こんにちは、渡辺武友です。
国内外のデジタルヘルス・ニュースをクリッピングするmHealth Watchでは、今年後半も平日毎日更新でお届けしてきました。
そんな中から「顧客心理」「テクノロジー」をテーマに深読みしていきます!

特集:健康ビジネス・マーケティング&収益化編

デジタルヘルスにおける「顧客心理」「テクノロジー」の動向

時代と共に、我々ヘルスケア領域でも変化が起きています。

例えば、「顧客心理」です。
今まで響いていたメッセージ、アプローチでは反応しなくなっていることがあります。

デジタルヘルスとして注意しなければいけないのが、「テクノロジー」に対する提供者と利用者の視点の違いです。
提供者が価値と思うことが、利用者にとっての価値とは限りません。

今回は、今年後半のmHealth Watchで取り上げた「注目ニュース」から、「顧客心理」「テクノロジー」の今を見ていきます。

「顧客心理」の変化

・ウーマンズラボ、企業が発信する情報への信頼度は?(7月31日掲載)
https://mhealthwatch.jp/japan/news20230731

今は誰でもが情報発信できるようになり、その情報を見る方も以前よりシビアに評価しているようです。

以前は芸能人、ヘルスケアにおいては専門家からの発信が信頼度を高める上では効果的と思われてきましたが、アンケート結果からは、それも大きな効果にはつながらないようです。

信頼度が圧倒的に高いのは「友人・知人・家族」であることからも、マーケティング戦略において、どのように「友人・知人・家族」もしくは近い存在を巻き込むかがポイントとなります。

法人向けであれば、会社(や健康保険組合)から情報が届くのは当然として、どう同じ会社の仲間から届くかまで設計することで適切なマーケティング展開ができることになります。


・日本リカバリー協会、健康投資意識2023(9月4日掲載)
https://mhealthwatch.jp/japan/news20230904

健康に関する「時間」「お金」を一番投資するのは誰(年代)でしょうか?

今までは何となくのイメージとして高齢者の方が高いように感じていましたが、調査結果としては20代が一番高いことがわかりました。

以前と比べて、20代の中に「健康予防の必要性」が情報として届きやすくなってきたためだと考えられます。

では高齢者が「健康」に興味を失ってきたのかというと、そんなことはないでしょう。
漠然とした「健康」ではなく、具体的な痛みや願望に注力して行動している方は一定数います。
その一定数を獲得することで、成長したヘルスケアビジネスはいくつも登場してきました。

情報過多の現在、今、メッセージとして誰に何を伝えるべきか?
自社のメッセージだけでなく、競合の取り組みもしっかりと分析していく必要があるでしょう。

「テクノロジー」の変化

・Best Buy Health、パートナーシップの形成とヘルスケアにおける立場(7月24日掲載)
https://mhealthwatch.jp/global/news20230724-2

在宅医療サービスが拡大しています。
米国でも高齢化が進んでいるため、在宅医療は需要が増加し、Best Buyのような家電量販店が乗り出すほど大きな市場になってきています。

現在の在宅医療において必要なことが「データ連携」です。
症状を観察するだけでなく、データから次に何が必要かを導き出します。
必要なものは医療だけではありません。日用品や娯楽だって対象になり得ます。

現在、ドラッグストアや家電量販店が在宅医療に進出しているのは、医療を超えたビジネスが期待できるためと言えるでしょう。

このようなビジネス展開で重要となるのがデータと、そのデータ活用を行うための基盤となるPHR(パーソナルヘルスレコード)です。
PHRがあるからうまくいくではなく、PHRをうまく活用できているものが伸びています。


・Google、AIを活用したデジタルヘルスプロジェクトへの投資資金を発表(9月25日掲載)
https://mhealthwatch.jp/global/news20230925

Googleは長年、医療におけるAI活用に取り組んでいます。
Googleが大規模言語モデル(LLM)を使って開発した「Med-PaLM 2」の試験運用として、一部の顧客に開放することも発表しました。

