HealthBizWatch Authorの大川耕平です。
来年は、今年よりもっとウェルビーイング・ビジネスが活性化するはずです。
我々も楽しみにしております。

特集: ウェルビーイング・アイテム研究編

2024年ウェルビーイング・アイテム予測

2023年に注目すべきウェルビーイング・アイテムとして

・ウェルビーイング・ネイティブ
・ジモッチGYM&1平米フィットネス
・睡眠品質ソリューション
・腸活と脳
・フードTECH
・ウェルビーイング・ポートフォリオ

を挙げ、その後の動きを1年かけて追いました。

このコラムでも前後しますが、
11月には睡眠、1月にウェルビーイング・ネイティブ、2月にジモッチGYM&1平米フィットネスを噛み砕いた時空を超えたFit-timingというコンセプトを紹介し、4月に腸に関してレポートしました。

2024年もこの6つのアイテム周辺の動向は間違いなくウェルビーイング全体の中でも核となるものと我々は捉えているので順次追求分析していきます。

そこで今回は、2023年に読み取れた2024年以降にきっと明らかなトレンドのドライバーとなる2つのコンセプトを共有します。

1)Food Well-being Index (フード・ウェルビーイング・インデックス)
2)アプリ・モニタリング価値のプロセスシフト

コンセプトの特徴と今後

これから説明していく2つのコンセプトに言えることなのですが、一つ一つがその分野のエキスの原液と捉えてください。
そして、その原液は6つの分野のアイテムや、ウェルビーイングに関わるあらゆる分野に溶け込んでいき、それでもしっかり威力を発揮していく。
2つの原液が同時に一つのアイテムに混ざり合うこともあるはずです。


1)Food Well-being Index (フード・ウェルビーイング・インデックス)

これは11月17日配信のNEWSクリップ号の動画解説でも紹介したものです。

Food wellbeing indexがフードTECHを引っ張る時代へ(6分56秒)
https://youtu.be/2C_J09mW4qg

グローバル展開している世論調査会社GALLUP社と日清食品が世界初の研究調査「Recipes for Wellbeing Report」を発表したのですが、その結果、食事に満足している人のウェルビーイングも良好であるということが証明されました。

そこで使われた設問はこの3つであり、これをFood Well-being Indexとしました。

  • 食を楽しめているか?
  • 自身が食べたものは健康的だったと捉えているか?
  • 食事の種類に幅広い選択肢があると感じているか?

この3つの視点を満たすプロダクト&サービスをデザインすることが、まず食品・飲食業界でウェルビーイングを目指す際のスタンダードになっていくと我々は考えています。

  • 楽しめているか?(美味しい、嬉しい)
  • 健康的だったか?(効能の理解とその自覚)
  • 幅広い選択肢があるか?(自分が主体として働きかける対象の多さ)

この3つは、さまざまな局面に適応できるフレームでもあると思います。

食と連動するウェルビーイング・アイテムはあるだけに注力すべきコンセプトです。
この3項目で自社の商品・サービスがどの様になっているかチェックしてみてはいかがでしょうか?
競合・ベンチマーク先との比較からも多くの切り口の発見ができそうです。


2)アプリ・モニタリング価値のプロセスシフト

自分のコンディションを管理するためにアプリ(デバイス)で自分の身体のデータをモニタリングしている生活者は、スマートフォンなどのデバイスやユニークなアプリの登場によって増えていると思われます。

デバイスやスマートフォンアプリのセンサー機能を用いた計測によって、それ以前には入手に負荷がかかるデータ入手(計測)が容易になりました。

  • 歩数
  • 運動量
  • 運動強度
  • 呼吸数
  • 心拍数
  • 心拍変動
  • 血圧
  • 体温
  • 概日リズム(体内時計)
  • 睡眠品質 etc

目的行動の結果どうなったか?を計測することが健康管理の基本でした。
それは定期的に行われる健康診断がその代表例です。
個人レベルでは家庭で計測する体重体組成計、血圧計などです。

今までのアプリ・モニタリングは、結果の良し悪しが判明してから何かの行動を起こすという行動の流れでした。
検査結果からのソリューションであり、健康診断的なことが細かく気軽にできるという便利な使い方がほとんどです。

11月10日配信のNEWSクリップ号の動画解説で「体内時計」計測を可能にするデバイスの紹介をしました。

モニタリング&ソリューションがヘルスケアTECHの中心へ(5分53秒)
https://youtu.be/-_eO7JRrqC8

これは継続モニタリング、つまりプロセスモニタリングからコンディショニングを整えるための有益な情報フィードバックが可能になるというものでした。

それは、結果からプロセスへの価値創造ゾーンのシフト現象が起き始めていると言えないでしょうか?

