp/
従業員の健康増進に取り組む企業に向けて、PCやスマホなどのデジタル端末による心身の疲れ(ビジュアル・ディスプレイ・ターミナルを使った長時間の作業により、目や身体や心に影響の出る症状「VDT症候群」)の予防改善を促す新プログラム。(2023/11/07)

[17]大幸薬品、11月7日はいいおなかの日「おならとお腹に関する調査」を実施
https://www.seirogan.co.jp/info-corporate/20231107/
全国の40代-50代の女性1,032名を対象に調査を実施。多くの人になじみのある「おなら」の悩みと同程度に、「お腹のハリ」に悩みを抱える人が多いことが明らかに。(2023/11/07)

[18]日本システム技術、メディカルビッグデータ「REZULT」を活用した適応障害に関する調査レポートを公開
https://www.jast.jp/news/20122/
2018-2022年の適応障害患者数を年別に算出、5年間で患者数は約1.7倍にまで増加していることが見られます。次に年代別(9歳以下、10代、20代、30代、40代、50代)で患者数を算出、20代が最も多い結果に。(2023/11/07)

[19]調査:コスト管理とメンタルヘルスは雇用主の健康上の最優先事項
https://mhealthwatch.jp/column/news20231107
今後3年間の健康と福祉に関する最優先事項を尋ねたところ、雇用主の69%が保健衛生計画の費用と予算の管理を挙げ、63%がメンタルヘルスプログラムの強化を挙げた。(2023/11/07)

[20]『mHealth Watch』注目ニュース:ハルメク、シニア女性の健康に関する意識と実態調査
https://mhealthwatch.jp/japan/news20231113-2
今回注目するのは、雑誌「ハルメク」が調査した50-79歳の女性を対象にした「健康に関する調査」結果についてです。健康に関する価値観は「一生自分の足で歩きたい」「ボケたくない」が高い一方、「長生きしたい」と考える人はわずか7.4%。(2023/11/13)



+++★デジタルヘルス解説動画(オーサー 渡辺武友)★+++

【デジタルヘルス・ビジネスの疑問解消!】
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第28回 DTxのAkili、第3四半期収益が増加(7分21秒)
https://youtu.be/1aCTBeAebUg