ChatGPTの登場により、一般ユーザーへのAI利用が進んではいますが、医療現場の方が導入実績としては遥かに多いと言えます。

ヘルスケアビジネスにおいてAIを活用するなら、まずは先行する医療の中で、どのように活かされ、伸びているのかを知ることで、健康領域での展開のヒントを掴むことがビジネス活用への近道となるでしょう。

ニュースからの深読みで見えること

今年後半のmHealth Watchニュースから、「顧客心理」「テクノロジー」の変化について見てきました。

どちらも、今まで見えていたこと、当たり前と思っていたことと、少し違いがあったのではないでしょうか?

mHealth Watchでは、ヘルスケアビジネスにとって役立つ視点でニュースをピックアップしています。
気になる記事は、ぜひ深読みしてみてください。
ニュースをただの情報で終わらすのではなく、分析することで、皆さんのビジネスに活かすことができます。

経営者とわかりやすく共有したい!
ウェルビーイング・健康経営計画&運用のヒント

健康経営の計画作りから運用に関する情報を、経営者と関係者で共有することに苦慮されるケースが多数あります。

今回、社会的健康戦略研究所で健康経営を社会実装するために研究してきたツールを使い、同じ悩みを持つ参加企業担当者と改善策を共有するワークショップを開催します。

「経営者とわかりやすく共有したい!
ウェルビーイング・健康経営計画&運用のヒント」

日程:2024年2月22日(木)13:00-14:15
会場:東京ビッグサイト 東4ホール 第3会場
(ウェルビーイング エキスポ2024内イベント)
参加費:無料

講演&ワークショップ開催メンバー:
一般社団法人社会的健康戦略研究所
理事 佐藤光弘 氏(株式会社富士通ゼネラル)
理事 渡辺武友 (株式会社スポルツ)
研究員 大草祥一 氏(東芝健康保険組合)
研究員 宮崎公成 氏(YKK AP株式会社)
研究員 川上昌毅 氏(株式会社日立システムズ)
研究員 田中博典 氏(NECソリューションイノベータ株式会社)
※他、研究員多数参加予定

お申込みはこちらからお願いします。
https://www.informa-japan.com/csj/seminar/index.php?category=44#3-15

健康ビジネスキーワード

「学びと勉強」

この2つの言葉はビジネスの現場でも頻繁に使われているけど、ニュアンスが微妙に異なることを意識して使っている人はどれだけいるだろうか。
どちらもとても便利な言葉です。

勉強:強制的かつ受動的
学び:自主的かつ能動的

「勉強になりました、参考にします」
「学びを得ることができました、早速試してみます」

どちらにどのような印象を持つだろうか?

少なくとも「勉強になりました」派に行動を起こした人を見たことがない。
勉強には慣れているけど学んでいない、行動できない!から脱却しましょう。

今週の注目記事クリップ

+++★注目ニュース解説動画(解説:脇本和洋)★+++

【今回の注目】

ライザップ、RIZAPボディメイクグランプリ2023開催報告(2023/11/27)
https://www.rizapgroup.com/news/information/rizap%e3%83%9c%e3%83%87%e3%82%a3%e3%83%a1%e3%82%a4%e3%82%af%e3%82%b0%e3%83%a9%e3%83%b3%e3%83%97%e3%83%aa2023%e9%96%8b%e5%82%ac%e5%a0%b1%e5%91%8a/

→解説はコチラ
「ライザップ・ボディメイクグランプリにみるヘルスケアサービスの価値(7分15秒)」

https://youtu.be/f-FrYQlXrPM



+++★注目記事クリップ★+++

[1]大阪大学大学院医学系研究科、私が太りやすい理由 生理・病態・環境・ホルモン・遺伝子などの影響を一つの因子で説明!
https://www.med.osaka-u.ac.jp/activities/results/2023year/shimomura2023-12-4
本研究では、脂肪組織に発現するHSP47が体脂肪量を規定する重要な因子であることを明らかにしました。(2023/11/11)