プロセスでのデータを解析し、自分流の正しい行動タイミングを知ることにつながるソリューションサービスが始まると我々は予測しています。
セルフモニタリング領域での利用者パフォーマンスが今までとは違うレベルへ成長が始まるというイメージです。

本当の意味での予防へどんどん近づいていくのではないでしょうか。

2つのコンセプトをドライブするものは?

この2つに共通することは、その価値理解のためにそれを享受する生活者側のリテラシーもレベルアップが必要になるということです。

ヘルスケアサービスでも顧客教育や啓発の重要性は、そのビジネスのスケールと無関係ではないことが再三確認されていて、国内企業でも教育・啓発への理解度・注力度による差がとても大きいことはご存知と思います。

2つの新たなコンセプトをドライブするキーはeducare(エデュケア)アプローチになると思います。
これはエデュケーション(教育)とケアの造語でHealthBizWatchでも過去何度か紹介してきているキーワードですが、顧客のジャーニー・プロセスにおける課題に対して丁寧に応対をしていく積み上げです。
予め用意してコンテンツがどう解釈されているかまで把握しないとeducareは成立しません。

テクノロジーの進化によってわかることがどんどん増えていく中で、その価値の享受主体である生活者にどう理解、納得、活用してもらい満足してもらうかという視点がとても重要になります。

educare技術を磨くことができるプレイヤーが顧客基盤を広げていくと予測しています。

2つの注目コンセプトと併せて2024年からのムーブメントをこのビジネスコラムでも観察分析していくことにします。
2024年もウェルビーイング・アイテム研究を楽しんでください。


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ディスカッションも大歓迎です!
https://healthbizwatch.com/consultation?athr=12
 

健康ビジネスキーワード

「顧客変化」

ヘルスケアやウェルビーイング事業は、顧客の成功を願い、導き、サポートすることがテーマであり、それは顧客の変化が成果と言えます。
顧客変化にはどのようなプロダクトやサービスであろうとほぼ同一のフレームがあります。

未知から既知へ
無関心から関心へ
関心から興味へ
興味から選択へ
選択から行動へ
初期行動から継続へ
継続から卒業へ
卒業から再会へ

極端な言い方をすると、ビジネスの継続とは顧客関係性の継続とイコールだと思うのです。
貴方の提供プロダクト&サービスはどの顧客変化プロセスに課題がありますか?

今週の注目記事クリップ

+++★注目ニュース解説動画(解説:里見将史)★+++

【今回の注目】

エステー、「睡眠習慣やリズム」に関する実態調査(2023/11/30)
https://www.st-c.co.jp/news/newsrelease/2023/20231120_001994.html

→解説はコチラ
「エステーの睡眠に関する実態調査からみる睡眠サービスの難しさ(10分57秒)」

https://youtu.be/LcWFPnAedM8



+++★注目記事クリップ★+++

[1]FiNC Technologies、花王が提供するサービス「肌レコ」とのタイアップで実施した体験レポートを公開
https://company.finc.com/news/16153
今回、肌レコの特長や本サービスを立ち上げに至るまでのストーリーやエピソード等、花王 肌レコ担当者からのお話や、美容に精通したFiNCのアンバサダーが実際に肌レコを4週間試した体験レポートを公開いたします。(2023/11/22)

[2]ヤクルト本社、不調やストレスと睡眠の健康意識調査を実施
https://www.yakult.co.jp/company/news/article.php?num=1642
全国の10代-60代の男女8,400人を対象に季節の変わり目の「不調」と「ストレス」、さらには不調やストレスと「睡眠」との関係について調査。不調を感じる人はストレスも感じやすく、ストレスを感じる人ほど睡眠悩みも増える傾向。(2023/11/22)