[2]東京大学、世界保健機関 職場のメンタルヘルス対策ガイドライン 日本語版のご紹介
https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/articles/z0102_00374.html
日本における科学的根拠に基づく職場のメンタルヘルス対策のより一層の推進のために、本ガイドラインの今後の普及と活用を期待します。(2023/11/29)

[3]笹川スポーツ財団、散歩・ウォーキング推計実施人口4,981万人と過去最多【PDF】
https://www.ssf.or.jp/files/SSF_Release_20231129.pdf
https://www.ssf.or.jp/
2022年の散歩・ウォーキングの実施率は年1回以上が48.3%、週1回以上が36.8%とそれぞれ過去最高を記録した。(2023/11/29)

[4]クロス・マーケティング、基礎代謝に関する調査(2023年)
https://www.cross-m.co.jp/report/life/20231129bmr/
全国の20歳-69歳の男女を対象に調査を実施。基礎代謝の低下を感じるのは「痩せにくい」「冷えやすい」とき。代謝アップには「ウォーキング」と知っていても実施は少ない、など。(2023/11/29)

[5]FiNC Technologies、ヘルスケア/フィットネスアプリ「FiNC」が大幅リニューアル
https://company.finc.com/news/16160
新機能としてデジタルギフト等と交換できる「FiNCマイル」が登場。食事記録など健康行動を記録した回数で「行動健康ランク」が変動し、ランクに応じて交換できる商品が変わるシステムも新機能として追加。(2023/11/30)

[6]富士通とマッコーリー大学、ヒューマンセンシングと生成AIによるデジタルコーチングプラットフォームの産学連携拠点を設置
https://pr.fujitsu.com/jp/news/2023/11/30.html
本連携拠点では、マッコーリー大学のAIと富士通のヒューマンセンシングの技術知見をもとに、個人に最適な教育コンテンツを自動生成しスキル向上を支援するパーソナライズドデジタルコーチングのプラットフォームの研究開発を進めます。(2023/11/30)

[7]矢野経済研究所、フェムケア&フェムテック(消費財・サービス)市場に関する調査を実施(2023年)
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3375
2022年のフェムケア&フェムテック市場規模は、前年比107.8%の695億100万円。2023年も伸びの勢いは続く見込、更年期分野への注目が集まる。(2023/11/30)

[8]資料:第3回「健康づくりのための身体活動基準・指針の改訂に関する検討会」(保健指導リソースガイドより)
https://tokuteikenshin-hokensidou.jp/reference/2023/11/3-91.php
このたび厚生労働省は、2023年11月27に開催した、第3回「健康づくりのための身体活動基準・指針の改訂に関する検討会」の資料を公開しました(2023/11/30)

[9]issin、体重測定できるバスマット「スマートバスマット」がMakuake Of The Year 2023を受賞!(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000020.000103350.html
「スマートバスマット」は、2022年4月に「Makuake」で発表し、先行予約販売台数が3,000台を突破。2022年11月の正式販売開始から最新のユーザー数は20,000人を突破。12月6日(水)より第2弾プロジェクトも始動。(2023/12/01)

[10]味の素、「調理の楽しさ」「共食」とWell-beingとの関係を示した調査レポートを発表
https://www.ajinomoto.co.jp/company/jp/presscenter/press/detail/2023_12_01.html
米国調査会社のギャラップ社と連携して、142カ国で調査を実施。調理を楽しんだり、他の人と一緒に頻繁に食事をしたりすることは、主観的Well-beingに貢献することが世界規模で明らかとなりました。(2023/12/01)

[11]シンコキュウ、深呼吸誘発デバイス「シンコキュウ」 GUGEN2023で大賞受賞(PR TIMESより)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000130436.html
呼吸を通じて生産性とウェルネス向上を支える革新的なデバイスが、日本最大級のハードウェアコンテストで最優秀作品に選出。(2023/12/01)