[3]ファンケル、現代女性の鉄分に関する意識調査で判明!20代から40代は貧血や隠れ貧血に気付かず体調不良に悩んでいる可能性が
https://www.fancl.jp/news/20230103/news_20230103.html
国内の18歳から69歳までの女性1,000人を対象に「貧血や鉄分不足に関する調査」を実施。体調不良の原因の一つに鉄分不足が由来していると考えられるものの、貧血の対策をしている方の割合は低いということが示唆された。(2023/11/22)

[4]青山商事、ビジネスシーンでの正しい姿勢をサポートする「コンプレッションインナー」に新色ベージュが登場【PDF】
https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS00098/3f438808/82c5/45ed/b583/9284edcef510/20231121175559211s.pdf
https://www.aoyama-syouji.co.jp/
正しい姿勢を保つことは、首や肩、腰の負担を軽減するなど健康面にも大きな影響を与えるとともに、長時間の作業も疲れにくくなり、作業効率も上がるなどの効果が期待できます。(2023/11/22)

[5]ルネサンス、大阪国際がんセンター認定 がん専門運動指導士によるがん経験者専用「がん運動支援プラン」をスポーツクラブで提供開始
https://www.s-renaissance.co.jp/news/detail/?did=2055&&t=1
「がん運動支援プラン」を開始することにより、がんサバイバーの方が退院後も身近な場所で、運動を通じたQOLの維持・向上に取り組める環境をつくり、より豊かな人生を送ることができる社会の実現を目指してまいります。(2023/11/22)

[6]エムティーアイ、『ルナルナ』アプリの累計ダウンロード数2,000万突破を記念して「ありがとうキャンペーン」を実施
https://www.mti.co.jp/?p=34287
2000年にガラケーのサービスとしてスタートした『ルナルナ』は、生理日管理をはじめ、妊活・妊娠・出産から、ピルの服薬支援や医療機関の受診サポートまで、女性のライフステージの変化に合わせ進化してきました。(2023/11/24)

[7]キリンホールディングスと花王、共同研究で内臓脂肪と免疫活性に関する日本初の発見
https://www.kirinholdings.com/jp/newsroom/release/2023/1124_01.html
内臓脂肪が多いとpDC活性が低いこと、内臓脂肪が多くpDC活性が低い人は新型コロナウイルス感染症・インフルエンザの罹患リスクが高いことを日本で初めて確認。(2023/11/24)

[8]楽天生命、健康を楽しむ医療保険「ウェルスマイル」を発売
https://corp.rakuten.co.jp/news/press/2023/1124_01.html
本商品の最大の特徴は、健康診断の結果に応じて1年分の保険料の最大20%の「楽天ポイント」が還付される仕組み(健康還付)。健康還付は毎年1回受けられます。(2023/11/24)

[9]富士経済、調査レポート:デジタルセラピューティクスの市場浸透の実態と今後の市場展望
https://www.fuji-keizai.co.jp/report/detail.html?code=162308709
CureAppの「ニコチン依存症治療アプリ(CureApp SC)」「高血圧治療補助アプリ(CureApp HT)」及びサスメドの「不眠症アプリ」を調査対象としたドクター調査。(2023/11/24)

[10]キリンホールディングス、「キリン iMUSE(イミューズ)免疫ケア・ヘルシア内臓脂肪ダウン」を新発売
https://www.kirinholdings.com/jp/newsroom/release/2023/1127_01.html
日本初の免疫ケアブランド「キリンiMUSE」と、花王の日本初の体脂肪ケア飲料ブランド「ヘルシア」がコラボした、ダブルケアの機能性表示食品。(2023/11/27)

[11]大正製薬、日本初の内臓脂肪減少薬「アライ」ブランドサイト オープン!
https://www.taisho.co.jp/company/news/2023/20231127001440.html
「アライ」は、ダイレクトOTCとして承認された要指導医薬品のため、薬剤師がいる薬局・薬店のみで購入できる製品で、ご購入に際しては一定の条件を満たしていることが必要となります。(2023/11/27)

[12]ライザップ、RIZAPボディメイクグランプリ2023開催報告
https://www.rizapgroup.com/news/information/rizap%e3%83%9c%e3%83%87%e3%82%a3%e3%83%a1%e3%82%a4%e3%82%af%e3%82%b0%e3%83%a9%e3%83%b3%e3%83%97%e3%83%aa2023%e9%96%8b%e5%82%ac%e5%a0%b1%e5%91%8a/
2015年に第1回を開催し、今年で第9回目となる本大会。約700名のエントリーの中から厳正な審査の上、選ばれた「RISE UP部門」「CHANGE部門」「MODEL部門」「ART部門」、各部門の受賞者を発表。(2023/11/27)

[13]Flowverse、公認心理師監修のVR心理療法 学会で不安・うつ症状改善の成果を発表
https://flowverse.jp/news/conferencepresentation/
Flowverseが独自に開発したVR心理療法「VRリラクゼーション(R)」の最新研究報告。「VRリラクゼーション(R)」は、VR空間で世界各地の絶景に入り込み、心理療法「ヒプノセラピー」を受けることができるVR心理療法。(2023/11/27)

[14]厚生労働省、自然に健康になれる持続可能な食環境づくり
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/syokuji_kijyun_00005.html
本イニシアチブに参画いただける事業者(食品製造、食品流通、メディアをはじめ多様な業種)を事業者の地域、規模等を問わず募集いたします。2023年度第3回参画募集期間は、2023年12月22日(金)-2024年2月9日(金)。(2023/11/28)

[15]ヘルスアンドライツ、PMSの対策アプリ「ケアミー」の利用者数が60万人を突破
https://healthandrights.jp/news-31/
ケアミーは、生理前に体や心に不調が起こるPMSの対策に特化した、産婦人科医監修のアプリ。利用者の過去のデータをもとに、PMSによる不調を分析・予測します。(2023/11/28)

[16]日本計画研究所、厚生労働省:AI開発・利活用促進及びSaMD(プログラム医療機器)その実用化促進に向けた行政の取り組み
https://www.jpi.co.jp/seminar/16781
開催日は2023年12月21日(木)。ChatGPTなど生成AIの登場による政府全体の環境激変とデータ利活用に関する課題と取り組みなども含めて、現況について詳説。

[17]日本計画研究所、経済産業省のヘルスケア産業政策とPHR利活用に向けた施策について
https://www.jpi.co.jp/seminar/16771
開催日は2024年1月29日(月)。本講演ではヘルスケア産業課における政策の全体概要を紹介した上で、PHR(Personal Health Record)の利活用に向けた施策や、その他関連施策を紹介します。

[18]RX Japan、第7回 美容・健康食品 EXPO
https://www.cosme-week.jp/tokyo/ja-jp/visit/inb.html?co=week_top
会期は2024年1月17日(水)-19日(金)。通称 インナービューティEXPO。サプリ、美容ドリンク・フードなどのOEM・完成品が集結する展示会。

[19]Best Buy Health、在宅ケアでMass General Brighamと提携
https://mhealthwatch.jp/global/news20231122-2
Best Buy HealthとMass General Brighamは、ホーム・ホスピタルとホーム・ケアの両事業を支援するため、患者と医療チーム向けのテクノロジーと臨床専門知識を駆使したカスタマイズツールを開発する。(2023/11/22)

[20]『mHealth Watch』注目ニュース:Sunnyside、健康的な飲酒習慣を築く支援のために1,150万ドルを確保
https://mhealthwatch.jp/global/news20231204
今回取り上げたSunnysideがアプローチするのは、アルコール依存症および予備群に向けたサービスとなりますので、そのまま国内市場に導入するものとは違うかもしれませんが、Sunnysideが取り組む視点「禁酒ではなく減らす」は重要と考えます。(2023/12/04)



+++★デジタルヘルス解説動画(解説:渡辺武友)★+++

【デジタルヘルス・ビジネスの疑問解消!】
デジタルヘルスのビジネスに関わる人に役立つ情報をお届けします。

第31回 AmazonもWalgreensも強化する顧客接点(4分44秒)
https://youtu.be/EhMIJyH3QM4