[12]タニタ、「ももいろクローバーZ」とコラボした音声体組成計と3Dセンサー搭載歩数計を発売
https://www.tanita.co.jp/news/2023/1204/9879/
本商品は、「ももいろクローバーZ」がニッポン中の企業・団体・お店などを応援する」コラボレーション企画「NO RULE PARTNERSHIP」の一環として実施するもの。(2023/12/04)

[13]ノボ ノルディスク ファーマ、第3回47都道府県を対象とした「肥満」と「肥満症」に関する日本人9,400名の意識実態調査結果を発表【PDF】
https://www.novonordisk.co.jp/content/dam/nncorp/jp/ja/news/media/2023/12/23-38.pdf
https://www.novonordisk.co.jp/
体重を1週間に1回以上量るという人が過半数以上(56.6%)、1日1回以上量る人は34.3%。自身の体型が健康面から問題と感じる人が76.4%と4人に3人の割合、など。(2023/12/04)

[14]東京ウェルネスインパクトファンド、女性のウェルネス課題デザインマップを公開
https://capitalmedicaventures.com/8647ede0e170443389a2c0b64a6842f6?pvs=25
本マップは、女性のウェルネスにまつわる社会課題の構造を因果関係とともに可視化したもので、初期版としてリリース。今後さまざまなステークホルダーの方々や専門家の方々とともにブラッシュアップしていく予定。(2023/12/04)

[15]ONE COMPATH、ウォーキングアプリ「aruku&」 200万DL・導入企業200社を突破
https://onecompath.com/news/release/14393/
自治体の導入数は7県と24市区町村を合わせ、31自治体となりました。aruku&は2023年11月7日に7周年を迎え、着実にユーザー数を伸ばしながら多くの方に愛されるサービスへと成長しています。(2023/12/04)

[16]保健指導で健康管理アプリを活用 完璧さを求めず自分に合ったものを見つけることも大切 30%の利用でも効果(保健指導リソースガイドより)
https://tokuteikenshin-hokensidou.jp/news/2023/012708.php
減量をして肥満やメタボを解消するために、健康管理アプリを活用し、食事や運動などの改善に取り組むのは効果的であることが、米国のコネチカット大学による研究で示された。(2023/12/04)

[17]座りっぱなしの時間が長いと女性の子宮筋腫のリスクが2倍に上昇(保健指導リソースガイドより)
https://tokuteikenshin-hokensidou.jp/news/2023/012707.php
1日に座ったまま過ごす時間が、余暇に6時間以上あり、運動不足の女性は、子宮筋腫の発症リスクが2倍に上昇することが、30歳-55歳の女性を対象とした中国の大規模な調査で明らかになった。(2023/12/04)

[18]理化学研究所と東京大学、若いうちこそ「腹八分目」ー若齢期のみのアミノ酸摂取制限により寿命延長が可能ー
https://www.riken.jp/press/2023/20231205_1/
食餌(食事)制限による寿命延長効果が加齢によって弱まることを、ショウジョウバエを用いた研究で明らかにしました。本研究成果は、健康長寿に向けた栄養介入法の構築・改良に貢献すると期待できます。(2023/12/05)

[19]『mHealth Watch』注目ニュース:『ルナルナ』アプリの累計ダウンロード数2,000万突破「ありがとうキャンペーン」を実施
https://mhealthwatch.jp/japan/news20231211-2
ヘルスケアサービスの成功事例の代表格として以前から『ルナルナ』はウォッチしています。今回のニュースの中で私が特に注目したのは、キャンペーンの内容ではなく、『ルナルナ』が実施したアプリの利用実態についてのアンケート結果です。(2023/12/11)



+++★デジタルヘルス解説動画(解説:渡辺武友)★+++

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第32回 Apple Watchは、なぜ選ばれる?(7分58秒)
https://youtu.be/-_FHtvfiGOY